レンズ越しの視覚は目で見るのとどう違う?

マイケル・アランダ氏:みなさんは、カメラで撮影すると10ポンド太って写るという話を聞いたことがありますか。換算すると約4.5キロにあたります。

もちろん、これは使い古された言い回しですが、一部真実も含んでいます。カメラで切り取る世界は、私たちが目で見る世界と異なっているからです。

写真を撮るということは、多くの要素を含みます。しかし、身体が横に広がって写る理由は、主に2つのことが考えられます。最初に、カメラはサイクロプスだということです。

つまり、レンズが唯一の目である、ということ。私たちの多くは、2つの目を通して世界を捉えています。片方で、対象物の少し背後を捉え、もう片方で目の前の対象物を見ています。

この2つのイメージを脳内で組み合わせることで、対象物の奥行きを知覚することができます。

しかし、通常、カメラは対象物、例えば人物の顔の周囲を捉えるための2つ目の目を持ちません。通常の視覚と比較すると、写真やビデオに写る人物の顔は、脳内で横に広がって認識されます。なぜなら、慣れた視覚で見えるよりも、カメラだと多くの背景を捉えているからです。

第2に、おそらく1つの物の見方しかないと思っていると思いますが、実際には、カメラを通すと異なった観点で物事を見ています。普段、鏡に自分の顔を近づけてじっくり見ますね。

耳が数センチ後ろで、鼻が数センチ手前に映っています。わずか数センチであっても、顔と鏡の距離からすると、大きな割合を占めます。そのため、鏡に映った顔は、少しだけ縦長で、細く見えます。しかし、カメラで撮影すると、より距離があります。これによって写真に写る顔は横に広がって、平らに見えるのです。

言う間でもなく、それぞれにカメラには、焦点距離というものがあります。これによって、対象物であるあなたとその背景がどのように映るかが決まります。カメラのレンズを通して入ってきた光は、集約され、1点に集められ、はっきりとした鮮明な像を結びます。

焦点距離というのは、カメラの内部で光線が焦点を結ぶ点と、センサーが像を結ぶ点の距離を表します。一般的には、ミリメートルで表記されます。短い焦点距離の場合、広範囲の風景を写します。

近くのものはわずかに大きく写り、遠くのものは小さく写ります。

これは、鏡で顔が細長く写る原理と同じです。

一方で、焦点距離が長い場合、カメラはより拡大したイメージを捉えます。遠くから写真を撮る場合や、風景の一部を拡大する場合などに使われます。

これを人物に当てはめると、わずかに平らで横に広がって写ります。

このように、カメラで撮影すると、10ポンド太って写るということがあり得るのです。でも、ご心配なく! 自撮り写真は大丈夫ですよ!