2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:本田選手がファーストペンギンスピリッツを持ったきっかけは、ご自身のなかではなんだったと思われますか?
本田圭佑氏(以下、本田):おもしろいことをやりたいというところが発想です。例えば、人を喜ばせたいと考えたときに、「誰かがやったサプライズは、僕はやりたくない」というようなところから、ビジネスアイデアって生まれるんじゃないかな、とか。逆に問題意識のところもありますし。そういう、、「人がやっていないことじゃないと、僕は嫌だ」というところから、おそらく初めにトライするようになったのかもしれないです。
司会者:伊藤さんが、「うん、うん」とすごくうなずいてらっしゃいましたけど。ちなみに伊藤さんのファーストペンギンスピリッツ、どんな時に自分ができたなと思われます?
伊藤穰一氏(以下、伊藤):僕は本当に、最初は失敗ばかりしてたので。もう10年ぐらい、いろんな会社作って全部ダメにして。林さんと会って、なんかだんだんできるようになったんだけれども。ぜんぜん、できるようになった瞬間はあまり覚えてないので。
司会者:ちょっと聞いているだけで、お二人、近い通じる部分があるのかな、なんて。
本田:ぜんぜん足元にも及ばないですね。このデジタルガレージ、何十年前でしたっけ?
林郁氏(以下、林):21年です。
本田:21年前に“デジタル”って言葉使います、ふつう? そもそもそんなようなタイミングであったというのは、本当に先にアイデアをとにかく突っ張らせた会社だと僕は思いますよね。
伊藤:本当に林さん、自動車のガレージって……ね。作ったころは、本当にもうね。
林:アメリカに会社作ったら、よく「駐車場はひと月いくらですか?」という電話かかってきましたね(笑)。
(会場笑)
本田:なるほど。ガレージだと思われてる(笑)。
司会者:そんなエピソードもあるわけなんですけど。みなさま、世界でご活躍されていますが、世界で活躍するためには苦労もあったかと思います。本当に大変なこともたくさんあったかと思うんですが、そういった時にどのような精神を持っていたか。精神力の部分を少し聞かせていただきたいです。これは、まず伊藤さんに聞かせていただきたいんですけれど。
伊藤:ちょっと今の質問とはズレるかもしれないけれど、これは、うちの学生がやっている研究にも出てるんだけど、ストレス、プレッシャーかかると心拍数も上がるし、いろんな体のなか……、体内が変わる。でも、それは、緊張でなにかイヤな気持ちになるような気がみんなすると思うんだけど、実はそれが進化論的にすごく重要なときに発生するエネルギーなんですよね。
プレッシャーがかかってウワーッとなったときに、2つパターンがあって。「逃げる」パターンと、そこで「戦う」というパターンがあるんだよね。そのストレスとプレッシャーを自分の行動力に変えることができるようになったことを、僕なんとなく覚えていて。昔、学生のころはけっこう逃げてた。なにか嫌なことがあったら逃げてたんだけど。
うちの母親はガンで死んじゃったんだけど、借金残して母親が亡くなって。そして、1人になっちゃった時に、「もう逃げるところない」とわかって。そのプレッシャーを、ちょうど林さんと出会ったころだったけど。たぶん、そこだったと思うんだよね。
司会者:「ほぉ〜」と聞いてらっしゃいますけど、本田選手。
本田:似てると言ったらおこがましいんですけど、僕の、そのタイミングはオランダに行った時に……。今まで僕、本当にゴールなんて追い求めるタイプではぜんぜんなかったんですね。もうパス、パス。パスしか美学がなかったんです。ただ、その時、オリンピックで惨敗して(注:2008年の北京オリンピックで1次リーグ敗退)、僕、オランダの2部で戦うことになったんですけど。
僕、ずっと世界一になりたかったのに、オランダに行ったあげく、辿り着いた先は2部でプレーするということが……。今、伊藤さんおっしゃったような、いわゆる「もう逃げ道がない」という感覚の精神論にちょっと近かったかなと、思い出すと。そこで変わらざるを得なかったというか、もう行くしかないと。逃げたらもうなにも……、もう失うものないので、もうとにかく攻めようというタイミングがそこでしたね。21才の時かな。
司会者:でも、そのなかで自分をどう奮い立たせていくのか。精神の持っていき方として、どんな気持ちがあって、そこまで持っていかれるのかなと思いますけれど。
本田:僕の場合は夢があったので、やっぱりそれを叶えたいということで、なかなか諦められずにそこに執着して。その結果、1つひとつ失敗は重ねましたけど、目標にちょっとずつたどり着いたというようなやり方ですね。夢がなかったら、たぶん何度も僕は挫折してたかもしれないです。
司会者:夢が自分を救ってくれたという感じかと思うんですけど、どうですか? お二人は世界で挑戦されてるわけですけれども、そのお話を聞かれて、林さんは?
