2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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中川悠介氏(以下、中川):僕は、yONEちゃんのことを「師匠」と呼んでるんですが、そう呼ぶきっかけは上海万博で、カメラ小僧に追っかけられたり、クラブで神様のように扱われているyONEちゃんを見て師匠と呼びだしたんです。そんな師匠が中国への想いというか、なぜ中国で活動しようと思ったのかを、みなさんに聞かせてもらえればと思います。
米原康正氏(以下、米原):さっきの2006年くらいから、「ああ、もうここは中国行ったほうがいいかな」とか「中華圏行ったほうがいいかな」と思い出したのは、やはりその韓流とか、メディアがすべて、日本をよしとしないと言ったら変ですが、なぜか日本を避けた部分でメディアが外国を賛美する状況というのが、僕はやはり……。
ほら、ずっと日本人しか撮ってないというのは、さっき言ったみたいに別に外国人が嫌いなわけじゃなくて、自分が住んでいるのに、住んでいるとこをリスペクトしない状況がすごく嫌いで。嫌いというか、おかしいだろうと思うじゃない。どうするのあんたたちという思いがあったわけです。
内需がいいときはいいんです。昔は内需がよかったから、ファッション業界もバブルだった。じゃあ、日本人の外国コンプレックスを煽ったかたちで外国人モデルをいっぱい使ったって、それはそれでいいんだけど、今みたいによくないとそのパターンは外需には通じない。俺としてはやはり将来も働いていきたかったりするので、ネタがなくなったら困るという部分があって。
そうすると、本当に日本を好きな人たちを周りで探してみたら、「中国の人たちは日本大好きじゃん」というのがありました。
そしたら、その日本の文化やいいところを日本人が嫌いになったら、海外の日本を好きな人たちに正しく伝える方がいいんじゃないか、得策なんじゃないかということで、どんどん中国に日本を伝えていく作業をし始めました。
中川:中国に行くの本当に大変で、僕も万博の時に感じて、そのあと国のイベントでライブしに行ってもいろんな制限があったり、本当にすごく難しいと感じた。
それで、エンターテインメントやファッション、音楽に関係ない問題がいろいろと起こりました。それでもやはり、yONEちゃんは中国に行き続けたときに苦労があったと思うんですが、まず中国でどういうことをしてきましたか?
米原:まずはWeiboで人が増えて、100万人を超えてから向こうで「イベントやりませんか」というリクエストが多くなってきました。
僕は、あくまでも招待されて行くかたちなので、あまり障害はなく、逆に言えば、向こうが全部お金を出してくれたり、セッティングしてくれるという状況なんですが、中国なので、わかる通り、「じゃあこの日までにやっといてね」ということができてなかったりする。
中川:はいはい。
米原:だから、それを僕は日本的に考えると「お前なにやってんだコラ」となるとこを、「ああこれもう中国なんだから、怒っててもしょうがないな」と切り替えました。もう中国のやり方で、中国の人たちに合わせた。でも、これができないと困るんだったら、「どうしたらいい」と言うようにしようと思いました。
一番ひどいときは、「展覧会をやります」と言って、ここの30倍くらいある会場なんだけど、設営を展覧会場の人が「やります、3日後に飾り付け終わっときますから」と言うから、「できんの?」と聞いたら「大丈夫です」と。それで、前日に行ったらなにもできていない。
それで、「なんでできていないの」と聞いたら、「いや、アシスタントのお父さんが病気で」と言われて。いや、アシスタントは関係ないじゃんみたいな。
そのときは、まだ初期のころだったので、カーンと来て、ケンカになったりしたんだけど、それをまた人前で怒ったりしちゃいけないとか、中国人のメンツの強さみたいな部分を感じました。
そういうところも気にしながら、こっちの言いたいことはちゃんと言わなきゃいけないし、ダメなときはダメと言わなきゃいけない。日本人はそこが海外に対してはすごく苦手だったりする。
中川:そうですね。
米原:だから、俺は逆に「負けないぞ精神」と言ったら変ですが、正しいことを言ってるときは俺が100パーセント強いので、正しいことを言っている状況のときはどんなことを言われても、「そんなの話にならない」と言ってやり続けた結果として今があると思ってます。
中川:どんなときでも中国に攻めているなというのがあって、国の情勢がよくないときとか、みんなが「ちょっと中国は」と言ってる時でも、yONEちゃんだけは中国に行き続けていた。現地の人なのかなと思うくらい(笑)。
