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≪2015 ユーキャン新語・流行語大賞≫ 発表・表彰式 生中継(全2記事)

【全文】2015ユーキャン新語・流行語大賞は「爆買い」 トップ10入りは「SEALDs」「まいにち、修造!」など

2015年12月1日に行われた「2015 ユーキャン新語・流行語大賞」の発表、授賞式を書き起こしました。「SEALDs」「五郎丸」「まいにち、修造!」といった、今年ノミネートされた流行語50語の中から選ばれた、年間大賞を発表いたします。

SEALDs

生島ヒロシ氏(以下、生島)さあ、気分を取り直して発表を続けます。2015ユーキャン新語・流行語トップ10! 「SEALDs」です!

司会:受賞理由。SEALDs。最初にこの字面を見たときに、新しいアイドルグループかなあ、と思った無礼をお許し願いたい。SEALDsとは、自由と民主主義のための学生緊急行動の意味だそうだ。

彼らの反対デモは、イケてるルックスにファッションと、そしてコールという、いつもの言葉でラップに乗せて盛り上がる、つまり普通の今時の学生さんなのだ。その学生さんたちが、「日本国憲法、とってもいいじゃない? 自分たちも努力していかないと」と国会前でデモを行うというかたちで合同したのである。

平成生まれの、いわゆる「ゆとり世代」と括られる世代。この年代の若者は、物おじしないとか、自分らしさを優先するなどと評され、大人社会ではちょっと劣勢気味だった。

自分で見聞きして学ぶ、軽やかな行動力は、バブル世代にはない真摯さがある。SNSで共感したらリアルでつながる、なんて当たり前。Webサイトは言葉もデザインもカッコよくなくっちゃというデジタル・ネイティブのセンスは、すでに既存政党を凌駕する発信力を持っている。

世界も平等に世代を重ねている。純粋な当たり前が次の時代を切り開くことがあるかもしれない、という気にもなる。

生島:まあ我々、姜さんも僕も、ちょうど70年安保で学生運動が本当に盛んなときに学生だったんですけども、やっぱり本当に時代がガラリと変わったなという感じがしますが。さて受賞者です。安全保障関連法案の反対デモで若者の中心となったSEALDsのメンバーの奥田愛基ちゃんです!

司会:表彰楯を清水選考委員より贈呈いたします。

生島:そして他のメンバーも来てくださいました。ようこそ来てくださいました。ありがとうございます。今、盾を、編集長からお願いします。おめでとうございます。それではみなさんにメッセージをお願いします。

奥田愛基氏(以下、奥田):すごく不思議な感じなんですけど、初めはたった十何人かのメンバーで始めたことがまさかこんなことになるなんてと思って。だけど、ちゃんと言わなければいけないことは、言わなければならないと思ってこの夏を過ごしてきました。

茂木健一郎さんが「SEALDsにノーベル平和賞を」と言ったんですけれど、来たのは殺害予告だけで、結構寂しい思いをしていたんですけれど、こうして流行語に選んでいただいて光栄です。

この言葉が流行語に選ばれることが果たして日本の政治にとっていいのかどうか、自由や民主主義を掲げる、また憲法を守れということがなにか新しいこと、2015年特有のものとなっていいのかという思いもします。

また、流行語という言葉を聞いてなにか不思議な気がします。あまり僕はもうテレビを見ないし、オリコンチャートっていうものも見ないですし、僕らが好きな音楽やファッションの話というのはみんなが共有できるという話でもないのではかも知れません。そういったなかでどうやって“我々”という感覚を作っていくか、なにをスタンダードにしていくか今問われていると思っています。

若者は無関心だとか、投票に行かないだとかいう話がたくさんあります。来年は選挙がありますね。来年の選挙の投票率がどうなっているのだろうと今から憂鬱になるのですが、しかしそれは問われているのは若者だけでなく、大人の方もみなさん問われているのだと思います。

今年SEALDsが流行語ということで、来年はどんな言葉が流行語になるんだろうと考えながら、しかし、我々がこの国の主権者であるってことは変わらないので。やるべきことをやっていく。賛成・反対、両方の意見があると思うんですけど、それでも議論して「この国の民主主義を諦めない」ということを訴えかけ続けていきたいなと思っています。

