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中間管理職を救う!役割再定義のステップ(全1記事)

2024.08.21

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中間管理職を“限界状態”から救うのは、役割の再定義 マネジメントを仕組みから見直すためのステップ

提供:株式会社タバネル

経営層と現場をつなぐ組織の要である、中間管理職。しかし、変化の激しい経営環境への対応や、部下のマネジメントなどで負荷は増えるばかりとなっています。
中間管理職は罰ゲームに例えられるほどの“限界状態”。過重な負担をどう解消し、活躍できる場を作っていけばいいのか。株式会社タバネル 代表取締役の奥田和広氏が、管理職の役割を再定義するための具体的なアドバイスを語りました。

中間管理職は、経営と現場をつなぐ「組織の要」

奥田和広氏:それではお時間になりましたので、開始いたします。みなさんこんにちは、株式会社タバネルの奥田です。

本日はただいまから30分、「中間管理職を救う! 役割再定義のステップ」と題してお送りしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

まず最初に、簡単に私の自己紹介からスタートさせていただきます。株式会社タバネル代表取締役の奥田と申します。OKRのコンサルティングや中間管理職の方の育成や支援を業務にさせていただいております。

昨今「中間管理職の罰ゲーム化」などと言われるように、中間管理職の方、なかなか大変な状況になっています。まずセミナーの前半は、中間管理職の実態について、少しお話をしていきたいと思います。

そもそも中間管理職は「中間」というぐらいですから、上と下があるということで、上からは経営層から要求を受けて組織を回していく。一方で、現場のメンバーからさまざまな要求を受けるというところで、まさに組織の真ん中にいるわけです。経営と現場をつなぐ要、組織の要なんて言われます。

ミドルマネジメント層の過重な負担が、組織課題1位に

一方で組織のステップで考えていくと、メンバーからマネージャーになり、マネージャーのうちからまた今後の経営者候補が生まれていくという意味では、中間管理職は次世代の経営者候補とも言えるわけです。

組織を回していく上での要ですし、今後の人材という意味でも、これから要職を担っていく。そういった人たちの候補になっていくということで、組織としては非常に重要な存在。組織の要である中間管理職なんですが、ここが最近忙しくなってきた、負担が大きくなってきたと言われています。

冒頭に申し上げたとおり、中間管理職が罰ゲーム化しています。中間管理職の方がすごく疲弊していると言われています。

これはリクルートマネジメントソリューションズさんの調査からですが、ミドルマネジメント層の負担が過重になっている。これが人事の方も管理職の方も非常に大きな課題だということで、今、組織課題の1位になっているということです。

弊社でも中間管理職の方の過剰負担についてのセミナーを実施させていただいたところ、非常に多くの方から関心を寄せていただいています。多くの組織で今、ミドルマネジメント層の負担が大きくなっているという実態があります。

管理職の負担となる「求められるマネジメント」の変化

なぜ負担が大きくなっているのかというと、1つは求められるマネジメントが変化していることがあります。

最近「予測困難性が高まっていますよね」とよく言われます。予測困難性が低い状態だったらどんなことができるかというと、過去の実績に基づいて予測をして、その予測に向かって正しく立案して実行する。間違いなく再現性を重視していけばいいということですね。

こういう中では実績をよく知っていて、立案をした上司の言うことをしっかり聞く組織がうまく回るわけです。指示命令型の組織で、ゴールを定めて一直線に向かう。こういうマネジメントが、組織として成果を出しやすい姿だったわけです。

一方で予測困難性が高い状態になると、過去の実績に基づいて何かを予測したり計画することが、なかなか通用しない。そうなるとじっくり立案するのではなくて、速く挑戦して、時には失敗しながらも学んでいくことが大事になってきます。

ですので、先ほどの再現性重視というよりは、挑戦や学ぶことを速く行う。変化に適応するために組織自体もスピードを上げていくという、スピード重視が大事です。

そうなると大事なことは、上司の言うことをしっかり聞いていくのではなくて、一人ひとりが自律していること。そして、一人ひとりがみな双方向で、お互いに刺激し合いながら、学び合いながら進んでいく。そのためにも情報の透明性が大事になってくるわけです。

