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「AbemaTV」本開局記者会見(全2記事)

【全文】CA藤田晋氏「AbemaTVは、24時間編成・会員登録不要の神アプリ」

2016年4月11日、サイバーエージェントとテレビ朝日が手がけるインターネットTV「AbemaTV」の本開局記者会見が開催されました。サイバーエージェント代表取締役社長・藤田晋氏による挨拶と「AbemaTV」のプロダクト紹介を書き起こしました。

サイバーエージェント×テレビ朝日の「AbemaTV」が本開局

早河洋氏:本日はお忙しい中、AbemaTVの開局記念の集いにご参集いただきまして、誠にありがとうございます。AbemaTVの会長といたしまして、一言ご挨拶を申し上げます。

AbemaTVは、日本屈指のインターネット企業でありますサイバーエージェント、コンテンツ総合企業を目指しますテレビ朝日、この2社がタッグを組んでスタートさせる、世界的にも類のないインターネットテレビ局であります。

サービス、事業の詳細につきましては、後ほど藤田(晋)社長から説明していただきますので、私からは、サイバーエージェントとテレビ朝日がどうして提携することになったのか、両社にとってどういう狙いがあるのか簡単にお話ししたいと思います。

ミレニアム世代に向けた動画配信サービス

私が藤田社長と出会いましたのは、今から7年前です。その後藤田社長のご厚意で、Ameba事業や、深夜ドラマなどの展開を行いました。そして、人事交流も進めるなど、一歩一歩友好関係を築いてまいりました。3年前からは、当社の番組審議会の委員にもなっていただいております。

そんななかで、一昨年の10月、藤田社長から「テレビの退潮が見えている今、それを克服する新しい事業を共同でやりませんか?」というご趣旨の提案がありました。

藤田社長の構想は、最終的にはミレニアム世代にとって、スマートフォンがなくてはならない情報端末・映像端末となっているので、そこにいくつもチャンネルを編成し、無料で見てもらう、テレビ型の動画配信サービスというものでありました。

我々テレビのHUT、総世帯視聴率と言いますが、これが低下し、若い世代のテレビ離れを指摘される厳しい時代を生き抜くために、テレビ朝日は地上波・BS・CSに加え、インターネットを成長事業と位置づけていましたので、藤田社長の提案には即座に全面的に賛同させていただきました。

テレビ朝日にとって、若い世代の視聴者獲得にも、それに伴う広告ビジネスの拡大にも繋がるという思いがあったからであります。

株式会社AbemaTV・AbemaNewsの立ち上げ

そして、昨年4月には株式会社AbemaTVと株式会社AbemaNewsという2つの合弁会社を立ち上げ、今日まで約1年間、開局に向けた共同作業を進めてまいりました。

テレビ朝日はAbemaTVの入り口となる、24時間ニュースチャンネル「AbemaNews」の制作・運営ほか、オリジナルバラエティの企画・制作などに加え、コンテンツの編成や調達に全面的に協力しております。そのためにテレビ朝日内にプロジェクトチームを設けるとともに、現在およそ30名の出向者、専任担当者が寸暇を惜しんで開局の事務作業にあたっております。

業態も企業風土もまったく違うサイバーエージェントとの共同作業ですが、私は、すべての作業は総合プロデューサーである藤田社長の指示に従えと厳命しているわけで、私どもの仕事ぶりは直接見てはおりませんが、うれしいことに高く評価していただいてるようであります。

私たちが一番驚いたのは、藤田社長以下、サイバーエージェントの人たちの変化への機敏な対応と作業のスピード感です。

アプリの操作性、ユーザーインターフェースにとことんこだわりながら、前例のない動画サービスを1年足らずで完成させ、先月には先行配信もスタートさせました。変化の激しいインターネットの世界で生き抜くための実例を見る思いであります。

私はサイバーエージェントの成功体験を学びながら、AbemaTVを新しい時代のテレビ局としてさらに進化させていく決意を、今日のこの日に新たにしているところでございます。

