2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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松浦弥太郎氏(以下、松浦):せっかくだからなにかメディアを見ながら説明するっていう話じゃなかったでしたっけ?
(スクリーンに「灯台もと暮らし」サイトが映る)
松浦:「灯台もと暮らし」ですね。これはどんな感じで作ってるの?
佐野知美氏(以下、佐野):「もとくら」……。
松浦:「もとくら」って呼んでるの?
佐野:そうです。「もとくら」と呼んでほしいなと思って作ってます。
媒体の説明もさせていただきますね。
松浦:はい。
佐野:これがトップページですね。
さっき松浦さんがおっしゃったような名だたるWebメディアとは一線を画してるんじゃないかと思うトップページですが(笑)。シンプルの極みのようですよね……。しかしできればPCで見ていただきたいなと思ってるんです。 スマホの方が閲覧数が多いのは、多いんですが、メンバーが雑誌が好きだったりするので。
松浦:じっくり読むからでしょ?
佐野:そうですね。やっぱり1つの記事が長いので。3,000文字から5,000文字くらいが平均でしょうか。
(画面をスクロールする)こんなふうに左側にメインの画像を置いています。
松浦:これも自分たちで取材したり、出かけてその場で写真撮ったりするんですか?
佐野:基本的にはすべて自分たちで記事を書きます。現地にでかけて、取材をして、写真も内製ですね。
佐野:これは高知県の嶺北地方の土佐町なんですが、ここにメンバーが4泊~5泊くらい泊まって。普通は自腹で取材に行って。まあ、これはちょっと違うんですけど。
で、できる限り編集部のメンバーの目線でみた世界と、取材させていただいた方々の魅力を、可視化していくような意識で、記事をつくっていきます。
さっきの編集会議をあえてしない、というのと似てるんですが、記事1本1本を固めてはいかないんですね。この「笹のいえ」さんに会いに行くとなったら、だいたいどういう話を聞きたいかというイメージはあるんですが、やっぱり会ってみないと、その土地に立ってみないと、見えないことってたくさんあるんで。
松浦:「くらしのきほん」も見切り発車。
佐野:あ、そうなんですね。
松浦:仕事ってね、見切り発車が大事。
佐野:ホントですか?(笑)
松浦:見切り発車しないと、なにもできないですよ。だから上司の確認を取らずに見切り発車する。
佐野:鳥井もよく言ってました、「やってから謝罪しよう」って。
松浦:そうなんですよ。
佐野:その精神を活かして、じゃないですけど行った先でこの方がどう思ってるのか、っていうのを撮れた写真だとか、季節を加味して記事ができ上がっていく。
松浦:いいですね。
佐野:オープンに募集することはしていませんが、例外的に数名だけ、外部ライターさんがいます。それは「もとくらの袋とじ」というnoteのコンテンツを読んでくれている仲間であったり、立ち上げ当初からの知り合いだったりしますが。
立ち上げ当初は、月30本か25本くらい更新していたんですが。
松浦:すごいですね。ほぼ1日1本。
佐野:最近は更新頻度を変えつつあるんですが、私とここで今カメラを撮ってる小松崎と受付にいた立花の3人がメインライターなので、3人で写真も撮って。
松浦:大変ですよね、毎日1本。
僕ね、これはちょっと言い訳っぽい話になりますけど。
佐野:はい(笑)。
松浦: 最初はやっぱり、コンテンツをじゃんじゃん作って、いっぱいアップしていかないとダメな世界っていうところがあるじゃないですか。
佐野:ありますね。
松浦:あるでしょ。それってどうかなって思ったんですよ。
佐野:ホントかなみたいな?