林:会社のクレド(行動理念)にもあって、よく会社の全体会でも言うんですけど「思ってないことは実現しない」と、みんなに言ってるんです。まず1番最初に強い意思をもった上で、いろんなことにトライしたり、もしくはちょっとタイミングを見たり。今は時じゃなければ少し待つとか。やはりなにか意思がないところには、なにも始まらないので。
だから、それも含めてリスクテイクしていくということが、どんどん今回のきっかけで若い世代にちゃんと伝搬していけばいいかなと思うんですけどね。
司会者:今回のこのアワード、第1回目となりましたけれども、2回、3回、今後も期待してよろしいんでしょうか?
林:はい。会社がつぶれないかぎり、続けるつもりです(笑)。
(会場笑)
司会者:本田選手、どうですか? こういったアワードを開設されて、このような精神論でやっていくと決められた林さんであったり、伊藤さんであったり。
本田:今、林さんがおっしゃったように、続けていくという意味でいうと、1番目に選んでいただいた僕がやっぱり突き抜けないと、このペンギン賞の価値も上がっていかないと思ってます。とにかく、このペンギン賞に選ばれた人というのは、世の中ですごく成功してる、お手本になってる。世の中のためになってるというようにしないといけない、という強い覚悟は、今日持ってました。
司会者:若い世代の方々がこういったチャレンジの気持ちや、スピリッツを持って、これから挑戦していこうと思っていただけるきっかけになるのではないでしょうか。
では、まだまだお話をおうかがいたいところなんですが、最後に一言ずつメッセージをいただいて、お別れをさせていただきます。では、林さんからお願いいたします。
林:来年も続けていきますし、本田さんのさっきのコメント、非常にうれしいです。僕も今、勇気をいただきました。
さっきも言いましたけど、先日テロで悲しい痛ましいことがありました。今回はスポーツだったんですけれども、もう少しスコープを広げて、技術とか社会貢献とか、そういったところでがんばっている方にもあげられるような、価値のある賞に育っていけばいいなと思います。ありがとうございました。
司会者:ありがとうございます。では、伊藤さんからお願いします。
伊藤:僕はメディアラボの立場から言うと、(本田氏には)もう何度かメディアラボに来ていただいて、うちの学生や教授たちにいろんなインスピレーションをいただいたし、なんかコラボレーションができそうなので。メディアラボもやはり学会のなかだけではなくて、外のいろんなおもしろい人たちとコラボレーションしたいと思っているので、これをきっかけにMITでまたできればなと。
司会者:ありがとうございます。改めまして、最後に本田選手からメッセージをお願いいたします。
本田:本日は本当にありがとうございました。非常に光栄な賞をいただいたと思っています。こういうサッカー以外、スポーツ以外のことを話すというインタビューもあまりなかったので、すごく刺激的ですし、それをメディアのみなさんに撮ってもらっているということもほとんどないので、また新たな一面を見せられたんじゃないかなと思っています。
本当にこれを機に、やはり行動しないと、ショットしないと意味がないということですから。しっかり計画して、できるだけスタートアップ精神で、早く小回りをきかせながら、なにかプロジェクトを一緒にやれたらと思ってるので、引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。
司会者:ありがとうございました。お話うかがってまいりました。今後の本田選手の活躍にも期待いたします。本田選手、林さん、伊藤さん、今日は本当にありがとうございました。
(会場拍手)
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