2024.10.10
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岡田斗司夫氏 :今日のお品書きのその1、「キングコングの西野が、また炎上してやがる」っていう話ですね。
キングコングの西野くん、(2016年3月10日の)ヤフーニュースになってます。「キンコン西野『授業スマホ』禁止の先生をばっさり:サービス業である学校の先生はスマホより魅力的か?」。情報通信総合研究所、副主任研究員の佐藤仁さんという方が記事を書いています。
この記事、ヤフーニュースの記事の中では、中立というよりは西野くん寄りなんです。西野くんが言っている「学校の先生というのも情報産業の一部であって、その中ではエンターテインメント性とか、生徒に聞いてもらう努力を優先すべきである」というふうなことで書いてます。
今日はちょっと西野くんの裏話なども交えながら(笑)。こういうことがニュースに載るときは、だいたい西野くんのお友達の人が記事を書く場合が多いので(笑)。
例えば、以前ぼくが「西野くんが絵本を作るときに、『いろんなところから出資してスタッフ集めてやる』って言ってるけども、それ別にアメコミでは当たり前の方法だよ」って書いたんですね。
そしたら、いきなり中立の人っぽい人が、ネットニュースかな、ヤフーニュースかなんかにですね、「岡田斗司夫は誤解している。西野がやろうとしているのは、こういうふうなことだ」っていうのを書いてあったんですね。
「はあ」と思ってたんですが、あとでよくよく聞いてみると、これは西野くんの息がかかったお友達が、擁護意見を書いたというやつで(笑)。「すげーな、西野! こいつ、そんな寝技使いやがるのか!」と(笑)。
もうみなさんがご存知のとおり、ぼくはいいやつではないんですけどもですね。お友達を使ってなんやかんやするっていうのはわりと嫌いなので(笑)。そこはちょっと意外な寝技を使うなあ、なかなかやるなあ、と思ったんですけども。
(コメントにて)「情報操作」。いや、情報操作でもなんでもないですね。こういうのは引っかかる側が悪い。つまり、ニュースに「これに関しては、こういうふうに見るべきだ」と言っているからといって、「じゃあ、こっちが正しいんだ」と思っちゃう側が悪いっていうふうに、情報を出す側は思ってるんですよ。
その意味では、よく原価問題っていうか、「なになにの原価は本当はいくらだ」っていうのがあるんですけども、それはメーカーとか作る側にしたら、買ってもらって利益が出るような価格、その中でも精一杯安い、ちゃんと儲かるような値段に設定しているわけですね。
それと同じように、情報を出す側にしたら、「君たちにちゃんと疑おうと思ったら疑う余地っていうのは与えているんだから、それを鵜呑みにするのは危険じゃないの」っていうのは、かなりエクスキューズで出しているわけですね。
ヤフーニュースでいえば、この記事を書いた人が誰かって名前を出しているところで、じゅうぶん良心的なんでですね。ここは情報操作というほどではないです。
ということで、話がちょっと横に流れたんですけども、西野くんの主張ですね、「先生は授業中にスマホをいじったら怒る。スマホを禁止する先生というのはいかがなものか」っていうことについて、ちょっと考えてみたいと思いました。今日のお題の1つですね。
今日はオフ会でちょっとそのことを話題にして、どういうふうに考えるべきかなと思ったんですけども、1つは評論家の内田樹さんの考え方を使って、先生と生徒の関係というか、師ですね。「師匠と弟子との関係はいかにあるべきか」っていうふうに考えると、これはもちろん、何かを自分が教えてもらってるときにスマホをいじるのはありえないっていう話になるんですよ。
でも、それは先生の実力が低いから、授業中にスマホを見れてしまうんだ。そのぶんもっと、例えば自分のしゃべり方とか、自分の見た目とかをどんどん工夫しておもしろくすればいいじゃないか、っていうような考え方がある。西野くんが言ってる批判はそのへんなんですけども。
それを言い出すと、能力高い人しか先生やっちゃいけなくなるんですね。先生っていうのは何かっていうと、ぼくらは国民教育というものをベースにしてるもんですから、まあ、子供が100万人いたら、それに対して20人に1人ぐらいの先生が与えられるわけですから、ある程度の人数の先生が必要なわけですね。
子供が1億人っていう状態はないでしょうけど、100万人だったら100万人。だとするとですよ、その先生に過剰なスペックを求めるっていうのは、「こんなことも先生はできなきゃいけない」「あんなことも先生はできなきゃいけない」。そんなことを言ったら、そんなに優秀な人材集まるのかっていったら、ぼくは逆効果だと思うんですよね。
言ってしまえば、先生は中途半端な、ぼくらと同じような存在であっても先生になれるし、子供たちは子供たちで全員が優秀な、向学心があるような子供でなくても、多少反発心があっても、多少ひねくれ者であっても、たとえコミュニケーション障害であっても、みんなが学べるような、お互いがゆとりがあるシステムというのを作らないと、国民教育っていうのは成り立たない。
