2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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二村ヒトシ氏(以下、二村) まだ第6章に入ってない? 今5章ですか?
河本ここの氏(以下、ここの) 入りかけですね。6章は去年の3月の劇的なできごとなので、それまでは戻りながらも過去のあれこれに囚われてググッと落ちるという感じです。でも、随分変わってきたっていうのは本当にあったので、脱してきているよねって。
二村 大きなできごとがあったから、晃さんが変わったことが受け入れられた? それまでは人間としてよかったねって、他人になれたから、一緒に生きてきてよかったねって。当事者意識を持たずに思ってたわけでしょう?
その時、晃さん寂しかったですか? 自分で洗濯も畳めるようになったけど、それに対して……。
河本晃氏(以下、晃) 距離は、相変わらずありました。でも、さっきの話の続きで言ったら「家族って何?」っていうことを考えた時に、なかなかその答えがなくて。
実は、今日も来ていただいているんですけど。「チャイルド・ファミリーコンサルタント」、家族を考える専門家がいるんです。家族、子育てのことを学問として研究しているNPOの代表の方とご縁があって、それを学びたいと本当に心の底から思って、学び出したんですね。
それが今から2年くらい前なんですけど。家事を主体的にやってますっていう次元から、家族のありようを体系立てて自分のなかで整理しながら、自分の来しかたを理解して、子供に対して、ここのに対して、声かけとか考え方を自分のなかで少しづつ変えていった。
二村 それやってる時ってさ、自分を子供として育て直してる感じですか?
晃 まさにそうです。自分の家族や子育てについて考えながら、自分も結局親からどういう影響を受けているんだろうか、その時の自分を堪能するみたいな感じですね。
改めて、その時の気持ちを味わった時に、自分の嫌いな母親も高度成長期のなかで、母親の親や兄弟からいろんな影響を受けて、あの時代を生きてきた人なんだなというふうにフラットに見れるようになって。
二村 胸に開いている心の穴が、ね。
晃 そう! 生理的に“おかん嫌い”みたいになってること自体が、それはそれで「あまりにも俺が決めつけてたんだよなー」と思うと、おかんを生理的に嫌だという気持ちはだいぶ薄れた。
昔は実家に帰ると、おかんがあーだこーだといろいろやってきて、「もう、うっとうしいわ」みたいな感じやったんです。いい大人になっても。
でも、勉強し始めてからは、ちょっと大人同士というか、人と人、みたいな空気を出せるようになり、私の妹弟とも話ができるようになり。自分の家族とは関係が遠かったんですけど、だいぶ自然なかたちになってきた。
自分のなかで位置づけや関係性が見えてきたというのが、すごい大きくて。そうこうしてるうちに、彼女(ここの氏)もいよいよ「この人、違う感じになってきたかも」っていうのが、この2年くらい。彼女の出来事の手前だったんです。(自分が)変わってくるなかで、彼女にも転機が訪れてみたいな感じだったのかな。
二村 異論があるのを承知で持論を展開しますけど。親って、だいたいにおいて愚かだし。親こそ他人っていうか、人間ですよね。神様ではない。
親を、すごい強い存在だと思うから、憎んだりウザくなったりするんだけど。本当は親って相当不具合が多いというか、欠陥が多いもので。
その責任は、親その人にはなくて。自分が愚かであるのと同じくらい親も、親の親とか、その当時の親が育った社会のせいで、相当欠陥品であるということに、どっかで気付きますよね。親は完全であるはずなのに「この親はなんで俺を苦しめるんだ」って思うと、人間じゃないもののように思えてきて憎む。
それは、僕も自分の親との関係で体験しました。今日は僕の話をする日じゃないんですけど。僕の母親も非常にエネルギーが強い女性で、それが老衰でぼけてきてエネルギーがなくなってきた時に「この人、人間なんだ。自分と同じ欠陥品なんだ」って思えてきたことがあった。
自分とおかんとの関係を、奥さんにまた投影するんだよね(笑)。
ここのさんはここのさんでやってたわけですよね? 自分はお母さんのようにはならないで、「いい妻」「いい母」にならなきゃいけないのに、なんでうちの夫は……。ダメな夫を選んでしまった、私。でも世間から見たら優秀な夫だから、人にはわかってもらえない、みたいな被害者意識。
ここの そうですね。さっきも言った通り私自身も母との関係があって、母に対して詰めて泣かせて、お母さんはかわいそうな人生を歩んできた人っていう方程式ができ上がっていたわけですが。
二村 「お父さんに苦しめられた、お母さん」という物語。
ここの そうそう。父が完全に悪者だし、そういう母はかわいそうなイメージがあったんです。その結果、あんなに苦労した母より幸せになっちゃ申し訳ないっていう気持ちをどっかで持ってたんですよね。これに気がついたのが、実は去年の3月くらいなんですけど。とあるきっかけがあって、それに気付いたんです。
二村 それが第6章の始まり?
