自撮りを平気でアップできるメンタリティ
横石崇(以下、横石):最終的には実力よりも人柄が重要になるという、この吉田さんの話の意図というのは、結局どういうことでしたっけ?
吉田将英氏(以下、吉田):僕も34歳になって、まわりを見ていると、えらいやつはえらい状況になってるわけじゃないですか。フォロワーが2万いたりとか。
横石:あ〜、SNSとかで。
吉田:著書をたくさん出してるとかね。僕の年齢に限らず、僕よりも若い人とかも、そうやってSNSで晒されながらキャリアを重ねている部分があります。
大学生の話でけっこう象徴的だったのが、ボート部の副将がOB訪問に来て「早慶レガッタがんばります」みたいな感じで、「ええやん」と。精悍だし、体もでかいし、明晰に返答するし、就活は大丈夫だと思ったら、「不安で不安でしょうがない」と言われた。
「なんで?」と聞いたら、「僕がボートをこいでる間に、高校で1番仲がよかった悪友が、『Palo Altoなう』とかいって、シリコンバレーでインターンしてるんですよ」と。それがSNS越しに見えちゃって、ボートを漕いでる場合なのかって焦っていると。
横石:僕ね、それが嫌だからTwitterやってなかったんですよ。本が出るので、やむなく先週Twitterをはじめたばかりです。
(会場笑)
Twitterのあの感じってちょっと……。
吉田:そうそう、そうなんです。
横石:リア充というか。
高橋晋平氏(以下、高橋):怖い。
横石:もう魑魅魍魎なものが、日々めちゃ入ってくるわけじゃないですか。あれ、みんな耐えているんですよね?
吉田:僕はちょっと耐え難いわけですよ。もう1個苦手なのが、自撮りが苦手というか、嫌いというか。できないんですよ。自撮りを平気な顔でバカスカあげられる人のメンタリティーが……。
横石:晋平さんの得意なやつ?
高橋:ガン自撮りですよ(笑)。
(会場笑)
吉田:いや、すごいなと。別にバカにしているわけじゃなくて、自分ができないから、「よおチャカチャカ自撮りしてSNSに上げおるなぁ」と思うんです。
高橋:だってイケメンだもん。イケメンは自撮りできない。
吉田:(笑)。
高橋:自撮りズルでしょ?
対面では正直者、ネットでは嘘つき
高橋:僕はイケメンだったらできないですよ。
横石:逆にね。
高橋:そりゃそうですよ。そこがだから「らしさ」。
横石:あ〜、それはあるかも。
吉田:そうなのかわかんないですけどね。これ、そうなんですよ。そういうのを見てると、晋平さんの次の質問にすごくつながってきます。次はまさに高橋さんからの質問で、「ぶっちゃけどうすか?」という話ですよね。
高橋:そうです。まさに僕も、SNSで人の投稿を見るのがすごくつらいんですよ。
横石:ですよね。
高橋:だけど、みんなつらいでしょ? 自分では書いてるけど、人のはつらいじゃないですか。不安になって、僕も目を細めて見てますよ。
(会場笑)
吉田:おじいちゃん(笑)。
高橋:見えないように、早くスクロールして見てます。なんでこれを聞きたかったかというと、自己紹介2.0みたいな「らしさ」の話があるなかで、やっぱりネットでがんばっちゃうじゃないですか。ちなみに僕は、こういう対面で人と話すときってすごい正直者で、嘘つけない性格なんですけど、ネットではめちゃくちゃ盛るんですよ。
吉田:(笑)。
高橋:ほんとうに。めちゃ嘘だらけ。
(会場笑)
横石:例えばどんなのが出るの?
吉田:少々お時間をいただいて、お話しいただけますか。
高橋:そうですね。
吉田:読み出してもらって......。
高橋:やっぱりそれって、私はこうだからという自分らしさに引きずられて、書かされているなとふだんから思っています。結局それを裏切るだけの怖さがないから、僕って体がめちゃくちゃ弱いし、気も弱いし、見た目もこんな感じで弱いから、なんか弱々しいことを書くみたいなことをされてて。カッコイイこととかぜったいできない。
自撮り写真に込めたメッセージ
横石:晋平さんの月曜日の投稿とか、すごく弱っているタイムラインが多いんですよ。
高橋:だって月曜日に「今日もやるぜ、イエ〜イ!」とやったら商売上がったりでしょう。
(会場笑)
吉田:(スライドを指して)こんな投稿もしてますよ。
高橋:これは取材先で。「月曜日の憂鬱はどうやったら解消できるんですか?」みたいな。こういう仕事があって、「月曜日、今日も元気!」とは言えないじゃん。
吉田:(笑)。
横石:ビジネストーク?
高橋:実際はずっとお腹下していた。これは自撮り。
(会場笑)
横石:めちゃくちゃ自撮りしてるじゃん(笑)。ここで高橋さんに質問です。本来であれば、この投稿では「かけアイ」の宣伝をしたかったわけだから、高橋さんの顔と「かけアイ」さえ映っていればよかったわけじゃないですか。でも、なんでこうやっちゃたんですか?
高橋:いや、かわいいから(笑)。
(会場笑)
モテたくてやったんです。
吉田:自撮りを解説されるって死ぬほど恥ずかしいですね(笑)。
(会場笑)
横石:自分の会社名がウサギだから……。
高橋:どんだけ言うの?
横石:そこもアピールしたかった?
高橋:いやいやそうでしょ。会社名がウサギじゃなくてこれをやったら変態でしょう。
(会場笑)
高橋:そうですよ。だって例えばこれがなかったら、これをすごく売りたいゲスいやつじゃん。
横石:あ〜。そのウサギが免罪符になってる。
高橋:こうやったら……。何言ってるの?
(会場笑)
でもそこまで考えてない。こうやったら、なんかこっちが......これだけだと、たぶん、おかしい。たぶん宣伝だもん。こうやると宣伝じゃないじゃん。
横石:そっかそういうことね。自分らしさというのを……(笑)。包んだ。
高橋:このなかのどこが僕らしさ? どこなんだろう?
横石:すごい晋平さんらしい。
高橋:これは「らしい」でしょ? でもモテたいという気持ちが先走ってる。
(一同笑)
結局はそこまで深く考えてない。
横石:写真の中には欲求って書いてたり、メッセージングも含まれている。
高橋:なんだったらさらに言うと、かけアイって、いろんな業種を掛け合わせて、ここに農林水産っていう堅い業種の札が入っているのも計算なんですね。
(一同笑)
吉田:もうめちゃめちゃ考えている。
高橋:だからこのゲームは、わりと考えやすい業種のものだけではないのだよというのを、ここに入れているんです。ぜんぶ計算なんですね。
吉田:こういう計算を……。
高橋:解説させること?
(一同笑)
隠しきれない「モテたい」という欲望
横石:僕のFacebookを見てみます?
吉田:呼び出しますよ。アイコンがまずイラストですからね。
横石:僕はまず、写真じゃないですからね。
吉田:写真じゃない?
高橋:なんでなんで?