これがエリート主義で高い能力を持った子供ばっかり集めようとすると、おそらく「子供にはなんでもさせよう」っていうことになるんですね。「子供の自主性を信じよう」とか、子供の学びたい心とか楽しみたい心を利用して、「なんでもやらせればいいんだ」とか言う人はエリート主義なんですよ。
そういう人は、ほぼ私立の学校をやってるか、もしくは競争社会の中で生きてきて、勝ったことがある経験のある人がほとんどで。だから、勝ってる子供しか視界にないんですね。おもしろい子供、自分のところに寄ってきていろいろ言ってくる元気な子供しか視界に入ってないからこそ、「子供たちの自主性にまかせる」という言葉が成り立つ。
先生に能力を求める人っていうのは、「いい先生につけば、いい影響が自分の子供にある」っていうふうに思ってるんですね。でも、それはどうかなっていうと、みんながいい親であるのかっていうと、そうでもないわけですよ。
親であるときは1人の人間としてやってるわけで、ダメな親もいればいい親もいる。そのいい親っていうのも、子供によって「こういう親はいい」「こういう親はダメ」っていうのって、相性で決まるんですよ。一元的ないい親っていうのはできない。少なくとも親というのはスキルではないっていうのは、ぼくらはわかってる。
なのに、なんで先生にスキルを上げることを要求するのか。そこまでスキルを上げさせるほど、ぼくらは先生を尊敬してるのかっていう話になってきちゃうわけですね。
こんな話をブログとかで書いてもめんどくさいだけだなって思ったんで、ぼくはFacebookで「これを考えるときは、単純に『暗殺教室』で考えればいい」っていうふうに書きました。
『暗殺教室』の殺せんせーは、生徒がスマホを教室で使うことを許すのかというふうに考えてみればいいと。おそらく先生は許さないんですね。そのときに先生は、あの作者、すごい巧妙だから、「先生がスキルを上げて、もっとおもしろい授業をすればいい」っていう解答と同時に、反対側の解答も必ず用意するはずなんですよ。
じゃあ、「その反対側の解答というのはなんだろうか」っていうのを今日考えて、今日オフ会で話したのは、たとえばカップルがいると。で、彼氏がしゃべってる最中、まあ、彼女のほうでもいいです。
彼氏がしゃべってる最中に、彼女がスマホばっかりいじってると。で、彼氏がムカッとして、「ちょっと待てよ! おれと話してるときにスマホいじんなよ!」って言ったら、彼女のほうが「え、あんたがスマホよりおもしろいこと言ってくれたら、スマホなんか触んないわよ」って言ったら、こういう関係はいいのか、っていうことになるわけですね。
そうすると、みんな心の中に闇が走ってですね(笑)。「ああ、それは嫌だな」っていうことになる。これでやっとこの関係の、携帯をいじる彼女とそれに対してイラついてる彼氏っていう、なんか自分にとってわかる話になってくるわけですね。
教育問題っていうのは、放っておくと机上の空論っていうんですか、自分の中でベストの教室を考えて、ベストの先生を考えて、そのベストの関係を考えて、「こんな教育であればいいな。だから、今の先生はダメだ」っていうふうに、ついつい言っちゃう。あら探し問題になりがちなんですよね。
そうならないためには、今みたいな恋愛問題でもなんでもいいですし、ほかの『暗殺教室』だったらどうだろうっていうような、できるだけほかの例っていうのを集めてきて。
「じゃあ、この中にスマホっていうのを押し込めてみたら、どうなるんだろうか?」っていうのをやってみると、ちょっとずつ考え方がズレてきて、ほかの人と違う意見がもてるようになるんじゃないかな、と思います。
冒頭からかなり長いことしゃべってしまって、もう何分だ、19分だ! わー!
あとね、1個だけ世間話させて。ええとね、桂文枝さんですか、元三枝さんですね。あの方の不倫が報道されて、また「文枝、おまえもゲスなのか」みたいな報道がされて。
それに関して、関西の某番組の楽屋であった話なんですけども、月亭八方師匠がこないだ文枝さんと会ったときにですね、思わず言いたかったことがあってって。
桂文枝さんって、大河ドラマで千利休やられるそうなんですね。千利休をやることが決まってるんだって。「文枝さん、あんた、千利休やるそうやないですか? 茶たてる前に、なにたててまんのん?」っていうのをですね、言いたかったんだけど、グッと我慢したというのを聞いて(笑)。
ぼくはもう「よくグッと我慢した! それはおれがニコ生で使おう!」と思ってですね、本日持ってまいりました(笑)。またね、ログミーで、この部分だけ使われなきゃいいなと思って(笑)。
うまいよね、さすが(笑)。おれ、あの、月亭八方でうまいと思ったのは、何年ぶりだとか、ほぼ初めてじゃないかなというふうに思いました。
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