たとえ室内にいても、日焼け止めは塗ったほうがいい

マイケル・アランダ氏:よく晴れたすがすがしい秋の日に、窓辺に腰かけて外を眺めるのは、とても気持ちが良いものですね。ところで、次にそんな機会があれば、皮膚へのダメージ防止のために日焼け止めを塗ったほうがよいかもしれません。

日光は、さまざまな波長の光でできています。紫外線などの人の目に見えない光は「UV光」とも呼ばれ、持っているエネルギーによって3つのタイプの等級に分けられます。これらの光が透過できるものは、大気圏から今回の話題であるガラスに至るまで、持つエネルギー量によって異なります。

UVCはもっとも高エネルギーですが、大気圏のオゾン層でブロックされます。UVCが持つエネルギーがオゾン分子を分解するぎりぎりの量であるため、オゾン分子の結合を分解することでエネルギーを使い切り、大気圏を透過できないのです。

UVBは、エネルギー量でいえば中程度です。UVCもまた酸素とオゾンを分解します。ほとんどがこうして酸素とオゾンに吸収されますが、一部は大気圏を透過して地表に到達し、人間の皮膚にも届きます。UVBは人間の皮膚に影響を及ぼし、皮膚細胞のDNAを傷つけて日焼けを起こします。

「UVA」も「UVB」も、人間の体にとっては有害

UVAは3種の中でもっとも低エネルギーです。だからと言って、油断は禁物です。UVAは波長が長いため、酸素や水など大気圏中のほとんどの分子を容易に透過します。

つまり、UVAはほとんどが人間に届いてしまいます。このように、UVAは減衰されずに届くため、UVBと異なり皮膚の深部にまで到達し、真皮に作用しダメージを与えます。

要するに、UVAとUVBはどちらも有害です。それぞれの作用は微妙に異なりますが、細胞の中枢部を分解し、皮膚がんのリスクを高め、老化を早めます。

しかし窓を隔てることにより、少しはこれらの波長の紫外線を遮蔽できます。ガラスは不純物が多いため、UVBが吸収されやすく高いUVB遮蔽力を持ちます。

飛行機や車の窓ガラスには要注意

日光が照射したガラスが熱いのは、不純物に吸収されたUVBが熱として放出されるためです。日焼けを起こす主原因はUVBであるため、よっぽど長時間日光を浴びるのではない限り、ガラスを隔てることにより日焼けを防ぐことができるのです。

しかし、注意するべきことは他にもあります。残念なことに、皮膚に有害なのはUVAも同じです。UVAは分子を分解したり干渉したりできるほどのエネルギー量を持たないため、通常のガラスは透過します。そのため、皮膚に届いてダメージを与えます。

しかし、UVカットフィルムが貼られたガラスであれば、暗い色素に吸収されて透過できずにブロックされます。しかし、飛行機や車などのほとんどの窓には導入されていません。

そのため、皮膚科医をはじめとする医師や医療機関は、屋内でも日焼け止めを塗るよう提唱するようになりました。世の中には高い機能を誇る窓もありますが、アドバイスには従った方がよさそうです。