2024.10.10
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20年間「休み方」について研究している片野秀樹氏の著書『休養学』の刊行記念イベントが透明書店で開催されました。科学的に正しい休養法について、本書の内容に沿ってポイントを紹介しました。本記事では、睡眠の質をアップさせる“メモ活用術”や、正しく休養するためのポイントを語ります。
片野秀樹氏(以下、片野):マイペースとかわがままで言うと……ちょっとここだけのお話なんですが(笑)。過去に、渋谷のスクランブル交差点をジャックできないかなって考えたことがあったんですよ。
長野弘樹氏(以下、長野):なぜですか?
片野:あそこの交差点ってマイペースでは歩けないんですよ。他人のペースじゃないとぶつかってしまうんですね。でも、人によってはゆっくりしか歩けない方もいらっしゃいます。高齢者の方、杖をつかれてる方、あるいは妊婦さんが渡れない交差点っておかしくないですか?
社会ですから、他人のペースに合わせていかなきゃいけないんですが、一石を投じる意味で、「自分のペースで過ごしてもいいんだよ」「マイペースってコントロールしていいんだよ」ということを理解していただきたいなと思います。
みなさんも周りに合わせたり、周りに気を遣ったり、自分を押し殺して生活されることが多いと思うんです。自分の時間だったら時にはマイペースを持たないと、リラックスできないんですよということを知って、理解していただきたかったんです。
長野:なるほど。
片野:(そういった理由でスクランブル交差点を)ジャックしようかなと思ったんですが、警察に捕まりそうなのでやめました(笑)。
長野:(笑)。ありがとうございます。それをしたいぐらい、訴えかけたいというか。
片野:そうですね。人それぞれペースは違うので、やはり自分のペースを取り戻さなければいけないと思ってるんです。
長野:そうですね。人間も社会の中での生き物なので、もちろん合わせないといけないことは多分にあると思います。それこそ、さっき「疲労感」と「疲労」の両輪のお話があったじゃないですか。その差分を埋めてあげる意味でも、わがままになって、ちゃんと自分を認識する時間や埋めてあげる時間にしてあげることが、コントロールなのかなと解釈しました。
片野:そうですね。24時間の中で、例えばお仕事をしてる時間が11時間だとすると、それ以外の時間は13時間あるわけじゃないですか。その中で、わがままになる時間を1時間とってもいいと思うんですね。
長野:それぐらいね。
片野:その時間はみなさんに迷惑がかからないところだと思うので、1時間でも自分自身がマイペースで過ごす時間があると、それだけで充電できると思います。
長野:ありがとうございます。「DRIC」、覚えやすくてすごくいいですよね。
ぜひみなさんも参考にしていただければなと思います。
長野:最後に、参加者のみなさまからの感想や質問でもなんでもいいので、聞きたいことがあれば、片野さんにお答えいただければと思います。「これを聞いてみたいよ」というものがあれば、ざっくばらんにいかがでしょうか。オンラインの方もコメントでお待ちしております。
(会場挙手)
長野:ありがとうございます、お願いいたします。
質問者1:片野先生、本日はどうもありがとうございました。
片野:ご参加いただいてありがとうございました。
質問者1:睡眠のことでおうかがいしたいです。例えば、毎日同じように6時間寝てるとしても、日によって「疲れが取れたな」「まだぜんぜん眠り足りないな」という日があったりするんですが、それも活力に影響されたりするものなんでしょうか。
片野:最近、「睡眠休養感」という言葉が出るんですが、朝起きた時の休養感ってどうですか? という話なんです。
スポーツをやってる方だと、朝起きた時のメモをとるんですね。朝起きた時にどういう状態だったのか、マルでもバツでもいいんですが、そういうのを日誌につけていくんです。良かった時は、前日の活動期・オンタイムで何をやってたかも印つけておきます。
「オンタイムの時にはこの仕事をしてました、これだけのタスクをこなしてました。何時に寝て、朝起きた時にこうでした」という、生活のパターンをいくつかメモしておくんですね。そうすると、その中で自分自身が一番良いパターンがだんだん絞り込まれてくるんですね。これはスポーツの選手がよくやっていることです。
片野:スポーツの選手は特にパフォーマンスをいっぱい出さなければいけないですし、しっかり出すことによって結果につながるので、そういう方々はそれを使ってルーティンを作るんです。
自分自身が一番良いパフォーマンスが出た時はどういう睡眠時間だったのか、どういう体勢だったのか。もっと細かく言うと、どういう布団や枕だったのか、食事は何を摂ったのかまで細かく細かく出していて、一番良いパフォーマンスが出るものを繰り返すんですね。
