富山県南砺市の「エコビレッジ構想」

佐々木大輔氏(以下、佐々木):田中市長はいかがですか? 具体的にどんなビジネスモデルをやっていくことで、お金が回る仕組みをつくれるとお考えですか?

田中幹夫氏(以下、田中):先程からワクワクっていう言葉、いいですね。キーワード、ワクワク。本当にワクワクした地域を作っていこうというふうに思っています。実を言いますと今、15年くらい前に起業したアニメ制作会社が10年ほど前になんと、田舎に引っ越してきたんですね。

そのときは公共施設から間借りして、そこでちゃんと起業したんですね。これが起業して15年経ったんで、自分の社屋を作りたいと。小さな溜め池の周辺に、本当に辺ぴなところに今、建てようとしてます。

そこにクリエイターを集めようよっていうので、新しいプロジェクトを立ち上げて、6人くらいで始めたのが15年で、今は60人くらいのアニメーターが集まって、そこに住んでいます。空き家を借りて住んでいますし、アパートをつくって住んでますけども。

そういう場所ができてきたので、そこに改めて映像コンテンツだとか、さまざまなクリエイターが入れるような場所をつくりたいというふうに思ってます。そしてそこに入った人が単にそこに入るんではなくてですね。

そこに住みながら半農、もしくは半林っていうんですかね? 荒廃した林業をしたり、耕作をして農業も若干やったり、空き家を使ったり。その地域にある資源をフルに活かして、こういう暮らしを提案できるだろうというのを、もう事前に我々も見せられるようにしてですね、これエコビレッジ構想と言ってるんですけど。

そういう暮らしの中で、例えば木質ペレットをつくる小さな工場があるので、そこに住むと燃料は全部大丈夫です、農作物も大丈夫ですっていうようなところをちゃんとベースに入れて、そしてクリエイティブな仕事ができるような場所をつくろうと思っています。

今、大分進んではきているんですが、これもさっき言ったように、はっきりまだ言えないところがあるもんですから、来週あたり言おうかなあと思ってるんですけども(笑)。

(会場笑)

そういう形で今、大体200人ぐらいのクリエイターに、そこへ住んで頂こうというふうなプロジェクトをスタートさせています。

佐々木:なるほど。やはりこう、いかに人を集めるか、お金を集めるか。そしてそこに地域ならではの、何か味つけっていうんですかね? そういったものをどう加えていくのか? その辺りがやはりビジネスモデル、これでいうとカギになってくるのかなとは思います。

IT活用で東京と地方の利益格差が埋まる

佐々木:その一方で、次のトピックとしてですね、IT。こういったIT活用っていうのは、地方支援に役に立つものなのか? このIT自体で地方が儲かる仕組みをつくっていく上で、どのような役割を果たしうるのか、といったところを話せればなと思うんですけれども。まずは木下さんから、どう思われますか?

木下斉氏(以下、木下):はい。極めて重要で、1個はやはりマーケットに対して、どこにいてもアプローチできるってのはすごい重要で、我々がさっき言った、改修した店舗に入ってこられた方っていうのは、東京からUターンで戻られる方が結構いらっしゃる。

そういう方は元々東京でも、結構一等地でお店をやられていて、でも売上の半分は元々ネットって方が結構いらっしゃるんですよ。

そしてお子さんが生まれたとか、そういう契機でご実家がある地元に帰ってきてやったときに、半分は実店舗で回して、人件費と高い家賃を払って東京でやってたんですけど、それがもう地方に行くと急激に安くなる。

さらには在庫のストレージポストがすごい安くなるんですよね。倉庫が安く借りれたりするので、そういうネット側の売上でやっていくと、実は利益ベースでは東京活性地域とあまり変わらない。

あとは地方と海外の買い付けとかをされる方とかだと、地方、島根には半年いて、もう半年間はアメリカにいるとか、そういう人が結構今おられる地域が増えてきていまして。

まずエンドにアプローチがどこにいてもできるっていう意味では、東京にいなきゃ東京の証券が握れないとか、どっかにいなきゃどこの証券にアプローチできないっていう、物理的制約を越えてるっていうのが、すごい大きいなと。

バーチャルな人手の活用で、プロジェクトの推進速度が上がる

木下:もう1つはやっぱり最初、地方のプロジェクトについて我々は、スタートアップは本当3人とか5人ぐらいからスタートしていくんですけど。少人数でいろんなことを効率的にやる意味においてはすごい大切で。

いろんな書類をいちいち紙で残してたりとか、書いてあるのにいちいち集まんなきゃいけないとかってやっていたら……例えば、どこかの地域でやるときに、他の地域にいるこういう専門の人たちに、声をかけて一緒にプロジェクトをやろうってできなくなっちゃうんですけど、それができる。

そうすると従来みたいなフルタイムでずーっとこのオフィスにいてもらわないと業務ができない状態から、細切れのですね「奥田さん、ちょっと1週間に20分だけ時間ください」ってことができるわけです。

それで協力をしてもらう人たちが増えてくると、最初3人から5人ぐらいの少数でスタートしていって、ある程度お金が回ってきたら、ちゃんと雇用をそこにつけていくみたいなことができるようになってるっていう意味では、初期段階でもすごい効率的ですよね。

まさに数字を扱うような記録を残していったりとか、申請常務とかっていうのもどんどん簡略化されると、地方でより人手がなくても、1人が2人分3人分、地域外にいる人の力も借りれるようになるっていうので、すごい活用させてもらってる、っていうのはあります。

佐々木:バーチャルな人手が増えるっていうことですか?