本日は、このようにみなさまに、たいへん多くの方に集まっていただきました。今後ともよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

(会場拍手)

司会者:続きまして、株式会社AbemaTV・代表取締役社長を務めます、株式会社サイバーエージェント代表取締役社長、藤田晋よりご挨拶を申し上げます。

AbemaTVは「神アプリ」

藤田晋氏(以下、藤田):本日はお忙しい中お越しいただきまして、誠にありがとうございます。

AbemaTVは、今、早川会長からお話がありましたとおり、約1年準備をしてきました。今までやったことがないんですけれども、先行配信期間を1ヶ月ちょっと設けて、すでに一部配信してきたんですけれども、ついに本日開局を迎えました。私としてはそれなりに手応えを感じていますので、今日をとても楽しみにしてました。

インターネットアプリの世界では、本当に奇跡的なサービスのことを「神アプリ」と呼んでるんですけれども。これは自分から言ってしまうことではないんですけれども、AbemaTVはまさに「神アプリ」を作ったんじゃないかなと思っております。

2016年を「動画元年」と位置づける3つの理由

詳しい内容について、これからプレゼンテーションに移らせていただきたいと思います。「動画元年」という言葉は、我々インターネット業界では本当に毎年のように、「いよいよインターネットに動画が来る」と囁かれて、使われてきた言葉なんですけれども。我々としては、この2016年は「動画元年」と位置づけております。その理由は大きく3つあります。

1つは、自分自身が自然と動画を見るようになったと。この変化というのは、スマートフォンが普及したからにほかなりません。今までもインターネットの技術のなかで動画は見られたんですけれども、パソコン、ガラケーといったものがゆっくり動画を見るのに適したデバイスじゃなかった。それが、やっぱりスマホになって大きく変わったと。

2 つ目に、スマートフォンが普及したあとに、ターゲットユーザーの視聴習慣となっている、TwitterやFacebook、Instagramといったようなサービスがインフィード再生の動画というのを始めたんですけれども。これは、タイムラインを見てるときに、自然に動画をそこに織り交ぜながらやってると。これを自然に見るようになったというのが2つ目。

3つ目に、Netflixなどの世界的に成功しているサービスが日本への進出を始めたことで、コンテンツホルダーなど、権利者のみなさまの理解が一気に進んだと。

このような環境の変化をもとに、我々は「動画元年」と位置づけて、ここが本格化されるときだと。これまでもずっとタイミングを見計らって、大怪我しない程度にやってきたんですけれども、大きな勝負に出たというようなかたちになっております。

AbemaTVのビジネスモデル

先ほど早河会長からもお話しいただきましたけれども、実はこのサービスを作る最初のタイミングでは、私がテレビ朝日の番組審議委員を務めさせていただいてることもあって、どちらかというと、テレビ局側の立場に立ってこのサービスを考えました。

テレビが、だんだん若年層がテレビ離れしているという状況で、かつNetflixのようなサービスが入ってくると、そういったサービスにも時間を奪われると。

そういうなかで、インターネット、スマートフォン、そういったものへの対応がもう急務だというなかで、やっぱりテレビ局側の立場に立ってみると、私から見ると、企業文化の中でなかなかインターネットがうまくできそうには見えなかった。

あともう取り得る選択肢としては、有力な企業の買収ということになるんですが、そういった会社もあまり見当たらない。というなかで、「我々がそういったものを作りましょうか」とご提案して、このようなかたちのタッグを組んでいただいたという経緯になります。

今まで準備してきたなかで、この2社のパートナーシップというのは、お互いの必要なものを補い合う非常に素晴らしい取り組みができていると感じております。

最初はこの事業を準備するなかで、NetflixやHuluのようなオンデマンドのサービスというのも一応検討していたんです。ただ、我々自身がAWAというサブスクリプション型(定額制)の音楽配信サービスを始めたことで、非常にそこで大きな気付きがあったんですけれども。