イチロー選手なんかはカレーを毎朝食べていたって言いますが、あれはルーティンですよね。彼はカレーを食べて、こういう生活を送って、毎日同じ生活を送ることによって最高のパフォーマンスが出せますよ、ということじゃないですか。
ただ、我々ってふだんはあまり気にしてないじゃないですか。でも、もし睡眠をしっかりととりたい朝起きた時に可能な限り高い活力で起きたいということであれば、メモでもかまわないので朝起きた時の状態を記録しておきます。
例えば「こっちの手がちょっと重いな」「右肩が重いな」でもいいので、ちょっとしたことをメモで残しておく。1年で365回寝てるわけですから、どういったパターンで寝る時が一番良いのか、どういったパターンで生活してる時が良いのかが、だいだい見えてくるんですね。そのパターンをつかむことが一番良いのかなと思います。
同じ6時間寝ている時でも違うというのは、活動量が違うのかもしれないし、食事も違うかもしれないし、寝てる場所も違うかもしれないんですね。単純に「6時間」というところだけを見ないで、ほかの24時間でどういった生活をしてたのかを記していくと、見えてくるものがたくさんあるのかなと思います。
その中で自分に一番合ってるものを見つけ出して、それをルーティン化することが、一番豊かな生活につながるかなって思うんですが、お答えになってますでしょうか(笑)。
質問者1:はい、ありがとうございます。
長野:同じ6時間でも、回復してる時としてない時があるから、私も気になりました。人によっても違うから、どういう規則性があるのかをメモに控えていく。自分の中の規則性やルーティンを見つけて、今度はその良いリズムを意図的に生み出していくと。
片野:そうですね。あと、睡眠サイクルはだいたい90分というのは、みなさんもご存知のところだと思います。ただ、6時間寝てるといっても、眠りに落ちた時は違うはずなんですよ。そうすると起きた時間が同じでも、どのステージで目が覚めたのかが変わってくるんですね。
深いステージの時に目覚ましで起こされてしまうと、非常に不快で、しばらく力が出ないです。そう考えると、自分自身で睡眠をコントロールしたいのであれば、90分サイクルも考える。
お布団に入ったのは早かったんだけれども、寝付きが悪くて、「このままだと90分の途中で目が覚めるな」ということであれば、朝の目覚ましをちょっとずらしたほうがいいかもしれないですし、そんな調整も必要かもしれないですね。
長野:なるほど、ありがとうございます。そうしましたら、ほかに「これを聞いてみたいよ」という方はいますか。休養でも、疲労でも、書籍についてでも。
(会場挙手)
質問者2:とてもわかりやすいお話をありがとうございました。
片野:ありがとうございました。
質問者2:先生は、お声がとてもリラックスするというか(笑)。聞きやすいお声です。
片野:ありがとうございます(笑)。
質問者2:2点あります。1つは感想なんですが、書籍(『休養学』)は東洋経済さんから出されてるということでビジネス向けだと。先ほどスモールビジネス向けというお話もありましたが、私も個人事業主で仕事はしていますが、一方で主婦であり、また親も年をとってきて半分介護に足を突っ込んでいるような状況です。
そういう人に向けてもすごく参考になる休み方というのは、ビジネスマンだけではなく主婦であり介護の当事者であり、介護に従事されてる人であったり……おしなべて言うとみなさん全員なんですが、すごく裾野が広いというか。ビジネスにフォーカスするだけではもったいないような印象を受けました。
片野:ありがとうございます。
質問者2:それからリカバリーウェアにとても興味があって(笑)。ずっとずっと気になっているんですが、これは一般医療機器ですよね?
片野:一般医療機器です。
質問者2:ということは、普通に買える、購入できるということでしょうか。それともお医者さんへ行って、ということなんでしょうか。
片野:すみません、リカバリーウェアのお話をさせていただいちゃうんですが(笑)。一般医療機器の中でも「家庭用一般医療機器」というカテゴリーなので、オンラインやデパートさんでも買えて、三越さんや伊勢丹さんにも置いてあったりするんですが、「ベネクス リカバリーウェア」で検索していただけると、いろいろな所で買えます。
この中でもちらっとお話ししたんですが、人の体を見る時にはだいたい「免疫系」と「神経系」と「代謝系」という3つの系を見るんですね。それがまさに私の仕事のメインでもあるんですが、そんなところの研究もしていて。データを取ったもので作っているので医療機器ですし、安心してください(笑)。疲れたら思い出していただけるとありがたいです(笑)。
質問者2:(笑)。スポーツしてる時は着ちゃいけないということですが、例えば私が家で仕事をしているとして、「運動ではないから着ている」というのはありなんですか?