指示命令ではなくて、対話や学習のほうが大事なわけですね。上司が正解を知っているわけではなく、誰も正解を知らないので、みんなで対話して学習していく。こういう組織がうまくいくわけです。

変化が激しいので、ゴールも動き続けるわけです。そうすると組織も変化していかないといけない。つまりはマネジメントのかたちも変わっていっているので、中間管理職の方は非常にマネジメントが難しくなってきているということです。

上司と現場からの要求に加えて、さまざまな経営課題にも対応

さらには先ほど言いましたように、中間管理職は上からの要求、現場からの要求と、さまざまな要求に応えていかないといけないわけですが、部下のマネジメントについてさまざまな変化が出てきます。

最近で言うと、率直に意見が言える心理的安全性とかですね。パワハラとかコンプラといったものも大事になってきます。

働き方改革などもあって、残業をするような働き方も見直されていますし、リモートワーク等々も広まっている。こういう中で、これまでの部下マネジメントのやり方が通用しなくなってきていると。

一方で経営幹部からどういう要求がくるかというと、新しい経営課題がいろいろ生まれてくるわけですね。「イノベーションを生み出しましょう」「SDGsをやっていきましょう」「DX、リスキリングが必要ですね」「従業員のエンゲージメントを高めていきましょう」と。

さまざまな経営課題、上からの要求、現場からの要求、これに応えるためにさまざまな新たな課題が生まれている。そういう中で中間管理職の方の負担がどんどん大きくなっている。これが現状ではないでしょうか。

みなさん今日は、こういうことに非常に関心があってご参加いただいているかと思うんですが、みなさんもさまざまな対応をされています。

各社も中間管理職の方に活躍してもらうために、さまざまな対応をされているかと思うんですが、この対応がなかなかうまくいってないのではないでしょうか。

中間管理職のスキル強化や役割変更で解決できるか?

では、どのような対応をしているかというところと、その問題点についてお話をしていきたいと思います。

まず1つ目は、先ほど言ったようなさまざまな負担が増えている中で、中間管理職の個人のスキルを向上させましょうと。私も中間管理職の研修などもさせていただくんですが、(企業のみなさまは)個人のスキルを上げていく。それから中間管理職の方の役割を変更しようとされています。

これらはもちろん大事なことなんですが、それだけで解決するのはなかなか難しい。なぜなら「そもそもの負担の増加が解決してませんよね」ということですし、総花的・曖昧なスキル強化や役割変更だけでは、なかなか解決できませんよということです。

またマネジメントには、P機能とM機能の2つの機能があるという、PM理論という考え方があります。Mはメンテナンス、集団維持ですね。Pがパフォーマンス、目標達成ということで言うと、人や組織をメンテナンスする集団維持機能を中心に強化しようというのが昨今の流れです。

「人にもっと気を配りましょう」「1on1をしましょう」「キャリア開発をしましょう」というかたちで、集団維持機能の強化はけっこう行われていますが、一方でパフォーマンス、目標達成機能の強化があまり行われていない。

特に最近は離職率が高まっていたり、エンゲージメントという言葉も、どこの会社でも使われるようになり、集団維持機能にばかり目がいって、目標達成機能の強化がおろそかになっています。

そうすると将来必要となる戦略の構想や決断力といったものが、中間管理職の間で養われない。結果として課長から部長になって、部長が現在の課長のような、いわゆる「大課長」化して、会社として大事な次世代の経営者候補が育たないということになります。

集団維持機能が不要だと言っているわけではないんですが、しっかりとした次の世代の経営者を育てていくという意味では、目標達成、戦略を立てて決断をする。こういったことまでできるようになっていかないと、なかなか次の経営者にはなっていかないということです。

