「コーチを育てるコーチ」中竹竜二氏が登壇

中竹竜二氏(以下、中竹):みなさん、今日はお忙しいなかお集まりいただき、ありがとうございます。

我々としても、こういう(会社の)移転を機にみなさまをお招きしてパーティするとは、当初はまったく考えていませんでした。でも、個別にお客さんと会っていると、こんな素敵なお客さんもいて、こういうお客さんもいて、ここがつながるともっとおもしろいのではないかと思うんですね。

私自身、今日来ているお二人からたぶんいろいろな学びがあって、我々のサービスだけでなく、これを一緒に共有できると最高かなと思いまして、今日の機会を作らせていただきました。

今日は我々と一緒にトレーニングをやっているお客様と、以前からチームボックスに対してご支援をいただいてともに歩んできた方々と、良い時間を過ごせたらなと思っています。今日は、最初は我々三人で話をするんですけれども、打ち合わせはばっちりで、いっさいの打ち合わせをやっておりません。

(一同笑)

出たとこ勝負でいきたいと思いますが、簡単に私のほうから、私のイメージで(お二人を)紹介させていただいて、そのあと、実際になにをやるかというのを簡単に紹介してもらったあとに、組織の話をしてもらいます。

まず、高濱先生は、「花まる学習会」という学習塾を設立し、子どもの教育を中心に取り組まれています。今、時代としては、多くの子どもたちが進学塾で受験に向かっています。高濱先生は、人間の原点である「いきいき生きる」「メシが食える大人を育てる」ということをモットーにして、花まる学習会をやっておられます。

私自身は、実は高濱先生を最初に見たのが……ほとんど私はテレビを見ませんが、出張中のミーティングが長引いて始まらなくて、たまたまついていたテレビを見たら、先生が出ていて。それに衝撃を受けて、ぜひ会いたいなと思ったら……あとで紹介しますが、岡島さんが「私、知っているよ」ということで、簡単につないでもらいました。

(会場笑)

これは私自身がずっといろんなことをやるなかで、人を育てる中で、「こういうふうに整理すると人に伝わるんだ」というね。僕自身がそのテレビを見ながら学びになったことを通じて、それ以来懇意にさせていただいています。

花まる学習会代表/NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長の高濱氏

中竹:では、高濱先生。今やっている事業の内容もそうですし、高濱先生ご自身がいろんな活動をやられていると思いますので、ご紹介をお願いします。

高濱正伸氏(以下、高濱):1回(マイクを)渡したら、なかなか戻ってこないようなので……。

(一同笑)

できるだけ短くですね。25年前に会社を立ち上げましたが、それまでは「三浪四留」といって……意味がわかりますか? 四字熟語ではないですよ。3年浪人と4年留年をして。

岡島悦子氏(以下、岡島):三寒四温?(笑)。

高濱:三寒四温ではなくて(笑)。3年の浪人は不良で、4年の留年は遊び人で、要するに8年。でも「宵越しの銭は持たぬ」というようなものにかぶれたりして。でも、(8年の間)けっこう稼いでいたんですが、右から左に使っていました。

その中で、20代全部を使って、「この国はメシが食えない大人を量産しているんだな」ということに気づいたんですね。実際、社会的な引きこもりが100万どころか、200万、300万という話もあるぐらい。ここにいらっしゃる全員が、例えば「親戚に1人います」「小中学校の同級生が働いていないんです」というような時代になってしまったんですよ。

それの先駆けというか……先に予備校で気づき、「あれ?」と思って精神科の医者に言ったら「そうだよ」と本当にあっさり(認めました)。「医者はみんな知っているよ。この国は働けない大人を量産しているんだよ」と。「どこに行くでもない、歳取ったじいちゃん・ばあちゃんにぶら下がっているいい歳をしたおっさんが、もういっぱいいるんだよ」というわけですよ。

「えーっ! なんで誰も手を打っていないの?」「卒業したっていう卒業証書、嘘じゃん?」「社会人として成立していないなら、ダメじゃん」ということで、彼らをいろいろ研究して、実際に3階が「花まる」で、2階が精神科のクリニックとしてスタートしました。

