資金調達の必要を感じたのはチーム結成後

木村和貴氏(以下、木村):続いてのキーワードは資金調達です。最初の一歩を踏んで、やりたいことも決まって、仲間も見つけたと。でも、やはり資金がないと、どうしても持続的に継続するのは難しいのかなと思います。

これは話せる部分と話せない部分があるかもしれないんですけど、話せる範囲で、どのように資金調達を進めていったかをおうかがいしたいと思います。川井さんから。

川井優恵乃氏(以下、川井):最初は資金調達のことも知らなくて、プロダクトをうまくやっていくにはどうすればいいか悩んでいて。そんなときに、たまたま友だちがすごく著名なエンジェル投資家さんと知り合いなのをTwitterで見て知りました。

「知り合いなの? 美容整形のアプリが作りたいから紹介してほしい」と伝えたら、その人が「美容整形はいま熱いから、ちょっと話聞きたい」って言ってくださって。それで面談させていただくことになりました。

「資金はどこから入れたの? 入れなよ」みたいな話になって、VC(ベンチャーキャピタル)を紹介していただいたんですね。そこで初めて「あ、資金調達するべきなんだ」と考えました。

木村:なるほど。最初は資金調達しなきゃ、探さなきゃではなく、「プロダクトを作るぞ」と思っていて。VCを入れたほうがいいよと言われて、その存在に気付いたということですね。

じゃあ、資金がなかった場合に、プロダクトを作るときにかかるお金はサービス自体の収入で、という感じですか?

川井:それがなにも考えてなくて。最初に入ってくれたチームが、週末に会社終わってからプロダクトを作ろうって言ってくれて、最初はそれでやろうかなと思っていたんです。あまりそのときは先のことを考えてなかったですね。

木村:とくに給料は払っていなかったので、最初は原価もほぼかからない状況ってことですね。

ツクルバ村上浩輝氏にファイナンスを学ぶ

木村:古木さんは、資金についてどうですか?

古木数馬氏(以下、古木):一番最初は、僕が自分でサロンをやっていたので、その資金を丸々突っ込んでやっていました。けっこうな金額を使いましたね。ぜんぜん考えないでやっていたので、あとで計算したらあまり残ってなくて。最初は貸付みたいな感じでやってました。

エンジニアさんと一緒にやるとなると、けっこうコストがかかるじゃないですか。最初に一緒にやってくれるってなった方がジョインしてくれたときに、まだ投資を受けられてなかったので、「ここでキャッシュ尽きるよね」っていうのがわかっていて。なんとか投資を受けないといけないな、という状況で。

最初の頃、いろんなVCさんを教えてもらっていったんですけど、ことごとくボコボコにフィードバックいただいて、ぜんぜんダメな状態でした。それをたまたま、これもお客さんなのですが起業家の方が何名かいらっしゃって、その方たちにファイナンスのことを教えてもらいました。

「ファイナンスはめちゃくちゃ重要だから気をつけたほうがいいよ」って。そんなことは、ぜんぜん知らないじゃないですか。

みんなが同じようなことを言ってくれて。とくにいろいろ教えてもらったのが、今はもう雲の上のような存在になってますけど、ツクルバという企業の村上浩輝さんという方が、お客様で来ていたんです。それでバリエーションの付け方や資本政策なんかをさらっといろいろ教えてくれて。

教えてもらったものを本とかで片っ端から読んで。CFOはそのときまだコミットしてなかったけど、手伝ってくれてて。「資本政策って知ってますか?」と聞いてしまいました。監査法人にいた会計士さんなら当たり前に知ってるじゃないですか。そこで「作ろっか」って簡単にその場でババババッてひな形を作ってくれて。

その雛形でいじりながらやって、事業計画とか作って、がんばって活動して。結局VCさんにはうまくプレゼンができなかったので、美容系でバイアウトをされて成功されてるエンジェルの方にプレゼンしてお願いしたんです。

ホットペッパーより先に送客サービスを作ってバイアウトしている方で、その方に会いに行ったら、「出資するよ」と言ってくれまして。最初はそんな感じで、なんか事業計画やプレゼンなどすごく大変でした。

資金調達している最中は、生きた心地がしていなかった

木村:なるほど、なるほど。最初はファイナンスの知識とかも大変でしょうし。

古木:たまたま友だちにエンジェル投資家がいるとか、そういうラッキーなやつじゃなくて、泥沼をはいつくばってみたいな感じです。朝にモーニングピッチみたいなところに行って、ボコボコにされて六本木をさまようみたいな。

(一同笑)

そんな感じでした。

木村:すごいのは、そういったアクションが実らず、結局、力になってくれたのがお客さん経由だったっていう。最終的に毎回そこに着地するというのが、すごいなと思っていて。たぶん築き上げた信頼関係がめちゃめちゃ強かったのかなと。