松浦:うん。
で、最初に思い切りやって週に4本コンテンツをあげたときがあって。前半というか、ローンチしたあとくらいには週4本ずつぐらいをがんばってあげてた。
「くらしのきほん」はどちらかと言うとニュースサイトじゃないんで、アーカイブしてどんどんコンテンツを残していこうと。
たぶん、今ここに来ていらっしゃるなかで1日15本とか上げてる方とかメディアとかあると思うんですけど。
佐野:そういうメディアに属してたことあります。
松浦:そうなの? でもそれでもちゃんと機能するというか、メディアの性格によっては機能するんです。
佐野:うちでは辛いです(笑)。
松浦:いや、辛い。どういうことかと言うと、タイムラインを売ってるだけなんですよ。だから時間が過ぎた古いものは、よっぽどのことがない限り誰1人読まない。
パッと見て、パッと読んだのがおもしろいということだから、クオリティがちょっと違うんですよ。求められるクオリティが違うと思います。短い文章でわかりやすい写真で心に残るタイトルみたいな。
だけど意外とそれって、ユーザーをがっかりさせちゃう。あ、いいじゃんこのタイトル、知りたいなと思ってなかを見たらけっこう……ね。
東出桂奈氏(以下、東出):ありますよね。
松浦:あるじゃないですか。がっかりみたいな。この3分どうしてくれる(笑)。
僕らはやっぱりアーカイブ作りたいし、100年後の人にも喜んでもらえるコンテンツを作ろうと。それを心掛けるようにしたんです。100年後の人が「100年前のこと、料理に夢中で、大切にしてたことを残してくれてる。ありがとう、この人もう死んじゃってるけども」って(笑)。
(会場笑)
松浦:Webに残ってるわけじゃないですか。本当に100年後の人がうれしいな、もう1回見たいなって思えるものを作りたいって。
それだったら週に4本も無理なんです。そのクオリティを担保するのは。
あるときユーザーからこんなお便りをもらったんですね。「くらしのきほん」さんのコンテンツすごく良い、でも、ついていけない、と。
東出:あー、そうかもしれない。
松浦:うん。早過ぎて、アップが。
そう言われたときに、あ、いけないと思いました。
もっと自信を持って、もっと何度も読んでもらえるようなコンテンツ、ずっとトップになってるような、古いと思われないコンテンツを、自分たちのクオリティとして担保していけばいいんだと、そういうふうに心を決めました。それで週に1本にするんです。
すごい勇気じゃないですか?
東出:す、すごいです。
佐野:極端ですよね。
松浦:そうなんです。ちょっと減らすんじゃないんです。1本にしたんです。そしたら自分たちがちょっと寂しいんです。
東出:逆に今度は。
松浦:そこが大事で。自分たちが一番のメディアなんです、自分たちが作ってるメディアでは。だから自分たちが寂しく思う、なんとなく物足りない感じがするんであれば、ちょっと考えようと。そこに気がついた。
で、自分たちが一番ちょうどいいものにした。なんでかと言うと、自分が一番のヘビーユーザーだから。で、週に2本というのがちょうどいい。
佐野:じゃあ、そこは1年やってみての。
松浦:そうです。
でも、1本で自分たちのメディアが成立するのであればそれが理想だと僕は思う。
まだまだ理想を求めて、じゃないんですけど1本のコンテンツでみんなが古さを感じず何回でも見たいと思うようなものを僕らが今、作れてないだけです。編集者としてという言い方になっちゃいますけど、作り手として。
だから自分たちももっと努力をして、「1週間に1本でもいいんだ。それでみんなが大満足するようなメディアを作りたい」というのが今考えていることなんです。
何度も読みたいってなかなかありそうでないじゃないですか。どんどん変わっていっちゃう。スマホをみんなが今使ってる。でも、スマホを見る時間以外にも世のなかたくさん素敵なことがいっぱいある。
スマホを見る時間は、ほんのわずかでいいと思うのね、僕は。そのときにいいものが、自分が見てなかったときにどんどん過去のものになっちゃうっていうのはちょっと残念。だからそこはちょっと頑張ってクオリティを担保すれば、きっと週に1本でもいいんじゃないかと。そうやっていろいろ思考錯誤してます。
あとは、自分が1ユーザーとしてちょうどいいかよくないかっていう客観的な判断をするために毎日何回もサイトを見てる。僕くらい「くらしのきほん」見てる人、いないです。
佐野:一番のユーザー(笑)。
松浦:本当に。いつも見てる、いつも。なんでここのボタンは、親指から遠いところにあるかなとか。いつも歩きながら見てて、文章が長い、写真も良くない、とか。いろんなクレームを自分に言って改善していくっていう感じですね。
松浦:次は「箱庭」を見たいな。
佐野:「箱庭」。はい。
松浦:僕は「箱庭」好きなんだけども。 「箱庭」は、いつもイベントもやってるの?
