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The Chemistry of Fried Food(全1記事)

揚げ物をサクサクに仕上げる方法を科学的に解説

唐揚げ、ドーナツ、フライドチキン、天ぷらなど、揚げ物の種類はさまざまで、私たちの食生活にとってとても身近な調理法です。しかし、家庭で揚げ物をしようと思っても、サクサクの仕上がりを目指すのはなかなか難しいもの。そこで、今回はYouTubeの人気サイエンス系チャンネル「SciShow」より、揚げ物に関する科学を紹介します。サクサクの衣は、科学的に見るとどのように作られているのでしょうか。

知っておきたい揚げ物の基本

オリビア・ゴードン氏:ドーナツ、フライドチキン、オレオクッキーなど揚げ物はどこにでもありますね。そしておいしいですよね。

だから私たちはフェアにいきます。私たちの味覚を喜ばすのに加え、たっぷりの油で揚げた食べ物には、料理のプロセス、使用する油やバターに至るまで、とてもおもしろい化学が働いています。

とても熱い油に食べ物を沈めると、食材に火が通り、表面をサクサクにするといったような、たくさんの化学反応が起こり始めます。多くの場合、みなさんは油の温度を180度に設定したいと思いますが、それは料理のレシピによりますね。

油に食べ物を入れ、それらが泡を出せば、油が十分熱いということはみなさんご存知だと思います。おそらくそれを油が沸騰していると考える人がいると思いますが、実は違います。実際は、油の沸点は水の沸点の2倍あります。熱い油から出てくる泡は、湿度が食べ物の表面から取り除かれているのです。

食べ物から水分が取り除かれる際、2つのことが起こります。

1つ目は、水分が取り除かれることで、表面にサクサクの膜が形成されます。しかし、水の分子がなくなると、今度は油の分子が食べ物の中へ入る現象がおきます。これを研究者たちは油摂取(オイルアップテイク)とよんでいます。実際、ある研究では、油摂取の量は食べ物の水分が奪われる量に直に比例すると示しています。

油が多く入っていると食べ物の脂質量が増えます。みなさんはカロリーとしてご存知だと思いますが、エネルギー量も増えることになります。もし食べ物が大量に油を吸収した場合、結果ベトベトした脂っこい食事をとることになってしまいます。

でも、油に入れた食べ物をすぐ取り出すなんてことはしたくないですよね。そんなことをすると、火が十分食べ物に通らず、調理時間も伸びてしまうことになります。だからこそ、料理は熱伝達がすべてなのです。

食べ物をフライヤーに入れると、周りの熱した油の流れからの伝達によって分子の外側の層が熱くなります。そして食べ物のすべての分子がお互いに飛び跳ね、熱量を伝達するのです。その結果、食べ物の内側は熱の伝導によって熱くなります。

これらが揚げ物の基本ですが、さらに美味しいコーンドック(棒に刺したソーセージにトウモロコシの粉をつけたアメリカの揚げた物)を作るためにはたくさんのコツがあります。

おいしい揚げ物を作るには?

バターやパン粉を食べ物の表面につけるとなにが起こるでしょうか。バターは食べ物と油の間の層になるので、バターはほとんどの水分が奪われます。

もし食べ物の中央部が多く湿度を含んでいれば、あまりパサパサになりません。フィッシュ&チップス、フライドチキン、天ぷらが好きな人はおわかりの通り、少量のバターを加えると食べ物の風味が増し、サクサクの衣ができますね。

バターにビールを加えても、サクサクでふんわりとした揚げ物ができます。それは、ビールのフォームの泡に含まれる二酸化炭素がバターを膨らませ、ビールの中に含まれるあるタンパク質が化学物質を作り、その物質が泡を通常の速さで破裂するのを防ぐためです。

さらに、アルコール分子は水分子のようにお互いに強く付着しないため、ビールに含まれるエタノールは水分より早く蒸発します。このことは、バターはより早く乾燥するため、サクサクの食感を作るために食べ物をフライヤーで長時間揚げる必要はないということを意味します。

しかし、ある研究ではビールバターは水ベースの米や小麦バターよりもより多くの油摂取をするという発表をしましたので、カロリーが気になる人は注意してくださいね。

また、みなさんは揚げ物をする時に、普段使用している油よりもほかの油やバターを使ったほうがいいと聞いたことがあるかもしれません。さまざまな油は、それぞれ異なる脂肪分子や脂質で構成され、また異なる栄養価があります。さらに、油はそれぞれ違う化学反応を引き起こすので、食べ物の風味に様々な影響を与えます。

すべての油にはそれぞれ異なる煙点があります。煙点というのは、煙を作り出す温度のことです。煙点に油が達すると食べ物の味が悪くなります。

一般的に、熱は油にある脂質に化学反応を起こさせ、容易にガスになる化学物質である、揮発性物質を形成します。この物質が油に残り、煙として近くの大気に入り込みますが、ある物質は食べ物に入り込む場合があり、風味を変えてしまいます。

例えば、コーン油は多価不飽和脂肪としても知られていますが、たくさんの二重結合の脂質によって作られています。

これは低温でより容易に化学反応を起こす傾向があります。したがって、多価不飽和脂肪にはある弱い炭素・水素結合があり、それは化学反応の連鎖を壊したり引き起こさせたりする結果、揮発性物質を生成します。

揚げ物をする時、煙点が高い油を探したいですよね。大体の植物油はこの条件を満たします。

揚げ物はみなさんが思っていた以上に化学的でしたね。熱伝達と脂肪含量に関するすべての知識を応用すると、あなたの料理はおいしくなります。今度、おいしいフライドポテトを食べる時に、この知識を思い出してみてくださいね。

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