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映画『ラスト・ナイツ』試写会・Q&A(全3記事)

「ベストを尽くしたら、批評に対してできることはない」紀里谷監督が語る作品との向き合い方

紀里谷和明監督の初のハリウッド進出作となる映画『ラスト・ナイツ』。その試写会と質疑応答のイベントが、デジタルハリウッドで開催されました。『CASSHERN』『GOEMON』を手がけた紀里谷氏が5年の歳月をかけて完成をさせた『ラスト・ナイツ』は クライブ・オーウェンやモーガン・フリーマンらをキャストに迎えた作品で、11月14日からの全国でロードショー公開を予定しています。試写上映後、会場に集った学生たちの質問に、紀里谷氏が答えました。

良い評価が得られないことをどう考えるか?

紀里谷和明氏(以下、紀里谷):(会場を見渡して)そこの一番後ろの2人、大丈夫?

フランス人学生:今日映画見る前に、いろんなクリティックス(批評)とか評者とか読んであまりいいcriticsがなかったんですよ。見る人がよかったかよくなかったかネット書くんですけど。レビューとかして。例えばIMDbとかrotten tomatoesとか紀里谷さんが良く知っているサイトだと思うんですけど。そこであまりいい数字がでていなかったけれども、それについてどう思われますか?

紀里谷:それはもう日本でも同じですよ。『CASSHERN』やったときもすごいぼろくそ言われたし。そこに関しては、もうどうしようもない。それは良いに越したことはないですよ。良い方がいい。What can I do(どうしようもない)って感じだね。

だから一生懸命作っているし、誠心誠意作っているわけじゃないですか。クリティックスが言っている事に対してはどうしようもないよね。

フランス人学生:でもクリティックスに認められていないと、アーティストとしてあまり意味ないんじゃないですか?

紀里谷:そうかな?

フランス人学生:自分がいい仕事していると思ったらそれはいいと思うんですけども、認められていないと(どうなのかな?と)。

紀里谷:思っていないです。例えばさ、日本でもクリティックスはすごい酷評したわけ。でもオーディエンスは認めたわけね。興行収入があがっているわけだから。両方いいのに越したことないじゃん? 君は何を心配しているのかってことだよ。君自身が何を心配しているのかってことじゃない?

フランス人学生:心配は何もないから。

自分がいいと思うことを一生懸命やるしかない

紀里谷:You're talking about critics right?(クリティックス(批評家)のことを聞いているんだろう?)

フランス人学生:俺のクリティックじゃなくて(※Critic とは批評家という意味と批評という意味両方があります)

紀里谷:I understand that(分かっているよ)but what are you worring about (でも何をそんなに心配しているの)って感じなわけよ。I cannot do anything about it(僕にはどうしようもない)I do my best(自分にできるベストをつくすしかないんだ)I do my very very very best to do this thing, ok(僕は自分の出来る本当に極限のベストをこれに尽くしたから)then if the critics says one thing, what can you do?(それでも批評家がなにかいうなら、どうしようもないよね)

Am I making the movie for them?(僕は彼らの為に映画を作っているのか?)Yes I am making the movie for the audience(はい、私は確かに観客の為には映画を作っていますよね)Yes I am(そうです)but the critics? what can i say(でも批評家の為には? どうしようもないよ)

フランス人学生:but the critics are the audience(でも批評家も観客ですよね?)

紀里谷:I understand but is it though?(君が言いたいことも分かるよ、でもはたして本当にそうかな?)but the thing is, why are you so caring about that?(でも一番知りたいのは、なぜそのことに君はそんなにこだわるんだ?)Why are you so worried about that for me?(なぜそんなに僕のことを心配してくれるんだ?)

フランス人学生:I'm caring that you care.(私は紀里谷監督が気にしていないか気になる)

紀里谷:I don't. (気にしていない)

フランス人学生: Ok.