インターネットと言えども、自分で好きな音楽とか好きな動画を探して0秒から再生するのは面倒くさい。やっぱり受け身のサービスのほうは楽だし、新たな出会い、コンテンツや音楽とか動画との出会いがあっておもしろいということに気がつきました。

もう1つ、我々はインターネット広告会社でもあるんですけれども。インターネット広告をやっていくなかで、能動的に自分が好きなものを見ようとしたり、なにかを探しているときに、それと関係ない広告はなかなか効果が上がらないんですけれども、受け身で見る広告というのはやはり圧倒的に効果が高いと。

ということで、世界的にも同じようなビジネスモデルはなかったんですけれども、AbemaTVのビジネスモデルを始めることになりました。

無料、24時間編成、会員登録不要

AbemaTVのポイントは、1つは無料であること。あと24時間編成で、いつ見てもたくさんのコンテンツが放送されていると。あとプロダクトのクオリティ。これに徹底的にこだわりました。あと、コンテンツのラインナップも地上波のテレビではないようなものにこだわっています。

まず無料。これはこのビジネスモデル、とくに広告で収益を得るモデルですので、無料というのは当たり前なんですけれど。やっぱりインターネット事業をずっとやってきた身としては、インターネットユーザーは本当に無料ということに慣れ親しんでしまっていて、なんとか無料で見たいというような、逆に無料のものに人が集まると。そういったもので、なんとか無料モデルで成功させようということで、無料にしました。

また、使い勝手にもすごくこだわりました。無料と言えども、自分のプロフィールとか、個人情報を収集したり、回答が必要なものというのは、非常に障壁が高くなるんですけれども。

AbemaTVはPCである場合、URLを開くだけですぐ放送が始まり、スマートフォンであればアプリをダウンロードしてそれを立ち上げるだけでもうなんの会員登録も必要なく使えます。

リビングに座っていると、テレビのリモコンを取るより早く、手元にあるスマートフォンを出すというだけで放送が始まるというかたちになっております。

広告モデル、これはテレビCMと同じように、CMを番組と番組の間に入れるかたちを採用したんですけれども。

テスト配信期間にたくさんのCMを流させてもらったんですが、今のところCMの完全視聴率は非常に高い結果が出てます。テレビより飛ばされるんじゃないかというような懸念はあったんですけど、それはなさそうだという感触を得ています。

24時間編成。これは手元にスマートフォンをいつでも持っていますので、ご飯を食べてるときも、移動中も、寝る直前までスマートフォンを手元から離さないという人が増えてますけれども、どこでも見られるように24時間番組を流すようにしています。

動画は基本的に通信容量をけっこう食うので、そういう意味ではWifi環境を推奨しています。決して「いつなんどきもAbemaTVを見ていてください」というような作り方をしているわけではありません。

ゆっくり動画が見られる環境に行ったときにつけて見てくださいと。これは、テレビを24時間つけているわけではないのと一緒で、見られる環境で見てください、というようなかたちで提供しています。

徹底的にこだわったプロダクトクオリティ

プロダクトクオリティ。これは1年準備したと申し上げましたけれども。これのほとんど3/4以上は徹底的にプロダクトクオリティにこだわっています。

サイバーエージェントが持てる技術のすべてを集結して作ったと言っても過言ではない体制で取り組んでまいりました。

操作性でいうと、一度開いた人が快適である、気持ちがいい、もう1回開こうと。結局インターネットのサービスというのは、一番システムがよくできている、サーバーレスポンスが早いものが選ばれると思っているので、そこには徹底的にこだわって、技術力・デザイン力を駆使したものを作り上げたと自負しております。

コメント機能。実はこれは一部、先行配信期間のときは、コメントをTwitterに投稿したものに限るようにしようと実験的に入れていたんですけれども。

テスト配信期間中に、清原さんの釈放をずっと追いかけてる放送をやっていたときに、待っている時間から、ヘリを追いかけている時間まで、やっぱりコメントがないときついなということに気がつきまして。慌てて今日に間に合うようにコメント機能を追加実装いたしました。