東出:そうですね。
松浦:「今週末行きたいイベント」。これが新しいなと思います。自分たちのそのままの活動が入ってくるのが。
東出:最近だと青森県の三沢市でイベントを行ってきました。「箱庭のガッコウ」というスクールをずっとやってるんですけど、その出張版で。
松浦:そういう自分たちのリアル体験がコンテンツ化されている。
東出:そうですね。
松浦:普通はコンテンツをリアル体験に落とす。先にリアル体験があって、それをコンテンツ化してるっていうのは、ありそうでない。
東出:あまり意識はしていませんでしたが…。
佐野:あんまり意外だと思ってない?
東出:そうそう。
松浦:Webメディアでありながら、Webでコンテンツを上げることが優先されているわけじゃない。
東出:それはそうですね。
松浦:自分たちで突然始めて楽しかったことをWebにのせる。
東出:あ、だいたいそうですね、無理しない感じで。
松浦:そこがおもしろい。どのくらいのペースであげてるの?
東出:今は1日2本ですね。
松浦:1日2本。ここをちょっと見て欲しいっていうポイントはあるの? これはPC向け?
東出:私はもともとPCの前に張りついて仕事をしてたんで。それに女性のクリエイターの方って、PCの前に座るのが多いので。
わりと最近までPCの方が多かったんですよ。たぶん珍しいとは思うんですけど。で、スマホの対応になったのがつい1年前…(苦笑)。デバイスはあまり意識していなくて。
松浦:ユーザーがどんどん変化してるよね。どうなんですかね、PCって僕らは仕事してるから持ってるけど。若い人たちって。
東出:持ってないかもしれませんね。
松浦:持ってない方、けっこういる。だからスマホでいい感じで「箱庭」見たいですね。
東出:今はようやく、スマホでいい感じで見れるようになっています。
佐野:それは確かに去年、言ってましたね。「箱庭」さんすごい好きで、私、桂奈さん(東出氏)との出会いも「箱庭のガッコウ」に参加したのが、去年、おととしくらいで。そのときに「箱庭」を、ベンチマークというか、見るじゃないですか、メディア作るときに。「スマホ対応してないぞ、深い意味があるんじゃないか……」って。なかったらしい(笑)。
東出:ですね(笑)。
佐野:だから去年、スマホ対応されたのはすごいびっくりしました。
松浦:そこはさっき言ったように、自分たちが1ユーザーとしてのちょうどいい感じで、ここはこうしていくっていうのは自由でいいと思いますよ。
これだけはほしいよねとか、これが今新しいよねとか、こうじゃないとダメだよね、っていうのはあんまり考えたくないんですよ。 だってみんなそれぞれにあるから。
揃ってきちゃうと、いくら商店街を作ってもおもしろくないんですよね。みんなそれぞれのちょうどいいがあって、商店街にいろんなちょうどいいがあれば。
見るユーザーもみんな違うわけで。みんなこの商店街に来る人たちが、みんなポロポニー着てるとは限らないわけですよ。みんないろんな服を着て、いろんな価値観を持ってるから。どんな人が行っても楽しめる。そんな商店街が、プラットフォームなのかどうかわからないけれども、広場みたいな感じで、あるといいかなと思うんですよ。
東出:そう言っていただけると、気がラクになりました。
松浦:そこの頑張りどころってありますよね。なんとなく人気のある、売れるっていう言い方すごくわかりやすいですけど、売れる方向に自分たちが動いていっちゃうことあるんで。そこは頑張りどころ。
常に自分にちょうどいい、常に自分が1ユーザーとしてのこうありたい、うれしいなっていうことを基準にして。うれしいのクオリティを高めて。それしかない。
佐野:ちょっとご提案をしてみていいですか。今、8時になって。今日実は、最初に「箱庭」と「灯台もと暮らし」の媒体説明をしようみたいなスライドが用意してあったんですけど。
