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自分らしい「弱み」は、リアルな場だからこそ見せられる SNSに自撮りをアップできる人の不可思議なメンタリティ

2019年5月27日、下北沢の書店B&Bにて「横石崇×吉田将英×高橋晋平『自分らしさの作り方、自分らしさの伝え方。』」が開催されました。ビジネスにおいて「共創性」「越境性」が様々な場面で求められるなか、自分が何者で、何がしたくて、そのためにどんな仲間とつながっていたいのか。また、そういった事柄をどう考えて決めていけばいいのか。ロールモデルはなく、すべては自分次第と言われる現代の「自分らしさの作り方/伝え方」について、ディスカッションが行われました。本記事では「SNSで盛ってしまう理由」について語ったパートを中心にお送りします。

自撮りを平気でアップできるメンタリティ

横石崇(以下、横石):最終的には実力よりも人柄が重要になるという、この吉田さんの話の意図というのは、結局どういうことでしたっけ?

吉田将英氏(以下、吉田):僕も34歳になって、まわりを見ていると、えらいやつはえらい状況になってるわけじゃないですか。フォロワーが2万いたりとか。

横石:あ〜、SNSとかで。

吉田:著書をたくさん出してるとかね。僕の年齢に限らず、僕よりも若い人とかも、そうやってSNSで晒されながらキャリアを重ねている部分があります。

大学生の話でけっこう象徴的だったのが、ボート部の副将がOB訪問に来て「早慶レガッタがんばります」みたいな感じで、「ええやん」と。精悍だし、体もでかいし、明晰に返答するし、就活は大丈夫だと思ったら、「不安で不安でしょうがない」と言われた。

「なんで?」と聞いたら、「僕がボートをこいでる間に、高校で1番仲がよかった悪友が、『Palo Altoなう』とかいって、シリコンバレーでインターンしてるんですよ」と。それがSNS越しに見えちゃって、ボートを漕いでる場合なのかって焦っていると。

横石:僕ね、それが嫌だからTwitterやってなかったんですよ。本が出るので、やむなく先週Twitterをはじめたばかりです。

(会場笑)

Twitterのあの感じってちょっと……。

吉田:そうそう、そうなんです。

横石:リア充というか。

高橋晋平氏(以下、高橋):怖い。

横石:もう魑魅魍魎なものが、日々めちゃ入ってくるわけじゃないですか。あれ、みんな耐えているんですよね? 

吉田:僕はちょっと耐え難いわけですよ。もう1個苦手なのが、自撮りが苦手というか、嫌いというか。できないんですよ。自撮りを平気な顔でバカスカあげられる人のメンタリティーが……。

横石:晋平さんの得意なやつ?

高橋:ガン自撮りですよ(笑)。

(会場笑)

吉田:いや、すごいなと。別にバカにしているわけじゃなくて、自分ができないから、「よおチャカチャカ自撮りしてSNSに上げおるなぁ」と思うんです。

高橋:だってイケメンだもん。イケメンは自撮りできない。

吉田:(笑)。

高橋:自撮りズルでしょ? 

対面では正直者、ネットでは嘘つき

高橋:僕はイケメンだったらできないですよ。

横石:逆にね。

高橋:そりゃそうですよ。そこがだから「らしさ」。

横石:あ〜、それはあるかも。

吉田:そうなのかわかんないですけどね。これ、そうなんですよ。そういうのを見てると、晋平さんの次の質問にすごくつながってきます。次はまさに高橋さんからの質問で、「ぶっちゃけどうすか?」という話ですよね。

高橋:そうです。まさに僕も、SNSで人の投稿を見るのがすごくつらいんですよ。

横石:ですよね。

高橋:だけど、みんなつらいでしょ? 自分では書いてるけど、人のはつらいじゃないですか。不安になって、僕も目を細めて見てますよ。

(会場笑)

吉田:おじいちゃん(笑)。

高橋:見えないように、早くスクロールして見てます。なんでこれを聞きたかったかというと、自己紹介2.0みたいな「らしさ」の話があるなかで、やっぱりネットでがんばっちゃうじゃないですか。ちなみに僕は、こういう対面で人と話すときってすごい正直者で、嘘つけない性格なんですけど、ネットではめちゃくちゃ盛るんですよ。

吉田:(笑)。

高橋:ほんとうに。めちゃ嘘だらけ。

(会場笑)

横石:例えばどんなのが出るの?

吉田:少々お時間をいただいて、お話しいただけますか。

高橋:そうですね。

吉田:読み出してもらって......。

高橋:やっぱりそれって、私はこうだからという自分らしさに引きずられて、書かされているなとふだんから思っています。結局それを裏切るだけの怖さがないから、僕って体がめちゃくちゃ弱いし、気も弱いし、見た目もこんな感じで弱いから、なんか弱々しいことを書くみたいなことをされてて。カッコイイこととかぜったいできない。

自撮り写真に込めたメッセージ

横石:晋平さんの月曜日の投稿とか、すごく弱っているタイムラインが多いんですよ。

高橋:だって月曜日に「今日もやるぜ、イエ〜イ!」とやったら商売上がったりでしょう。

(会場笑)

吉田:(スライドを指して)こんな投稿もしてますよ。

高橋:これは取材先で。「月曜日の憂鬱はどうやったら解消できるんですか?」みたいな。こういう仕事があって、「月曜日、今日も元気!」とは言えないじゃん。

吉田:(笑)。

横石:ビジネストーク?

