大腸がんで亡くなったおじの話

リシ・バレラオ氏:ご紹介ありがとうございます。皆さん、こんにちは。今日はここに来れましたことを光栄に思います。皆さんの前に立って、いくつか私とチームがやっていること。「Patients Like Me」での成果をご説明させていただきます。

ヘルスイノベーション、それから患者中心のヘルスケアを私どもは主にやっております。おそらく皆さんの多くは、このディスカッションもお聞きになったと思います。非常にインスパイアリングなことをお聞きなったと思います。

こちらのプレゼンテーションは、皆さんに対する招待状ということで、患者中心のヘルスケアのきっかけになればと思っております。それでは前置きはこのぐらいにして本題に入りましょう。

まず最初に私のお話です。このプレゼンテーションで最初に申し上げたいことは、私の頭の中から、ここ数週間離れないことです。これは私のおじです。インドに住んでいます。そしてこちらの写真ですけれども、だいたい2年半くらい前に撮影されました。健康で幸せで笑うのが大好きなおじさんでした。

先月10月21日、私のおじはステージ4の大腸がんの診断を受けました。残念ながら、この月曜日ですが、診断から1ヶ月未満で彼は亡くなりました。ここで彼の話をするのは、彼に限ったことではないと思うからです。

皆さんの多くは、皆さんのおじやおば、あるいは両親、あるいは兄弟子ども友人で同じような経験をお持ちでしょう。つまり、自分自身の健康危機で辛い思いをした方のお話をしています。

テクノロジーはまだヘルスケアに貢献できていない

私のおじのヘルスケアの世界というのは家庭医との関係でした。小さなインドの町に住んでいました。ですから、ほとんどヘルスケアというのは家庭医と話すということでしたが、家庭医は彼のことをヘルスケアのエキスパートとして扱ってくれませんでした。つまり、私のおじをヘルスケアイノベーターとは誰も見てくれなかったんです。

テクノロジーのことを考えてみますと、この部屋の中にも多くのブレインパワーがあります。テクノロジーの、私たちの人生に対する影響考えますと、おそらく皆さんこうに言うでしょう。

「これらは、私たちは人生のいろんな側面でベネフィットがあったにもかかわらず、ヘルスケアへの応用ということを考えると、テクノロジーはまだまだ何もやってくれていない」と。

ですから、私は今日ここでまったく違った将来の画を描きたいと思っています。新しいモデルです。このモデルにおきましては患者は患者ではない。イノベーターであるということなんです。

患者は自分自身の健康におけるイノベーター

そして彼はイノベーター。単なるイノベーターではない。イノベーターでも、自分自身の健康におけるイノベーターであるということなんです。

ではその前に、いくつかの質問に対して答えてみましょう。なぜ患者がイノベーターであるべきなのか。どのようにしてイノベーションがヘルスケアで起きるのか。そして私たちは患者から何が学べるのかということです。そしてこれらのヘルスケアでイノベーション推進のため、患者をどのように使えるのかということです。

イノベーションというのは3つのステップから起きます。まず最初ですけれども、ここでは試行錯誤のプロセスを踏襲するということになります。解決を見つけるためにはうまくいくこと、いかないことがあります。

そして問題を測定するということです。測定できるとパターンがわかります。パターンを見て、こちらの薬剤はあなたに奏功する、あるいは他の人に奏功するとわかるわけです。このようなプロセスを経て、初めて私たちが真に問題を理解できるということなんです。

つまりルールベースのシステムが確立されるということで、それで初めてソリューション、解決が見出せるということなんです。このようなイノベーションのパスというのがありますが、多くの疾患でもこの経路をとっております。

TB、結核というのは1つの大きな例でしょう。過去におきまして、患者には希望がなかったんです。外からの空気を吸う、それからよい食事をする、そして休息をとるということぐらいしか治療がなかったわけです。

こちらが結核なんですけれども、19世紀です。結核病棟で太陽の光を取り入れているんですが、うまくいきませんでした。このようにして、どのようにTB、結核を測定するのかということを学びました。

技術の進歩により結核の正体がわかった

聴診器ですとか、あるいはイクセルのような技術で測定が可能になりました。そうしますと、パターンが見つかり、私たちは先に進むことができました。テクノロジーを通じて、私たちは結核というのは気管支炎ではなくて、がんではなくて、これらの疾患のサブタイプではなくて、独立した感染症だとわかったんです。

そして1940年代になって初めて抗生剤が市場に投入されましたが、それで私たちは本当にこの疾患というのは、細菌が引き起こすメカニズムなんだとわかったんです。初めて私たちは明確なルールが確立され、どのようにして治療を行えばいいのかが理解できるようになったんです。

私の元ボスで、ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン先生という人がいるんですけれども、この人が3つのフェーズというのを作りました。

まず最初が直感、そして蓋然性、そして精度ベースのメディスンということです。つまり別の言い方ですとルールベースのメディスンです。このように疾患、あるいは状態、あるいはヘルスケアの問題というのは、この経路を通るんです。

1つ重要な次元というのが時間です。つまり、このような作業ですとか、時間をかけて1つのフェーズから別のフェーズに移動するということになります。そしてもう1つ非常に重要な次元というのがあります。それはコストです。

私たちが左側の世界、つまり直感の世界から正確な世界に行くためには、ヘルスケアではいろんな興味深いことが起きます。コストが下がっていくんです。私たちは実際、よりよい治療法、よりよい転機を、より少ないお金で得ることができるんです。これが本当に中核です。

なぜヘルスケアのイノベーションが大切なのか、という中核をついていきます。私たちはよりよい転機を、より少ないお金で得られるということで、より正確な予測可能な転機を得られるということなんです。

このようにヘルスケアイノベーションというのは、私たちの社会全体の幸せに必須なものです。それと同時に、このあと患者さんの絵を見せていきますけれども、患者さんがその中心となります。

患者はどのようにヘルスケアイノベーションに関わるか

この経路を進むんですけど、結核の世界というのは少なくともアメリカにおいては激変しました。この疾患のインパクトというのは大きく下がっていたということなんです。1900年、だいたい10万人当たり194.4人の死亡。

しかしこの死亡率はどんどん下がってきてるので、今では非常によくコントロールされた疾患となっております。もちろん世界の別のところでは、結核は依然問題であるんですが、先進国におきましては、非常によくコントロールされた疾患になったということです。

それではここに患者がどのようにかかわってくるんでしょうか。3つのフェーズをお話ししました。

私たちが直感の医療から蓋然性の医療に移動するためには、私たちはまず最初に疾患を測定しなくてはいけないのです。このように疾患を測定して、初めて何が起きてるのかがわかる。そして、それによって効果的な治療が何なのかわかるということなんです。

このように測定結果を使うことによって、私たちは疾患を理解することができるということです。どんなことが原因で、どんなメカニズムで病気なのか。それによって正確な医療が提供できるようになります。

つまり、患者というのは毎日疾患と共に暮らしています。彼らはそういった意味で疾患のエキスパートなんです。だからこそ彼らは測定においても、理解においても手を貸してくれます。

そこで私が先ほど言った中核メッセージです。「ヘルスケアのイノベーションというのは、私共の幸せにとって重要である。そして、患者がヘルスケアイノベーションのまさに不可欠の本質的な部分である」ということなんです。