米原:尖閣諸島の件があったときも、その次の月くらいに行きました。それで、さすがに呼んでる人たちから、「街のほうには行かないでください」と言われました。
さっきも話したけど、じゃあ「中国が戦争始める」とか「中国人は」って、そういう話になるじゃない。でも、気づいてほしいのは、これだけの中国人が来日しているのに、中国人が日本人を嫌いなわけないじゃん。嫌いだったら、日本を自分が行く場所に選ばない。
それをちゃんと出さないメディアのほうを疑うべきで、なんで中国人を疑うんだよ。しかも、来てる人たちがお金をちゃんと使ってるのに、そこに対して、「爆買い」とか、すごくバカにした態度でメディアが扱うという、そのメディアの裏側になにがあるのかという部分は、本当にちゃんと考えたほうがいいと思う。
中川:うん。
米原:お客さんはお客さんとしてちゃんと見なきゃいけないし、日本に来てるということは好きだから来てるわけで、嫌いな国に来るわけないのに、メディアが散々めちゃくちゃなこと書くじゃない。
だから、そこの部分は中国サイドも日本に対して散々なこと書いてたりするけど、そこはきっちり民間同士でちゃんと話せばわかる部分があるんじゃないかな。
中川:そうですね。yONEちゃんは本当現地になじんでるというか、現地のメンバーと本当にファミリーじゃないですか。さらに言うと、中国と言ったら、みんな上海や北京のイメージが強いところを、全土細かく行っているイメージがある。
米原:16か17ヵ所回ってます。基本的に、僕の場合は向こうからWeiboだったり、上海にいるスタッフの女性から連絡が来たりします。中国人からしか連絡がなく、真ん中に日本人が入ることが一切ない。
僕は、いつも奥さんと一緒に行動するんですが、中国の人たちが2,000人会場にいて、僕と奥さんだけが日本人という状況が、けっこう普通にあったりします。その部分は、尖閣の後も同じような状況で、そこでなにかあったというのは、全然なかったです。そういうとこさえ見れば、なにもないことはわかるはずなんだけどね。
中川:なにか思い出深い都市やイベントはありますか?
米原:全部思い出深いんだけど、「米さんに付き合いたいですよ」という友達2人と、日本から温州というところに行って、その後に北京へ行く予定だったんだけど、温州の料理はすごく脂っこい。それで、友達2人がそれを食べて、僕も食べてたんだけど、ちょっとハードだったから、いつもより少なめに食べて。
次の日に、そのうち1人と連絡がつかなくて。「どうしたの」と言ったら、「昨日から腹痛とかもろもろで脱水状態、僕は帰ります」と言って、そいつはその後3ヵ月ダメでした。
僕が中国が大丈夫なのは食の問題が大きいと思います。油をいくら食べても大丈夫だし、地溝油と言って、屋台はいっぺん捨てた油をまた使うというので基本的に危ないと言われてるんだけど、食べるとおいしかったりする。
中川:そうですね。僕も大丈夫なタイプです。
米原:海外に行って、日本食を探す日本人はダメ。「なんで海外行って日本食食うんだよ」と思う。その部分も重要な要素なのかな。「郷に入っては郷に従え」という。
仕事の仕方も一緒で、さっき言ったみたいに中国の人たちに合わせる。合わせても、こっちの言うことはちゃんと言わなかったらいけないし、ダメなとこはダメで「このほうが早く行くでしょ」というのを示していく作業です。
中川:さっきの2,000人集まったイベントというのはどんなイベントですか? 例えば、中国の企業がスポンサードしているんですか?
米原:中国の企業、今は習(近平)さんに(体制が)替わってから贅沢禁止令が出て、かなり抑えられたりしているんですが、僕がすごくイベントに呼ばれていた3、4年前は、中国が最バブル、本当にすごいバブルの時期でした。
北京のクラブで1日1億の売り上げがある状況で、クラブに呼ばれてDJをやっていて、ステージにモデルの女の子がばーっと10人くらいいて、その子たちをライブシューティングするというやつで、ギャラも普通のDJに怒られるくらいもらっていました。もしくは企業のイベントだったり、キャンペーンが多かった。
中川:よく企業のタイアップやってましたよね。
米原:Weiboを使ったキャンペーンで、女の子たちを撮ってそれを配信していくというかたちだったりした。3、4年前は、WeiboもバブルだったのでWeiboに合わせていました。
日本人で(フォロワーが)200万人という人間はほかにいない。しかも、僕の場合は、「エロおじさん」みたいなイメージがあって。エロい写真というところに、ちょうど中国にセルフ文化がバーッと広がり、「セクシー」という部分もすごかった。
もともとセクシー(な要素)って中国の女の人に必要なんですが、それが全面的に出てきたのが、僕がWeibo始めた頃。僕が載せる写真は、「デジタルのセクシーの限界です」と言われたことがあります。
中川:現地のアパレルとタイアップもやってましたよね?