政治の話は全然いいニュースがないですけど、いいニュースがないなら自分から動いていこうとそういう風に思っています。ありがとうございます。

生島:素晴らしいメッセージですね。澤地久枝さんも大変興味深く聞いていただいておりましたけどね。では、お席の方に。やっぱり若者もしっかり意見言ってすばらしかったですね。感動しました。

トリプルスリー

生島:さて、発表を続けましょう。2015ユーキャン新語流行語トップ10。でました「トリプルスリー」。

司会:受賞理由、今年野球界はセリーグではヤクルトが12年ぶりの優勝。パ・リーグはソフトバンクが2年連続優勝。

その優勝チームの中で、プロ野球ファンのハートを鷲掴みにしたのが2人の選手だった。鍛え上げられた強靭な肉体が描く、パワーあふれるバッティングフォームで、3割6分3厘の好打率を残し、首位打者となった福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手。

そして、気負いしない表情でひょうひょうとして見えるのに、バランスの良い体で、打てばホームラン王、走っては盗塁王を獲得した。東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手であった。1シーズンで打率3割、ホームラン30本、30盗塁以上の成績を記録するトリプルスリーを13年ぶりに達成。チームをリーグ優勝へと牽引したのだ。

パワー、スピード、テクニック三拍子そろった選手は来年の野球をもっともっと面白くしてくれるであろう。

さて、この9月、永田町では新三本の矢が用意された。アベノミクスも第2ステージ、トリプルスリーにあやかって希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心をつなげる社会保障で日本も勢いづいていきたものだ。

生島:ということで、お二方登場です。柳田選手、山田選手、どうぞ。

司会:表彰楯を、やく選考委員よりお渡しいたします。

生島:いや、嬉しいですね。2人揃って登場ですね。では柳田さんから一言受賞の喜びの声をお願いします。

柳田悠岐氏(以下、柳田):このような話題のある賞をいただき、ほんとに光栄です。これをきっかけにみなさんもっと野球場に足を運んでいただいて、もっと野球を盛り上げていきたいと思います。本日はありがとうございました。

生島:山田選手からもお願いします。

山田哲人氏(以下、山田):ヤクルトスワローズの山田です。トリプルスリーというのは個人的にすごく目標にしていた数字だったので、達成できてすごく嬉しいですし、またこの場に立てたことも非常に嬉しいです。プロ野球界をもっと盛り上げられるように来年も頑張りたいと思います。本日はありがとうございました。

生島:おめでとうございます。お二人揃っていただいて嬉しいですね。さあ、大賞はどうなるのかとか、こちらも大変気になるところでありますけれどね。

ドローン

生島:それでは発表を続けます。2015ユーキャン新語流行語トップ10! 「ドローン」。

司会:受賞理由、アメリカのインターネット通販会社が小型無人機で宅配サービスを行うというニュースに触れた時は「未来にもそんなことはあるかもね」くらいの見方だった。しかし、無人小型飛行機ドローンは首相官邸への落下や、姫路城への衝突など事故やトラブルで一躍スポットを浴びた。

鳥の目で地上を舐めるような映像を見せてくれるドローンは、災害での情報収集、建築現場でのデータ収集などですでに実用化が進む。ドローンの運行ルールを定めた改正航空法も施行される。空の産業革命と言われるドローンは一層身近な技術となってくるだろう。

2015年は、1月に新宇宙基本計画が決定され、日本の宇宙システムの利用が軍事へと大転換し、11月には初の国産ジェット旅客機、三菱リージョナルジェットMRJが初飛行を成功させた。空のニュースが話題となった年でもあった。

生島:では、受賞者の方はドローン、日本人研究の第一人者でいらっしゃいます、千葉大学大学院工学研究科・工学部特別教授の野波健蔵先生です。

司会:表彰楯を姜選考委員よりお渡しいたします。

生島:では、野波教授、一言受賞の喜びの声をお願いします。

野波健蔵氏(以下、野波):ただいまご紹介いただきました通り、今年は大変ドローンという言葉が一躍有名になりました。関係者を代表して、お礼申し上げます。ありがとうございます。ドローンという言葉は、すでに1973年にアメリカで登場しておりまして、決して新語ではございません。今年は日本で特に流行したということで、流行語ということでございますが。私どもとしましては、これを流行で終わらせてはいけないと思っておりまして。