番組表にその1日の番組が出ていますので、見たい番組にチェックをしておけば、スマートフォンでプッシュ通知を受け取れるという機能がございます。

オンデマンド視聴。これはタイムシフトにあたるものなんですが、これは有料で機能を提供しております。

月額960円払えば、過去の番組を見放題というかたちをとっています。基本的には広告モデルでたくさんの人に無料で見ていきたいんですけれども、意外と使いこなしてくると、オンデマンド視聴のビジネスモデルとしても期待できそうだなと考えています。

iPodの実装だけは少し間に合ってませんが、数日後にすぐ対応されると思います。それ以外は現時点でも視聴できます。

ユーザーの視聴習慣を変える番組ラインアップ

続いてコンテンツのランナップです。まず、AbemaTVを開いたら、1チャンネル目はニュースを流しておりまして。AbemaTVの狙いは、視聴習慣として、「今なにやってるんだろう? なにかおもしろいのやってないかな?」という惰性で開いてもらうことを目的としています。

惰性で開くインターネットサービスで代表的なものはニュースなんです。「ニュースはどうなっているか」と。それを1チャンネル目に持ってきまして。しかも24時間体制で、1チャンネル目と2チャンネル目は生放送です。

(C)AbemaTV

これはAbemaNewsとAbema SPECIAL。これはどうして24時間チャンネルをやるなかで、1チャンネル目と2チャンネル目が生放送になっているかというと、ユーザーにオンデマンドではない視聴習慣に慣れてもらうために、生放送にしました。

AbemaTVのメイン視聴者層は、いまテレビをあまり観なくなった世代です。10代・20代といったところがコア層だと考えております。

『原宿アベニュー』という番組が、毎週月曜〜金曜まで、夜18時からなんですが、若者の視点に立ったニュースをつくります。テレビはだんだん年齢層が上がっているのですが、AbemaTVは違って、若年層向けです。

AbemaPrimeが毎週月曜〜金曜、夜20時からありますけど、これはどちらかというとインターネットユーザーの目線に立ったニュースであると。

『みのもんたの夜バズ』に関しても、みのもんたさんが若者を応援する立場でつくっているという特徴があります。

AbemaSPECIALは、今日からたくさんの帯番組が始まって、フルラインアップ編成がスタートいたします。

いくつかの番組をご紹介させていただきますと、毎週月曜〜金曜、深夜1時から『THE NIGHT』という、今日は来ていらっしゃらないですけども、スピードワゴンの2人に出ていただきます。

僕も親が寝たあとに、『オールナイトニッポン』を聴いていたように、『THE NIGHT』を若者たちに観てほしいと思います。

若槻千夏さんのレギュラー番組も始まりますが、スタジオだと同じ画になって飽きやすいので、外でのロケが中心になっています。

あとは我々が製作している番組ではなくて、コンテンツホルダーの方々から調達している番組もいくつか紹介したいと思います。

REALTY SHOW、これはけっこう体格のいい男女が一緒に暮らすというような番組ですけれども、大変おもしろいので私も期待しております。

(C)AbemaTV

あとスポーツは、やっぱり若年層をターゲットにしているので、スノーボードとかサーフィンとかスケートボードといったスポーツが多くあります。VICEといったような、骨太な番組も用意しております。

(C)AbemaTV

チャンネル数24をそろえて今日スタートしましたけれども、このビジネスモデルをゼロから考えるにあたって想定していたのが、海外にいったときにやることがなくてつけるような、ホテルのケーブルテレビをイメージしてつくりました。

そのようなかたちでつくりまして、今日みなさんもぜひアプリをダウンロードしていただきたいんですが、20チャンネル以上ある、けっこう迫力のあるサービスになっています。

AbemaTVは無料の動画サービスですけれども、基本的にはマスメディアを目指しておりまして、多くの人が視聴習慣として、TwitterやFacebookを開くように、AbemaTVを開いて、1日1000万人くらいの人が見れば、可能性が出るというか、1つのメディアを目指せると思っておりますので、みなさま応援どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(会場拍手)

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