「自分らしさ」に興味がある人って、そんなにいる?

吉田将英氏(以下、吉田):今日のテーマは「自分らしさの作り方と自分らしさの伝え方」。両方とも難しいテーマですね。

横石崇(以下、横石):晋平さん、最初にこれを聞いたとき、どう思いました?

高橋晋平氏(以下、高橋):そもそも今日来てくださった方々って、なんで来てくれてたんですかって思ってます(笑)。テーマに興味があったから来てくれたんですか?

横石:ちょっと待って。それは、自分らしさに興味のない人がいるってこと?

高橋:自分らしさに興味がある人って、そんなにいます?

横石:聞いてみましょうか。

吉田:おもしろい問いですね。

高橋:なんで来てくれたのか、ちょっとアンケートをとります。

吉田:タイトルに少なからずちゃんと興味があって来たという方、よかったら教えていただけます?

(参加者挙手)

横石:マジか!? こんないる。

吉田:半分ぐらいですかね。その他の方は著者に興味があったり、場に興味があったんですかね。

エントリーシートそのものが間違っていたんじゃないか

吉田:今の意見、おもしろかったですね。「自分らしさに興味ある人なんています?」と晋平さんがおっしゃったじゃないですか。

高橋:はい。自分らしさは「欲しい」ということなんですかね?

吉田:獲得したいというか。それこそ、僕がさっき言った電通の若者研究部で大学生と向き合っていると、1年生のときから知ってる子がだんだん年を重ねてって、就活を迎えるんです。みんなそこで悩むんですよね。「私は何者でもない、死にたい」みたいな。

サークルもやってたけど特別何かが上手なわけでもないし、ゼミも別にOne of themな感じで、ふやっとそのなかにいるし。エントリーシートに書くことがなくて、死にたい。もうやだ就活なんて。

「確かに悩むよな」と思いながらも、普段はこんなことを問われないんじゃないかという気もしたりします。むしろエントリーシートが間違ってるんじゃないかという気も、僕はするんですよね。だから、書けない彼ら彼女らが悪いのだろうか、みたいなことはちょっと思ったりします。

今回このイベントでは、我々登壇者同士で、自分以外の2人に教えてほしいこと、聞きたいことを1問ずつ、3人で持ち寄るという形式になっています。このあとはスライドはそんなになくて、3枚だけ、1人ずつの問いが出てきます。まさに、横石さんからの問いがこれなんですよね。

「自分らしさ」は、他人がどう思うかで決まるもの

横石:今日聞きたかったのが、「自分らしさって何から生まれてくると思いますか?」という、ちょっとストレートな質問で。これを最初にぶつけたいなと思ったんです。晋平さんはさっき、「自分らしさって必要ですか?」ということも言っていた。吉田さんは、自分らしさって何だととらえてるんですか?

吉田:何かあったほうが楽だろうなとは、やっぱり思うんですよね。でも一方で、僕の意見というより聞いた話で「確かにな」と思わされされちゃったのが、5年前ぐらいに大学生が言ってたことです。まさに「自分らしいって何だ?」みたいな話になったときに、今、日テレに勤めてる子が言ったんです(笑)。

その子が学生時代に、「でも、自分らしさって自分が決めることじゃなくないですか?」とパーンと言ってきた。「自分らしさって、他人が自分をどう思うかで決まることであって、自分が決めることじゃなくないですか?」と。

横石:確かに。

吉田:スパーンと言ってきた。あんまりそういうことを考えたことなくて、「あ〜、なるほど」と。要は自分に輪郭を引くのは他人であり、相対的なものじゃないかと。僕だったら例えば、今日は横石さんと高橋さんと、俺がどう違うのかみたいなことで決まる。だからそう考えると、5年前に受け取った宿題のくせに、答えが出ていないんですよ。けっこうでかい問いをもらったなと思っています。

「らしさ」とは、弱みや欠点のこと?

横石:晋平さん、今の話を聞いてどうですか。

高橋:僕は、自分らしさというのは弱みとか欠点だと思ってるんですよ。明確に思っていて、でもそれはみんなに共感されるかはわからないです。だいたい自己紹介って、強みとかできることから話すじゃないですか。

基本的にはきっとそう。だけどそれがらしさになることって、すごく少ないと僕は思っています。例えば「あの人ってこういう人だよね」と話すときって、だいたいちょっと軽くディスってたりする(笑)。

横石:そういうときもあるかもしれない(笑)。

高橋:それは悪い意味というよりは、結局その人をみんながかわいがってたり、愛してるポイントって、たいがい欠点とか弱点とか、その人のコンプレックスだったりすると思うんですよ。

仮に僕にも「自分らしさ」があるんだとすると、それってどっちかというと欠点なところがらしさになってると思ってます。最初の自己紹介があったじゃないですか。

フォントがしょうもないみたいなこともあったけど、それって僕の「らしさ」ですよね。あの画面から、作ってるものはしょうもないなというのが、らしさになってるわけじゃないですか。だから基本的には、僕は弱点や欠点がらしさだと思うから、それから生まれてくると思ってます。

そういう意味で、「それって欲しいものですか?」というのは、別に欲しいものではないんだよね。だけど、だいたい弱いところが愛されるから、隠さないでいいんじゃないかなと。

似通った強み同士で戦うから、就活生は死にたくなってしまう

横石:それはやっぱり自分自身の作品に反映されていますか? 

高橋:全員に当てはまるかわかんないですけど、僕の場合もそうだと思います。だいたい商品とかも、デザインとかをよくよく見ると、足りない部分とか、突っ込みどころみたいなことがらしさになってると思っています。

長所でらしさを出そうとするとき、長所ってやっぱり似ちゃうんですよ。差別化するのがめちゃくちゃ難しい。だから、それでナンバーワンを取るという話になるとすごく難しい。みんな強みで差別化をしようとするんだけど、それはほぼほぼ無理ゲーだと思う。

がんばりたいとか強めたい部分を、がんばっているなかで放置して、より深掘られていく弱みというのが、その人のらしさになるんじゃないかなと僕は思ってますね。

吉田:さっきの死にたくなる学生って、強みバトルをしちゃおうとしてるからなるじゃないですか。「ゼミの副代表です」と書こうと思ったけど、「ゼミの副代表って全国に何人いるかわかる?」とか言われて(笑)。それで「はぁ…」みたいになるというのがある。

でも、強みで勝負してこうならないようにしようとしたとして、弱みを出すって、怖いじゃないですか。その勇気がいるし怖いし。普通は知られたくないから、弱みだったりすると思う。どうですか?