今、安倍政権のなかで成長戦略の一翼ということで、ぜひ大きな産業にしていきたいと思っています。関係者を代表して、私どもこれから来年に向けてですね、空の産業革命を実質的に地でいくような無限の可能性を有するドローンとして本当に役に立つように頑張っていきたいと思います。何卒ご支援のほどよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

司会:ありがとうございました。

生島:まさにこの暮らしの転換になっていただければと思います。

爆買い

生島:発表を続けましょう。2015ユーキャン新語流行語トップ10、「爆買い」!

司会:オタク文化の発信地、東京・秋葉原に外国人観光客が目立ち始めるようになってから、あっという間に京都、浅草などの定番観光地はもちろん、三重県伊賀での忍者体験など、日本人が気づかない日本を楽しむ外国人が見られ、2015年は「日本再発見」がブームとなった年でもあった。

増加を続ける外国人観光客のなかでも、中国からの訪日客は他を引き離し、ドラッグストアで、家電量販店で、スーパーマケットで、百貨店で、化粧品、医薬品、お菓子など、1人あたり17万円以上を爆買いをし、「大人買い」が精一杯の日本人を圧倒し、世間を驚かせたのだった。

世界に目を向ければ中国企業が6400人でフランスに4泊6日で「爆社員旅行」、習近平国家主席はアメリカで旅客機300機を爆買い。中国人の消費パワーを見せつけられた年でもあった。物が売れない昨今、「日本の商品は信用できる、日本通だと自慢できる」と喜々として買いまくってくれるのは嬉しいが、「日本は信用できる良い国だ」とまるごと爆買いされる将来が来たりして。

生島:さあ受賞者は日本国内最大の免税事業を展開する、あのラオックス株式会社代表取締役社長、羅怡文さんです。どうぞ。

司会:表彰楯を俵選考委員より贈呈いたします。

生島:羅さん、お祝いの言葉をお願いします。

羅怡文氏(以下、羅):ありがとうございました。とても嬉しいです。私はこの流行語大賞とは無縁の人だと思っていました。こんな賞をいただいて本当に嬉しいです。昨日は娘に、「ノミネートされたのでどうかな?」と聞いたら「当たるわけないだろ」と言われました。今日は娘の前で少しは私の株価が上がったかなと思います。

今回ラオックスが爆買いの代表として賞をいただいきましたが、爆買いの本質はやっぱり日本の商品の良さにあります。日本企業はモノ作りの良さを世界に愛されて、魅了された結果として、この爆買いという現象が起きました。

この爆買いの爆風を利用して、日本企業はさらに自信を持って、これから世界の人々にさらにいい商品を届けられるように、努力していきたいです。爆買いが流行語にすぎない言葉にならないように、継続的にいい商品を世界に届けることができればと思います。ありがとうございました。

生島:羅さんは習近平さんとは友だちじゃないんですか。

:それは友だちじゃないです。残念ですけど。

生島:「仲良しくしてよ」と言っておいてくださいよ。

:わかりました。ちゃんと伝えます。

生島:ありがとうございました。おめでとうございます。

まいにち、修造!

生島:さて残ずはあと1つになりました。会場の皆さんもどの言葉が出るのかなと思っていると思いますが、僕はできることなら、いつも元気で一生ピンピンコロリでいきたいなと思うんですが、そういう意味ではまさにふさわしい方をご紹介したいと思います。続いての発表です。2015ユーキャン新語流行語トップ10。「まいにち、修造!」。

司会:日常は空疎なお決まりフレーズで溢れている。「二度とこのようなことのないよう再発防止に努めます」というお詫び。「今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます」というお祈りメール。テンプレート流用で一丁上がりののっぺらぼうの文面からは無念さも、寄り添う気持ちも伝わってはこない。

