起業に興味のなかった学生が「Life is Tech!」をつくるまで

水野雄介氏:こんにちは! 大学生のみんなの中で、起業したい人はどのくらいいるんですか?

(会場挙手)

じゃあ、スタートアップで働いている、インターンをやっている人はどのくらいいますか? 

(会場挙手)

なるほど。実際、起業してる人はどのくらいいますか?

(会場挙手)

なるほど。まだ始めて5年の会社なので、僕がみんなに伝えられることがどのくらいあるかわからないけど、自分なりに考えていることを話します。

ちょっと特殊で、教育の会社なので、そういったところを見てもらえればなと思います。Life is Tech!の代表をやっている水野と申します。よろしくお願いします。

僕らは大学と連携して中学生・高校生向けのITの教育をやっていまして、例えばiPhoneのアプリを作ったり、みたいなことをやっています。

自己紹介をすると、僕は慶応なのでずっと日吉に住んでいて……慶応の学生います?

(会場挙手)

「マリーン」(注:日吉のイタリア料理店)知ってます? 知らないか(笑)。パスタ食べてきたんだけど、トレンチノというのがおいしくてね。日吉に住んでいて、矢上(キャンパス)まで行っていました。

みんなと違って、僕の場合は麻雀が好きで(笑)。テニスサークルにも入っていて、起業なんか全く考えたことのない学生でした。

3年生のときに、理系の友達が「電通のOB訪問に一緒に行こう」と言うから、「行きましょう」ということになったんですが、何の会社かわからなくて。電機通信系の会社だと思ってたんだよね(笑)。それくらい、社会のことを知らない人でした。

そういった中で、たまたま物理の(教員)免許を持っているんだけど、開成高校というところで非常勤の講師ができて。働きながら、その収入で大学院に行って。その後3年間ワイキューブって会社に行った後、27歳のときに起業しました。

リアルなイベントで学ぶことの価値

僕は中学生・高校生の可能性を最大限伸ばすということが本当にやりたくて、それをやるための手段として、一番起業が早いんじゃないかなと思ってやっています。(プログラミングITキャンプは)日吉でもやっているし、東大、慶応、九大、京大など15大学と連携させていただいています。

中高生が5日間くらい来て、iPhoneのアプリを作ったりする。だいたい5、6人で1チーム。「Android初級コース」みたいな感じで、そこに大学生がついて教えるという仕組みでやっています。

やっぱり、リアルであることの価値を大事にしたいなと思っていて。スキルだったら、やる気があれば、Webでも本でも、どこでも学べるじゃん? そうじゃなくて、この場に来る価値、リアルの価値。それはやっぱり友達と出会えるとか、なかなか学校では褒めてもらえないITのところを褒めてもらえたり。

「こんな先輩になりたいな」という大学生に出会えたり。後は、「こんなところで研究をしてみたいな」とか、非日常の空間で勉強できるというか。「目指せ、ディズニーランド」じゃないけど、中高生に「ディズニーランドよりLife is Tech!に行きたい!」と言ってもらえるような場所を作りたいと思ってやっています。

まとめると、中学生・高校生向けのITのキャンプをやっていて、全国15大学、14コースです。人気があるのは、iPhoneとかゲームとか、最近だとメディアアートのコースも人気がありますね。今、大学生が500人くらいいいて、教える仕組みとなっています。「ディズニーランドを超えよう!」という思いで。

ディズニーランドのリピート率はだいたい97パーセントと言われている。うちのリピート率は40〜50パーセントなんだけど、それを超えようと。やっぱり学びなので、次に学びたくなるというのを大事にしたいなと思ってやっています。

Life is Tech!のビジネスモデル

最初は参加者数が3人のキャンプからスタートして、去年(までに)1万人くらい来てくれている感じになっています。実際子供たちもかなり育っていて、起業する子(も出てきた)。この間、当時15歳の女の子と16歳の男の子が起業したりとか、後は小6の春休み、中1の始まりに来た子がIPA(情報処理推進機構)で最年少でスーパークリエイターに選ばれたりとか、少しずつ育ってきているなという感じです。

僕の目標は、「年間20万人の子がデジタルなものづくりをしている世界を作ろう」ということです。

高校野球をやっている子が18万9千人と言われています。僕も野球をやっていたんですけど。だいたい現場で教えていると、野球が好きな子よりITが好きな子が多いんだよね。好きなんだけど、みんな「LINEやってる」とか、「パズドラやってる」、「白猫(プロジェクト)やってます」みたいな。