紀里谷:What can I do? What can I do? What can I do? Thats all I cansay.(僕になにができる? どうしようもないとしか言えないよね)

There are so many movies that were trashed in the inception(多くの映画が最初は酷評を受けることがある)but the things change and you've gotta believe in yourself. That's all I can say(でも評価は変わったりするし、自分を信じるしかないんだよね、僕がいえることはそれだけ)

You know. Of course, that's what this is all about.(確かに世の中そんな傾向だよね。)Everybody in Hollywood worries so much what the format is(ハリウッドでも皆、どのようなフォーマットでないといけないかとかとても気にしている)this has to be done,(こうしなければならないとか)例えば30ページにはこれが起こらなきゃいけない、50ページにはこれが起こらなければいけない、といった感じで脚本を書いているわけですよ。方程式。ずっと方程式。

でもね、そういうことやっていると、またそのクリティックスがそこを問題視するわけ。どうすればいいのっていう感じになってしまうわけですよ。だから、人に喜んでもらいたいと思ってものづくりするし、人に喜んでもらいたいと思って絵も書くし、なんでもするじゃないですか。

でもある程度いったら分からないよね。人のことばっかり考えて作ったって。だから自分がいいと思うことを一生懸命やるしか僕はないと思う。そう思う。

100%喜んでもらえることなんてありえない

紀里谷:だって君が誰かのことを好きになったとするじゃん。その子が君のことを好きになってくれるかなんて分からないよね。でも好きだからいろんなことをするし、その子のためのことをしても、その子が君を好きにならないこともあるわけだから、その子に好かれようとするがために生きていくってことは、ちょっとちがう気がするんだよね。

フランス人学生:でも恋愛とアートはちょっと違う気がするんですけど。比べられないものだと思うんです。でも自分ががんばっていると思ったら、それでいいかもしれませんけど。

紀里谷:そうだけど、じゃあ売れる作品って君は作れますか? 100パーセント、確実に。

フランス人学生:売れるじゃなくて、自分がいいもの作れたと思ったらそれがいいと思いますけど。クリティクスを見てそこはちょっと失敗したとは感じませんか。

紀里谷:僕が?

フランス人学生:いや、例えば誰でも、アーティストって、自分がいい作品つくりましたと思ったらそれでいいと思うんですけど、正直自分の作品とかをみて、あーたぶん失敗したなと思ったら?

紀里谷:君がそう思っているの? 自分の作品で? 君はなにを作っているの?

フランス人学生:もちろん、僕が作品とか作ったら失敗したなと思うわけで。

紀里谷:どういうときに? 売れなかったら?

フランス人学生:いや、俺の作品は売ったことないから分からないですけど。

紀里谷:売ったことないじゃん、じゃあ何を心配しているの?Are you worrying about me?(僕のことを心配しているの?)Are you worrying for me? (僕のことを心配してくれているの?)

フランス人学生:そう。

紀里谷:Why? Worry about yourself(なぜ?自分自身のことを心配した方がいいよ)

フランス人学生:自分の作ったものが良くないと言われたら心が痛いから。

紀里谷:でもそれはいつでも起こる。なんにでも起こる。100%喜んでもらえることなんてありえないよ。What do you want?(何がしたいの?)

フランス人学生:それはあたりまえだよ。

紀里谷:あたりまえだけど、あたりまえのことを今俺が言っているじゃん

フランス人学生:ごめんなさい。

紀里谷:ごめんなさいじゃなくていいよ。I'm not mad at you. (僕は君に怒っているわけじゃないよ)I just want to understand you. (君のことを理解したいだけだよ)I don't understand what you are trying to say.(君が何をいおうとしているかを)What you are worried about.(何を心配しているの?)

フランス人学生:I'm going to ask you if you are satisfied of what you aredoing.(では聞きます。紀里谷さんはご自分の作品に満足されていらっしゃいますか?)

紀里谷:Of course.(当然です)

フランス人学生:Ok then great.(それならよかった)

紀里谷:Of course. I want you to be satisfied of what you are doing too.(当然。そして僕も君が君自信の活動に満足をしてくれることを望むよ)I'm not attacking you personally.(別に個人的に攻撃しているわけではないからね)I'm not.(ほんとうに)

フランス人学生:I know and I'm not attacking you.(分かっています、僕も同じです。)

好きなことは「バイクと映画とセックス」で……

質問者:はい。ということで僕の番がやってきました!(と大きな声でふざける学生)

紀里谷:あー、それはそういうふうにいうことじゃないよ。彼のいうことは間違ってはないもん。議論だから別にいいじゃん。だた、俺がいいたいのは、作る前からあまりにもそういうことを心配しちゃって、手も足も出ないという人が、見ていて非常に多いと思う。「何か言われるんじゃないだろうか」「否定されるんじゃないだろうか」「傷つくんじゃないだろうか」というのが非常に多いと思う。でも「作ればいいじゃん」と思うんですよ。

質問者:はい。紀里谷監督のそのカリスマ性が会場入りのときからピンと張るし、なんか……。紀里谷先生も、僕らの将来に関して悲観的なことを言うし、ちょっと僕が話題を変えてポップにしたいと思うので、紀里谷監督の好きなことを3つ教えてください。

(会場笑)

紀里谷:好きなこと? バイクと映画とセックス。

(会場笑)

質問者:ありがとうございます!