気持ちを伝えるには何より熱のこもった言葉が必要なのだ。熱い言葉といえばこの人、プロテニスプレーヤーの松岡修造さんである。ウィンブルドンで62年ぶりにベスト8入りしたのは20年前、この時代に世界の舞台で1人戦ったプレイヤー人生に裏打ちされた松岡さんから発せられる言葉は、種目を越えてアスリートから本音を引き出す力を持ち、錦織圭選手が世界に飛び立つ背中を押した。

今年100万部以上を売り上げた日めくり「まいにち、修造!」にはユニークなワードが詰まっている。メンタルが一般化し、軽々しく頑張れとも言えないいま、「できるできる、君ならできる」とまっすぐに元気づけてくれるのはもう、松岡さんしかいないのだ。

生島:本当にテレビで見ない日はないですよね。これで(会場に来れなかった)五郎丸さんみたいなことになっちゃうと大変だなと思うんですけども、できればやっぱりご登場いただきたいと思っておりますが、さて受賞者はまさに多くの日本人に勇気と元気と希望を与え続けるプロテニスプレイヤー、スポーツキャスターの松岡修造さんです。

司会:表彰楯を室井選考委員より贈呈いたします。

生島:さあそれでは松岡さんから受賞の喜びの声をぜひともお願いします。

松岡修造氏(以下、松岡):この賞をいただけて嬉しさと驚きと、なぜだ?っていう疑問があります。まず嬉しさに関しては、誤解を恐れずに言います。この賞は僕にとってウィンブルドンのベスト8より嬉しいことです。

なぜならウィンブルドンベスト8は松岡修造が自分の力で勝ち取ったものです。でも「まいにち、修造!」は違います。僕の言葉を感じて支持してくれた。応援が生きがいの自分にとってこれより嬉しいことはないんです。

そして「まいにち、修造!」がなぜ取ったという疑問ですね。皆さんの辞書で「松岡修造」って調べたらこう出てくるでしょう。「いつも熱い男で一生懸命。必ずできる崖っぷち大好き、いつも富士山」だって。

誤解しているんです。修造辞書を調べたらこう出ます。「いつも不安で自信がなくて、どんな時も緊張する。でも前向きな言葉で前に進んでいこう」って。だからこそ、この「まいにち、修造!」が流行語を取ったと聞いたとき、日本中に俺みたいに自信を持ってなくて、弱くて、前に進みたい人がたくさんいるんだって。僕はそう感じました。

流行語は「流れて行く言葉」と書きます。流れは途絶えることもあるでしょう。でもこの流れは僕がより熱くしていきたいです。だからこそ日本中にいる松岡修造のような弱い人に言います。今日から君は毎日笑顔、毎日元気、まいにち、修造!。

生島:いや素晴らしい。松岡さん、熱いですね。

松岡:もうね、感極まりすぎてて。

生島:目頭がうるうるしていますね。

松岡:本当に「まいにち、修造!」というのは僕自身のために作った言葉なんですよ。弱いって。でもこれだけ支持されたってことはむちゃくちゃ弱いやつがいるって。だから僕は応援することが生きがい。こんな嬉しいことはないし、2020年にオリンピック、パラリンピックが決まりました。もうそこにすべてを懸けて僕は進んでいきたいと思いますね。

生島:松岡さんは常に前向きでポジティブだと思いきや、心のなかだと葛藤があるなかで、自分を前に押し出すためにああいう言葉を常日頃からずっと考えていらっしゃったわけですね。

松岡:ただ言葉って説教ではいけないと思います。通じることが少ない。やっぱり笑顔の中から刺さる言葉ってなんなんだろうって。それが僕にとっての「まいにち、修造!」ですね。

生島:素晴らしいメッセージでした。

司会:会場が暑くなってきましたね。

生島:でも本当にオーラがありましたね。さあ以上がトップ10ということになりました。さあこれから、年間大賞の発表に移らせていただきます! それでは、年間大賞の発表です! 2つあります。まずは、「爆買い!」そしてもう1つは「トリプルスリー!」。

(受賞者が登壇し、記念品を贈呈される)

司会:おめでとうございます。

生島:以上をもちまして、発表と表彰は終了とさせていただきますが、来年も新語・流行語が生まれるいい年であってほしいなと思います。

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