WASSHAが目指す未来の社会の姿とは

秋田智司氏(以下、秋田):みなさん、こんにちは。タンザニアから来ました、茨城県出身の秋田です。ややこしくて、すみません(笑)。

(会場笑)

WASSHA株式会社という会社の代表取締役をしております。この会社は、ビジネスを通じて開発途上国の社会課題を解決していくスタートアップです。株式会社として、IPOを目指しています。

今日は大きく3つのお話をさせていただこうと思っています。1つ目が、私たちが目指す未来についての話。そのあと、これまで私たちがなにをやっていたか。そして最後に、これからなにをやりたいと思っているかという話をさせていただこうと思います。

まず1点目の目指す社会についてなんですけど、ちょっと大きな話をします。

地球に今200ぐらいの国があるんですよね。この国々は、1人あたりの所得で見るとぜんぜん違うんです。

これは1963年から2017年までの1人あたり所得の推移を出したものです。世界銀行が出しているデータなんですけど。

見てわかっていただけるとおり、アフリカだけがほとんど成長しておらず、ずっと底辺のまま推移しています。僕が来たタンザニアもアフリカにあります。

アフリカのネット利用者は、この20年で10,199パーセント増

アフリカがなんでずっと底辺なのかですが、いわゆる経済成長理論でいうと、工業化が所得を上げていくためには非常に重要なんですね。にもかかわらず、アフリカではいまだに農業とか漁業とかの1次産業をやっている人がほとんどなんです。僕がいるタンザニアは7割だったかな。

日本は1次産業がすごく少ないんですが、アフリカではまだまだ1次産業の人たちが多いんですね。なので、ぜんぜん1人あたりの所得が増えない。

一方で、これは2000年から2018年のインターネット利用者の増加率です。アフリカは10,199パーセント増と、もう意味がわからないくらいにめっちゃ増えているんですよ(笑)。

(会場笑)

アジアでも、同じ期間で1,704パーセント増だそうです。アフリカについては、もともと利用者が少なかったから増加率が高いというのもあると思うんですけど、これは断トツの伸び率です。よくリープフロッグ現象とか言われますけど、今までの発展と違うことが起きています。

例えばこれは一般的なタンザニアの田舎の村なんですけど、ここにはすでにもう3Gのネットワークが来ています。

なので、このうろうろしている人たち……例えばこの杖を持ってヤギと一緒にいるお姉さんって、たぶんもうスマホを持っているんですよ。Facebookのアカウントを持っていて、Instagramのアカウントも持っていて、Twitterでつぶやいたりするんです。「今、ヤギ放牧なう」みたいなことをやるんです。

(会場笑)

ここではもうUberも使えます。ここまで来るかちょっとわからないですけれども。Uberもあるし、Airbnbもあります。あの奥の家、もしかしたらAirbnbで泊まれるかもしれないです。1泊5ドルぐらいかな。そんな世界がすでにもう起きてるんですよ。

1次産業→2次産業→3次産業の流れとは違う、新しい経済発展の流れ

さらに言うと、ドローンで血液とか薬を運んでくれるサービスが、アフリカのルワンダという国ではすでに始まっています。

あと、モバイルマネー。携帯電話同士でお金のやりとりをする仕組みがすでに普及しています。日本の人たちが銀行口座を持っているのと同じように、アフリカ、とくにタンザニアなど東アフリカの人たちは、みなさん当たり前のように携帯電話同士でお金のやりとりをするんです。

「ちょっと1,000円貸して」みたいな感覚で、モバイルマネーの操作をピピッと、ショートメッセージを送るくらいの簡単な操作をするだけで、決済として完了しちゃう。

最近だと、AIを使ってスマホ内の各種SNSの情報を取得して、それで与信判断するアプリがあって、そのアプリからお金まで借りられちゃうんですよ、その場で。すぐにキャッシングできる。こういうサービスがもう始まっているんです。

今までと違った経済がここにはあるんです。1次産業から2次産業、2次産業から3次産業に人が移っていくことで経済発展していくっていう日本や先進国がたどってきたルートとは違う、新しいかたちがアフリカではこれから起きると思っています。

そこで新しいエコシステムを作っていくことで、新しいエンジンによって経済を成長していく。そうして人々が豊かになっていく。僕たちは現地に入り込んで、実際にそれを実現していきたいと思っています。そのために今までなにをやってきたかということをこれからお話しします。

未電化で困るのは、明かりと携帯の充電

WASSHAでは今、未電化地域、つまり電気がまったく届かない地域で、ソーラーパネルをつかった充電サービスをやっています。世界に約10億人、未電化の人たちが住んでいると言われています。このうち、6億人がアフリカに住んでいます。

アフリカの人口は10億人ぐらいなんです。アフリカ大陸は、中国とインドとアメリカの面積を足した広さよりも、もっと大きな国土があるにもかかわらず、そこに10億人しか住んでいなくて、その中で半分以上、6億人がいまだに未電化です。

未電化だとなにが困るかというと、大きく2つあります。1つは明かり。彼らは今電気がないので、夜はアルコールランプみたいなもので明かりをとるんですね。だから暗い。勉強もできないし、もうとにかく暗いんですよ。かつ、火を燃やしているから煙が出る。これがけっこう有害で。灯油を燃やしているんですけど、呼吸器疾患になっちゃったりするんです。これが非常に大きな課題です。

もう1つは携帯電話の充電。さっき言いましたけど、Facebookもあるし、Instagramもあるし、Twitterもあるんです。だから、彼らも携帯電話を充電したい。携帯電話の普及率もすごいんですよ。にもかかわらず、電気がない。だから「ヤギ放牧なう」ってつぶやきたくても、つぶやけなくなっちゃうんですよ。電池がないと。

なので、彼らは充電するためにすごい距離を歩くんです。片道1時間とか、めちゃ大変ですよ。それで1時間かけてたどり着いたお店でお金を払って充電して、また1時間かけて帰ってくるみたいなことをやっているんですよ。

だったら、「明かりをとりたい」「携帯電話を充電したい」という最低限のニーズに応えるサービスを実現しよう、ということで、LEDランタンのレンタルと、携帯電話の充電ができるサービスが簡単に始められるハードウェアと、それを制御するアプリを作って、現地に導入していくということをやっています。

1,000店舗のレンタル&チャージステーション

それがタンザニアを中心に、今1,000店舗ほどありまして。

これがWASSHAの「レンタル&チャージステーション」なんですけど、こういうのが1,000店舗、未電化地域の村々にあります。

タンザニアは日本の2.5倍ぐらいの国土があるんですけど、まだ全部はカバーできてなくて、人口でいうと約5,000万人いるうちの、3,500万人が未電化で、そのうち150万人にリーチしています。

この真ん中のお姉さんが 掲げているのが僕らが貸し出ししているランタンです。こういったライトを貸し出しています。

この商店街の真ん中で使っているのも、全部僕らが貸し出しているライトです。夜に出店させてもらって、「新しく商売やろう」みたいな人たちが新しく1万人ぐらい。もっといるんじゃないかと思うんですけど、ちょっと控えめに「1万人+」と言っています。そのぐらいの雇用創出にも貢献してます。

これが僕らが今やっていることです。新しい経済成長のエンジンを作るとか言っておいて、まだ電気しかできていないというのが僕の問題意識で、なにか新規でもっとほかにもやらなきゃいけないなと思っていました。

新規の取り組みについて話をする前に、僕がこの会社を始めたきっかけについても簡単にお話しします。