川井:私も資本政策なんてぜんぜんわからなくて。創業メンバーも多くてお金どうしようかとか、ストックオプションをどうしようというので、勉強やマインドを経営者に聞きに行って、2ヶ月も経っちゃって。それで「やっぱ、なしね」と言われて。

そのときにはもう、メンバーも元の会社を抜けてたんですね。でも「次の月の給料がないんだけど」みたいな感じで、あわててVCにアポを取って資金調達に回って。結果、無事にYJとeastから資金をいただいて、何なら元の条件より良くて(笑)。でも、資金調達している最中は生きた心地がしなかったです。

木村:なるほど。この流れで次のキーワードに移りたいです。美容師や女子大生から「VC」や「ストックオプション」「ファイナンス」という言葉は普通出てこないと思います。でも、当たり前のようにお話しされていて、それが当事者としての自分ということでした。

今度は起業家としての自分というのが、存在しているのかなと思っていて。起業家としての自分ができあがっていく中で、もともとなかった知識をどんどんインプットしていかなきゃいけないと。

それにどう勉強してたどりついたのか。もしくはどういう経験からたどりついたのか、というのが、今の話の中にも含まれていたかなと思います。

これから別のフィールドに行って起業したいとか、そういった勉強をどうやっていったらいいんだろうと思っている方に対して、自分はこうやって勉強したよとか、起業家としてはこういうマインドでやっている、というのがあれば、おうかがいしたいなと思います。

人に支えられ、人に頼るタイプの起業家像

川井:私の場合、会社で働いたことすらないので、まず「働く」ということ自体、よくわからなくて。メンバーは会社経験があって、みんな優秀なんですよ。だから、それぞれできることはすべてやってもらってます。私が「これがしたい」と言うと、みんなで「じゃあ考えよう」という感じで。

私はみんなに支えられて、頼るタイプの起業家で。起業も何パターンかあって、自分ですごくリーダーシップを発揮できる人もいるんですけど、私は周りの人に頼ってます。

木村:なるほど。強いビジョンや課題意識や指針を示して、周辺のことは仲間がやっていると。

川井:インプットは、いろんなアプリやUIを確かめたり、記事を読んだりするようにはしています。

木村:ぜひAMPの記事も読んでいただけると。古木さんはいかがですか?

古木:僕は美容師をやっていたので、けっこう技術者というかアーティスト的な感じがあったんですよね。ですので、最初やり始めたときに、まず会社っていうのがなんだかよくわかってなかったんですよ。個人事業主でやっていたので、株式会社にする意味もわかっていない状況で。

楽しかった点や好きだったところは、プロダクトを企画したり、デザインしたりというところです。それがやりたくて始めましたが、それに付随して経営しなきゃいけないので。資金の管理はサロンでやって慣れていたんですけど、事業計画や数値計画みたいなものは苦手だし嫌いでした。

プレゼン嫌いから一転、プレゼン大好き人間になれた理由

古木:あとはピッチですね。プレゼン資料を作るのも苦手で。とにかく、これが大嫌いでやりたくないというか。プレゼンにいくのもお腹痛いみたいな感じだし。どうせ、「何しに来たの?」みたいな感じなので。

木村:ピッチはけっこう上から来ますもんね。

古木:最初はそれがすごくいやでしょうがなかったです。でも自分のやりたいことを実現したいという思いのほうが強かったんですね。

いやいやながら一生懸命作ったり、勉強したりして、ビジネスモデルを作って、マネタイズ考えて。僕らはどうしても投資を受けなきゃ進んでいけない事業だったので、投資家だったり、VCの方と壁打ちさせていただいたりするわけです。

いやいやながら作って、持っていってやって。やってるうちにビジネスモデルもなんにもなくて、実現したいことしかなかったんですけど、フィードバックをいろいろもらえるじゃないですか。それですごくいい意見がいっぱいもらえるんですよ。僕いまでは投資家回りがすごく好きで。プレゼンしに行くのがめっちゃ楽しいんですよ。

あるタイミングから、プレゼンしに行くのがすごく好きになって。いつのまにかプレゼン資料を早く上手に作れるようになったし。今日も10分と言われたので、10分だとこれくらいかな、みたいな感じで作れるようになったし。

自分の事業なので、数値計画も作るのが楽しくなったりして。いやいややってたけど、やっているうちにだんだんそういうのができるようになっていったんです。ビジネスモデルも、いろんな投資家さんと話していくうちに、「こういう可能性もあるんだ」「こういうお金の儲け方があるんだ」とわかるようになってきて。

マネタイズすることによって、僕らが生き延びられるし、それを還元することによって世の中を変えられるって、めちゃくちゃいいなと思って知っていって。いやだけどがんばっていたら好きになったみたいな、できるようになったみたいな。そんな感じです。