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会議を見せるテレビ第22回(全7記事)

キンコン西野「ファンの期待に応えすぎたら先はない」絵本作家としての成功を振り返る

キングコング西野亮廣氏と絵本作家のぶみ氏によるニコ生チャンネル「会議を見せるテレビ第22回」。今回は西野氏が、絵本作家として成功をおさめた要因を振り返りました。

お笑いコンビ・キングコングの活動

絵本作家のぶみ氏(以下、のぶみ):キングコング的には、新ネタってどんくらい作ってるんですか?

西野亮廣氏(以下、西野):作ってないこともないですけど、そんな頻繁に作ってないですよ。それもむずいんですよね〜。

前もここでお話ししたんですけど、見えちゃうんですね。お客さんは、「芸人だったら漫才作れよ」「漫才の気持ちを忘れたんか」みたいな。そう思うのが普通だと思うし、自分もなんばグランド花月に出るのが好きなので、もちろん作るんですけど。

やっぱりお客さんが「漫才作れ」って言った時点で、お客さんの想像を超えないという。居心地はいいかもしれないけど、「ああ、いいね」で終わっちゃって。インパクトがあんまないみたいな。

のぶみ::そらそうですよね、どう考えても。

西野:お笑いファンは、ずっと言うと思う。「お笑いライブを増やして」とか、「こんなライブやって」とか、「新ネタライブやって」みたいな。だけど、そこに応えていくと、もうフェードアウトしかないんじゃないかみたいな。

たぶん今、若手芸人はみんなそれに応えていってると思うんだけど、じゃあ果たして、それでなにか大きいことをやったかと言ったら、誰もあまり出てきてなくて。ファンばっかり喜んで……う〜ん。

オリラジが歌をやり出したときって、やっぱりファンは「そんなことよりネタ作ってよ」ってあったと思うんだけれど、それでも歌をやり切って、おもしろいってなったから。

お笑いの場合はとくにかもしれないけど、求められることをあんまりやっちゃうと、こじんまりして終わりそうな気がするんですよね〜。

山口トンボ氏(以下、トンボ):そりゃあ、そうなりますよね。

ファンの期待に応えすぎてはいけない

のぶみ:僕らの絵本業界でも、絵本で映画化になった人とか、このくらいの部数いった人とか、もう前例がすごくいっぱいあるんですよね。それを超えないと納得できないみたいになっちゃって、「そうじゃないんだけどな〜」って思うときもあって。

お笑いの人たちもやっぱり比べますもんね。今、この人とこの人がおもしろいとかいうので。それで1位になれる人はすごいかっこいいんだろうけど、中途半端な人たちはむずかしいんでしょうね。

西野:むずいんですよね〜。

のぶみ:そのときに思いっきり切り替えないと。西野さんも絵本作家だったわけじゃないから。それでここまで来たら、たいしたもんだよね。

西野:長い歴史で見ると、島田紳助さんは漫才を辞められたわけですよね。たけしさんもそうですよね。さんまさんも落語じゃないよね。鶴瓶師匠も辞められて。そのときどきで、やっぱりちょっと(ファンに)がっかりされたと思うんですよ。

紳竜続けてほしいっていうファンがほとんどだったと。100人中99人は「紳竜続けてよ」って言ったけど、本人は「それではもう先がないんだ」って見えてたから。だから抜けられたと思うし、ツービートもそうだと思うし。長い目で見たときに、みんな辞めてんだよね。

のぶみ:だけど、キングコングは?

西野:辞めないですよ! 僕らは漫才ずっと続けますけど、陥っちゃダメなのが、ファンの希望に応え過ぎちゃうという。

のぶみ:僕も講演会でファンのことだけを喜ばす絵本だけを描いてると、実はファンもいなくなるんですよ。

西野:そう! そう!

のぶみ:そうなんですよ。世の中のみんなを喜ばすみたいな勢いを持ったやつがあって、その中からわざわざ会いに来てくれるのがファンなので、このファン設定になっちゃうと、(世の中の人たちが)「私たちが望んでいたものと違う」になっちゃうんですよね。

西野:あ〜。

のぶみ:だからやっぱり、クオリティはどんどん上げてかなきゃいけないんですよね。ファンのために作ってるんじゃないんですよね。ファンのために作ると、逆にダメだというね。むずかしいですよね。

西野:ファンがいなくなるっていうね! そうなんですよね。だから僕、当時絵本描くなんて言ったときも、全員反対ですもん。「なんで芸人なのに絵本描くの?」って、先輩からも言われたし、それを支持してたファンなんかいなかったから。「なんで絵本なんて描くの?」みたいな。

今でこそ応援してくれるようになったし、売れたらファンの人も「やったぁ!」とか言ってくれるようになったけど。考えてみると、当時はファンの人も反対やったから。

のぶみ:続けたからだろうな〜。

西野:それでしかないですよね。

『プペル』の人気は予告ホームラン

のぶみ:たぶんそのときは、芸能人が絵本を描くというのが、やっぱりちょこちょこと出す人が多かったんですよ。

西野:あ〜。

のぶみ:アイドルが出すとか、ちょっとしたもので出すというのがあったんだけど、「こんなに本気?」っていうのは、びっくりしたんじゃないですか(笑)。

西野:本気がいいっすよね。

のぶみ:僕も絵本作家を17年やってるけど、本当にドン引くくらい本気だもんね(笑)。よくここまでやったなと(笑)。

西野:出版社から企画が来たときに、のぶみさんの場合だと、「絵本出しましょうよ」だけが来るんですか? それとも「こんな絵本を出しましょう」っていうオファーが来るときもあるんですか?

のぶみ:何個か(企画が)来て、今だったら『君が代ってどんな歌?』っていうやつを出そうって言って、それはおもしろいからやろうかなと思ってて。

君が代って天皇の歌じゃなくて、実は古今和歌集に出てくる恋の歌だったというやつがあって。それはすごくいいなぁと思って、受けようかなと思ったんですけど。

それ以外は今は無視してますね(笑)。今、アニメ案書いてるので、無視して自分がやりたいことを。今、一番自分のことを見てくれる時期なので、そのときに受け手側になるんじゃなくて、もう1回攻めていこうかなとは思ってますね。

本当にやりたいことをやるんだったら、今しかねぇだろと思ってやってますね。だから本当に必死ですね。

西野さんを見て、1年前からこうなるだろうなと思ったけど、実際になってるのを見て、「やっぱりやれることを全部やってたなぁ」って思ったんですよ。西野さんが、途中から、走るときに「神社に毎日行く」とか言って。

西野:今日も行きましたよ。

のぶみ:僕も今、毎日行ってるんですよ。俺もがんばろうと思って。そういうふうにやってよかったなぁと思って。ニコ生やれてよかったし、負けずにがんばろうって思うし、それはすごくありがたかったですね。

だってそんな人が近くにいなかったから。「本当にやってるこの人、予告ホームランみたいなことじゃん!」みたいな(笑)。すごいよね!

西野:神社行きますね。

のぶみ:絵本って本当に売れないジャンルだから、総合で1位になるってすごいことなんだよね。

西野:ありがたいよなぁ。

トンボ:そんなわけで、そろそろ有料のほうに移りたいと思います。11月4日の金曜日は、プペル展からお送りするということで。

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