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第20回記念ブレイク前夜祭!『東村アキコふたたびっ!~いいオトコ、いいオンナって何なの?スペシャル!!』(全4記事)

「ブルマがヤムチャと結婚しなかった理由がわかるの。女として」山田玲司×東村アキコ

漫画家・山田玲司氏が週刊少年ジャンプの人気漫画『ワンピース』『ジョジョの奇妙な冒険』『ドラゴンボール』について話します。敵がどんどん強くなってインフレ化していく『ドラゴンボール』に対し、旅をすることによって天下一舞踏会のようなトーナメント化を抑えている『ワンピース』と『ジョジョの奇妙な冒険(第3部)』。山田氏によると『ワンピース』は70年代からゼロ年代までのそれぞれの時代の空気があるそうです。そして話題は『ドラゴンボール』のブルマはなぜヤムチャではなくベジータと結婚したのかという話に。ゲストの東村アキコ氏は「女として理由がわかる」と、弱いくせにドヤるヤムチャの欠点について触れました。

ワンピースの世界はディズニーシー

山田玲司氏(以下、山田):これずっと避けてたんですけど。

おっくん氏(以下、おっくん):キタ!

山田:とうとうこれいっちゃいます。ワンピース問題ですわ。や、神回とかやめて(笑)。これは、この『ワンピース』に救われた皆さんがいらっしゃるので悪口は言いません。けども!

おっくん:言いたいことはあるんですね。

山田:言いたいことはあります。案外さ、麻酔じゃない体があるんだよ。結構、雰囲気的に。海に向かって出ていく雰囲気的とか、現実に立ち向かっていく感じとか。

東村アキコ氏(以下、東村):ありますね。

山田:仲間助けるとかいろいろやるんだけど。あれねー、非常におもしろいのが、ランドなんだよ、結局。大きなシーですわ。ワンピースシー、ディズニーシーですわ。

島から島へ、シーの中を移動してるだけっていう話で。でね、選民意識ですわ。「ゴムゴム食った?」みたいな。「食った=選ばれた人間」みたいな選民意識が働いているんだよ。

これ、80年代の選民意識っていうのが乗っかってるんだよ。努力しませんから彼らは。さっき言ってたこれ(『みゆき』)ですよ、これに乗ってんの。80年代に乗った上に70年代(熱血ダサいって空気)が乗ってんの。そんでね、気分で仲間決めますから。「お前良い奴だな」って。

東村:あーーーーー。

ワンピースの仲間意識はマイルドヤンキー?

山田:根拠がないんだよ。「俺ら仲間じゃん」みたいな。これチーマーですね。90年代の空気もある。俺ら、ウチら、ギャル。だから、マイルドヤンキー乗っかりやすい。そうすると、お客が多い。全国にマイルドヤンキーいっぱいいるからね。だからEXILEとワンピースは被るんだよね。だから倖田來未もかぶるし、浜崎あゆみも被る。彼らは、社会全体を良くしようと考えていませんから。

おっくん:それはそう。

山田:そうすっとこれ80年代からゼロ年代までの仲間だけ主義みたいなね。仲間のためには命を捨てるけど、仲間以外はどうでもいいですみたいな。これ、ゼロ年代っぽいんだよ、とっても。

東村:それが国家、とか(大きいもののため)だったら良いんだけど、それがランダムで、好き嫌いとかで選んだチームだからっていうね。

山田:そうそう。これ、すげーなって思って。

おっくん:とりあえず、努力はするんですよ。

山田:努力するんだ。

おっくん:その問題にぶち当たるんですよ。ナチュラルボーンの力とか通用しない敵が現れてくるんですよ。それで、ぼこぼこにやられて、それぞれが全然違う島に飛ばされちゃうんですよ。で、2年くらい修行するんですよ。

もう1回会うときには仲間を守れるくらいの強さを持って会わないとだめだっていうのをみんなが思ってて。で、再集結して、新世界っていう新しいステージに行くんですけど。だから、そうですね、そうですよ。僕はワンピース擁護派なんでね。

東村:じゃあドラゴンボールはどうなるの?

山田:そろそろお酒飲む?

