20代半ばから30代にモチベーションが下がる時期が来る

司会者:今、自己紹介をしていただきましたけど、お三方のインタビューがMY FUTURE CAMPUSに掲載されているんですが、読んでくれた方いますかね?

(会場挙手)

パラパラ(笑)。そうですか。じゃあ、そこの話はあんまりまだ知らないということですね。

今日はちょっと1つだけ企画を入れて、その下で今日は進めてさせていただきます、ということをお三方にご了解いただきました。今日は大きな趣旨として20代のことをお話ししていただくということで変わりはないのですが、事前にモチベーショングラフというものをみなさんに描いていただきました。

ぎりぎりだったので手書きでバッと書いてもらったのであれなんですが、ピンクは遠山さん、水色はトムさん、青は鈴木さんです。

なんとなく見方はわかりますよね、真ん中がストレスがないときで、上と下がストレスがあったときです。今日はこのモチベーショングラフを使いながらみなさんの20代を語っていただきます。なにか気になることがあれば、どんどんみなさんからも質問してもらう感じでやれればと思います。

ご自身で描いたものはもちろんみなさん見てると思うんですけど、ご自身以外の方のグラフを見てなにかパッと?

トム・ヴィンセント氏(以下、トム):今ね、思ったんだけど、みんな20代後半は下なんだよね。けっこう25歳ぐらいからそうだし、確かに30歳でガーンと下がるし、鈴木さんも26ぐらいでガーンと下がる。みんなそうなんですよ。ごめんね。これからね、大変なんですよ。

(会場笑)

司会者:確かに。

鈴木芳雄氏(以下、鈴木):詳しく解説していくんですか?

司会者:お1人ずつうかがっていきたいなと思っています。

司会者:じゃあ遠山さんからいきましょうか。

一代で莫大な富を築いた大成功者の孫

遠山正道氏(以下、遠山):こうやって見ると、なんか異例すぎるね、私(笑)。実は私がこのお二方を紹介したんです。なんか隣からちらっとお話しされたのが漏れ伝わったんだけど、若い人っておとなしくまとまっちゃうことが多いような気がするんですね。

おとなしくまとまるとおもしろくない人生になるなっていう感じがすごくあるので、おとなしくまとまっていない2人に声をかけました。それから、組織とかにもたれていない人たちかな。

じゃあ私はどういうのかというと、ちょっとお二人と違うかもしれなくて。すごくわかりやすくいうと裕福な感じで生まれて(笑)。

鈴木:解説しましょうか、じゃあ僕から。遠山さんはね……いいの? 全部言っていい?

遠山:まぁまぁ。

鈴木:お祖父様が日興證券の創立者なんですよ。もう日本のそういう偉人伝に出てくるような人なわけ。今の日興コーディアル証券というね。もう1代で莫大な富を築いた大成功者。

遠山:かつて、かつて(笑)。

鈴木:今、埼玉県に遠山記念館というすごく立派な美術館というか記念館があって、そこは重要文化財を複数持っているようなところなわけですよ。証券で一代で財を成すというような小説や映画がありますけど、そういう時代の人です。

遠山:そうですね。でも、私が小学校の時に爺さんも親父も死んじゃうんですね。小学校から慶応で、ずっと港区に住んでいてみたいな感じです。生まれてからずっとイイ感じできているわけです。

三菱商事ってすごく有名な会社なんですけど、大学1年生、2年生だとあんまりよくわからないですよね。三菱商事ってなんとなく知ってる? 私が入った時にね、願書書くのに俺の隣にいたやつは「三麦商事」とか書いてましたから、あんまり学生のときってよくわかってないんだよね。

鈴木:でも、人気ナンバー……ベスト5とかですよね。

遠山:そうですね。人気の商社に入って。だから、ずっと名刺じゃんけんも強いし、学生時代もバブルや高度成長期で楽しい。学生時代はもう本当に楽しい。高校の時に「あっ、俺って世の中で一番楽しいんじゃないかな」って思ってた記憶があるんですけど、そういう感じでずっとやってきた。

鈴木:嫌なやつじゃなかった? 大丈夫?

遠山:うーん、まぁ……。

(会場笑)

人生絶好調のなかでふいに訪れた、焦りと転機

遠山:周りもみんなそうなんですよね。それで、あそこにちょこんとあるのが就職です。三菱商事に入って、そこから落ちてますよね。これはなにかというと、なんだかうっすら気づき出したんですよ。要するに、このまま定年を迎えたら自分は満足しないだろうなということに、このへんでなんとなく気づいてきちゃったんですね。

あるいは、私の上司ですごく優秀な部長がいて、私が一番下で、その間に15人ぐらい中間管理職がいて。「この人たちって部長がいなくなったらどうなっちゃうんだろうな」って思った時に「あっ、それ他人事じゃなくて、オレもそうじゃん?」「この部長がいなかったら、オレってなにができるんだっけな」みたいな焦りがだんだんわかってくるわけですね。

