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Meet the 4 Newest Elements! (全1記事)

アジア初の快挙 日本が命名した新元素「ニホニウム」とは

先日、周期表の第7周期にある4つの原子番号113、115、117、118に、ついに名前が与えられました。そのうち、113は日本の理化学研究所が発見したもの。その功績にちなんで命名権が与えられ、「ニホニウム」と名付けられました。これはアジアで初めての快挙です。新しい元素を発見するには原子核同士をぶつける必要があるのですが、それはけっして簡単なことではないのです。

新たに4つの元素に名前が付けられる

ハンク・グリーン氏:本棚に行って、古い化学の教科書を手に取ってみてください。もし持っていないなら、お気の毒です。誰もが1冊は化学の教科書を持っておくべきでしょう。

では持っているとして、本を開いて元素周期表を見てみてください。おそらく、表紙裏に載っているはずです。

見ましたか? 実はそれはもはや正しいとは言えない、すっかり時代遅れのものになっています。

というわけで、新しい700ドルの教科書を買わなくてはいけません。なぜなら元素周期表が、ちょうど最近、また更新されたのです。

先日、周期表の第7周期にある4つの原子番号113、115、117、118に、ついに名前が与えられました。

あなたが持つ教科書がいつのものかによりますが、これらの元素は名前を持たないどころか、掲載もされていなかったものです。

でも、待って! 周期表はまだ完成してはいないのです。

新しい元素を作る試み

この最新の4元素を作るには多くの月日がかかりました。そして現在、科学者たちは、第8周期に載る、原子番号119以上の新しい超重量の元素を生成しようとしています。しかし、誰もそれをどうやるのかわからないのです。

最新の4元素を生成するために、科学者たちは粒子加速器のような巨大な装置を使いながら、軽い元素たちを一緒に粉々にしなくてはいけませんでした。

新元素の単一原子を作るためには、原子の無数の衝突が起こります。

重要なのは、一度原子核があるサイズ、たとえば原子番号92のウラニウムより大きくなると、原子が不安定になることです。その原子核の中性子と陽子をくっつけている力が、その数が多いほど距離が離れ、弱まってしまうのです。

ですから、大きい元素はより不安定で、ほんの一瞬で崩壊したり、小さい核を持ったほかの原子に分裂したりする傾向があるのです。

そして新しい超重量元素を生成したことを証明するには、科学者たちはその崩壊の証拠を集めなければいけません。

その1つの方法は、新しい元素が壊れた時に発する放射線を記録することです。

この放射線は、陽子2個と中性子2個を持ったヘリウムの原子核、アルファ粒子の流れのもので、しばしば放射されます。

アルファ粒子1つ1つは質量数4なので、科学者はいくつの粒子が放出されたか計ることができます。そして、これらすべてを放出した原子がどれくらいの大きさか調べるのです。

さらに、放出されたアルファ粒子のなかでは、大きい核ほど大きなエネルギーを持っていて、それも計ることができます。

日本が由来の「ニホニウム」

その後、新しい元素が生成された十分な証拠が揃えば、それを審査する公式な組織、国際純正・応用化学連合(IUPAC)から承認スタンプがもらえるのです。

そしてIUPACは発見した科学者たちに命名権を与えてくれます。

それはルールとして、神話、鉱物、場所、元素の特性、または科学者から命名することになっていて、化学者にとっては一種のマッドリブス(海外の言葉遊び)みたいなものなのです。

というわけで、1番目に名付けられた新元素から始めましょう。元素113、今では「ニホニウム」として知られています。

由来は日本語の「日本」から来ています。日が昇りし国、つまり日本国という意味です。

この発見はアジアの国では初の快挙であり、原子番号83のビスマスと原子番号30の亜鉛イオンを衝突させる粒子加速器を用いた理化学研究所によるものでした。

次は元素115と117です。こちらはロシアのドゥブナと、アメリカのカリフォルニアとテネシーの共同研究で生成されました。

元素115は、モスクワ市と2003年に初めて生成したロシアの科学者チームを讃えて、「モスコビウム」と現在呼ばれています。

チームは原子番号20のカルシウムと原子番号95のアメリシウムを衝突させることでこれを生成し、存在を確認するために世界中の研究所で、この10年以上の間、実験が繰り返されました。

粒子加速器や計測器の限界が近づいている

元素117については、この元素や他の超重量元素を研究したテネシー州すべての研究所にちなんで、「テネシン」と提案されました。

テネシンは一番最近に発見された元素で、2010年に別の人口元素であるカルシウムに、原子番号97のバークリウムをぶつけることで生成されました。

そして最後の新元素である118は、「オガネソン」と名付けられる予定です。

この元素を含む様々な超重量元素の発見に貢献したロシアの研究チームを率いる原子物理学者、ユーリ・オガネシアンを讃えたものです。

元素118は、2002年頃に原子番号98のカリホルニウムとカルシウムを衝突させることで初めて合成され、2005年頃に再度合成が行われました。

というわけで、次は発見されるのはどの元素が来るのか? 明らかにそれは元素119でしょう。しかし、明らかにその成功者がまだいないのです!

一部の研究者は、周期表の第7周期に載った生成された元素はトリッキーなものであると言っています。なぜなら、粒子加速器や計測器の限界が近づきつつあるからです。

周期表がどれだけ増やせるか解明できる前に、元素が安定する方法、元素を操作する方法、そして大きな原子同士を衝突させる方法を学んでいくべきでしょう。

というわけで、古い化学の教科書は捨てないように。いつか更新すべき日が来るでしょう……多分……。

このまま熱心に研究を続けたら、クールな科学の人間でなれるかもしれません。私たち人類も勉強しなきゃいけないことがたくさんあるんです。

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