<休憩>

ジャンプ漫画の法則は「常にプラス」

山田:俺、こないだねー。荒木(飛呂彦)先生っているじゃない、ジョジョの。俺、荒木先生自身はすごい好きなんだよ。可愛いじゃん。

東村:あたしも好き。

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

山田:みんな大好き荒木先生。でも荒木先生のファンの人があんま好きじゃなかったんで、あんま知らなかったんだけど。荒木先生がね、俺の漫画術の全てを暴露するっつって本を出したじゃん。でやっぱね読まなきゃだめじゃん? 俺荒木先生好きだから。

そしたらさ、あれ読んだ?

東村:読んでない。それいつ出たやつ?

山田:最近。『荒木飛呂彦の漫画術』って新書出したの。あの人よく新書出すじゃん。

東村:読まんといかん。

山田:読まんといかんよ。そんでね、あれすごいんだよ。エンターテイメントの、王道の漫画の作り方。要するにジャンプの漫画の作り方、秘伝を全部晒してるんだよ。

何がすごいって、「人生って良くないことはある。けど、それが漫画で起きてはいけない」って。つまり、マイナスの状態からプラスの状態にいくのがジャンプだと。だから、常にプラス、常にプラス、常にプラス、ちょっとでもマイナスにいったらそれはダメな漫画だってことを言ってんの。

東村:すごいねー。

山田:すごい。始まって一旦落とす、そんで上がるっていうのはダメだって荒木先生は言ってんの。

東村・おっくん:へえーーー。

東村:でもさ、少年漫画って1回落ち込みやる新人さん多いじゃない。

山田:多いよね。それはさ、「人生なんてそんな甘かないよ」って思ってる新人さんが多いからなんだ。荒木先生はそんなことわかってますと。それは他のコンテンツでやってくださいと。

ここは王道ジャンプですと。それを求めてるお客さんに応えるためには、ま、プラスしかないですよっていう。すごいよ、ジョジョって一度トーナメントの危機があったらしいよ。

おっくん:ええっ。

山田:天下一武道会をやらなきゃいけないかもしれなかった時期があったらしいんだよ。

おっくん:マジで!?

山田:だけどそうすると敵のインフレが起こるじゃん。

おっくん:そうですね。

山田:さらに強い敵、さらに強い敵……。ジョジョってさ、極端だから、そのさらに上の発想って大変だったらしいよ。そんでさ、彼がいくつか考えた対策の中でやったのが旅だったの。

おっくん:なるほどね。

山田:倒して次に行く。これどっかで聞いたことないですかー? って話でしょ。そう、そうすると敵のインフレが防げる。あの島のヤツ強かったけど、こっちに行ったらまた新しい敵がいて、そいつを倒さなくちゃいけないってなると天下一の状態にならない。ていうようなことを(荒木先生が)言っててさ、あ、なるほどなみたいな感じでさ。

ブルマがヤムチャと結婚しなかった理由

東村:でもさ、あとで出てくるけどドラゴンボールって違うよね。そう思うと。

おっくん:違う、特殊ですね。

山田:あ、でもドラゴンボール俺詳しくないんで。

東村:やっぱその、ドラゴンボールの凄さってヤムチャなんですよ。一般人が混ざってるっていう。ヤムチャって強くないんですよ。

山田:そうなんだ。

おっくん:ヤムチャは最初出てきたときはかなり強かったんですけど、だんだんついていけなくなるんですよ。

東村:パンピーなんですよ。でもミスターサタンくらいパンピーがギャグになってるとかじゃなく、リアルに才能がないっていうすごい切ないポジションで。そんで私は、ブルマがヤムチャと結婚しなかった理由がすごいわかるの。女として。

おっくん:おーー!! きたきた! それおもしろい!

東村:好きだけど、しないなっていう。

おっくん:好きだけどしないんすか。で、ベジータ?

東村:ベジータなんか嫌なやつじゃない。悪いやつじゃない。

おっくん:まあ、そうですね。ニヒルな。

東村:愛してんのは多分ヤムチャの方だと思うんだけど、ブルマも。でもまあベジータ選ぶよね、っていう。

おっくん:え!? こわいこわい!

東村:そういう漫画って思ってる。

山田:え、それはパンピーだからなの? 普通の人だから?

おっくん:弱いから?

