90日を過ぎると目標設計の精度が急激に落ちる

須藤憲司氏(以下、須藤):はい、次ですね。ようやく本質のところに入ってくるんですけど、「問題設定の質を高める」ということで。みなさんに書いていただきたいのはここですね。

中期的なゴール、要は「2年とか3年先にこういうところに行きたい」とした時に、「90日後、こういう状態を達成していたらきっと行けるはずである」。90日ってミソなんですけど。90日後にこういうマイルストンでできていれば、きっと2年後こうなっているはずだ、というマイルストンを置いてくださいと。

花海志帆氏(以下、花海):なぜ90日なんでしょう?

須藤:なるほど、ありがとうございます。

花海:(笑)。

須藤:あの、「90日を超えると目標設計の精度が急激に落ちる」と言われてまして。これおもしろいんですけど、僕アメリカで経営をやってたんで、例えば面接するじゃないですか。新入社員とか中途採用の面接とかをするんですけど、90日プランって必ず書いてもらったりするんですよね。

要は入社して30日、60日、90日で、90日後にどういう状態目指す、みたいなことを。3ヶ月だと「かなり確からしい達成イメージが湧く」と言われております。

花海:へぇー。

須藤:さらにいうと、これも例えばGEとかの、M&Aとかすごいたくさんやる会社。会社を買収したりする会社も、最初にだいたい90日~100日プランというのを書くんですけど。

花海:へぇー!

須藤:買収した日をDay 0とした時に、Day 1、Day 2、 Day 3って、90日間でどういう状態まで買収後に持って行くか、というのをけっこう練っていて。それの精度がその後のM&Aの成否を決めるって言われてるから、作ってるんですよね。

けっこういろんな巨大プロジェクトも、最初の90日がその成否にかなりの影響を及ぼすって言われてまして。なので、90日って実はけっこう大事なんですよ。

事業課題もダイエットも一緒の考え方

須藤:なんとなくわかると思うんですけど、例えば「ダイエットしよう」。

花海:はい。身近ですね。

須藤:そう。半年後の目標はけっこう難しいんですけど、3ヶ月ならなんとなく想像できません?

花海:あっ、そうですね。3ヶ月、例えば夏から冬にかけてとか、タームで考えられますね。

須藤:今だと11月の終わりじゃないですか。12月、1月、2月の3ヶ月だったら、「なんとなくこうだな」ってリアルに想像つくじゃないですか。実は90日で大事なのが、「そのマイルストン、本当に90日で達成できますか?」というのも大事で。

花海:はい。

須藤:例えば「今から体脂肪率を10パーセント落とします」とか、そんなん無理に決まってんじゃん、みたいな。

花海:(笑)。

須藤:わかりますかね。そのマイルストンが、本当に達成できるマイルストンで置けることもすごい大事で。要は実現可能で、かつ最も効果的な目標を置く、というのがこの90日マイルストンのキモなんですよね。

花海:ぜひね、みなさんもこの90日マイルストン、3番目と、4番目の「真の課題とアクションプラン」、考えてみていただきければ思います。お手元にちょっと、自分の事業内容を書いていただければと思いますが。

須藤:そうですね。90日のマイルストンを書くと、だいたい課題って出てくるんですよね。なので、「ここまで行きたいな」と思ったら「たぶんこういうことしないといけない」って課題が出てきて、そのためにアクションプランを書く、という。そんな感じなんですよ。

花海:書き方わからないなと思ってる方も、ワークショップに関する質問もお待ちしておりますので、ぜひタイムラインから教えてください。

ツジさん、「学んだボタン」を使っていただいて。「ポストM&Aも90日までの計画を重視するんだなぁ」ということで。

須藤:そうです、そうです。

今の食生活がわかると、目標体重まで至る道のりが見えてくる

花海:アオキさんから、「まさにダイエット中なのでわかりやすいです」というコメントをいただきました(笑)。

須藤:ありがとうございます。僕もダイエットしたいといつも思ってるんですけど、90日後のゴールが描けなくて達成できないんです。

花海:(笑)。お仕事、経営者をされていない方でも、このワークショップの「90日改善計画戦略マップ」を使って、ダイエットを成功させるのもおもしろそうですね。

須藤:あぁ、ぜんぜんできると思います。今の事業構造は「毎日どんな飯食ってるか」とか、「どんな生活をしてるか」という絵を描いてみるじゃないですか。中期的なゴールで「なんかわかんないけどすごい体になってる」みたいなことを置くじゃないですか。そうすると、今の生活からそこに行くのに、90日後どこまでいくと行けんのかな、って考えるわけですよね。

花海:うんうん、確かにわかりやすいですね。

須藤:はい。そうすると真の課題が出てきまして。例えば「夜のラーメンは絶対にディフェンスしなきゃいけない」とか。そういうことになるわけですよね。

花海:(笑)。確かに、真の課題ではありますね。ついつい食べたくなっちゃう。

須藤:そうですね、「飲みに行ったらご飯はダメだ」とか「シメはやめよう」とかですね。そういうことなんですよね。

花海:なるほど。確かに自分事だと本格的に考えられるんですが、自分の仕事、事業となるとなかなか、目を背けたくなるというか。考えられない、って感じはありますね。

事業が成長していない会社は「あの人は仕事ができない」 と内側を見る

須藤:そうなんです、そのとおりなんです。みなさん書きながら聞いていただければと思うんですけど……実はこれをやると、自分の考え方の中のバイアス、要は偏見みたいなものですよね。考え方のクセがみんな、それは誰しもあるんですけど、あることに気づきます。僕が見てきたバイアスって、4つぐらいに分類されていてですね。

1個は、「組織のバイアス」ってあるんですよ。組織内の、例えばコミュニケーションが良くなくて、チームの雰囲気が悪いとか。「あの人は何ができない」、ケイパビリティとか、要は能力の話ですね。「あの子が何ができないからちょっと足手まといだ」とか。

こういう組織の問題に、めちゃくちゃ目が行く人いるんですよ。これって、実は事業が成長してない時にすごい起きがちなんですけど、やっぱみんな「内」を見ちゃうんですよね。

花海:あぁー、確かに。

「人がいなくて」「予算不足で」 その課題設定は正しいのか?

須藤:そういうふうになるケースもありますし。それから「リソースのバイアス」というのもあってですね。例えば「予算がないからできません」「人が足りないからできません」「本当にそれが問題なんですか?」って。例えば無限にお金と人がいたらそれって達成できるんですか、っていうと「うーん、できない」。だとすると、それってリソースの問題じゃ、実はないんですよね。これもよくありがち。

花海:確かにあります。働いていても「こんなに仕事がいっぱいあると、いろんなことができないです! 人足りないです! 採用してください!」って言う人けっこう、私も含めてそうなんですけど。実際に「人がいなくても業務改善してね」って言われると、あぁそうだったかもしれない、と。

須藤:そうですね。だから実はその問題に向き合う時に、「これが問題だ」「あれが問題だ」という時って、「じゃあその問題クリアしたら絶対達成できるんですか?」って言うと、そうじゃない問題にみんな気を取られるわけですよ。

なんとなく、表現がいいかどうかわかんないですけど、目に映る問題がすごい気になっちゃう、ってことですよね。ハエみたいな感じで。「うわっ」て。

花海:ハエみたい(笑)。