犬の目から見る世界は?
マイケル・アランダ氏:犬には白と黒しか見えないという話を聞いたことがあるかもしれません。これはみんながたまにおもしろがって話す疑似事実の1つです。そう、これは誤解です。
そしてこの誤解は、犬が人間の視点からすると色覚異常である、という事実に端を発しています。だから、犬には色が見えないってことではないのです。
私たちは「CONES(錐体細胞)」と呼ばれる、目の網膜のなかの一連の受容器官を通じて色を認識しています。
そして人間にはそれが3つあって、それぞれがある一連の色に対応する特定の波長によって作動しています。
ほとんどの人間は、青色、緑色、そして赤色の光の波長を検出することができる錐体細胞を持っています。
ところが犬には、色覚異常の人間みたいに、作動する錐体細胞が2種類しかありません。
犬にわかるのは「青」と「黄色」
犬が検知できる2つの色は、青色と黄色です。
だから犬に赤色は見えませんが、黄色、青色、灰色、そしておそらく汚い緑色っぽい茶色のように見えるもの、なんかの色調はいろいろ見えていて、区別することができるのです。
だからぼくたちにこれが見えているとき、
犬にはこんな感じで見えているでしょう。
鮮やかな色彩というわけではありませんが、ただの白黒というよりはずっと多くの情報があるのです。さらに、犬の部分的な色覚についてはっきりさせることで、子犬がどうやって世界を体験しているのか、いろんなことがわかります。
最近の実験では、暗い黄色の物体を見つけるように訓練されている犬は、その物体が明るい黄色のものに置き換えられていても依然としてそれを見つけることができるということがわかりました。
さらに犬は暗い青色の物体と暗い黄色の物体も間違えませんでした。
それは、犬が別々の色調をはっきり区別できていて、単にグレースケールで見えているわけではないということを意味しているでしょう。
だから、もしあなたが犬に青いスリッパを取ってくるように言ったのに……
犬がバナナを持って戻ってきても、彼は色覚異常じゃないんです。
ただあなたにちょっかいを出しているだけでしょうね。