米原:基本的に向こうのアパレルは、芸能人が直接やってることが多いから、芸能人と一緒に組んだりしていました。おもしろいのは台湾や香港で、香港と中国はあまり仲がよくなくて、台湾はもちろんですが、台湾や香港のブランド、アーティストが中国、上海でなにかやりますというときのゲストが俺だったりして。
中川:へえー。
米原:要するに、中国人と台湾人とを結びつける役を僕がやったり、香港人を結びつける役をしていました。
こないだも、台湾の(歌手・俳優)ジェイ・チョウのブランド、PHANTACiが、オニールと組んで上海のオニールにPOP UP SHOPをつくって。その時のオープニングパーティーに、僕がゲストとして呼ばれたんです。あとは、台湾人と中国人。そこにゲストで「よろしくお願いします」と言っていました。
JJ(リン・ジュンジェ)とか、1997年からの流れで、だいたい向こうの芸能人とは仲良し。だから、その辺の部分も使って、今は向こうで動いていたりもします。
中川:最近は中国と日本をつなぐ活動としてはどんなことをしていますか?
米原:吉祥航空という、上海に本社がある、中国の民間最大の航空会社があって、そこの機内誌の編集長をやってます。それが、インバウンド用の日本の特集号、さっき言ったみたいに、日本の外の日本を好きな人たちにどんどん日本のいいものを紹介するという僕の思想に近いかたちで日本を紹介しています。
今、高い店は日本人が行けなくなったりしていて。高い、おいしいお店、いいお店を、日本を理解している人に行ってほしいというところもある。
中川:さっき本、ありましたよ。(実物『逛逛日本』が出てくる)
米原:これが2号目で、今3号目つくってる。今度は沖縄特集だったりする。
中川:これが機内に全部、お客さんのところに入っていて、なかにお店のページがいっぱい入ってる。お店のページとクーポンを合わせて、帰りに降りるときに配る。
さっき聞いた大丸百貨店では、実際そのクーポン持って買い物に来る人がすごく多かったりと話題になってて、ほぼみんな、中国人が日本に来るときはこれを持ってる。
米原:中国の国内線にもみんな入ってますよ。だからみんな、インバウンドインバウンドと言ってて水際作戦とか言ってるけど、だいたい海外旅行に行くとき、行くとこや買う物が決まっているじゃない。
中国の人たちは、それがもっと激しくて、自分の行くところと買い物は全部ノートに書いてあって、そこ以外はあんまり行かないような状況。
もし、インバウンドがほしいなら、中国国内のプロモーションを本来もっとしなきゃいけないんだけど、日本はなぜか、中国国内のプロモーションよりも、水際の方にインバウンドのお金を使うという状況だったりするから、僕としてはすごくもったいない使い方をしてるなというとこがあった。
今、中国に興味がある粟田くんというのが、ECのサイトをつくって、今は北京に500店舗くらいフリーペーパーを置ける場所をつくった。インバウンドやるなら中国国内でプロモーションが必要だというとこで、できる場所をつくって企業に乗ってもらうという話をずっとやってるところです。
中川:こういう本を作るときのポイントというか目線というか……。
米原:20歳以上の女子という、最も得意分野だけど、女の人たちが見て「このお店行きたい、これ買いたい」という部分だったりするから、基本的に日本で人気のあるものをするんですが、やはり人気があっても、中国人が好きなものと、日本でしかウケないものがあったりします。
原宿の例でいうと、外国から持ってきたレストランや洋服屋さんは、わざわざ日本に来てまで買う必要ないし、そこの料理を食べる必要ない。
だったら、じゃあ日本的なもの、もしくは海外のものを持ってきても、日本なりのアレンジがされているフランス料理屋さん、フランスでは食べたことないようなものだったり、要するに日本人ならではのもの、編集やアレンジがあるものを、取り上げていくようにしています。
中川:大丸百貨店も、吉祥航空で紹介した化粧品の、その色が売れるという話をしていました。実際に買いにくる購買力をそそるというのはすごいなと思った。
米原:今回1号目と2号目で、今デジタルの波に押されて半分以下に落ちてるんですが、向こうの「Ray」や「mina」にあたる、一時期250万部いってた雑誌のモデルさん使ってた。
彼女は中国の人たちが見たら「あっ」とわかるくらいの人で、彼女自身がブランドを持っていて、その年商が100億いくくらい。
中川:まじっすか、それ(笑)。
