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小西利行氏×倉本美津留氏トークイベント「超、すごい、国語と、メモの、話。」(全4記事)

灰皿のくぼみの正式名称は? クリエイターの言葉遊びに会場爆笑

『仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。』の発刊を記念し、著者の小西利行氏と、昨年末に『倉本美津留の超国語辞典』を刊行した倉本美津留氏によるトークイベントが開催されました。今回は、参加者を交えたワークショップの様子を紹介します。

トム・クルーズを漢字にすると

小西利行氏(以下、小西):テストいきますか。

倉本美津留氏(以下、倉本):テストしながら、しゃべりましょうか。きっかけになるんで、いろいろ。

小西:じゃあ、最初にがーっと倉本さんのテストをやりましょう。

倉本:僕のテスト、いってみましょうか。第1問は、有名な外国人の名前を漢字に変換してあげて、漢字の名前をあげようという遊びです。たとえばトム・クルーズ。トム・クルーズは、どんな字やと思う? 音読みで読んでトム・クルーズと読めるというのと同時に、その人となりをも表してほしいんよね。

(会場から「わあ」と声が上がる)

小西:そうなんですね。

倉本:この人だったらこんな字という。

小西:「わあ」って言ってましたけどね。びっくりしましたけどね。

倉本:トムでも、いろんなトムがいるじゃないですか。クルーズもいるし、ハンクスもいるしね。クルーズのトムとハンクスのトムは、たぶん違うような気がするんですよ。違う字なんですよね。だからトム・クルーズの場合はなんなのかということですよね。

小西:あの人をイメージしながら、今までやってきたこととかが反映されるっていうね。

倉本:なにか書けた人、いますか?

小西:これ、あたらへんと思ったら大間違いですよ(笑)。

(会場笑)

倉本:書いてるのに手を挙げへんよね。

(会場挙手)

あ、どうぞ。

小西:すごい。

倉本:立ってください。どんな漢字?

参加者1:トムは、飛ぶ。それで、狂う。

倉本:「飛ぶ」と「狂う」や。クルクルパーってことね。

参加者1:で、「頭」。それでトム・クルーズと読みます。

小西:「飛・狂頭」(笑)。

倉本:飛竜頭(注:がんもどきの別名)みたいやね(笑)。

倉本:飛ぶは、どっからのイメージ?

参加者1:『トップガン』のイメージで……。

倉本:ああ、『トップガン』ね。いいじゃないですか。それでいいです、そういうことですよ。僕のイメージでは、これのトムを「富む」方に、「富豪」の「富」にして、儲かりすぎて頭おかしくなったという(笑)。

サポートを漢字にすると

クルーズを「狂う頭」にするというのは、センスありますよね。仕事は何してるんですか?

参加者1:サポート業務をしてます。

倉本:ざっくりしてるな(笑)。

小西:サポート業務といっても、いろいろサポートありますよ(笑)。

倉本:サポートというのを漢字に置き換えてみましょうよ。サポートといってもいろいろありますけど、どんな漢字ですかね?

小西:サポート。

倉本:サポートを漢字で置き換えた場合の文字。おもしろくなるんじゃないかな。小西さん、どう?

小西:え? サポート……。

倉本:サポートの意味を兼ね備えた文字。

小西:左……。

倉本:おっ、左いいじゃないですか。

小西:左で……歩く人。これどうですか?

倉本:いいじゃないですか! うまい!

(会場拍手)

小西:たぶん今日、これで終わりです(笑)。

(会場笑)

倉本:大喜利できるやん。コピーライトもできるけど大喜利もできるやんか。ちゃんと、左側を歩きながら支えてるってね。うまいよ。ナイス! このスピードでこれが出てくるという。

小西:ほめられた!

倉本:さすがやね。まあ、そんなことですよ。そういうノリでどんどん展開していきたいね。こういうことを遊びましょうと。この本にはいろんな人が書かれてます。ゴッホとかピカソとかありますからね。クエンティン・タランティーノとかね。クエンティン・タランティーノなんか、「九円」から始まるからね。

小西:え?

倉本:「クエン」から「九円」。

小西:九円?