旧来の仕組みのままでは、変化への対応は難しい

さらには、先ほど「不確実性が高まっている」と言いました。そういう中で戦略を実行していくって、なかなか難しいですよと。不確実性が高い中で戦略実行する、つまりはマネジメントの仕組み自体が変わっていない。

例えば「素早くやっていかないといけないですよ」「変化に速く対応しましょう」と言っているのに縦割組織であったり、あれもこれも承認を取りましょうとか。失敗回避のためにさまざまなハードルが置かれていて、「旧来の仕組みはそのまま、変化対応だけしましょう」と言ってもなかなか難しいです。

あと中間管理職の方の役割を「こういうふうに見直しましょう」と定義を行ったとしても、マネジメントの仕組みが変わっていないと、結果として実際の行動や業務が変わらないんですよね。マネジメントの方は、やらないといけないことが変わっていないということになります。

かつ、日本の中間管理職の方の9割はプレイングマネージャーだと言われています。プレイングマネージャーのプレイヤー部分の業務は、非常に大きな負担があるんですが、ここも変わらないということですよね。

結果としてマネジメントの仕組みが変わっていないということになり、中間管理職の方の負担が解決したり、もしくはさらに活躍できるような対応になっていません。

環境変化に合わせた戦略変更、マネジメントの見直しが必要

この中間管理職の役割を再定義する、見直すだけではダメですよというのは今、お話ししたとおりです。「じゃあどうしたらいいんですか?」ということです。

なによりも環境が変わっていきます。そうすると組織としては、戦略を変えざるを得ないということですよね。環境の変化に応じて戦略も変わります。

戦略が変わったらその戦略を実行していく、組織全体のマネジメントの見直しをしましょうということです。組織全体のマネジメントを見直した上で、中間管理職はどういう役割を果たすんですかと。

この環境変化と戦略変更、その次のステップ、組織全体のマネジメントの見直しがあって初めて、中間管理職の役割定義ができるんですね。ここをすっ飛ばして中間管理職の役割定義だけしても、実際の業務は変わらないということになってしまいます。

そして、中間管理職の方の役割が再定義されます。再定義されましたら、そのためにどんな育成が必要なんですか、ということになってきます。

中間管理職の方の役割定義を見直すだけ、育成するだけでは、過剰負担は解決されないですし、中間管理職の方が活躍し、さらには組織が活性化していくことにはならないということです。

メンバーの自発性を高めるためにすべきこと

本日はこの中間管理職の役割定義のステップについて、詳しくお話をしていきたいんですが、組織全体のマネジメントの見直しについて、1つだけ触れさせていただきたいと思います。

組織全体のマネジメントの見直しというのは、仕組み化をしていただきたいということですが、その際にサイモンズさんという方が提唱された「Levers of control」、4つのレバーと言われるものがあります。それを再解釈して、私のほうでこのようにしております。

戦略を実行するにあたって、1つはメンバーの自発性を高めていくということですよね。特に変化の激しい時代ですので、メンバーが言われたことをやるだけではなくて、自発性を高めていく。

そのためにはパーパスや理念、バリューとか最近言われますけど、目的や価値観をしっかりメンバーに伝えていく。なんでもかんでもルールで縛れませんので、目的や価値観を理解すると、その範囲内でメンバーもしっかり動けるようになります。

さらには対話と学習。上の人だけがものを知っているわけではないので、全体でしっかり対話・学習していくことが大事です。これはもともとの4つのレバーで言うと「インタラクティブ」という言葉が使われているように、双方向で学んでいく、対話していくことが大事です。

メンバーの自発性の促進と制約のバランスが重要

一方で、じゃあメンバーはなんでもかんでも自発的にやっていればいいというわけではなくて、メンバーへの制約も必要ですよ、ということです。

1つが境界と規律です。「これはやったらダメですよ」「この範囲内でやりましょう」といった、境界や規律をちゃんと明確にしましょう。

それからもう1つは業績管理ですね。予算管理や目標管理というふうな呼ばれ方をするかもしれないですけども、そういった目標や業績に向かってメンバーは動くんですよ、というふうにメンバーの制約をかける。