片野:一番メインのところで言うと、私たちは自律神経で見ています。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあって、交感神経は朝起きた時に高まってきて、夕方にかけて下がるんですね。逆に、副交感神経は夕方から立ち上がってきて、朝になって下がってきます。
「朝起きた時に交感神経が立ち上がってくる」とお話ししましたが、立ち上がらないとどうなるかというと、フラフラして立ち上がれないんですね。起立性調節障害の方もいらっしゃいますが、その方々は交換神経が高まっていかないんです。副交感神経が高まったままだとフラフラしちゃうんですね。
片野:我々のウェアの特徴としては、副交感神経を高めちゃうので、興奮が必要であるとか、集中が必要であるとか、そういった時には活動期には不向きです。一方で、夕方から朝にかけてのしっかり休みたい時には非常に向いてます。
運動中って力が入って興奮しなきゃいけないことがほとんどですよね。ですから運動中は着ないで、終わったあとにリラックスする時は着てくださいというのが。このリカバリーウェアです。
質問者2:なるほど、わかりました。ありがとうございました。
長野:ウェアについては私もちょっと気になってたんですよ(笑)。リラックスする時に着るウェアなんですよね。このタイミングでぶっ込むのかっていう話なんですけど、実は私はプロボクサーでして。
片野:えっ。
長野:プロボクサーしながら(会社員をしている)みたいな。だから、ウェアってどんな効果があるんだろう? ってめっちゃ気になってたので……またあとで教えてください(笑)。
(会場笑)
長野:すみません、どうでもいいことを言ってしまったんですが。
片野:いえいえ。あと、女性が多いのでお話をすると、美容と睡眠は特につながっているところだと思います。しっかりとお休みにならないと、お肌が荒れてしまったりすることがあると思うんですね。
ですから「24時前には寝なさい」って言われる方もいらっしゃるんですが、何時に寝てもしっかりお休みになればお肌は整います。深く寝たほうがお肌には良いので、その時にリカバリーウェアを使っていただいたほうがいいと思います(笑)。
(会場笑)
長野:リカバリーウェアはきれいになれる、と(笑)。
片野:しっかりお休みになれるので、美容にもいいと思います(笑)。
長野:今日って「『休養学』の書籍イベント」で大丈夫でした?
片野:すみません、失礼しました(笑)。
(会場笑)
片野:(笑)。ありがとうございます。
片野:お時間になってきたので、あと1点聞きたいよという人がいれば、お願いいたします。
(会場挙手)
質問者3:ありがとうございました。7つの休養の方法がすごくおもしろかったです。娯楽というと、ゲームとかYouTubeで動画を見るとか、けっこうみんなしてると思うんですが、度が過ぎて疲れちゃうことがけっこうあって(笑)。それはどうしたらいいんでしょう?
片野:さっきもちらっとお話ししたかもしれないんですが、ある程度はコントロールが必要だと思います。休養のためにやっている娯楽や、ストレスが取れるレベルの娯楽であればいいと思うんですが、過剰にただなんとなくやってしまっているとか、なんとなく惰性でやっているのは良くはないと思います。
私はよく二宮金次郎の話をするんですが……ちょっと逸れちゃってもいいですか(笑)?
長野:大丈夫ですよ(笑)。
片野:僕は小田原の出身なんですが、二宮金次郎も小田原出身なんです。二宮金次郎って本を読んでいて、勤勉の象徴だから小学校に銅像がありましたよね。あれ、上手に休養をとっているなと思ってるんですよ。
なぜかというと、彼は歩いているから「運動タイプ」ですよね。それで、山へ芝刈りに行く時に本を読んでますよね。娯楽をしてるんですよ。彼は好きだからやってるわけですよね。
長野:さっきの「インプット」に近い。
片野:そうですよね。好きなことをやっているから疲れないんですよ。運動もしていて、毎日山に行っていれば、行く道すがらで近くの人と会話もすると思うので、親交もあるんですね。ですから、彼は別に勤勉でもなんでもないと思っていて。意外とリラックスしていて、休養の象徴だと私は思ってるんですね(笑)。
長野:(笑)。
片野:本人はコントロールをしながら、インプットもしていて、リラックスもしている。最上のことで言うと、ちゃんとお仕事とは一定の距離もとりながら過ごしていたんだろうなと思っているので、休養の象徴だと思ってます。
お答えになってないかもしれないんですが、ある一定の距離もそうですし、コントロールもしながら娯楽をとっていただくことがいいと思います。ゲームに没頭しすぎてやめられなくなったり、携帯がやめられなくなるというのは問題だと思います。
長野:二宮金次郎の時に「ちょっと話が逸れますよ」っておっしゃったじゃないですか。「二宮金次郎、実はリカバリーウェアを着てたんじゃないのか?」みたいな話をするんじゃないかと思ったんですが、そういう話ではなくてよかったです(笑)。
片野:当時もあればよかったです(笑)。
長野:「全部そっちにつながるんかな」とか思ったりしてました(笑)。そうしたらお時間がきましたので、これにて『休養学』の刊行イベントを終了したいと思います。みなさんありがとうございました。
片野:ご参加いただきまして、ありがとうございました。
(会場拍手)
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