高橋:実際はずっとお腹下していた。これは自撮り。

(会場笑)

横石:めちゃくちゃ自撮りしてるじゃん(笑)。ここで高橋さんに質問です。本来であれば、この投稿では「かけアイ」の宣伝をしたかったわけだから、高橋さんの顔と「かけアイ」さえ映っていればよかったわけじゃないですか。でも、なんでこうやっちゃたんですか?

高橋:いや、かわいいから(笑)。

(会場笑)

モテたくてやったんです。

吉田:自撮りを解説されるって死ぬほど恥ずかしいですね(笑)。

(会場笑)

横石:自分の会社名がウサギだから……。

高橋:どんだけ言うの?

横石:そこもアピールしたかった?

高橋:いやいやそうでしょ。会社名がウサギじゃなくてこれをやったら変態でしょう。

(会場笑)

高橋:そうですよ。だって例えばこれがなかったら、これをすごく売りたいゲスいやつじゃん。

横石:あ〜。そのウサギが免罪符になってる。

高橋:こうやったら……。何言ってるの? 

(会場笑)

でもそこまで考えてない。こうやったら、なんかこっちが......これだけだと、たぶん、おかしい。たぶん宣伝だもん。こうやると宣伝じゃないじゃん。

横石:そっかそういうことね。自分らしさというのを……(笑)。包んだ。

高橋:このなかのどこが僕らしさ? どこなんだろう?

横石:すごい晋平さんらしい。

高橋:これは「らしい」でしょ? でもモテたいという気持ちが先走ってる。

(一同笑)

結局はそこまで深く考えてない。

横石:写真の中には欲求って書いてたり、メッセージングも含まれている。

高橋:なんだったらさらに言うと、かけアイって、いろんな業種を掛け合わせて、ここに農林水産っていう堅い業種の札が入っているのも計算なんですね。

(一同笑)

吉田:もうめちゃめちゃ考えている。

高橋:だからこのゲームは、わりと考えやすい業種のものだけではないのだよというのを、ここに入れているんです。ぜんぶ計算なんですね。

吉田:こういう計算を……。

高橋:解説させること?

(一同笑)

隠しきれない「モテたい」という欲望

横石:僕のFacebookを見てみます?

吉田:呼び出しますよ。アイコンがまずイラストですからね。

横石:僕はまず、写真じゃないですからね。

吉田:写真じゃない?

高橋:なんでなんで?

横石:ぜったい嫌っすね。

高橋:なんでさっきの髪がこうなっているやつにしないんですか?

(一同笑)

横石:それ、僕が登壇の告知で使う宣材写真ですよね……。

高橋:これ、いつの何ですか? どの時代ですか?

横石:何年前だろ? ぜったい自撮りは出てこないです。

吉田:1番上に来ている投稿がえぐい。致命的ミスですよ。

横石:自己紹介の本を書いといて、自分の名前をまちがえるという誤植が見つかった話ですよね。

吉田:出版社は肝がキュってなる話ですよね。

高橋:でもこのとき、やっぱりこれでモテると思っているでしょ?

(会場笑)

思ってますよね? そうでしょ? この感覚、みんなわかりますよね?

横石:笑うしかない。

吉田:ほんとうに恥ずかしかったら投稿しないですからね。

高橋:だってここ、みんなとの「&Co.」なんですよみたいなことを言ったらさ……。

横石:やっぱ自分のSNSを晒すのってやだね(笑)。

(会場笑)

高橋:だから、そういうこと。さっきのウサギの写真とまったく一緒だよ。そういうことなんですよ。

ツッコミたいところが「らしさ」になっている

高橋:たぶん横石さんは、だからうまいんですよ。やっぱり他の人の見て、キラキラしていたいなと思ってる時点で、やっぱりうまくなっていってる。そういう時点では、別にこれは言葉が悪いとはぜんぜん思っていので、お2人に聞きたかった。「SNSとかで盛ります?」と聞きたかっただけなんです。どうなんですか?

吉田:今のお話だと、盛るというよりは、引くみたいな。

高橋:いや、盛るって言いなさいよ(笑)。

(一同笑)

吉田:盛ってますよ。盛ってます。僕は盛ってるだろうし、どっちかというと今みたいな、引くのが下手というか、ツッコミどころの作り方が……。

高橋:ここで最初の話につながる。イケメンだから。

横石:イケメンでしょ? 電通でもあるわけですから。

高橋:つながったでしょ? ほんとうにそうなんです。いや悪いってことじゃないすよ。そこがいいところ、愛されるところだから、さっきの話とかスッと入ってくるキャラクターです。僕がさっきみたいな話をしたら、「なんだこいつ?」みたいになる。

吉田:(笑)。

高橋:結果、ツッコミたいところが「らしさ」になってるのかなと思っちゃう。

吉田:じゃあ、普通にしとけということなんですかね?