三菱商事なんていうのは合コンではモテるけれども、それは三菱商事がいいわけであって、オレがモテてるわけじゃないわけですよね。そういうことにうっすら気づき出す。それで焦って。

そこでV字になっているのは、私の場合は、そこでなぜか絵の個展をやったんです。これを話すとちょっと長くなっちゃうんだけど、とにかく33歳までにやろうと決めて、1年間で70点の作品を描いて個展をやって。それがきっかけになって今日まで地続きにつながっているという、私にとってはすごく大きな体験でした。それがあそこです。

この図を簡単に言うと、生まれてからずっと「世界一楽しいんじゃないか」という感じで過ごしていたのに、「これは自分の能動的なことではなくて、全部借りてる世界だったんだ」ということに気づいて、そこから「じゃあ自分でなにができるのか」ってやりだした。

外目には変わらないのかもしれないけど、自分の中じゃすごく変わったんです。(グラフを指して)主体的になれたのがここ。

160人にお礼状を書くことで生まれた感謝の気持ち

司会者:それによって、人間性とかもだいぶ変わるんですか?

遠山:人間性、そうですね、うーん……。個展の時、感謝はすごくありましたね。自分の絵が真ん中にはあるけど、周りがすごく手伝ってくれて。

その個展が終わった時、手伝ってくれていた友人に「これでオレの夢が実現した」と言ったら、「そんなチンケな夢にはつきあってられない。これは夢の実現じゃなくて、ここからスタートだろ?」って言われて、「あっ、そっか」みたいな。

「じゃあなにができるんだっけ?」ともう1回考え直して、当時、関連会社にケンタッキーフライドチキンというのがあって、私は情報産業グループのメンバーだったんだけど、そこに無理やり出向するんですね。そこからスープを思いついて提案するんだけど。

その頃、160人にお礼状を書いたんです。「おかげさまで個展は終わって、作品も70点すべて売れました。ありがとう。みなさんのご恩に報いるために成功することを決めました」って書いて送って。外との関係性が初めてできた。

絶好調だと思ってたはずの時は、感謝されるような自分の行為すらなにもやってなかったから、感謝の気持ちすら薄かったというか……あのとき初めて能動的に動いて、初めて感謝が生まれたという感じです。

司会者:このグラフを描いてくださいってお願いしたんですけど、遠山さんは頑として30歳過ぎまで描いていいのかという。だから、30いくつですね、33歳。

遠山:33歳で個展やったので。

司会者:そうですね。そこのあたりの話がきっと遠山さんのストーリーを語る上で重要なターニングポイントだったんですね。

遠山:20代までだとなんのストーリーもなくて、ただ1人で楽しんでるようなおもしろくない人でしかなかったなーって。

「就職しないといけない」ということがわからなかった

司会者:では続いて、トムさん。これはあれですよ。(グラフが)だいぶ脈打ってますけど。

トム:なんか遠山さんのあとで話すの、いろいろとね。

司会者:そうか。トムさんのインタビューを読んだという人はいますかね? 就職する気なんかぜんぜんなかったという、なかなかロックな内容でしたが(笑)。

トム:そうなんですよ。「就職する気がない」というか、「就職しないといけない」ということがわからなくて。そういう意味では、僕はものすごいバカだったんですよね。

就職というか、どこかに勤めないといけないということはなんとなくわかっていて、ときどき思い出していました。このグラフのどこかの間にイギリスに帰ったり、まだ日本に100パーセント住むということが決まっていなくて。

イギリスに帰って「なんかあかんな」と思っていたとき、新聞にBBCに面接の広告出ていて就職のあれがあって、「ああ、そうかそうか、BBCっていいよね」と応募してみたんですよね。

やって1次審査に通って面接行くんだけど、まったく準備してなくて。ものすごくダサいスーツを着て行ったんだけど、世界のBBCって、もう世界のトップのメディアの会社と言ってもおかしくないぐらいの会社なんです。そこに、僕はまったく準備しないで行って、まったく質問に答えられなかったんです。

まずアンケートがあって、今この数ヶ月に起きてる世界のニュースについてのことをいろいろ書きなさいって。さっぱりわからなくて、もうその時点で冷や汗が出てきて「やばっ」と思って。

面接入ると当時のBBCのトップの、人事部だったかな、タフな女性にいろんな難しい質問を投げられて、僕は答えられなくて。彼女たちはたぶん怒っていて、さらに難しい質問を投げるわけ。どんどん向こうの顔が厳しくなってきて、僕もう「やだ〜、帰りたーい」という感じで、ダメダメだったんですよね。

そういう感じで、就職なんか、まったく興味なかったんですよ。よくわからない。なんでそうなったんだろうな。僕は一番下はものすごいどん底から入るんだけど、ぜんぜん遠山さんほどではないんだけど、僕も一応お坊ちゃま的な。

遠山:ちなみにイギリスにあるご実家に行ったことあるんですけど、まぁ、お城みたいな感じ(笑)。