顧客の半分以上が農業関連のオーレンス税務事務所

宮崎智也氏(以下、宮崎):こんにちは。私、オーレンス税務事務所の宮崎と申します。こちらは仲谷と申します。今日は20分しかないのでササッと自己紹介だけさせていただきます。

弊社は、お客様の数が5,300おりまして、そのうちの3,000件が直接農家さん、それ以外のところも農業関連ですので、農業に特化しております。東京事務所も、農業以外のお客さんを取るなと言われているところでございますので、農業専門でやっております。

今回の本題に入らせていただきます。売上と費用を紐付けて利益を考えることは大切だなと思いまして、ホワイトボードの右の図を見ていただきますと、私のお客様で新規就農の方に関しましては、この構造が作物別に成立しているかどうかというお話をいつもさせていただいております。

簡単なことを言うなと思うかもしれないですが、作物別に売上と費用を紐付けて計算し、利益は必ずプラスになるようにしましょうねというお話をさせていただいております。

売上を得るために投資した費用は見落としがち

農業経営者の方というのは、単収だとかキロ当たりの出荷額のことは当然把握されていますが、売上高を獲得するために投資した費用というのを、作物別に把握されていない方も中にはおられるのではないかと思っております。

どういう活動をしたことでその収益が発生したのか、という構造を作物別に明らかにすれば、どこに問題があるのかというのは分かりやすいですし、改善点を見出すことにつながりますので、「決算書はどんどん使っていこう」とお客様には言っております。

真ん中の下のところに「良い取り組みで利益にならなかった例」とあります。よくある例ですが、稲作でしたら畑に手をかけると、売上が上がるとよく言われますけれども、肥料を工夫して堆肥を作るだとか、あとは客土を入れるとか、そういったことをしていても、利益が落ちることがございます。

人件費を多く投下して、手間暇かけて単収が上がったとしても、人件費が売上高を上回ってしまうと利益は減少してしまいますので、投資に対してリターンが少ないということになります。なので弊社は、そのリターンということに関してもお客様にお話ししております。

こちらは損益計算書になりますが、どういう行動をしたから計算書の数値がどう変化したかとか、これからどういう行動をすれば損益計算書の数値が変化していくか、ということを会計事務所的に話すのではなくて、できるだけ経営学だとかマーケティングだとか、そういったものを考えた上で話すようにしています。

私自身も5月まで消費材メーカーでブランドとかをやっておりまして、そこらへんが強いものですので、もし気が向いたら、お声かけいただけますと、そういったブランドの話もさせていただきたいと思っております。

天候の影響を加味したテストと提案

(スライドを指して)図の売上のところになるんですが、販売業とかでしたら、売上がプラスマイナス10パーセントを前後するというのはよくあることなんですが、かりに面積が同じで販売チャネルも同じ場合、概算金の金額が変動しなかったり、天候の影響もなければ、そんなに収穫するものの量は変わらないということになります。

なので、そういったところを普通に見るだけではなくて、売上が変動した場合はセールスミックスがどう変わったのかとか、というのは、みなさまもすごく考えて行動されてると思いますので、それがどのようにPLに反映されているかということを、我々はみなさんと一緒になって考えていこうとしています。

直販にウェイトを少し変えてみたことで、どれだけ売上が増えたのかとか、栽培する品目を変えてみたことで、利益がどれだけ上がったのかというテストとかも、一部ではおこなっております。台風が来る季節でしたら、限界利益が低めのものを持ってくるだとか、そういうこともいろいろ考えております。水色の枠で囲んだ売上と赤枠の費用について、ROIの話をさせていただこうと思います。

ROIということなんですけれども、これは投資に対してどれだけの利益を上げることができたかというような考え方となっておりまして、消費財のメーカーだとか、自動車とかそういったところで日々やっていることなんですが、農業においては肥料だとか、労務費だとか、設備投資、減価償却費になるんですけれども、そういった投資が、売上とか営業利益にどれだけ貢献しているかという視点があれば、営業利益を最大化できるのかなと思っております。

投資に対するリターンは、複数年かけてでも追っていかなければならない

本日来られた方は、それぐらいのことはやっているよと言われるかもしれないですが、農業では、あまりこういうことは考えていらっしゃらない方もいて、喜ばれることが多いですので、今回ご紹介させていただければなと思います。

赤枠のところを上のほうからお話しさせていただきたいと思うんですけれども、こちらのデータは、政策金融公庫のデータを取っています。ここにある農家Aの例ですと、実際はこんなに売上はないと思うんですけれども、肥料費が約300万円増えています。肥料費が300万円増えたことに対して、売上が約2,400万円増えました、「すごいね」で終わるのではなく、肥料費を300万円投下したことによって、どれだけ売上が増えるのかテストしていくことも必要かなと思っております。

次の労務費なんですけれども、これはちょっと極端に作っていますが、売上高が2,400万円増えたことによって、労務費が2,600万円増えている。この時点で見ると、ああダメだなという話になります。ただ、ROIに関しましては、現時点とか単年度のものだけではなくて、将来に向けた投資であれば事業計画を作っていただいて、その事業計画の範囲、3年とか5年で黒字にできるかどうかというふうにみていけばいいと思っておりますので、投資に対するリターンがどうなのか、必ず複数年でも追っていかなければならないと思っております。

減価償却費に関しては、こちらマイナスになっております。投資減価償却費が1,000万円少なくても、売上に影響が出なかったか考えていかなければいけませんし、それだけではなくて、投資が少ないのに人件費やリース等の費用が増えていないかとか、ひとつの勘定科目だけを見るのではなくて、複数の勘定科目を横断しながら効果を見ていく必要があると思っています。

ROIの測定方法

次にROIの測定方法について、お話しさせていただきます。これはちょっとざっくりした計算方法になるんですけれども、ここに四つ田んぼを書いていますが、全部で4ヘクタールあるとします。来年から、2ヘクタールは従来のままで栽培して、田んぼ2では、肥料や材料をいじってみよう、田んぼ3では、人件費を投資して単収を上げようという戦略を取ってみる。

その場合、損益計算書を三つ作るというのはなかなかできないことになりますので、一つの損益計算書でざっくり測定する方法をお話しさせていただこうかなと思っています。

これは消費財メーカーが店頭でよくやっているパターンですが、単純に全部を一つの損益計算書にまとめて作っていただいても構わないんですが、田んぼ2に関しては、肥料が変わっていて仕入先とかブランドとかのデータが抽出できますので、そこだけ別で項目を立ててみる。田んぼ3については、労務費のかかり方が違うので、勤務時間をつけているところは、総労働時間かける各田んぼごとの活動時間ということで、ザクッと従業員の給料を分けられると思います。

1時間当たりの給料と活動時間をかけた人件費を取ると、田んぼ2の肥料費は、こちら単位は千円ですので、200多くなって20万円増えています。それに対して、売上高がプラス330万円となっていて、利益が差引プラス110万円で、1,745という数字になっています。田んぼ3では、労務費が500増えて672となっております。売上高はプラス700で、6,784。利益の方は1,840超えてプラス200と。

これらはダミーの値で本当の値ではないですが、この例ですと、投資に対してリターンが成功していることがわかります。弊社の方でも、25ヘクタールぐらいの農家さんに対しては、1ヘクタールぐらいでいろいろ実験をさせていただいておりまして、どれだけの効果が測定できるかということをやっています。