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The Science of Dreaming(全1記事)

寝ているときに見る夢に、夢らしい夢と、つまらない夢がある理由 脳の中身を科学する

私たちが寝ているときに見る夢とは、なんなのでしょうか。私たちはなぜ夢を見るのでしょうか。科学的な研究の成果により、夢を見る理由や、寝ている最中に脳の中で起こっていること、記憶との関係性などについて、多くのことがわかってきています。今回のサイエンスチャンネル「SciShow」では、脳が働く仕組みから、夢について解説します!(SciShowより)

夢ってなんだろう?

夢を見るって面白い現象だと思いませんか? 生涯何度夢を見ていても、たまに「一体今のは何だったんだ?」という夢を見てしまうものです。他の何でもそうであるように、なぜ夢を見るのか、夢を見ている間脳はどんな働きをしているのか、なぜ夢を見ることが起きている間の脳に良い影響をもたらすのかを、科学が解明します。

人類は、なぜ夢を見るのかを、人の歴史が始まって以来常に解明しようとしてきました。しかし科学と夢を関連付けようとしたのはジークムント・フロイトが初めてではないでしょうか。

1899年、彼は『夢と夢解釈』を書きました。そこで彼は、夢とは象徴的なもので、我々が無意識の中に抑圧している願望を理解するためのものだと議論しています。そして彼が言うところの願望は性的に関連づけられているのは、皆さんご存知の通りです。

レム睡眠と眠りの関係

1950年代になると科学者は脳の動きを読むツールを使うようになり、夢を見ている脳がどんな働きをしているのかを研究できるようになりました。シカゴ大学のユージーン・アスリスキーがこの先駆者であり、EEGマシーンを開発、睡眠中の脳の活動をモニターしました。

当初睡眠中の脳は休息中であることが証明されると期待されていたのですが、実験の結果はその真逆だったのです。脳は睡眠中に90分ごとに一定の動きをすることがわかりました。

人はまず眠りにつく前にウトウトし始め、そこから深い眠りに入り脳の動きが低下します。そこから睡眠中なのですが、人はほぼ起きている状態にあることがわかりました。睡眠期間の脳の動きは、ほとんど活動中の脳と同じであったのです。

さらにおもしろいのは、この期間中、人体は機能的に麻痺した状態になるということでした。唯一動くのは眼球だけです。まぶたの下で瞳孔が開閉するのです。

これをレム睡眠と呼びます。睡眠中にも関わらず脳の動きは活動中と非常に似ていることから、逆説睡眠とも呼ばれます。でもこれは「性的興奮睡眠」と呼ばれるよりましですよね。実はこの睡眠段階は性的に興奮しやすいとも言われています。

さらに科学者は、レム睡眠中に非常に感情的な夢を見ることが多いことも発見しました。もちろん他の睡眠段階でも夢を見るのですが、この段階で見る夢が最も感情的で印象的であると実験参加者は報告したのです。

睡眠中90分ごとのサイクルがある中の最後のステージにレム睡眠が起こり、我々の脳の中でクレイジーなストーリーが生み出されるというのです。そしてこれはおよそ20分から30分続きます。そしてこれはクレイジーに現実味を帯びていて印象的で、実際に現実に起きているかと錯覚するようなものです。

睡眠中に脳の中で起こっていること

なぜ脳はそんなに活発に活動し、私達の身体を眼球以外麻痺させようとするのでしょうか? 色々あるのですが、ひとつ言われているのは睡眠中に脳は現実に起きていることの点と点をつなぎ、起きている間の人生をより良くしようとしているということです。

近年の科学者はフロイトは少なくともひとつの点で重要な勘違いをしていたと言っています。我々は無意識の抑制された欲望について夢を見るのではないということです。

我々の見る夢の内容は多くの場合その日にしたことについてです。脳は睡眠中にその日に起きたことを整理し、今日起きたことのうちどれは覚えておく価値があり、どれは忘れてもよいと決めているのです。

まったく関連のないように見えたことでも、それを合わせれば次の日にはより良い人間として成長できるようにです。起きている間は問題解決に忙しい脳が眠っている間に情報整理をすることは重要なのです。睡眠中のこの脳の働きは起きている間の脳が考え、クリエイティブになるようにするのを助けます。

睡眠が歴史上の重要な発見に貢献した例もあります。例えば、ドミトリ・イヴァーノヴィチ・メンデレーエフは元素表を発表したのも、数か月も考えて考えて行き詰っていた彼が眠っている最中にひらめいたからです。

さらにパズルをするのも昼寝休憩を入れながらやったほうが上手くできることが研究で明らかになっています。2004年の実験で研究参加者は2つの数字の関連性を見つけるように指示されました。昼寝休憩を許された参加者の60パーセントが解き、昼寝をしなかった参加者で解けたのは25パーセントでした。