倉本:そうそう、「九円」。それで、「ティン」は「賃金」の「賃」。(「タランティーノ」の「タラン」は)「多い」に閲覧の「覧」。ティーノが「低脳」です、「低脳」。

(会場笑)

倉本:これで、クエンティン・タランティーノですよね。

(会場笑)

なんとなく雰囲気出てるでしょう? タランティーノというのはビデオショップの店長やってて、(ビデオを)見すぎて低能になってるんです。言うたら、自嘲を込めてB級なんで「俺の映画なんて九円ぐらいの価値しかないで」とか言いながらやってるという謙遜が名前に。「九円賃・多覧低能(クエンティン・タランティーノ)」ですよね。

小西:マジか。

「素敵」をよりふさわしい字に

倉本:じゃあ、続きまして。よく考えたら違和感のある、次の言葉を変えてあげてください。「素敵」という漢字。

「素敵」というと、ワンダフルとかプリティっていうことなのに、そこにエネミーという意味の「敵」が入ってるでしょ? おかしいじゃないですか。もっとふさわしい字に変えたほうがいいんじゃないですかという。さあ、どんな字でしょうか。これは簡単でしょう、「ステキ」と読める漢字の組み合わせですね。

小西:どうしましょう?

倉本:遠慮せずに。

(会場沈黙)

いいですね。この感じ。

(会場挙手)

はい、書けた人?

(参加者を指して)書けた?

参加者2:違うかも。

倉本:いいから、いいから。どんな字?

参加者2:「素」の漢字はそのままなんですけど、「敵」は「的」ですね。

倉本:あー、「素」はそのままで? 

参加者2:素直に的を射ているというか。

倉本:そうか、「素直」の「素」ね。こっちのほうがいいと思うわ。的を射るというもんな。

参加者2:いいですよね。

倉本:こっちのほうがいいよね、「敵」が入ってるより。俺の答えは、「寿司」の「寿」なんですよね。それで、「的」「寿的」なんですよ。おめでたいことだっていうね。「寿的(コトブキテキ)!」ということで。

小西:(自分の書いた「酢的」を見せて)これは、ぜんぜんだめですよね(笑)?

倉本:そうね。それは、好き嫌いがあるんじゃないですか(笑)。

(会場笑)

酢をいっぱい入れるのが好きな人は、「俺の“ステキ”はこっちやねん」とね。

小西:あ、でも、「汽笛」の「テキ」とか。違うか?

倉本:いいね!

小西:違うな?

倉本:いいよいいよ! 酸っぱい笛やもん。

(会場笑)

笛を吹いたら口が酸っぱくなるっていう。いいよね。「素敵」の「テキ」を「笛」に持ってくるのは、すごくいいと思いますよ。

小西:でも、「酸っぱい笛」とはどういう状態なんでしょうね(笑)。

倉本:「素敵」の「テキ」を普通に「笛」に変えるだけでいいじゃないですか。

小西:あー!

倉本:すばらしい音がなる笛といって、すてきなことがあったらこの笛を鳴らしましょうみたいな。

小西:ああ、いいですね。(笛を吹く真似をしながら)ポーみたいな。

「覚醒剤」も字を変えるべき

倉本:いい感じですよ。こんな字、見たことないですけど、テンション上がりません?

小西:テンション上がりますね。音はいいですよね。

倉本:そうそう、テンション上がるようにしていくことですよ。

小西:(会場を見渡して)みんな、これ俺も考えとったとか絶対あると思いますよ(笑)。

倉本:「素敵」という言葉は例で、世の中にはよく考えたら違和感のある言葉というのが、いっぱいあります。「これ、おかしいやろ」という。たとえば「覚醒剤」。

小西:覚醒剤?

倉本:これね、今いろいろ問題になってるわけじゃないですか、タイムリーな話ですよ。なんで覚醒剤がなくならないかというと、こういう漢字を使ってるからですよ。

小西:「覚醒」。

倉本:覚醒できるんですよ、 薬で。覚醒はめちゃくちゃいいことでしょう? なんかすごくグーッと悩んでることが、こうパーッと開いていって、「やった!」みたいな。こういう名前やったら、みんなが「やった!」と思える薬だと思うから手を出してしまうんですよ。だから覚醒剤の「覚醒」は、この字をあてたらあかんのですよ。

僕はこれを「隔離」の「隔」と「世の中」の「世」にして、それで「隔世剤」。 世の中から隔離されてしまうんだよという字に変える。そうした方が、手を出す人が減るぞという。言葉って大事。