メンバーの自発性とメンバーの制約のバランスをとって仕組みを見直すことが大事になってきます。

こういった仕組みを見直した上で、先ほど言いましたように、中間管理職の役割を定義していくわけです。今もみなさん、なんらかのかたちで定義されていらっしゃると思いますので、再定義することが大事です。

先ほど言いましたように、中間管理職の役割定義をしていく上では、環境変化と戦略変更に対して組織全体のマネジメントの見直し、仕組み化をしていくと。

その上で中間管理職の役割定義をして、中間管理職の育成にいくというところなんですが。この中間管理職の役割定義とは、どういったことをしたらいいんでしょうかというのを後半、話をしていきたいと思います。

中間管理職の役割を再定義するステップ

中間管理職の役割再定義のステップということで、会社全体の方向性・戦略との連動がまず最初に大事になってきます。

会社全体の方向性・戦略と連動した上で、中間管理職だけではなくて、周囲の役割の見直しも図っていく。中間管理職の役割を見直す上では、周囲の方の役割を見直し、さらには役割を行動に落とし込むことが大事です。

そして、行動に落とし込んだらいよいよ実際に動き出すわけですが、動き出しても必ずしもすぐにうまくいくわけではないので、社員の声や行動を観察して、アップデートすることが重要です。

それぞれ1つずつのステップについて、詳しく見ていきたいと思います。

1つ目ですね。会社全体の方向性・戦略との連動というところで、よく「戦略とは捨てることなり」とか「戦略とは集中である」とも言われます。新たに戦略を作るということは、これまでの戦略と比べて強化する部分があったり、やめたり減らしたりする部分があるはずなんですね。

それを明確にするためには、「ERRCグリッド」という、下にありますEliminate、Raise、Reduce、Createの頭文字を取ったフレームワークがあります。これはブルーオーシャン戦略で使われるフレームワークなんですが、私はさまざまなところで使いやすいので、けっこう使わせていただいています。

みなさんが戦略や方向性と連動するために、新たな役割を考える際に、このフレームワークを使っていただくとわかりやすいかと思います。

何を増やして、何を減らすのかを決めていく

新たな戦略ってこれまでと比べて、何をやめて、何を減らして、何を増やして、何を新たに追加するのか。そういうことを理解した上で、新たな役割として何をやめて、何を減らして、何を増やして、何を追加するのか。こういうことを決めていく。

新しい戦略(を立てて変化)に立ち向かうために、例えば「1on1が大事なので、部下に寄り添っていきましょう」「自律的キャリアの支援をしましょう」。もしくは「デジタルとかイノベーションをやっていきましょう」ということで、新たな役割がどんどん増えていく。

RaiseやCreateばかりになっていってるということでは、なかなかしんどいわけですね。しっかりこの左側、Eliminate、Reduceの部分も明確にすることが大事です。

「ここまでやってきたことのうち、これはやめましょう」「減らしましょう」ということがないと、ただただ負担増になってしまうことになります。そのためには、戦略で何をやめたり減らしたりしていくのかを明確にして、理解した上で役割を決めていくことが大事です。

繰り返しになりますが、役割をただ増やしたり追加したりするだけでは、管理職の方はどんどん疲弊する一方になります。

仕事が減らない一因は「管理職が担うべき」という思い込み

じゃあ管理職だけ増やしたり減らしたりすればいいんですか、ということだけではないですね。先ほど言った「管理職だけではなく、周囲の役割を見直す」ということですね。

会社全体、組織全体のマネジメントの仕組みを見直す中で、どうやっていくのかということを考えていきたいんですが、管理職だけでは解決しないわけですね。

これまでついつい「管理職が担うべき」という思い込みのもと、管理職が担っている仕事があると思うんですが、それを外すことが大事になります。

例えばですけども、やはりある程度役割を担うにあたっては、上司から権限を委譲してもらわないといけないんですね。新たな役割を担うにあたって、役割と権限は1つのセットですから、しっかりと権限を委譲するということ。