そこで、「誰もそんなふうに育てようと思っていない。お母さんが一生懸命育てたのに、(こう)なってしまったんだなぁ……」ということがわかって。この現実の中の落とし穴はなんだろうと、私なりに肌感覚と症例を見てですね。

まず、考える力が非常に弱い。彼らは外で作ってもらった枠組みに生きているというか。「中間テストですよ」というのに対し、「中間テストですか。はい、やります」「そこでいい成績を取れなかったら終わりだ」というような人生観。与えられたことを鵜呑みにしながら、入試もそうですし、就活も「就職しなきゃ、就職しなきゃ」というような。

それで生きているから、お母さんになったところで「いいお母さんかな、私?」と感じるんですよね。いつも外側に枠を作っている人生観。

頭のよさとは「相手の言いたいことがどれだけ見えているか」

高濱:僕が好きな人たちは、全部ゼロベースで自分から立て直すというか。「就活必要ですかね?」って。僕も20代の頃、若気の至りで……田舎は九州の人吉という山中なんですが、「別に就活しなくても、木の実はなっているし、いつだって川に潜れば魚を突けるし、食えるのに、なんでそんなに焦っているのかな。遊びたいなら遊べばいいじゃん」という感じだったんです。

自分の頭で1回でも自分のペースに引き戻したあと、「やっぱりちゃんと働こう」という人たちと、ここの違い。これはやっぱり根本的に考える力が非常に弱いというので、「考えることはなんだろう?」と。僕は算数屋、数学屋だったので、数的思考力をベースに「見える力」、つまり補助線が見える力ですね。ないところに線が浮かぶ。

これはどういうことかというと、相手の言いたいことの要点や本質の見え具合が、頭のよさの究極の差なんだと。同じ状況を見ていても、冨山和彦さんや落合陽一さんは、「ここが見えている」というのがすごい。ここの見え具合の差が一番勝負で。

もう1つは、見えるだけでもダメで、パッパパッパ見えても最後まであきらめずにやりきることがすごく重要で。だから、数学の問題のことを語っているのに、僕は最後までやりきる意志力が一番重要だというのを最後にまとめで書いたぐらいです。(やりきる力は)今は「GRIT(グリット)」と言われていますね。

そういうものに注目して「なぞぺー」というペーパーを開発して。これは25年経って、去年Googleで全世界の全アプリの中で教育ソフトとして1個だけ(『Think! Think!』を)選んでもらったので、Googleは見る目があるなぁと。ようやくわかってくれたなと。

考える力がつく算数脳パズル 迷路なぞぺー入門編《4歳~小学1年》

(会場笑)

もう1つは、そういうことをどう育てればいいかですね。ドリルではないんですよ。やっぱり、外遊びやサッカーをしたときに、「山田にパスして、よし、田中が走って来るから、こっちからシュート」。この間、ちょうど原口君が長いパスを受けて。つまり、もう打つ前から走っていますよね。

補助線が見えているから走っているんです。外遊びをしたら、そういうことは山ほどあるんですよね。フライを捕るときは、実は補助線を描いているから捕りに行っているわけです。ああいう空間認識をいっぱい感じるような外遊びを山ほどやった人が一番伸びるのではないかと。

世界中のノーベル賞歴代受賞者はみんな田舎育ち

高濱:脳のことも勉強しました。今は当たり前に言われているように、9歳、10歳ぐらいまでが非常に重要な頃なんだという現場感があります。僕の認識では、(小学校)5年、6年になるとガガガッと止まってしまいます。急に難しくなるんですよ。ここで立体の問題が苦手な子を得意にするのはほぼ不可能です。つまり、臨界期というようなものがあって、そういうのを現場で感じ……。

今は9歳や10歳のことを脳科学者全員が言ってくれるようになったのでよかったですが、それまでは「エビデンスはなに?」と言われても、「いや、現場で見ればそうなんだよ」ということしか言えなくて。

野外体験ということで、今は夏だけでも7,000〜8,000人を連れて行っています。その10分の1は、発達障害だったり、うちは肢体不自由から知的(障害)から全部連れて行きますから。でも、それは多様性というか、絶対に健常児側に良いことが起こるんですね。

