2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
Brood Parasites(全1記事)
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マイケル・アランダ氏:子どもを育てる、というのは大変な仕事です。とてつもない体力も要りますしね。もし、誰か他人に子育てを丸投げできたとしたらどうでしょうか。
そのまんまそれを実行する生物が存在します。それは、ほかの生物の巣に自分の卵を産みつけ、そして大変な子育てを自分の変わりにしてもらう「托卵」と呼ばれている行為です。
時として、托卵する側とされる側との生存競争の進化を思わせる光景に出くわすことがあります。托卵される側は托卵された卵を巣の外に落とそうとしますが、托卵する側はあの手この手でそうされないようにと仕向けてくるのです。
例えば、カッコウナマズは、世界中どこにでもいる系統の魚である、口の中で自身の子どもを育てるカワスズメに托卵します。
カッコウナマズは自分たちでは子どもを育てられない、絶対寄生体として有名です。カワスズメが卵を産み落とすと、カッコウナマズは素早くカワスズメに近づいて産み落とされたカワスズメの卵を食べ、そこに自分の卵を産みつけるのです。
カワスズメはカッコウナマズの卵ごと自身の口の中へ卵をすくい上げ、孵化するまで育てます。しかし、カワスズメの卵が無事に孵ることはありません。先に孵化したカッコウナマズに食べられてしまうのですから。
カワスズメの母は自身の子ではなく、カッコウナマズの子どもを育てる羽目になるのです。まさかそれが自身の子ではないとは知る由も無く。
セイボウ(カッコウバチ)も似たような行動を取ります。他のアシナガバチの巣に自身の卵を産みつけるのです。
セイボウも絶対寄生体なので、女王蜂が寄生できる巣を見つけられなかった場合、その年は卵を産みません。女王蜂が産卵に成功できた場合、その幼虫は寄生先の幼虫よりも働き蜂に世話を焼かせる幼虫となるのですが、それは、寄生体が寄生先の幼虫より「お腹がすいた!」サインをしょっちゅう強く出しているからなのだと科学者は見ています。
一番栄養をもらえた蜂は、将来働き蜂ではなく、繁殖側の蜂になるのですから、お腹がすいたのサインは蜂の幼虫にとても意味のある物なのです。
これらの生き物たちみんなに「カッコウ」がつくことにはもうお気付きでしょう。「SciShowKids」(SciShowの関連チャンネル)のディーノというキャラクターでもおなじみのカッコウは、托卵する生き物として一番有名だからでしょう。
一般的なヨーロッパのカッコウは他の鳥の巣に自分の卵を産みつけるので有名です。カッコウバチやカッコウナマズも同じく、自分で子育てができませんからね。
繁殖の成功は托卵先にかかっているというわけなのですね。このずる賢い鳥は、さながら猛禽のようです。卵を巣に托卵されるほうはたまったもんじゃありません。
托卵された卵が自分の卵ではないと見破られ、巣から放り出されることが無ければ、托卵された卵は孵化した時に托卵先の卵を巣から放り出してしまうのですから。托卵先の卵が孵化していたら、小鳥すら放りだしてしまうのですよ。
とは言え、親は気付かないみたいですけどね。例え気付いたとしても、どうしようもありませんけど。托卵先の雛が生き残る可能性はほとんど無いのですから。
托卵性のハニーガイドはもう一歩先を行っている鳥です。くちばしで突っついて、托卵先の小鳥を殺してしまうのですから。
それにしても、托卵先の鳥たちは簡単に巣から托卵された卵を放り出すことができるのに、どうして侵入者を阻止しないのでしょうか。
まったくしない、というわけではありません。
例えば、まだらセキレイや赤ら顔セッカは自分のものではない卵に印をつけ、巣から放り出してしまう天才です。
しかし、カッコウによっては托卵先の卵に似せた卵を産む者もいるので、托卵先の鳥は侵入者が混じっていることに気付かないのです。
托卵対策をとっている鳥もいます。葭切の社会ではカッコウが巣の近くに寄って来た時点でお互いに教え合うことで托卵を防ごうとします。
ルリオーストラリア虫食いはより高度な戦法を用います。雛がいまだ卵の中に居る段階で、秘密の暗号を教え込むのです。
雌はそれぞれの卵との間で独特の鳴き方をするのですが、すると、雛が孵った時に同じ鳴き方をするようになるのです。
ルリオーストラリア虫食いの雛に侵入したカッコウの雛はその鳴き方をすることが出来ないので、餌を貰えないのです。
とは言え、托卵された卵を排除することが必ずしも吉と出るわけではありません。カッコウやコウウチョウの中には托卵先の鳥が自分たちの卵を放り出すと再びやって来て、托卵先の卵を破壊してしまうものもいるのですから。
托卵先の鳥はカッコウを育て、1匹でも自分たちの本当の小鳥が成鳥にまで成長することを願うか、全てを失う覚悟をするしかないのです。一か八か、の子育てなわけですね。
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