小西:そうですね。

倉本:いつまでたっても覚醒剤がなくならないのは、こういう字を使ってるから。そしてこういう字を使わせているからという……。ダークサイドな……。

小西:ダークサイドですね。売りたい人がいるという。

倉本:売りたい人がいるというね。だから、字を変えたほうがいいなというようなことを、いろいろ書いたんですけど。

小西:次、いきましょうか。

イメージが湧くかどうかが基準

倉本:次は、言葉遊びですね。「“五階”で“碁会”という“誤解”」。「ゴカイ」という音を、短い文章の中に何回も入れたと。それで、なにか作ってみたらどうかなと思ったんですよ。

「猿人がエンジンを円陣で囲む」みたいなのもあります。わかります? 僕が言っている意味。「エンジン」の回りを「猿人」が「円陣」で囲んでいる状態。なんか楽しいでしょ。

そういうルールを作ることによって、新しい、見たことない風景が生まれる。その見たことない風景が生まれるということはもはやクリエイティブになってるんですよ。そのイメージから物語が始まったりするんで。

「“猿人”が“エンジン”を“円陣”で囲む」という言葉は、なんとなく『2001年宇宙の旅』みたいな(笑)。

小西:3つぐらい入れたいですね。

倉本:3つぐらい入れたいですよね。4つ5つ入れたらすごいですよ。誰か、誰でもいいですよ。これは楽しいですよ。

(会場挙手)

はい、言ってください。立ってください。まず、言葉で言ってください。

参加者3:「トウキ」を「トウキ」的に売る会社を「トウキ」する。短いスパンで利ざやを稼ぐみたいな。

倉本:なるほど、いいじゃないですか。「“陶器”を“投機”的に売る」か……。「“投機”的に」という言葉が、ちょっとどうかな。「“陶器”を“投棄”して」みたいな感じかな。「“陶器”を“投棄”する会社を“登記”する」ぐらいでもええんちゃう?

参加者3:そうですね。

倉本:「陶器」、壷みたいなのを投げてバンバン割っていく会社。ただただ割っていく、それが仕事やという会社(笑)。

(会場笑)

それで金儲けするみたいな。そっち側で思ったら、楽しいじゃないですか。「そんなことで仕事が成立するか?」ってなるから。作ったあとに、イメージやファンタジーだったりが湧いてきたりするっていうことが、1個の基準になるというか。そっちにできるだけ寄せていって、できるだけシンプルにしていく。

脳みその違う部分が光ってる感じ

小西:できました。僕は、ヴィヴァルディの「四季」を。

倉本:いいですね、「四季」。チャーチャーチャーチャチャチャー(「四季」のメロディを口ずさみながら)「四季」を「指揮」してるうちに?

小西:「四季」を「指揮」してるうちに「死期」。

倉本:いいですね。ずっと指揮をし続けてね。そういうのですよ。楽しいでしょう?

小西:おもしろいですね。頭の脳みその違う部分が光ってる感じしますね。それ重要です。

倉本:誰かいますか?

小西:同音異義語が見つかればね。

倉本:遠慮がちですね、みなさん。

小西:なんでもいいですよね。

倉本:なんでもいいですよ。「“合羽”を着た“河童”を“喝破”する」みたいな。

(会場笑)

小西:「喝破」する(笑)。

(会場挙手)

倉本:どうぞ。音だけで言ってください。立ってください。

参加者4:「黄緑」の茶わんに「黄身」を入れる「君」。

小西:「黄緑」の?

観客4:茶わんに……。

倉本:「黄緑」の茶わんに「黄身」を入れる「君」ね。

小西:「黄緑」(笑)?

参加者4:「黄緑」。

(会場笑)

無理があるほうが笑いが生まれる

倉本:「黄緑」でいいですよね、見つけたんやもんね。「黄緑」をカタカナにしてみましょうか。そういう時に「茶」わんというのが、まどろっこしいけどね。もっとスッとならへんかな。

小西:「キミドリ」か、いいですね。

倉本:そうですね、「キミドリ」の「君」でいいんじゃないですか。「君」は「あなた」ね。「キミドリ」の「君」に……「黄身」を入れるでいいんじゃないですか。

(会場笑)

ええやろ? 想像してみ。まず、「キミドリ」の「君」がいるわけやろ。

(会場笑)

小西:(立ち上がって)「キミドリ」の「君」がいるわけですよ。

倉本:「キミドリ」色の「君」が「黄身」を入れなきゃあかん状態なの、なんか起こってるじゃないですかここで。

(会場笑)