高橋:どストレートにやればいい。

吉田:思うようにしとけということなんですかね。

横石:吉田さんのSNSはどうなんですか?

高橋:そうそう、見せてくださいよ。うまいこと振り返ったと思ったら、これで猫耳とかつけてたら僕……(笑)。

(会場笑)

吉田:これ緊張するな。

横石:何が出てくるんだろう。

吉田:いや、これは告知ですよ。

横石:まず告知ね。

高橋:ちょっと待って。

横石:なになに?

高橋:「(イベントは)本日、です!『その日になって余裕あったら行く層』の皆さん、行けますって。ちょっと頑張って早く退勤すればいいだけですって」。

吉田:これ恥ずかしいですね。

横石:「ですって」と、韻を踏んだ?

高橋:リリックみたいな。

(一同笑)

横石:俺はリリックが踏めるぞ、みたいなね。

吉田:ははは(笑)。

高橋:やっぱこういうこと。これがハマる。これ僕らがやったらもう……。

横石:これはいいでしょう!(笑)。

高橋:これはいいか。

横石:写真とかないんですか? インスタとかすごくセンスあるじゃん。

吉田:次はサウナでしょ。だからぜんぜん自撮りができない。

高橋:これ……。

(会場笑)

横石:晋平さん! タイムラインを汚さないで。

吉田:僕がタグ付けされているから、もう1回出てきちゃいましたね。この古川さんという人はプロミーハーの方で、いろんな人とのツーショットを撮って上げてるんです。そこに、晋平さんと僕がタグ付けされてたから、僕のタイムラインにもっかい晋平さんのうさ耳バージョンが(笑)。

高橋:「うさ耳でかぶってたか、まじか」と思った。

横石:衝撃的だね。

吉田:まさかの告知ばっかりですね。

横石:今日の告知投稿ですね。全員カメラに目線があってない(笑)。

(会場笑)

吉田:カメラを見れない3人ですね。

横石:いやぁ、カメラとかちゃんと見れないですね〜。どうりでこの三人で話すと気が合うなと思った。

吉田:居心地いいなと思ったら、そういうことですね。ダメですね。

高橋:だから、やっぱり今の話をしてよかったと思ってる。

弱みを見せられるのはリアルの場だから

高橋:どうです? 明日からSNSやりづらくなりました?

(会場笑)

そんなことないすか?

横石:聞く? 聞いてみる?

高橋:なんて聞く?

吉田:なんて聞く?

高橋:じゃあ、SNSで自分を盛ってる人〜?(笑)。

吉田:これすごく手を上げづらい。

高橋:いたいた。ありがとう。人間らしさをもっている人がいる。そりゃそうです。だって怖いもん。さっきの弱みを出すみたいのは、リアルだから大丈夫なわけです。そりゃネットでマイナスなことは言えないですよ。だって怖いですもん。 

吉田:とくに、誰かをディスるみたいなのね。

高橋:ネットはそれでみんな成り立ってるし、わかってるんですよ。きっとみんな他の人の投稿を見て、キラキラしてがんばってるなと思ってる。自分を安心させているというか。

吉田:6割、7割ぐらいで見ておけというね。

高橋:そういう世界だから。これからもどんどん盛っていこうぜ!

(一同笑)

横石:そういう話でしたっけ(笑) 。

吉田:これ、グラフィックレコーディングを今日していただいているんです。中尾さんです。グラレコをやっていただいています。

(会場拍手)

横石:中尾さんは同僚?

吉田:関連会社的にいうと同僚です。この僕の本のかわいいイラストも、ぜんぶ中尾さんに書いていただいたり、冒頭の横石さんのTWDWでも大活躍をされたりしています。

横石:いつもお世話になっています。

吉田:グラレコってみなさんご存じですか? こういうセミナーとか、トークショーとかを、その場で絵にするという曲芸ですよね。僕は絵が下手なんで、曲芸にしか見えない。こんな話が、何を描かれて記憶されるのか、ふとすごく怖くなります。

横石:現時点で中尾さんに聞いてみる?

吉田:何がおもしろいですか? 今どうなってます?

中尾:そうですね。それぞれの質問で出てきたお話を描くので、ちょっと精一杯なところです。

(会場笑)

横石:正直ですね。この盛らない感じが中尾さんらしいなと思うんですよね。

高橋:いや〜信用できます。

(会場笑)

横石:そう、信用できる。

中尾氏:ちょっと余白を残しているので、何かまとまっていくといいな〜と思いながら、描いています。

吉田:真摯に。

横石:期待していいのかな?

高橋:お願いします。

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