東出:ははははは(笑)。
佐野:そのあと最後に、これから「スチーブ」をどうしていきましょうっていう話をしようとなっていたんですが。
で、いま、この浮いているパワポをどうしましょうか、という相談なんですが(笑)。
佐野:「くらしのきほん」はみなさんご存知かなとは思ったんですが、「箱庭」と「灯台もと暮らし」は少し説明をした方がいいんじゃないかと思ったんで。ここであらためて(笑)。
松浦:1回、ここで見とかないと。
東出:「箱庭」とは。女子クリエイター集団である「箱庭」が、自分たちが心から共感できるモノ・コトを発信する「ライフスタイルつくりWebマガジン」です。
一番最初に、キュレーションというよりも、やっぱりライフスタイル、女子クリエイターの生活みたいなところにもう少し寄ったものが作りたいなと思ってたので、ただのWebマガジンじゃなくて「ライフスタイルつくりWebマガジン」。
「箱庭」はアートやデザインや雑貨、カメラ、旅行、食、DIY、アウトドア、ローカルなどといったジャンルの情報を、編集部の独自の目線で毎日発信しています。
出てきているキーワードは、常に私たちが日ごろから興味のあることですね。実際にやってたり、作ってたり、見たり、写真撮ってたり、とか。そういうものがカテゴリーとして入ってきてます。
で、「箱庭」って実際なにやってるの?って。
松浦:さっきのリアルね。
東出:そうです、そうです。
「箱庭」っていうWebメディアはRIDE MEDIA&DESIGNという会社の社員がやってるんです。最初の頃はよく「『箱庭』の仕事だけやってるの?」みたいな感じで言われましたけど、実はみんな会社に所属しているという。
スクールというのが、佐野さんが参加してくれた「箱庭のガッコウ」です。SNSの情報発信のやり方と写真の撮り方をシェアするというかたちで。どこから、どうやって情報を収集し、どう発信するかを教えたり。
私たちカメラマンは誰もいないんですが、写真の好きなメンバーがいつもこうやって撮ってるよ、っていうのを紹介してます。箱庭の写真はほとんど自分たちで撮影しているので。
ほかがさっき言っていた、イベントやワークショップです。ワークショップやイベントは、メディアを運営しているうちに自然と出てきたことで。もともとワークショップをやろうと決めてメディアを運営していたわけじゃなくて、やってるうちに出てきたことですね。
それからシェアハウスが西荻窪にあって、「箱庭の住めるアトリエ」というクリエイター向けのシェアハウスを運営しています。
あと書籍がいま2冊出ていて、『ほっこり雑貨手帖』というムック本と、ガッコウの内容をまとめた『ウェブ発信の新ルール』っていう書籍を出してます。
「箱庭」っていうのはこういうものです、っていうのがいつも説明するのが難しくって。Webメディアなんだけどいろいろやってるよね、みたいな感じです。
いろんなやりたいことが自然と出てきた感じで。始めたときは、私もこういうふうなかたちになるとは思ってなくて。まあちょっと変わってるっていうか。
佐野:シェアハウス、桂奈さん住んでらっしゃるんですよね。
東出:そうなんですよ。自ら住んでいます(笑)。
松浦:掴みどころがないっていうのがいいですよね。
常に変化してるし、自分たちでどういうかたちを作ろうっていう意識がないから。
見てる側も別にこうじゃなきゃいけないとか、かたちとかね、なくて良いと思うんですよ。時間がかかって、作られるものだと思う。楽しければいいですよね。
東出:そうなんです。楽しければ。
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