ネットメディアは既存のコンテンツを吸い尽くす?

藤代:今回このモデレーションをやるに当たって「どんなことをみんなに聞きたいですか?」と知り合いに取材をしたんですけど、メディア関係者から一番大きくあったのが、ネットが既存メディアのコンテンツを吸い尽くしているんじゃないか、ということです。

ネットは自由に書けるようになった反面、雑誌や新聞に比べると原稿料が安いんですね。つまり、スマートニュースは既存メディアが掘った井戸を横から抜いてやってるんじゃないか、このままでは良い書き手がいなくなって、井戸が枯れてしまうのではないか、というような話があったと。

ヤフーは個人に対して開かれ、還元率も増やすると言ってましたけど、スマートニュースさんのチャンネルってメディアにしか開かれてないんですよね。

松浦:それで言うと、はてなさんのチャンネルプラスがあります。

藤代:僕もブログははてなで書いているから、はてなチャンネルプラス経由で出せるってことですか?

松浦:そうです。

藤代:出せるの?

松浦:はい。はてなさんのそのブログとかっていうのを、はてなチャンネルプラスで、出させていただいています。ある意味、はてなさんっていう世界観のパッケージをSmartnewsのチャンネルプラスで今お届けしてる、っていう切り口になります。

メディアさん中心ってかたちでチャンネルプラスとかもですね、今幾つもやらせていただいておりますが、この12月1日とかでも、新しいメディアさんのチャンネルプラスを発表させていただきましたけど、メディアさんに限らない形でも、全然個人の発信的なとこも考えてないわけではなく、今後いくつか展開していければと思ってます。

藤代:じゃあヤフー個人もチャンネルを作ったりみたいなこともできるかもしれない?

松浦:そうですね。ヤフーさんがうんって言ってくれれば……(笑)。

NewsPicks利用率調査

藤代:えっ、そっち?(笑) 佐々木さんのとこは全然違うアプローチのような気がするんですけど、NewsPicksの独自コンテンツを書かれてる方は、どんな方なんでしょうか。あ、その前に会場の皆さんにニュースピックの有料課金利用者がいるか、ちょっと聞いてみましょうか。

佐々木:いないと思うな、あんまり……。

藤代:なんかいきなり弱気になってますけど(笑)。

佐々木:まだダメですから……。

藤代:みなさんいかがですか? NewsPicksで課金をしてる?

佐々木:まずユーザーの人聞いてください。ユーザーの方。

藤代:ではNewsPicksのユーザーの方? すごいですよ。

松浦:これはあがるな。

藤代:メチャクチャ多いですよ。じゃあ、課金している方? おっ! いました。

佐々木:ちょっと目立つぐらいですよね。だからまだダメってことですよね。

藤代:なるほど。

佐々木:もっと拡大しなきゃいけないということで……。

日本には経済を深く分析した記事がどこにもない

藤代:有料にするんだからもちろん差がないといけませんよね。ヤフー個人さんとか、スマートニュースに載っているコンテンツじゃないものを有料で出していかなければいけない。そこはどういうふうに差別化しているんですか?

佐々木:そこにしかないものを作るしかないっていうことで、我々なんかが今キーワードとしてあげているのはグローバルなところと、あとテクノロジーとかそういったとこに詳しい話と、あとプロフェッショナルなコンテンツというところですね。

今はまだ強化が十分じゃないんですけど、今後は例えばアナリストとか業界分析とか、そういうプロフェッショナル的な、本当に深い分析記事、そういったものを増やしていきたいなと思っていて。日本ってやっぱ経済記事とかでも、速報とちょっとしたインタビューとかはあっても、深い分析記事ってほとんどどこにもないんですよね。

藤代:なんかその辺でピリピリしてる人がいるような。(会場の)前のほうで…。

佐々木:いやいや、私自身への批判も込めて言ってるんで。本当ないんですよ。そこがあれば欲しいっていうニーズは結構聞いていて、けどまだ我々は十分に提供できていない。

こういうところを埋めていったり、あとグローバルっていうことろでは、今、例えばニューヨークタイムズとかいろんなところの翻訳をやっていて、MITテクノロジーレビューとか、ブルームバーグとか、どんどん増やすんですね。なのでクーリエジャポンのビジネス版のデイリー版みたいな感じで、NewsPicksを読んでおけば世界の最先端の動向が日本語でなんでも読める、みたいにしていくとか。

藤代:なるほど。

佐々木:あと有料会員優先の優待イベントみたいのを、これからどんどんどんどん作っていて、コミュニティでもどんどん参加できるみたいなことをやったり、今回もし好評であれば、紙も1回じゃなくして定期化していって、有料会員だけで何か特別に送っていったりとかもすべての組み合わせですね。それ以外にもおもしろいこと考えてますけど、今は言えない状況ですね(笑)。

