2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
リンクをコピー
記事をブックマーク
宮田大介氏(以下、宮田):改めて今も、(『moon』を)Switchでプレイしてるんですよ。
倉島一幸氏(以下、倉島):ありがとうございます。
宮田:すごいキャラクターが続々出てくるじゃないですか。
倉島:また声の「わにゃわにゃ~」みたいなのが入るとおもしろかったりとか。あと工藤(太郎)さんとか木村(祥朗)さんとかが……木村さんっていうのは今、一緒にオニオンゲームスでやってる人なんですけど、そういう人がキャラのセリフつけたりとか。自分では思ってなかった「こういう声だったんだ」とか、命を吹き込んでくれることによって、さらにおもしろくなっていって。
宮田:世界ができてくる。
倉島:だからそこは、ただ自分でポストカード描いてるだけだと、それで終わっちゃいますからね。さらに倍増してくれる、いい仲間がいてよかったなと。
宮田:そこは仲間との刺激が大きいんですね。
倉島:うん、うん。だから作っててやっぱり、できあがってきたものを見てさらにテンションが上がったり。
宮田:で、また描いて、みたいにされて。
倉島:相乗効果でしたね。
宮田:それこそ、縛られるのが大好きな「ポッカ」みたいなキャラクターとかもいるじゃないですか(笑)。
倉島:そう。あれもだから、木村大先生ですけど。最初は普通に歩いてる、ああいうキャラを描いてたんですけど「まさか縛られるのが好きなキャラにするとは」って(笑)。意外でしたね。しかも動かねぇんだ、これ。8方向、(グラフィックのデータを)全部持ってるのにって。
宮田:ずっと縛られたままですもんね(笑)。
倉島:笑いましたけどね(笑)。
宮田:そんなキャラクター、今まで出てきたことないじゃないですか。ゲームの中に。
倉島:そうそう。だから「こうくるか!」っていうのがおもしろいですね。
宮田:なるほど、そこはじゃあ木村さんとか、仲間の人たちとキャッチボールする中で生まれてくるものがやっぱりあったんですね。
倉島:そうですね。「こいつをこう使うか!」っていうのはおもしろかったですね。
宮田:太って出られなくなったバーのママとかも。
倉島:あいつもだから、普通に全部方向持って。「歩いて」「会話して」とかって全部持ってるんだけど「閉じ込めたか!」と(笑)。
宮田:(笑)。そういうふうに設定が作られていくわけなんですね。
倉島:あと動かすのが面倒くさかったんですかね、たぶん(笑)。
宮田:(笑)。なるほどですね。
倉島:キャッチボールですね、だから。
宮田:そうですね、おもしろいですね。ああいうインスピレーションの根っこって、さっきの安室ちゃんみたいな話はあったんですけど、どう出てくるんですかね?
倉島:何だろう……でもあの当時は、影響受けて絵を描いてたのは、見てわかるかもしれないですけどティム・バートンとか。『ナイトメア』とかが好きなスタッフと、「ジャックみたいな感じ」とかっていうのをやったり。あと僕は水木しげるが大好きなので。
宮田:あ、そこなんですね。
倉島:わりと妖怪系なのは、ちょっと水木しげるタッチに寄ったりとか。やっぱり昔好きだった『ガンダム』とか『マジンガーZ』とか、そういうのもちょろちょろ影響を受けてたりとか。あと何だろう……。
宮田:『スター・ウォーズ』とかも、けっこうお好きですよね。
倉島:『スター・ウォーズ』も大好きで。そう、工藤さんと私が『スター・ウォーズ』担当で。
宮田:『スター・ウォーズ』担当(笑)。
倉島:ペプシのボトルキャップとか並べてましたけど、そうですね。『スター・ウォーズ』のネタとかも、ちょっと織り交ぜたりとかして。
宮田:あの太った人とか「ジャバ・ザ・ハット」の影響があるのかな、みたいな(笑)。
倉島:あれはね、うちのお袋が長野県の松本市で飲み屋やってまして。あんなに太ってはいなかったんですけど、でもなんかあんな雰囲気の飲み屋さんで。カウンターだけの飲み屋さんでやってたから、たぶんそれがちょっと。
宮田:母のイメージの投影とかあるんですね(笑)。
倉島:怒られちゃいますけどね(笑)。ちょっとあったかもしれないです。
宮田:(笑)。じゃあけっこう身近なものとか、見ているものとかがインスピレーションのエッセンスになって。さらにそれが仲間と話していく中で作品に昇華していく、みたいな感じなんですかね。
倉島:そうですね。
宮田:ご自身の中でも、今までの作品の中だとやっぱり『moon』が一番思い出深いですか?