さらに言うと新たな戦略があるわけですから、管理職としては、そこに向かって新たな戦略実行の役割も増えていきますよと。増えるだけではなかなか大変なので、例えば特定の業務の責任を一部リーダーに降ろす。役割と権限を降ろしましょう、ということですね。

メンバー育成も「管理職にすべて任されていました」「OJT中心でやってました」というところを、人事がメンバー育成にもっと乗り気になって、そこを強化していく。

さらに言うと、多くの会社さんで目標設定や目標の振り返りを、管理職の方が中心にやられています。「今期の目標は、前期がこうだったので、今期はこういう目標にします」。

「ついてはAさんはこの目標、Bさんはこの目標」みたいなことで、管理職が割り振ることをされている組織も多いと思うんです。組織全体を巻き込んで、目標を作ったり目標を振り返ったりしていくことで、管理職だけではなく、組織全体でシェアしていくやり方もあります。

どの業務を誰に割り振るかは組織によって違うかと思いますが、「管理職が担うべきだ」で、ただただ役割を増やしていくのをやめましょう。周囲で担える部分、一緒にやっていける部分はないのか、ということを探していただくのが大事です。

部長の役割を3人で分業しながら推進

最近、日揮さんという会社が管理職を3人で分業ということで、日経新聞さんや『日本の人事部』さんに載っていた記事をこちらでまとめています。

日揮さんは、もともとは部長の下に部長代行という方がいらっしゃって、この方が部長のサポートをしていると。これはみなさんの会社でもけっこうあるんじゃないですかね。

部長と副部長、部長と次長とか、課長と課長代理とか。「副」とか「代理」といった肩書きの役職の方がいらっしゃる会社もあるかと思います。

ただ、これを部長代行というかたちで、曖昧なまま部長サポートをするのではなく、人材育成とキャリア開発を担当する「キャリアデベロップメントマネージャー」という方と、プロジェクトや配員管理を執れる「プロジェクトコーディネーションマネージャー」と決めています。

部長は事業運営推進に注力して、人材育成やプロジェクトというかたちでそれぞれの担当を作って、三位一体で行っていく。要は中間管理職である部長の役割を、分業していくかたちをとられたということです。

このかたちが正解だということではなくて、こういった例もあるということです。先ほどお見せしたとおり、周囲の役割を見直すということで、マネジメントで力を発揮してもらえる、もしくはみんなでマネジメントの力を担っていくようなかたちをとっていただける。

管理職の推奨行動とNG行動を具体化する

こういう役割を決めるのは非常に大事なんですが、役割が抽象的なままではなかなか行動に落とし込めませんので、具体的な行動に落とし込む。当社でさせていただくのは、管理職の方も巻き込んで一緒に考えていくことです。

人事の方だけで決めるよりも、実際に行動する管理職の人を巻き込んでいくことをお勧めしています。特に、具体的な行動をする時に「こういう行動が良いですよ」だけでは、なかなかしっかりとした理解・行動に移せません。

期待される行動だけではなくて、避けるべきNGな行動についても具体化するほうが良いと、私は思っております。

例えばこんなワークをしています。新しい役割や新しい戦略が決まったあと、管理職の方に集まっていただいて「管理職として良い行動、期待される行動は何でしょうか」「一方で悪い行動、避けるべき行動は何でしょうか」というのを、みなさんで意見出ししていく。

付箋などを使ってやっていただくと一番いいかなと思います。いっぱい出てきたものを、近い行動・似た行動で付箋をグルーピングしていただきます。そして、「これは積極的なこういうことが必要ですよね」「顧客ファーストが大事ですよね」というようなかたちで、グループごとにネーミングをつけていく。