小西:なんか持ってるんですかね。

倉本:いや、口から入れるんですよ。その「キミドリ」色を治すために。

小西:ああ、ちょっと伊丹さんの映画みたいですね。

倉本:そういうふうに、ちょっと無理があるほうが笑いが生まれるんですよ。

(会場挙手)

はい、手が挙がりましたね。

参加者5:21「世紀」の「性器」が「接近」。

小西:どういうことや(笑)。

(会場笑)

倉本:(最後の)「セイキ」は何?。

参加者5:「接近」。

倉本:「接近」? 「セイキ」で揃えてよ(笑)。「接近」になってるやん。

参加者5:「21“世紀”の“性器”」まで思い浮かんだんですけど、その次がまだ……。

倉本:いいですよ、果敢に挑戦してもらってね。

小西:(笑)。

ずっと(考えていて)、「意思」と「石」と……。

倉本:鉱物ね。

小西:うん。「医師」。

倉本:そうですね、それは医者ね。

小西:音の流れは、いいですよね?

倉本:いいですね。

小西:いくらでも考えようと思ったら、考えられますよね。

倉本:そうそう、そういうのをできるだけ集めて、できるだけ不純物がないなかでおもしろい言葉に展開していくというのがいいんですよね。

「あれが達人の人達です」

第4問は。漢字、熟語にはひっくり返しても、意味のある熟語になるというのがいっぱいあります。たとえば「気色」と「色気」。「日本」と「本日」「目白」と「白目」とかね。そういうのが2つ入ってるのを、短い文章のなかに入れなさいというのが、次の問題ですね。

(会場笑)

そうしていくと、おもしろいことになるんですよ。それを見つけて、それを短い文章にするとおもしろいことになるんです。

小西:いいですね。

倉本:そういう遊びですよね。なにか思いつきますか? たとえば「“目尻”を“尻目”にする」とかね(笑)。「どういうことやねん」という話ですよね。

(会場笑)

小西:どういうことかわからない(笑)。

倉本:どういうことかわからないけど、なんとなくおもしろい。初めて聞くなという言葉になったらいいですよね。「“家出”すべきか、“出家”すべきか」とかね。

(会場笑)

倉本:「あれが“達人”の“人達”です」。

(会場笑)

小西:これいいですね(笑)。

倉本:「“手相”を見て“相手”するかどうか決めよう」みたいなね。おもしろいでしょう。

小西:「達人」の「人達」、おかしいですよね、状況が(笑)。アップルストアのジーニアスバーみたいなね。

灰皿のくぼみの正式名称は?

倉本:次は、物の名前の問題。実はどんなものにもどんなところにも名前がついていて、「ええ!? それにも名前があったのか!」というおもしろさです。タバコの灰皿のへこんだところ、あるでしょ?

小西:これ、すごいおもしろい。

倉本:へこんだところに名前がある、ちゃんと。正式名称があるんですよ。このへこみに対して。考えてみたことないでしょ?

小西:この正式名称、わかる人いますか?

倉本:わかる人います? 正式名称なんです、これ。(参加者の1人を指して)なんだと思います? これ、このくぼみ。

参加者6:くぼみしか思いつかないです。

倉本:くぼみしか思いつきませんよね。くぼみといったら、いろいろなくぼみあるもんね。でも灰皿のくぼみだから、そのことを限定しないとあかんわけです。世の中にくぼみはいっぱいあるけども。

この言葉を聞くと、もうこのことしか思い付かないという名前が必要なんです。固有名詞とはそういうことですから。

参加者7:もしもの話だけど、タバスコを知らない人がいたら、タバスコはなんか……。なんか(タバコを)スッと(置く)。

倉本:(このくぼみは)タバスコや。タバコをスッと置くからタバスコ! おもしろがり方がいいね、おもしろがろうとしてるね。

(会場笑)

小西:これ、すごい。「ス」を入れただけですもんね(笑)。

倉本:でも、そういう名前にするとまた混乱が起きるからな。教えてあげましょう。これはすごくいい、わかりやすい名がついています。ここのくぼみは「タバコ休め」。箸休めみたいなことですね、タバコ休めてるから。これから灰皿を見て、このくぼみを見た時に「タバコ休めやな」と思ってください。

男子便所の立ちションするところの便器の下に、板状になってる部分あるでしょう? タイルみたいなのが必ず。あれにも、ちゃんと名前があります。ただの石の板ではないんですね。ちゃんとした名前、固有名詞があるんです。

小西:それ、誰がつけるんですかね?