みんなやっている側。「作っているのってカッコイイよね」という文化を作りたいなと。実際みんな好きだから、好きなものを形にできる力をつけようと。

ビジネスモデルとしては、BtoBとBtoCが7:3くらい。今1万人くらいが来てるんだけど、参加者からお金をもらっています。5千人くらいが有料、5千人くらいが無料でやっています。その売上の7割くらいが親御さんから。3割くらいが、企業さんからいただきながらやっています。

基本のリソースに関しては、僕らは大学生が中高生を教える仕組みなので、大学生は技術力があって、コミュニケーション力もある子がやっぱり良いメンターになるんだよね。

そうなると、企業としてはそういう人欲しいよね? という形で今、10社さんと一緒に大学生に100時間くらいの研修をして教えると。実際、この企業にもどんどん入っていってると。

企業とコラボしたユニークなキャンプ

企業としては、そこから1人でも採れればペイするよね? みたいな形でスタートして、「Life is Tech! Leaders」というのをやっています。無料で研修も受けられるので、結構(選考を)通るのは難しいんだけど、やりたい人は応募してみてください。こんな感じで企業さんと一緒にやっていたりとか。

この間やったのは、スクエニ(スクウェア・エニックス)さんと「スクエニキャンプ(SQUARE ENIX GAME CAMP)」とか。「冒険をやってるだけじゃなくて、冒険を作ろう」みたいなキャンプ。

北海道で「初音ミク(OneDayプログラミング入門IT)キャンプ」、VOCALOID(ボーカロイド)のキャンプをやったり。

これは明日やるんですけれども、吉本(興業)さんと一緒に「YOSHIMOTO TECHDAY」といって、お笑いをHACKしようと。笑いだけに特化したアプリを作ってみようという感じでやってます。

後は、「Code Girls」。女の子向けの企画。プログラミングができる女子やITができる女子は世界的にもすごい求められてるから、それをクックパッドさんや各企業さんと一緒にやっています。

後は「(IT)ドラフト会議」というのもやっていて。これは7社でやったんですけども、品プリ(品川プリンスホテル)で、実際のドラフトみたいな感じでやりました。

やっぱりドラフトと言えばクジだろうということで、1巡目はリクルートとクックパッドさん(の指名)が被ったんで(クジを引いた)。

IT界のヒーローを生み出す仕組み

僕は教育を良くするところ、IT界のヒーローを生み出すわかりやすい仕組みが欲しいなと思ってやっています。教育を変えるには、やっぱり「入口」「中身」「出口」を全部変えていかないといけないなと思っています。

キャンプはITが初めての子、8、9割がパソコンを初めてさわります。「YouTubeを見るだけしかやってません」みたいな子たちが「ITでものづくりするって楽しいよね」となるのがキャンプです。

そこから、その子たちがどうやって育つか、伸びるかというのが中身。そして最後は出口。やっぱり親御さんからしたら、子供に幸せになって欲しいんだよね。そのためには良い大学に行って、良い企業に行くということが一番確率が高い。だからそこに投資をするんだよね。

例えば、自分の息子が150キロ投げられたら、頑張ってプロ野球選手にしようと思うじゃん。それは「プロ野球選手になったら幸せになれそうだよね」ということが、わかりやすいということ。だから、「ITができたら幸せになれるんだよ」ということを、社会的に文化としてわかりやすく伝えてあげる必要がある。

そのためには、さっきのドラフト(会議)みたいに、「企業に入れるんだよ、逆に企業に指名されるんだよ」ということとか。

実際に起業して、ここからバイアウトも生まれると良いなと思っていて。アメリカでは実際に起こっているよね。15歳で起業して「Summly」というニュースの要約アプリを作った子が、Yahoo!に3千万ドル(30億円)で買収されているんだよね。17歳で。

それっていうのは、田中マー君(田中将大氏)が楽天と1億円で契約したのと一緒で、Yahoo!が30億円でその人とそのアプリを買ってるんだよね。そういう事が実際に起こってきていて、それって野球と全く同じ仕組みなので。

中高生のITの力ってすごい伸びるんだよね。そういう子たちも出てきて良いんじゃないかなと思います。