紀里谷:うぃーす。

質問者:はい。

紀里谷:はい、どうぞ。

質問者:今、バイクが好き、映画が好き、で、セックスが好き。元奥さんとはどうだったんですかね?

紀里谷:それを聞いて何になるの?

質問者:いや、僕もファンなんで。

紀里谷:ちょっと待ってくれ。あのさ、こんなチャンスはなかなかないわけじゃん。君が言っていることより、彼の質問(フランス人学生)のほうがよっぽどいいよ。君今何をやってるの?

質問者:僕ですか? 今、映像をやっています。

紀里谷:それで?

質問者:将来的にはPVとかをやりたいと思っています。

紀里谷:こういうことを言っているわけ。ゆるいわけよ。生き方が。こういう席があってさ。なかなかこんなチャンスないわけじゃん。そんなことない? 二度と会うことないと思うしさ。つまらなかったら出ていけばいいだけの話。で、彼は(フランス人の学生は)ちゃんと質問したじゃん。

それに対してみなさんは空気が悪くなったと思うけど、俺は全然問題ない。It’s an honest question(まっすぐな質問だから)It’s a valid proper question (しっかりした正当な質問だから)それはディスカッションなわけ。それで、元奥さんがどうだという話を聞いて、君は何の得をするの? 今、場の雰囲気を和ませてくれたの? それがゆるいって言っているわけよ。ゆるいよ。

なぜ1つ1つに真剣にならないのか?

紀里谷:そんなことのために俺はここに来てないし、そんなことのために、俺が必死になって作った映画をタダで見せてないしさ。タダで。わかる? 言ってること。そこなんですよ、みなさん。俺が日本に対して非常に違和感を持っているのは。1つ1つに真剣じゃないわけ。

だって限られた時間の中でチャンスがあって、やることがあって、聞くことができて。俺のことが嫌いだったらいなきゃいいわけだし。興味があるからここに残っているわけでしょ? 興味がなければ帰ればいいじゃん。それで、そういう質問になってしまう。

でも、そういうことがすごく起きるわけ。たとえば一緒に仕事をしていても、雰囲気を和らげるためだけに、クオリティーを達成せずに丸く収めちゃったり。ワーワーやって、「作品見せてよ」と言っても作ってなかったりとか、クオリティーが低かったりするわけ。

それに対して、僕は非常に違和感があるわけよ。わかるかな、言っていること。こちらは全てシビアにやっているわけね。自分の人生全部突っ込んでやっているし。だから本当に全部ささげてやっているから、彼が言ったように「クリティクスに対してどう思うのか」と言われても、全部突っ込んでやっているからしょうがないよね。

できることをすべてやっているから、それで批判されても、そこから先は「しょうがないよね」と思っちゃう。「こうできたのかな?」「ああできたのかな?」と思うかもしれないけれど、それすらも「どれだけ考えてやったことだ」と思うし、すべてにベストを尽くしているつもりなの。

でも、そこから先は僕も能力がないということになっちゃうかもしれないけども、それはそれでまた成長すればいいじゃん。PV作るのはいいんだけどさ、めっちゃ厳しいよ。いままでに何本作ってるの?

質問者:まだ1本も作ってないです。

紀里谷:ここに何年いるの?

質問者:3年生です。

紀里谷:ぶっちゃけ、3年間何もしてないわけじゃん。どうなのかなって感じだよね。

質問者:どうなんですかね(笑)。

紀里谷:それは自分に聞くことだよね。なめてかかってんじゃない?

質問者:結果からすると、そうですね。そういうふうにしか思われない。てか、そうです。

最前線でトライしてない奴に誰がついていくの?

紀里谷:じゃあ、どうするの?

質問者:将来ですか?