米原:アリババが5年前から11月11日に「独身の日」と言って、「買い物で憂さを晴らしましょう」とセールの日をつくってて、去年の11月11日に売り上げが、1日に1兆7,000億。
中川:すごいっすよね。
米原:彼女自体も1万5,000円のコートを5分間で8,000枚売り尽くすみたいな。その1枚だけじゃなくて、コートやセーターがあって1日中売ってるんで、1日の売り上げが、その100億の何分の1という。
中川:すごいっすね、それも(笑)。
米原:そこの部分も、日本で参加しているのはユニクロが衣料関係で1位。去年は157億かな、1日で。それくらいの売り上げ方をしているのに、ほかの企業はそこに参加していない状況で。
化粧品で参加しているところもあるけど、メジャーなところではなく個人でなさっているところとか。大きな売り上げがあるのに、誰もそこに参加しようとしない。情報で、「すごいね中国」と言っているだけ。
僕も、「Weiboで100万人います」と言っても、「すごいね」と言われるだけで、「中国って人数いるんだね」と言われて、そこから仕事に派生しないことが多かった。今は、そこの部分を大切にしていかなきゃなと思います。
中川:実際にそのECサイトで中国本土に行って販売するブランドの選定ではどういうイメージをつくられているんですか?
米原:基本的には、中国人が好きな分かりやすさがあるもの。
色も、「A BATHING APE」はI.Tという香港の企業が買い取ったじゃないですか。あれから、かなり中国向けの展開をしていて、今回黒人にプロデュースさせてるんだけど、黒と赤と金しか使ってない、どう考えても中国人の好きな色つくってバカ売れしてるらしい。日本には入ってきてないんだけど。
そういう、中国人の好きな色がある。1つ笑い話があって、緑の帽子を作って、友達に「これ、つくった帽子だよ」と渡したら、「それ要らないよ」と言った。「どうしたの」と言ったら、緑の帽子は「恋人とか奥さんを寝取られました」という意味があるらしい。
それを知ってれば、緑の帽子はつくんない。でも、日本人はそういうの知らずに、中国にいろんなこと仕掛けようとしているところもあったりする。日にちにしても、日本との戦争記念日とか、そういうのがすごく多い。いろんなものがあるのよ。
その日に「おめでとう」なんて言ったら、大変。(蒼井)そらちゃんは一度「いい天気だね」って言っただけで大炎上した。そういう部分はすごく慎重に、事実や歴史的なものは、媚びるとか媚びないとかじゃなくて、もし商売をしたいなら事実として知っておくべきだと思う。
中川:最近、近々で中国のイベントはありますか?
米原:今日から、こないだアリババが世界の技能者を何人か集めて、「今からモテるには1つの芸に秀でなきゃいけない」という番組をつくって。それが、配信されてるんだけど、そのなかで「女子にモテるならカメラを上手にやれ」というタイトルで、女の子を4人囲んで、イエーってやってきました(笑)。
あと、ドラムの達人とフランス料理の達人、マッサージの達人で、男の神と書いて「男神」。そのなかから、アンケートで投票させるんだけど、なぜかマッサージの達人は女装してる。タイの人でニューハーフなんだけど、それで男神なのかといって、おもしろかったりするんですけど。
中川:世界中の人が参加してるんですか?
米原:そう、世界中。フランス人とアフリカの人とロシアの人、インドネシアの人と、中国の人たち。先々週くらいに撮りに行って、今日から配信されるというやつでした。
中川:中国のテレビ番組が今バブルだと言ってて、番組(の制作費)が1本1億というのがあるらしい。
米原:今、中国の映画、テレビやメディアでいうと女優さんのギャラがどこよりも高くて、主演の女優さんで、映画が大体3億か4億。
中川:はぁー。
米原:テレビだと、1本で1,000万から2,000万なのよ。1本のギャラが1,000万から2,000万で、だいたい中国だと40話とか50話、多いときだと100話とかになるわけで、そうすると、掛けてみましょうという話ですよ。
中川:うわー……。
米原:2,000万で100話だったとしたら20億? そう20億という話なの。
中川:日本のバラエティーは、700万から800万ですよ(笑)。
米原:そうなの、だから中国は今、エンターテインメントに関しては世界で一番ギャラが高い。
中川:みんな言ってますよね、すごい。
米原:僕自身も、さっきみたいにDJだけで……。すごく怒られると思う(笑)。
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