他にも、まったく関連のなさそうに見える言葉に関連性を見出すように参加者に指示した実験で、レム睡眠に入った参加者はそうでない人々よりも40パーセント多くパズルを解きました。

つまり夢を見るということは起きている間には気が付かなかった関連性を見つける、情報を整理するということなのです。

ノンレム睡眠とレム睡眠の違い

しかしノンレムとレム睡眠の働きはどうやら違うようなのです。ノンレム睡眠中も夢を見るのですが、必ずしもそれは強烈に鮮明なものではなく、最近していることや考えていることだったりします。このステージで見る夢はなんとなくつまらない夢なのです。

例えばその日たくさん運転をしたのであれば、夢の中でも長い道を走り続ける、そしてその途中にある「とまれ」のサインで止まっては走り止まっては走りを繰り返す。つまらないですよね。

もちろん「とまれ」の標識があれば止まらねばなりませんから現実世界でも役立つと言えるでしょうが、言ってみればすでに知っていることを強化するだけです。

例えばその日おばあちゃんの家に1日かけて運転していったとしましょう。レム睡眠中に見るその場合の夢はマンハッタンで車のパーツを盗むだとかクレイジーな夢になるのです。

とても鮮明でドキドキするような夢なのですが、これもレム睡眠の作用のひとつです。レム睡眠は私達に現実ではなかなか挑戦できないことに挑戦させようとするのです。

脳は我々と仲良くしようとしているのではなく勝とうとしているのです! 睡眠も含め人間の進化とは明日により良い生物になるようにすることですから。

レム睡眠は夢の中で未来をちょっと試させようとします。可能性を模索するためです。もしかしたら夢の中であなたは7年生の時に憧れた先生と、バナナの着ぐるみを来たJay-Zのヨットの上でいちゃいちゃと過ごす夢を見るかもしれません。

だからと言って別に今7年生の時の先生と恋仲になりたいわけでもないだろうし、バナナの着ぐるみがペニスを象徴しているのかなど私にはわかりません。私はフロイトではないので!

ポイントはレム睡眠中は現実にやればリスクが高いことでも何でもちょっとやってみることができるということです。

レム睡眠中の夢が荒唐無稽である理由

そしてレム睡眠とは、我々が起きている間には処理しきれない感情を整理するためのものでもあります。どんなに変な夢でもそこで体験する感情は現実に感じている感情なのかもしれません。例えば夢の中で彼氏にものすごく怒っていたとすると、現実でもその彼氏または身近な誰かに怒りを感じているのかもしれません。

私たちの脳が生み出すストーリーは私達が感じている感情を感じるために生み出されます。自分の中にある感情を夢の中で吐き出すとでも言いますか。実はレム睡眠を体験できない人もいるのですが、この場合は精神疾患を患っていることが多いです。

夢は我々の頭がおかしくならないよう、我々の体験、感情、記憶を整理するのに役立っているのです。

ところで明晰夢についても知りたいという声がたくさん届きました。これはつまり自分が夢を見ていると自覚があり、自分自身で夢の中のストーリーを変えられるという現象を指します。

レム睡眠は無意識のシュミレーションで、明晰夢もまたシュミレーションですが意識のある状態で脳を働かせるものです。恐らく皆さんも明晰夢を見たことがあるでしょう。10人に1人は定期的に明晰夢を見るそうですから。

ではノンレムとレムでは脳の働きはどう違うのでしょう。ノンレム睡眠中は大脳皮質が他の脳の箇所と関連性を失いますので、恐らくそのせいで見る夢があまり複雑ではなくつまらないものになるのでしょう。

しかしレム睡眠になると大脳皮質の動きが活発になり、脳の他の箇所とも関連付けを始めます。そこでの例外が背外側前頭前皮質です。この部分は活発にはなりません。この部分は左のこめかみあたりにあり、ここが過去の記憶を状況に適用します。例えば計画を練ったり経験から結果を推測したりするところです。

これがレム睡眠中に見る夢がおかしなものである理由です。脳が先を予想することができないのですから。

明晰夢はどうでしょう。明晰夢を見ている時、実はこの背外側前頭前皮質は活動を始めます。そのため我々は夢の中でも自分をしっかりと認識し、自分自身でストーリーを作り上げることができるのでしょう。明晰夢は何度も見てしまう悪夢に対処したり、うつや不安感を取り除くのに役立つと言われています。

どんな種類の夢でもそれは役立つものなのであり、むしろ脳が正常に機能するために必要不可欠なものであるとも言えるでしょう。まだ起きているなら、今すぐ昼寝してはどうですか? ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

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