紀里谷:いや、なめてかかってると自分で認めてるんだったらさ。

質問者:僕は、もともと大学には映像を学びに来ただけなんで。将来的には、DJになろうと思っているんですよ。今もずっとやっていて、7年目なんですよ。それをやりつつ、そっち(PV)のこともやっていきたいなと思っています。クリエイターにせよなんでもそうですけど、若い人って、ずっと現場に立てないじゃないですか。

紀里谷:なんで立てないの?

質問者:若い人たちというのはどんどん年を取っていくと、プロデューサー業とか、監督業とか、育成業に上がっていかなければいけないなと、僕は思うんですよ。

紀里谷:どういうこと? 今活躍している人たちが?

質問者:たとえば今活躍している人たちかと言ったら、僕らの中でと言えばいいんですかね。いると思っていて。それで、新しいものって、今の自分よりもどんどんうまくなるというか、レベルが高くなっていく。

たとえばオリンピックの新記録とか。昔の人はどんどん超されていくじゃないですか。だからそれにも負けずに、最前線の現場で戦うよりも、新しい人たちをプロデュースする側に上がっていかなきゃいけないと思ってるんですよ。

紀里谷:でも、最前線ができないのに何でプロデュースできるの?

質問者:いや、最前線の技術とプロデューサー業とはちょっと違うんじゃないかなと思って。

紀里谷:誰が言ったの。

質問者:いや、思っているだけですよ。

紀里谷:それは間違っているよ。

質問者:そうなんですか。本当はどうなんですか?

紀里谷:最前線でやり抜けよ。

質問者:ずっとですか?

紀里谷:プロデューサーだってそうだし。それはそうだよ! 絶対に譲らないよ。たとえば、新しいカメラマンがきます。絶対に譲らない! 俺がDJだったらその座は絶対に譲らない! 死ぬまで譲らない。そんなもんでしょ。相撲だって野球だって、みんなそうじゃね?

トップに君臨したこともなくて、最前線でトライしていないのに「何をするの?」と言いたくなっちゃう。それなのにいきなり「プロデューサーになります」といわれたってさ、「誰がそれについていくの?」って思わない?

野球もやったことがないやつが「野球の監督します」みたいな話じゃんか。言ってることわかる?

質問者:はい。わかります。

紀里谷:そこ。

質問者:う〜ん。

紀里谷:やってないんだよ、君。ぶっちゃけ。

質問者:いや、やってますね。映像はやってないです。それは間違いないです。映像はやってないですけど、音楽に関してはやっています。

紀里谷:だったら、それでいいんじゃない?

質問者:はい。

紀里谷:どんだけすごいんだか知らないんだけどさ。君がどれだけDJですごいのかって、それで計られるしかないじゃん。そうだよね。それだけの話じゃね?

質問者:はい。

「監督が恐いから何も言わない」が一番最悪

紀里谷:極めてシンプル。はい、次どうぞ。

質問者:さきほど質問したので、貴重な会なので他の方にまわしていこうと思ったのですが、どうしても聞きたくなって。今の流れの中で、やっぱり第一線でやっていらっしゃるわけじゃないですか。技術スタッフの方はみんな最先端だと思うんですよ。

一番トップにいる方々の中で、ようするに、紀里谷監督が「こういうシーンにしたい」「こういう絵がほしい」と思うじゃないですか。現場もやっぱり完璧主義で、さきほど「ゆるくない」「手を抜かない」という中で、「こっちのシーンのほうがいい」とか。たとえばディスカッションをしたりとか、この人たちのことを考えて丸く収めるとか。

質問者:やっぱこれがいいと思ってぶつかり合いとか、もしあったりとかしたら、そういうことも聞きたいです。

紀里谷:ぶつかり合いじゃないんだよね。単純に「良くしよう」と思って、皆がいろんなアイディアを出してくる。ディスカッションが行なわれて、それで、しかしながら最終的な権限は監督に与えられてるから、監督が「これでいく」って言ったら従うっていうことよね。

それが「監督が恐いから何も言わない」っていうのが一番最悪だと思うわけ。それって「知りませんよ」って話だから。その作品のことなんて。で、そうなっちゃうともう……。多分、俺は違うと思うな。僕はウェルカムだよ、全然。

そこの部分でアーギュメントっていうか口論が始まっちゃうと、場が凍りつく、この日本の環境みたいなのに対して、僕はすごく違和感を覚える。喧嘩してるわけじゃないじゃん。

