虫のサイズの不思議

ハンク・グリーン氏(以下、ハンク):夢に巨大な虫が出てきて悩まされたりしたことってありませんか?

今日では、世界最大の虫はニュージーランドの「ジャイアントウェタ」と言われていますね。10センチほどで重さは70グラムほど。小鳥くらいのサイズですね。

虫が今とは違う時代もありました。3億年ほど前、65センチのメガネウラというトンボが、今の8倍大きいほかの虫たちと空を飛ぶ時代です。でもなぜ今はそうじゃないのでしょうか?

外骨格の重さが理由とも言われていますが、まずはサイズについて、アリゾナ大学の生物学者、ジョン・ハリソン氏にそのわけを聞いてみました。

ジョン・ハリソン氏(以下、ジョン):外骨格はあまり関係ないと言われています。そもそもそれを証明する十分なデータがないのです。それを説明するものとして、海中の巨大な節足動物が挙げられます。海中では地上ほど体重を支える必要がないのに巨大ですからね。

ハンク:また、体に対する外骨格の比率はどの大小どちらの昆虫も同じなので、外骨格が巨大なサイズの理由ではなさそうですね。

ジョン:そこで私たちは、酸素供給に関係しているのではないかと考えます。

虫は人間と呼吸法がまったく違うわけですが、虫の体の側面にはいくつか穴があり、ガスとして空気に満ちたその管を通過します。その管はミクロサイズの小ささに枝分かれして、細胞に届きます。

ハンク:それらのチューブは毛細気官と呼ばれ、巨大昆虫の長い毛細気官が関係しているというわけですが、ジョン氏は昔の地球のほうがより多くの酸素があったということも関係していると言います。

ジョン:現在の地球の大気中の酸素は21パーセントなのに対して、古生代の地球では32パーセントあったと考えています。そういった酸素量の違いがより大きな虫の存在に関係していると考えられます。

ハンク:ただしこれあくまでも理論に過ぎないとジョン氏は言います。個人的には虫は小さくていいですけどね。