(障害児と)同じ時間を過ごしたことが一度もない人が大人になってしまっていますから。人間力を鍛える意味でも、野外体験そのものとやりたいことを決めてやり抜くという経験(が大切です)。「ダムを作ろうぜ?」「作ろう!」というような。

ここに一番重要なものがあるのに、今、都会にいると与えられてしまうんですよね。「次はこれですよ」と。そうすると、さっき言った与えられる人生になってしまう。それを田舎っぺは自分で決めるから。これが世界中のノーベル賞歴代受賞者が、みんな田舎で育った人だという理由でもなかろうかというので、野外体験をやっています。

3つ目が……これ以上話すと長くなってしまうんですが(笑)。「親を変える」ということに手を突っ込んだ感じです。なぜ20人が2万人になったかというと、「親」ということに本気で立ち向かったので。花まる学習会に通って、週に1回磨いたって無理なんですよ。この「親」という関数を変えないと。

ここにとことん突っ込んでいったのがうちのやり方です。さっきも何度かお会いした方がおっしゃっていましたが、全国講演で回っては、親を変えることに対して真面目に取り組んできたという。これがだいたい3つの柱になります。すみません。話が長くなりましたね。

中竹:とんでもないです。ありがとうございます。たぶんこれだけで3時間ぐらい話せそうになってきた。

(会場笑)

プロノバ岡島氏の仕事は「目利きと抜擢と島流し」

中竹:もっとすごい。ほとんど4時間しゃべってしまうかと思いますので、ここで(岡島さんに)振りたいと思います。

「ICC(Industry Co-Creation ™ )」という1つのカンファレンスがあって、岡島さんとはそこで出会って紹介されました。そのときに、本人のしゃべりっぷりはもちろん、コーディネーター……要するに人の話を引き出すというのを、両方できる人はなかなかいないなと思って。

社長のプロというのが一番の肩書きですよね。社長を育てるプロとして、今いろんなところで活躍しています。若いベンチャーの社長からすると、彼女のところへ相談に行きたいという人が本当に行列して並んでいるくらいなんです。今日は、常にアポ取りを追われているような岡島悦子さんに来ていただきましたので、自己紹介を含め、お願いします。

岡島:ありがとうございます。岡島です。こんにちは。プロノバという会社をやっていまして……「プロの場」という意味なのですが、経営のプロに場を提供して機会開発をしていくという社名になっています。

これをやって10年で、今、中竹さんからお話があったように、最近はサクセッションプランニングと言われる仕事ばかりをやっています。社長と二人三脚で、「10年後の社長をつくる」「15年後の社長をつくる」ということで、たいへん化けそうな、非連続の成長をするような人たち、イノベーションを引っ張っていくような人材を作っていくということなので、やっていることは目利きと抜擢と島流しですね。

(会場笑)

島流しと言っているのは、社長や人事部長さんなどはほとんど関わっていなくて、数万人ぐらいの会社で、100人ぐらいを抜擢してAKBのようなピラミッドストラクチャーを作りまして。一番若い人が26歳ぐらい、一番上で45歳ぐらいで入れ替え戦をどんどんやっています。

その人たちを中東に飛ばしたり、M&Aした会社のPMI(Post Merger Integration/企業の合併・買収成立後の統合プロセス)をやりに飛ばしたりすることを「島流し」と言っているのですが、対象者には30代そこそこのような人もいます。

これを時価総額で5兆円ぐらいの企業から時価総額300億円ぐらいの会社まで、今200社ぐらいのお手伝いをやっている感じです。

なので、私自身(の役割)は人の目利き。これは中竹さんとも話していて、とくにポテンシャル人材を見抜くという感じですよね。富士フィルムさんでいうと、フィルムの人でも化粧品の人でもなく、医薬を率いてもらう人。その次を率いる人というような話ですし、産業構造もビジネスモデルも違うものを作っていってもらう人。

往々にして、さっきの「地方から上がってくる」というところに近くて、会社の中では評定が非常に低い大化けしそうな人材を、とにかく津々浦々探すということを、会社の中に相当入り込んでいって(やっています)。私たちしか見ていないリストがあって、その人たちを島流しすると。

(会場笑)