質問者:先生、私、ディスカッションに対してネガティブじゃなくて、すごくポジティブに考えていて……。

紀里谷:もちろん、わかってますよ。この日本という国では、それが起こりにくい。ごめんなさい。国として括るの、僕はあんまり好きじゃないんだけども。

しかし、わかって欲しいのが、よく「日本と海外のハリウッドの違い何ですか?」とか聞かれるんだけれども、実はもう世界中、同じやり方でやっていて、日本だけすごく特殊な感じでやってるように見えるんだよね。

その理屈で動いちゃうっていうかさ。僕はそういう風に思うな。すごく特殊な感じがする。でもそこは変わっていくものだと思うし。

クリエイティブの監督と現場監督の立場で

質問者:もう1点。例えばその中で、監督が期待した以上のものが上がってきたらうれしい?

紀里谷:もちろんうれしい。そのためにディスカッションしてるわけで。自分の能力だけだと100%しかいかないんですよ。それを、いろんな人たちが言ってくれて120とか140とか200とかいうふうに上げていきたいなって思います。

例えば、今回撮影監督とだいぶ揉めたし。口論、言い争いになったこともあるし、相手が部屋から飛び出したこともある。あまりの言い争いに。しかしまぁ「縁が無ければもういいよ」って感じですね。あとはただただ、すごく時間が無かった。これ、50日で撮影したんで。

50日しかない時間の中で何をしようかっていうことで、とてもとても苦労したってのはあります。そうでなかったら、もっとディスカッションできたと思う。もっといろんなものにトライできたけど、そんな時間ないから、「もう俺のやり方でやる」って言って振り切ったこともある。

クリエイティブの監督であると同時に現場監督で「完成させなければいけない」っていう責任があるわけですよ。それ、すっごい重要。

だから「世の中センスですよね。感性ですよね」って言ってる奴らは、もう大間違いだと思う。やはりそこには努力があって、すっごい緻密な計算があって、圧倒的な労力がそこにはかかってるよね。

はい、次どうぞ。

邦画と洋画と分かれてること自体に違和感がある

質問者:「このシーンは」という自分だけのお気に入りのシーンがあったら聞きたくて。

紀里谷:そういう風に思えない。だってもう、最初から最後まで一生懸命やってるわけだから。

質問者:そうですか。聞きたかったんで、ありがとうございます。

質問者:ハリウッドに日本人の監督があまりいないと思いますけど、唯一の立場で、日本人として世界に届けたいものとか、特にこの映画についてクオリティが高い部分があるとしたら教えていただきたいんですけど。

紀里谷:あのですね、まず日本の中で邦画と洋画って分かれていること自体に違和感を覚えます。全部僕は同じだと思っている。

今、アメリカに住んでおりますけど、プロモーションで日本に来ていて日本の人たちと接していて、違うとことかいろいろ聞かれるんだけど、僕の中では違いはないと思ってやっています。

で、2つ目の質問は、何を届けたいのか。これもよく聞かれるんだけれども、もちろん自分の中では、映画に対する想いがあったりとか、脚本の持ってるテーマであるとか、本質の部分があると思うんですよね。そこを届けようと思って、つくってる。それが子どもを産むように産まれてきます。

で、そこが自然と伝わって欲しいと思ってる。それが伝わらなければ自分が間違ってる。自分のやり方が間違ってるんじゃないかなっていう風に思ってつくってます。ただまぁ言葉にするのであれば、とにかく今回は「形ではなく重要なものがあるのではないか」と。

今回は人種の壁もぶち破ってつくってるし、このような時代劇で、黒人、白人、アジア人、中東の人って、ありとあらゆる人たちが出てくる作品って今まで無いと思うんですよ。

それが新しい試みで、そこも彼が言ってくれたみたいにクリティカルにすごいバッシング受けたこともそうだった。「理解できない」っていうような。

そういうことに対しても、やっぱりチャレンジしていきたいし、壁を取り壊したい。いろんな人種の壁であったり国境であったり、そういうものがないところで、ものをつくっていければいいなっていう。

それが当たり前の話で、あるべき姿なのが非常にこうセクション分けされちゃってるっていうことに対して、とても強い違和感を覚えます。いいですか?

質問者:はい。

紀里谷:ありがとうございます。

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