東村:ヤムチャって、弱いくせに、なんかめっちゃドヤってきたりとか。

おっくん:確かに。

東村:修行して髪長くして、シャッて来たあとのドヤ感みたいなね。

おっくん:でもイケメンじゃないですか。

東村:イケメンイケメン。哀れっていうか。

おっくん:あ、もう可哀想なんですね。

山田:一般人のくせにこいつ、無理しちゃって。

東村:混ざっちゃってさ、一般人のくせに、あのすごいメンツの中に。ただ、あの漫画がすごいのが、ちゃんと一般人の目線があって。なんかさ、神龍にお願いするときに、クリリンが「悟空を生き返らせてくれ」とか言って、そん時にヤムチャが「いや、待って待って待って」っつって。

「死んだ人をみんな生き返らせて」って。始めて一般人として役に立つっていう。ヤムチャの一般人目線のおかげで助かるっていうすっごいターニングポイントがあるんですよ。それを私は見ていて、これはヤムチャにしかできないと。凡才にしかない視点だと。

おっくん:ほー。

東村:すごい小学生のときに思ってて。だから聞いてて、ドラゴンボールとは違うなって。どういう漫画かって(麻酔と覚醒)2つにわけてますけど、私は両跨ぎ作品だと。

山田:うんうん。俺もそう思う。

鳥山明氏は徹子の部屋に出ていた

東村:だって多分、ドラゴンボールってそこそこ修行もしてるじゃないですか。あと、なんていうんだろう、金持ちと貧乏の差みたいなのもあるじゃないですか、富裕層とそうじゃない人と。あと、水がないみたいなさ。

おっくん:あー、水。

東村:あったよね。水がほしいから戦うみたいな人いたよね、出だしの頃に。天下一武道会で村に水がないから出るみたいな。

おっくん:あー、あれだ。なんだっけ名前。

山田:へえーー。

東村:ナムだ。ナムナム。みんなよく出てくるね。さすが、この番組を視聴しているような奴らですわ。

おっくん:確かにワンピースは、ドラゴンボールの子供のように見えて、ドラゴンボールとは根本的なアレが違うんですよね。

山田:だから、いろんな時代の空気感が見事に乗っかってできた作品なんだなーと思うんだよね。で、その(ワンピースには)水みたいなのがないっていうのは漫画やアニメを見て作ったからなんだよ。鳥山さんは、もう一個前だから身体的な体験があると思うんだよ。徹子の部屋出てんだよね、あの人ね。

東村・おっくん:へー!

山田:びっくりだよね。

おっくん:外出る人なんですね。

山田:でも徹子の部屋だけらしい(笑)。それで、この段階に至っていよいよわかんなくなるわけよ。人生変えてんのかダメにしてんのか非常に危ういわけだよね。

おっくん:これね、難しいのが、長すぎて……なんて言えば良いのかな、寄り添う漫画になっちゃってるんですよ。ずっとあるから。日本人だけのリズム感なんですけど、毎週絶対週刊漫画があって、ときには勇気づけられたりとか、人生変えられたりとかするんですけど。

ワンピースはまじ長すぎるんで、子供の頃に読んでた人がもう20代、30代になってて。いまどういう気持ちで読んでるかっていうのはちょっとわかんないですよねー。

山田:いや、すごく90年代・ゼロ年代感はあると思うんだよね。俺たちは選ばれてないんだよって進撃の巨人が出てくるんだよ。

おっくん:ただ玲司さん、ワンピース好きとして言わせて欲しいんだけど。

山田:アンタ好きだったの!? アンタみんな好きだね!

おっくん:いや、好きとか嫌いとかでもう語れないものってあるじゃないですか、B'zとか。

山田:マジで! B'zも!

東村:B'zはね。もうまたいじゃってるね。

おっくん:そういうランクにあるから、誤解ないように伝えるのは難しいんですけど、この漫画って、行く島々でエピソードが全然違うんですよ。だから、無敵なんですよ。別の漫画を連載してるみたいなもんなんですよ。

山田:うん、ジョジョもそうでしょ。

おっくん:だから、映画版のドラえもんをずっとやってるみたいな感じなんですよ。

山田:まあまあ、ジャンプスキルの集大成みたいなところがあったんじゃないの。

おっくん:で、けっこうエピソードがエグいんですよ。メンバーの過去とか。それでも「宴だーっ」てやってる。それは荒木先生が言うようなことなんですけど。玲司さんが思ってるよりは浅くないですよ。

山田:俺、浅いなんていってないよ(笑)。

おっくん:なんかそんな感じで言うから(笑)。

山田:浅いとは言ってないよ。しっかり読んでないくせに否定はしちゃいけないからね。読んで、言うんなら良いけど、あんまり知らん人のこと悪く言っちゃあかんよ。

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