倉本:トイレ業界の偉い人でしょう(笑)。なんでも名前がないと、「おい、アレ準備せえよ。アレ何枚!」とか。「男子トイレの便器の下に敷くやつ何枚!」とか、長くなるじゃないですか。もっと短く言いたいよね。これが、またしょうもない名前なんですよ。

(会場笑)

というか、嫌な名前なんです、これ。漢字3文字です。

小西:漢字3文字ですか。

倉本:漢字3文字の名前なんです。ヒント、1番下は「石」です。石でできてるから。「なんとか石」という名前です。「なんとか石」という名前だと、なんとなく情緒があるような名前だと思うじゃないですか。

参加者8:小便石。

倉本:そうそう、そんな感じ。いいね。でも、小便石よりもっと嫌な名前で。漢字3文字だからね。

小西:これもう、なんのために存在しているかがわからないですね。

倉本:正解は「汚垂石(おだれいし)」。嫌やろ(笑)。もう本当に、汚いものが垂れてくるという前提の石なんです、これは。

小西:尿が?

倉本:そうです。汚垂石というのが正式名称なんですね。知ってどうすんねんという話だけど、そういうところにも名前つける人がいるわけですよ。

どんなものにも名前が付いている

小西:倉本さんは、逆になんでこれの名前を知ろうとしたんですか?

倉本:どんなものにも名前があるだろうというのを調べるのが、おもしろかったから。昔、番組でコーナーにしたことがあるんですよ。「名前を呼んで!」っていうコーナーだったんですけども。

このタバコ休めも出てきたんですけど、そのタバコ休めの灰皿の役を僕がやって、声だけで出て。「みんな、俺の名前呼んでくれ」と言って、みんなが間違った名前言ったら「違うわ、もっといい名前やわ」とか、やり取りして。最終的に「タバコ休め」と呼ばれたら「はーい」と返事するだけのコーナーやってんけど。それをやってたんですよ。

小西:見てた(笑)。

倉本:見てたでしょ? そのコーナーのためにいっぱい調べたんです。

小西:これを調べようと思う気持ちがすごいですよね(笑)。

倉本:アホですからね。

小西:世界中にいろんなものが存在している中で、「あれ、なんやろ」となって。名前は絶対についてるんですね。

倉本:やっぱり、専門用語としてはあったりするんですよね。

小西:これもなんか、脳みその違う部分が活性化されるタイプのものですね。

倉本:そうなんです。

小西:(会場の後方を指さして)あそこの石を防護してる横の線とかにも……。

倉本:(名前は)あるんですよ。

小西:あるんですね。

倉本:そうそう。だから、職人さんは普通に言うてるんですよ。

小西:「銀色のアレ」じゃなくて。

倉本:「銀色の“ねこまげ”取ってくれ」みたいなこと言うてるんですよ。知りませんよ。知らないですけど(笑)、そんなこと言うてるんやない? 「ねこまげー?」みたいな。

小西:「ねこまげ」って何?

倉本:「何?」となるじゃないですか、そんなの。すごく興味あるじゃないですか。

小西:テレビの撮影とかのやつでも、ようわからんもんがいっぱいあるじゃないですか。箱馬とか。

倉本:箱馬とかね。

小西:そういうの、たぶんぜんぶやったらすごいおもろい。illyさん(注:会場のカフェの名前)のやつも、あれの名前は何とかあるんでしょうね。

倉本:あるんでしょうね。業者の人は、知ってますよ、正式な名前を。

小西:(会場の一角を指して)あのタオルのやつも、ペーパータオル入れなんですかね?

倉本:あれも、(名前が)絶対あるでしょ、なんか。

小西:ウォシュレットとかも名前ですもんね。

倉本:そうなんですよ。だから、なんでも名前があるんですよね。なかったらつけてまえという話ですよね。そんなのもおもしろいですよ。

小西:街中歩いてても、探せばいいんですよね。

倉本:そうなんですよ。「これ、なんて名前だろう」とね。わからないことだらけですから、世の中。そんなこといっぱいあるんで、この本にいろいろ入れました。で、ここに入っている以外のことも、みんなで思いついてほしいんですよ。脳の活性化になりますから。

小西:すごいなりますね。名前のやつがやばいですね。これ考えていけばいくほど、いくらでも出てきますよね。

倉本:いくらでもあるでしょ。楽しいですよ、これ。

小西:おもしろいです。

仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。

倉本美津留の超国語辞典

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