倉島:『マリオRPG』『moon』は、わりと並ぶくらい思い出深いですね。
宮田:なんか、青春じゃないですけど。
倉島:うん。若くて生意気で、合コンばっかりやってましたけどね。
宮田:そうなんですか(笑)。
倉島:今「合コン」って言っても通じないんですよね? あんまり。
宮田:そうなんですか? わかるんじゃないですか、さすがに。男女が仲良くする感じですよね。
倉島:合コンをしなくなったと聞きますよ。コロナっていうのもありますけどね。
宮田:今の話の流れ的に、青春で「モノづくり一つでした!」みたいな話だと思ったんですけど、けっこうみんな遊んだりもしてたんですね(笑)。
倉島:そうですね。ほとんど遊んでたから……だから当時クラブに行ったりとかして、今でも木村さんに言われますよ。木村さんはわりと朝から晩まで働いて帰っていくタイプなんですけど、ほかのメンバーはね、夜中になると六本木とかでクラブに行って。「クラブ・テクノ」って『moon』の中にも出てくるんですけど、ああいうようなところに行って、踊っちゃあ朝方まで遊んで。会社来るのは(昼の)2時とか、そんなめちゃくちゃな。
宮田:(笑)。本当にバンドに近いですね。
倉島:めちゃくちゃでしたね。今だったら有り得ないです。
宮田:なるほどですね。でもおもしろいですよね、それでモノづくりして成果が出てくっていうところに関しては。
倉島:いや、でも結局、危うかったんですよ。そんなことやってばっかりいたから、延びて「ちょっと完成しねぇかな」っていう時に、今の木村さんっていう人が……その時はどこか海外旅行行ってて。僕同期で、一緒にスクウェアにいたんですけど。
そいつももう辞めて、最初はラブデリックに誘ったとは思うんだけど、一人でペルーだかどっかに行って。「もうどうにもならんから助けてくれ」って言って、帰ってきてもらって(笑)。で、途中参加でまとめてもらったんですよ。まとめ上げてくれて、それでなんとかできたんですよ、『moon』は。危ねぇとこだったんです。
宮田:なるほど(笑)。じゃあそのまま完成せずに遊んでしまってるパターンもあるんですね(笑)。
倉島:まぁねぇ。だから遊びすぎもどうかと思います。
宮田:若い人で集まって会社をつくったら、なかなか難しいですよね。資金繰り的な大変さとかもたぶん、本当はいろいろあったんですよね。
倉島:ダメ、ノリだけじゃダメ。ちゃんとやんないと。
宮田:(笑)。そういったので生まれてきた作品なので「もう一度やれ」って言っても作れない作品ですよね、これは。
倉島:そうですね(笑)。
宮田:(笑)。
伝説のRPG『moon』のイラストレーター・倉島一幸氏、登場 同氏が語る「九死に一生を得て感じたクリエイターの生き方」
『マリオRPG』は当初、マリオが鎧を着る“王道RPG”だった? モンスターデザイン統括・倉島氏が語る、開発当時の思い出
『マリオRPG』に散りばめられた、制作者の“任天堂作品への愛” 「ほとんどずっとゲーム作ってましたけど、幸せでした」
『マリオRPG』で成果を出した倉島氏がスクウェアを辞めた理由 「バンドみたいに集まって、尖ったもの作ろうぜ」の口説き文句
伝説のアンチRPG『moon』は発売できるか危うかった? 制作スタッフが発した「どうにもならんから助けてくれ」のSOS
のちに「ラブデリック系」と評価される、挑戦的ゲーム誕生の背景 「サッカーが流行ってるから、サッカーゲームを」ではない発想
35歳で脳を手術するも「あと1週間遅れてたら、手遅れだった」 “九死に一生”で考えはじめた、クリエイターとしての生き方
「『簡単にフリーになって、自由にやりなよ』とは思わない」 “好きな時に、好きなことができるようになるため”の心構え
「調子こく時期は大事」「つながりは大切で、不義理はアカン」 振り返った時に後悔しない、クリエイター人生を歩む秘訣
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.21
40代〜50代の管理職が「部下を承認する」のに苦戦するわけ 職場での「傷つき」をこじらせた世代に必要なこと
2024.11.20
成果が目立つ「攻めのタイプ」ばかり採用しがちな職場 「優秀な人材」を求める人がスルーしているもの
2024.11.20
「元エースの管理職」が若手営業を育てる時に陥りがちな罠 順調なチーム・苦戦するチームの違いから見る、育成のポイント
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.19
がんばっているのに伸び悩む営業・成果を出す営業の違い 『無敗営業』著者が教える、つい陥りがちな「思い込み」の罠
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.15
好きなことで起業、赤字を膨らませても引くに引けない理由 倒産リスクが一気に高まる、起業でありがちな失敗