それをブラッシュアップして、マネジメント指針やマネジメントスタイルといったかたちで、マネジメントで大事にするお題目的なものと、それを具体化して、「こういう推奨・OK行動があり、こういう避けるべきNG行動がありますよ」ということをまとめていただく。そうすると、役割がしっかり行動に落とし込みやすくなります。

管理職の方も巻き込んでいますので「人事の人から一方的に言われました」ということではなくて、自分たちで考えていく。

これの良いところは、1人で考えるんじゃなくて、管理職の横同士のつながりもできることです。「確かにそういう行動は良いよね」「こういう行動はダメだよね」ということで、お互いに気づきが得られるという意味でも、こういうやり方をお勧めしています。

現場の生の声から、小さな成功事例が見つかる

このように役割を再定義して、実際の行動まで落とし込みます。ただ、いきなりすべてがうまくいくなんてことはなかなかないわけですね。

ですので、うまくいかない可能性を十分に理解した上で、事前に振り返り・検証の期日を設定しておくことが大事です。例えば「3ヶ月経ったら1回検証しましょう」ということですね。

当初は今までとやり方が違うのでとまどったり、不安があったり抵抗があって当然ですというふうに思ってください。

「書いたのにやってくれない、理解してくれない、文句を言われる」ではなくて、そういうものがあって当然です。そういう中で「あの管理職は言ったことをちゃんとやってますね、あの管理職はやってませんね」ということだけで判断しない。

一番大事なのは、意図した効果が出ているかどうか、新たな戦略が実行できているか、そういう予兆があるかが最も重要です。「実行している人が良い」「実行してない人が悪い」というよりは、実行した結果、ちゃんと効果があるか、そういう戦略が実行できているかというのが大事です。

最近、多くの会社がエンゲージメント調査などをやられているので、そこで定量的に効果測定するのは良いことだと思うんですが、一方で生の声もしっかり拾っていただきたい。

これは管理職の方だけじゃなくて、実際にメンバーの方はどうかということもありますし、経営陣から見てどうかというようなところで、生の声を拾っていただく。そういうことをしていくと、いきなり大きな効果は出なくても、小さな成功事例などが出てきているはずなんですね。

なぜならば、マネージャーの方が人事や、例えば私のような研修講師やコンサルタントから言われるんじゃなくて、同じ会社の同じマネージャー陣が「そういうやり方に変えてうまくいってるんだ」とか「前回話し合ったあの内容をこういうふうに活かしてるんだ」と。

こういうことがわかると「自分のチームでもやってみよう」という思いが強くなるからですね。小さな成功事例を拾って、ぜひこの横展開をしていただければと思います。

全員が役割を果たせるような育成や支援を行っていく

小さな成功事例を生み出すことは、役割を果たしていることになるんですが、「トップレベルの管理職だけはできます、ほかの人はできません」というのは、あまり良い役割になってないんですよね。

もちろん、全員が役割を果たせるのがベストですが、2:6:2の6、真ん中の6までできることが役割として、行動としてしっかり成果が生み出せる状態です。少なくとも6までできるようになる育成や支援を、しっかり行っていただくことが大事になります。

ということで最初に戻りますが、中間管理職の役割定義という意味で言うと、環境変化と戦略変更に伴って組織全体のマネジメントを見直していただく。その中でしっかりとした中間管理職の役割定義を行っていただくということです。さらにそこに必要な育成をしていくということになるわけです。

中間管理職の役割定義を見直す時に、今日お伝えした4つのステップですね。会社全体の方向性と戦略との連動を見ていただく。さらには周囲の役割の見直しをしていただく。

そこまできたら役割を行動に落とし込む。特に実際に行動する中間管理職の方を巻き込んでいただくといいと思います。ここで行動が変わっても、すぐに成果が現われるわけではない、うまくいかないこともありますので。

しっかりアップデートするために、社員の声・行動を観察していく。見直し・検証の期日を決めていただくことをお勧めしております。

ということで本日、中間管理職の役割定義についてお話をしてきました。ぜひみなさんも、何かご相談・ご不明点ありましたら、私までご連絡いただければと思います。

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