自分で壊さないと、世界が狭いままで終わってしまう
司会者:これから質疑応答の時間となります。なにか質問のある方は手を上げてください。
学生:ありがとうございました。お話の中で何度も、“自分から壊す”という言葉をおっしゃっていたのが印象的でした。そのようにいろんなことを考えるに至った体験はあったのでしょうか?
亀山敬司氏(以下、亀山):う~ん。体験かぁ、その体験ってやつが厄介でね。さっき「それが亀山哲学ですね」みたいなこと言われたけど。結局、俺もほっといたらどんどん哲学というか、信念みたいなのができていくわけ。
君たちのお父さんとか頑固親父になってない? 「人はこうあるべきだ」「こういう会社に行くべきだ」と、自分の経験から自分の考えを持ってくる。俺も含めみんな大した経験もしてないくせに、歳とともにだんだん考えが固まってくるんだよね。
君たちはまだ若いから、「自分たちが知らない」っていう謙虚なところからはじまっている。でも社会に出ると少しずつ世の中を味わって、そのうち年下に対して「お前はわかってない」とか自分たちの親みたいなこと言い出すのよ。「俺の方が経験があるから知ってる」って、人の意見を聞かなくなってくるわけ。
だから、業種だけでなく、自分の信じたものも常に否定して自分で壊さないと、世界が狭いままで終わってしまう。「知らない」っていう謙虚さを常に持ち続けると、相手の声も聞こうという気になるし、わからない考えを受け入れるっていうことにもつながると思うんだよ。
「亀チョク」にはいろんなプレゼンが来るけど、俺が理解できないこともいっぱいある。「DMM.make」もそうだし、ゲームの「艦これ」も「萌え萌えが戦艦なんですよ」とか、わけわかんないことを言われてもね。さっぱりだよ(笑)。
ただ、自分がトレンドをわかっていないって謙虚に思うと、「今後流行ります!」っていうプレゼンをしてきた若者の話にも耳を傾けられる。わからないものにも投資できたりね。話を聞いてくれる人には、「ちょっと話聞いてください」って人が集まって来て、新しいことが出来るんだ。
簡単に言うと、「人生いつまでもお勉強です」って言えることが、「自分から壊す」っていうことじゃないのかな。
法律とは別に、自分の中に掟がある
学生:その「知らない」ということを自覚し続けたり、何かを続けるには、すごい強さが必要だと思いますが、それはどこから来るのでしょうか?
亀山:強さというのでは、「孤独になれる強さ」かな。アダルトもそうだけど、非難を受けることは当然ある。