ここの そうです。なんとなく徐々に、仕事の上司の関係とかで「なにか、私がおかしいんじゃないかな?」って思うのがあって、変わってくるっていう段階があり……。
私、周りの人から自分のやりたいことをやって、好きに自由に生きているような人生に結構見られがちなんですけど。実際そうなんですけど、これでも最後の最後にいつも遠慮してたんですよ。
「子供のためになにかを犠牲にする自分がいる」とか、「そこまでやり過ぎたら、さすがにお母さんよりも幸せになり過ぎちゃってるよね、自分」みたいな。どうでもいい、わけのわからないストッパーがすごくかかってたんです。
あることをきっかけに、「母が幸せか不幸かは母が決めればいいことであって、私が決めることじゃないよね」って、非常に当たり前なんですけど、心の底から気が付いたんですよ。
母は、私から見た……、私のあの時のワンシーンですよね。高校時代に泣かせてしまったワンシーンだけを取ると、辛い人生かもしれないけど。よくよく考えると、案外幸せなところもあるんじゃないのっていうような気持ちになったら、「母の人生がどうだったかってことは、私が決めることではなくて母が決めればいいことで、私の人生と幸せは私が決めればいい」ってすごく思ったんですね。
逆に、私は私で幸せになりたい、なってしまってもいいんだっていうか、なってしまえ、みたいな。
二村 そのきっかけというのは、今日は話すんですか? 話さない?
ここの 話してもいいんですけど、今言ったきっかけを信じる方がいらっしゃるかどうかわからない……。
あの、インナーチャイルド・セッションというのを受けたんですよ。ある時、ホロスコープの先生に、私は純粋に自分のホロスコープを見てもらいに行ったんです。その先生に「じゃあ、インナーチャイルドとお話をしてみましょうか」と言われて(笑)。それは怖かったので、ノーサンキューと思ってたんですけど。
二村 ちょっとスピアレルギー(注 スピリチュアルなものへの忌避反応)なところが……。
ここの スピアレルギーは全然なかったんですけど、さすがにそこまではね、と。ちょっと思って。心の準備もできてなかったし。
二村 突然言われたんだ。
ここの 突然言われて。想定外だった。「ここに座って」なんて誘導されて、ノーといえない雰囲気で(笑)。
インナーチャイルドうんぬんというのは、皆さんご存知でいらっしゃるかな? インナーチャイルドというのは、自分の……。
二村 内なる子供。
ここの そうそう。内なる子供ってよく言われますけど、本当の自分っていうんですかね。それを生育歴とかで隠してきて、本心の言葉を聞かないで「〜すべき」というふうに言ってしまう。でも、インナーチャイルドとがっしり抱き合うというか握手をした時に、人は解放されるとか言われるらしいんですけども。
二村 テクニックとして、スピリチュアルっぽく「自分のなかに原初の部分が、本来の魂の部分がある」とか言い出すと、飲み込みにくい人がいるかもしれないですけども。単純に「自分のなかにある、自分で認識できていない子供っぽい部分」……。「っぽい」と言うと、同じ人間を切り分けることになるから、ちょっと違うかな。
まあ、使ってない脳の一部に、子供のころの自分が生きていることは全然不思議ではない。脳のなかで自覚認識できている自我の部分だけが「自分のすべて」だと考えて、インナーチャイルドの感情をないがしろにしていると、自分が痛い目にあう。
僕の本業のAVの撮影現場で、今までしたことのないようなセックスをすると、嬉しくて泣き出しちゃう女優さんがいるんですよ。エッチなものを撮ろうとしてエッチなセックスをしていたら、むしろ感動的なことになってしまう(笑)。そんなことがセックスの現場では時々あって。要するに、自我のブロックが外れるということだと思うんだけど。
そう考えると、(インナーチャイルドも)不思議ではないと思うんですけど。あるちょっとした儀式的なことを媒介にして、自分のなかの子供のころの自分と再会する。
二村 そのことで、何に気がついたんですか?
ここの なんか「何が見えますか?」とか聞かれるわけです。私の知識的に、誘導されるがまま「小さな子供が見えます」とか答えちゃうんだけど(笑)。
二村 催眠術にかかりやすい人だね。「インナーチャイルド出さなきゃ」って(笑)。
ここの そうそう(笑)。「見えてるのがこういうものだから、こういう答えだよね」って、言わされてるのかわからないまま……。「そのお子さんはどうしてますか?」って言われて、「さみしそうに泣いてます」って答えて(笑)。完全にこれ、イメージのままのインナーチャイルドですよね。
二村 だいたい皆、心のなかの子どもは泣いてるよね(笑)。
ここの 泣いてますよね。「いいのかな?」って思いながら、そんな受け答えをしてて。終わって「今、どういう気持ちになってますか?」って聞かれた。その時に、さっきも言ったことなんですけど、「母の人生は母のものだし、、私の人生は私のもの。私は私で幸せになっていい」って、本当に正直に思ったんですよね。母が幸せかどうかは私には決してわからないことだし、そこは問題じゃないよねって。
そう言ったら、「本当にそうだと思いますよ」っておっしゃられて。「ということは、私は私でやりたいことをやって、誰にも遠慮をせずに幸せになっていいんですよね」って聞いたら、「その通りですよ!」って言われて。「そうなんだ」って、初めてそこで思ったっていう感じなんです。
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