松浦:いやいや(笑)、そのフリだったら言ったほうがいいですね。

佐々木:いやー言えないですね。怒られますから(笑)。

日経新聞 vs NewsPicks にはならない

藤代:でも日経新聞のマーケットがあって、NewsPicksってそこと勝負してると思うんですけど、日経って、一応僕の考えですよ。皆さんもどう考えているかちょっとわからないですけど。

日経ってたぶんメディアの世界で最も優れた有料コンテンツモデルになっていて、4,000円近い月額課金が、今35万人ぐらいでしたっけ? これだけ取ってるのって、実は世界的に見ても、ないんですよ。

いろんな欧米のメディアが(コンテンツ)課金に挑戦してますけど、ニューヨークタイムズとかもね。日経新聞は世界でNO1。まずお金が4,000円でNO.1に高くて、かつボリュームもすごく大きい。で、それでいいじゃんとかいう話にならないですか?

佐々木:それでいいじゃんってどういうこと?

藤代:NewsPicks取らなくていいよって。

佐々木:あっ、それはもうニーズとしてあるでしょうね。

藤代:認めちゃうんだ、そこ。

佐々木:いやいや、そこはなんかガチンコの競合と思ってないので、別にそこは補完関係で両方取ってくださってもいいですし。けど、日経新聞にあんまり満足してないけれども、他に代替がないって人を、結構私は聞くんですよ。その受け皿にまだ我々はなり切れてないので、それになり切れるぐらいのパワーを早くつけなきゃいけないなと思ってます。

藤代:瀬尾さんが何か言いたいみたいです。

瀬尾:たぶん佐々木さんはちょっと上品に言ってるんだけど、簡単に言えば、日経に書いてあることって結局速報なんですよね、基本は。そこから深い分析がないから、NewsPicksとかでチャレンジしているのは、それでインサイトをつけようって話なんで、決して対立するもんじゃないですよね。

藤代:なんでフォローしているんですか。

瀬尾:いやいや(笑)。

藤代:なんか歯切れが悪いな(笑)。

荒れる? 荒れない? コメント機能との向き合い方

藤代:あとコメントって言うのもすごく、NewsPicksの特徴だと思うんですけどどうお考えですか? 最近似たようなサービスを出した方が、このステージ上にいらっしゃいますが……。

佐々木:あれは、非常に強いコンテンツになっていて、かつ我々の強みは炎上しないことかなと思って。

藤代:そうですか? なんか……。

佐々木:あんまりしないですよ。

藤代:炎上してる気も……。

佐々木:いやーけど、ほとんど頻度は少ないとは思います。やっぱり基本的に実名にしてるのと、あとコメント1回しかできないので、そこで変な議論の応酬にならないっていうか。

藤代:なるほど。コメントつけられた次にコメントつけて、またつけるみたいことがないよと。

佐々木:そうですね、そこがいいところかなと思ってますけれども。

藤代:なるほど、最近、オーサーコメントを始めたヤフーさんは?

片岡:12月1日から始めさせていただいたんですが、これは、オーサーの皆様の活動範囲を広げるっていう目的もあるんですが、ヤフーニュースで見た記事そのままだけだと、やっぱりユーザがどう読み取るかっていうのは足りない部分が、瀬尾さんおっしゃられた通りにあるんですね。

そこをオーサーのさまざまな意見で、フォローしていただきたいというのと、昔から僕たちはユーザのコメントもやってまして、荒れることもあるんですが、多様性というのはインターネットの本質だと僕は思っています。

パトロールも24時間やっているんですが、ユーザによるコメントがまずあって、加えて専門家っていう組み合わせが、記事に付加価値をつけて、ユーザに届けられるかなと思ってやり始めました。

藤代:ニュースのところにコメントを書くと、ニュースの記事の下の方にオーサーのバッチがついてコメントが表示されるっていう形をヤフーさんがつい最近始められたんですね。いまの流れとして、ユーザーさんの力やソーシャルメディアの力を使ったモデルが多いと思うんですけど。スマートニュースの場合は、ピックアップすることには使ってるじゃないですか。

松浦:そうですね。ソーシャルのパワー、エンゲージを。

藤代:コメントをつけたりとかそういうのはない?

松浦:もちろん拡散するためにTwitterさん、Facebookさん、あとLINEさんのボタンっていうのをつけてどんどん情報が再度、拡散するっていう機能もありますし。

実際、ここにいらっしゃる皆様も、もしかしたらそれほど実感ないかも知れませんけど、我々的にはそういうちゃんと再拡散の役割も、数字を見ている分には果たしているのかなと思います。

LINEさんの情報再拡散機能だとどうしても可視化できないところとかあったりで難しいんですけど、その部分でも多くの皆様にもお使いいただいてるかなっていう実感があります。今時、ソーシャルメディアに対する気持ちをコンテンツに入れて作られている方々が多いですし。

特にここ1、2年、コンテンツがソーシャルのエンゲージメントによってどんどん旅立っていくなっていう、意識されて作られたウェブメディアのコンテンツが更にパワーを持ってくるかなっていうのも、実際に送り届ける側からみても思うことがありますね。