木下:そうですね。だから定住でもない、移動でもない、さっきの交流人口でもない、中間ですね。時々来てみたりとか、ネットでコネクトされてる方々の人口数がすごい増えるっていうのは、我々のやってるプロジェクトでのメリットはめちゃくちゃあります。

佐々木:そうすると地方創生に重要なことっていうのは、都会と地方の差をなくしてしまおうと。それにおいて、電子化っていうのは、1番大きな役割を果たせるんじゃないかなっていう。

木下:それはすごい重要で、めちゃくちゃ優秀な方をフルで地方に1年持ってこようっていうのはハードルが高いので、まずはさっきの細かな時間とかで関わってもらうだけでも、すごいプロジェクトが前にいくっていう。

佐々木:そのためには、すべてが電子化されていって、現実的に何かしなきゃいけない、物理的に生まなきゃいけないことをどれだけ減らせるかっていうのは、1つカギになってくるんじゃないかな、と。

ITが地方の特性とマッチして生まれるイノベーション

佐々木:一方で神山町の経験からいって、大南さんのITから地方支援にはどう貢献できるのか、どのようなお考えですか?

大南信也氏(以下、大南):そうですね。神山は2005年ぐらいから、全町圏に光ファイバーなんかも全部敷いているわけですので、インフラは整っとるわけですよね。ところが、インフラが整っとるから、いろんなことが起こるか言うたらそうでもなくて。

僕自身がITの皆様に1個期待することは、やっぱりITの皆さんが持っておる異質の目やと思います。先程平副大臣が仰られていましたけれども、例えば神山にできておるWebのデザイナー、大阪からきておるわけですけども、その人は杉を使ってタンブラーをつくったわけですよね。

普通神山の木材を知っとる人間だったら、「杉は柔らかいからタンブラー、薄く削れば壊れるよ」っていう固定観念を持ってるわけですよね。ところがその人は特殊なウレタン加工をすることによって、非常に強固なグラスを、グラスっていうかタンブラーつくりました。

それとか例えば、神山でビストロを運営しとる人がおるんだけども、その人の元職はAppleです。そしてその人のところに、Airbnbをやっとるわけですけれども、去年の12月の末にAmazonの本社、シアトルから泊まりにきたっていうようなことがあるわけですよね。

だからそういうように、ITを使いきるような人材が、地方に入ってくるとか。だから、そういうような使い方を教えてくれるっていうのが、今地方にとっては1番助かるんではないかなというような気がしています。

佐々木:IT人材がITに入ってくる仕組みをつくる。そんな魅力をつくっていって、そうすると、地方特有の課題とマッチしてイノベーションが生まれる、こういった流れが起こっているんですかね?

地方の価値を再発見する「自治体特選ストア」とは

佐々木:田中市長、ITの活用についてはいかが思われますか?

田中:はい。地方、過疎、離島も含めて、そこにこそICTが必要なんだと思いますし、そこでだからこそ使わなきゃならないんだと思っています。

わたくしも実例で少し説明しますが、わたくしのところでは伝統工芸として井波の彫刻っていうのがありまして。木彫りの彫刻があったり、五箇山の和紙があったり、城端のですね、まあ岡山には世界遺産がありますんで、和紙なんかあったんですけれど、それと城端の絹織物。

こういうものを我々が見ていると、元々紙じゃないか? とかしか分からないんですけども、やっぱり東京からきた人たちがいろんな使い方をやるんですね。紙で帽子をつくったりですね、(名刺入れを手に取り)この名刺入れなんかも結構染めを入れて、デザイン的にも非常に素晴らしいことをしたり、いろんなものが生まれ始めています。

そこで全国の15自治体でですね、自治体特選ストアっていうのを店だけネット上でつくって、そこへどんどんそういう新しい商品を並べてもらって、それを売っていくっていうのを今、実践的にやってます。

3年前からはじめたんですけど、24年度が100万、95万くらい。25年度が500万くらい。26年度近々の3月で切ったら、大体770万ぐらい売り上げてるんですね。来年の27年度、今年度ですね、1000万くらいこういうものを並べて売り出そうかなと思って。

これは多分、そういうことでビジネスが生まれてくるだろうし、新しいアイデアをそういうことで関連してくる人たちが、また新しいものをつくっていくっていうものに今、繋がってます。

いろんな意味で福祉とか子育てとかにもICT、地方だからこそ必要なんです。平先生にも医療でも福祉でも、これからどしどし使いやすいように、ぜひこの場をお借りしまして、お願いしてよろしいでしょうか?