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ユーザー現場部門で取り組んだDX成功例を大公開!~SIerに求められる提案やユーザーとの関係構築とは?~(全2記事)

2024.02.29

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DX推進の「負のループ」に陥っていないか? ヤンマー建機の組織改革を支えたSIerが考える、成功への道筋

提供:ウイングアーク1st株式会社

ウイングアーク1st株式会社が主催する「WARP Sales Summit 2024」が開催されました。本セッションの「ユーザー現場部門で取り組んだDX成功例を大公開!」では、SIerに求められる提案やユーザーとの関係構築のポイントなどの知見をシェア。ヤンマー建機株式会社のDX推進に導いた田中重信氏と、SIerという立場で推進をサポートしたエコー電子工業株式会社の右田良隆氏が、DXを成功に導いたポイントを語りました。

九州の地で約60年、3つの事業を展開するエコー電子工業

横尾勇人氏(以下、横尾):次はエコー電子の右田さんのご紹介をさせていただきたいと思います。ハードルが上がりましたが、右田さん、よろしくお願いします。

右田良隆氏(以下、右田):(笑)。がんばります。

横尾:今度はSIパートナーさまのお立場で、エコー電子工業の右田さんのお話をさせていただきます。では右田さん、まずは自己紹介と会社紹介をお願いします。

右田:ご紹介ありがとうございます。あらためまして、エコー電子工業の右田です。当社エコー電子工業は現在60期を迎えており、5ヵ年ビジョンは「ICTで共に明日のあたりまえをつくる」です。

エコー電子工業は、創業は長崎県の佐世保市で、現在本社は福岡にあります。イ・アエラグループの中核企業で、北部九州を中心にソリューション事業部、公共事業部、環境貢献事業部の3つの事業を展開させていただいています。

特徴的なところで言いますと、コンピュータ機器のリサイクルやリユースですね。再販し、リユースする環境貢献事業が当社の特徴の1つになっています。

九州地場で、お客さまとパートナーさまに支えられながら60周年を迎えました。ぜひ当社のホームページにアクセスしてみていただければと思います。

こちらが当社が使っている製品・サービスの一部です。

当社は販売・会計・給与という基幹系を中心に得意としているんですが、最近はSaaS製品、クラウドサービスも増えてきているかなと思っております。

DXソリューション部を自ら立ち上げ

右田:私の紹介も簡単にします。入社して一貫してソリューション営業部に所属していまして、いろいろな業界に携わらせていただきました。製造業から金融業を担当しながら、3年前の2021年にDX部門を立ち上げて活動しています。

今日はヤンマー建機さんとのDXの取り組みを通して、SIerの立ち位置などをみなさんと考えていければなと思っております。

横尾:すてきな写真ですね。どちらで撮られたんですか?

右田:うちのメンバーとチームビルディングをしていまして、これは、私の住んでいる福岡県の古賀市の施設で合宿をした時の写真です。

横尾:なるほど。

右田:DXソリューション部は、データでお客さまの変革をお手伝いするということで、今は13名のメンバーでやっています。ウイングアークさんとのビジネスは2010年ぐらいからスタートして、現在はWARPのGoldパートナーということで、いつもご支援いただきありがとうございます。

横尾:こちらこそ、ありがとうございます。

右田:現在も2名をウイングアークさんに常駐させていただいて、プリセールスというかたちでやっています。それまでは過去4名ほどウイングアークさんに常駐し、そして3年ぐらい経ったら福岡に戻ってきて、九州で活躍するかたちを取っております。

横尾:我々のパートナー制度「WARP」の中でいいますと、エコー電子工業さまは九州で唯一のGoldパートナーです。各製品の認定資格を多数取得されており、これからの活躍をますますお願いできればと思っております。

右田さんのお話の中で、「DXソリューション部を自ら立ち上げた」というお話がありましたが、具体的な内容を教えていただけますでしょうか。

右田:SIerということで、従来はスライド真ん中の部分のシステム導入、特にBIツールを導入することが今までの本業だったんですが、今のDX部門は導入前・導入後のシステムのデザインや伴走支援、コミュニティ活動の支援などをしております。

会社案内の最後に、ウイングアークさんのMDF制度を活用させていただいて、部門の紹介動画を作っていますので、そちらをご覧ください。

(動画再生)

横尾:すばらしい動画ですね。WARPパートナーのみなさまへのご案内になりますが、エコー電子工業さまはWARPのMDFというパートナー特典をご利用されており、この動画を作られています。

「MDF」とはマーケティングファンドのことなんですが、いろいろな使い道がありますので、もしご関心をいただいたパートナーのみなさまは、ぜひ営業までお問い合わせください。すみません、宣伝でした。

ヤンマー建機×エコー電子工業、DX推進の軌跡

横尾:先ほど田中さんからヤンマー建機さまのDXについて、社内からの取り組みをご説明されました。今度は右田さん、パートナーさまのお立場で、ヤンマー建機さまのDXのこれまでの進化についてぜひご説明をお願いします。

右田:ここからは、ヤンマー建機さまとのDXの取り組みの経緯等を説明させていただきたいなと思っております。田中さんからもご紹介がありましたが、こちらに軌跡をまとめました。

まず、2020年6月にMotionBoardの構築ベンダーとして、ウイングアークさんからご紹介をいただいたところがスタートになります。振り返ると、2018年に経産省から「2025年の崖」みたいなかたちで「DXレポート」が出ましたが、2020年12月にも「DXレポート2.0」が出されて、DXが言葉としても広がった時期だったかなと思います。

また、コロナ禍の3年間と重なり、テレワークやオンライン会議などを強いられて、DXを後押しされた3年間だったなと思っています。

当社も、最初はバーチャル組織ということで2020年にスタートしたんですが、二足のわらじだとなかなか現場のメンバーも大変なので、2021年からは専門組織と判断し、組織を立ち上げました。

ヤンマー建機さんとも、BIを中心に徐々に取引が増えていきました。先ほどウイングアークの「nest」の話がありましたが、nestでもご一緒していますし、2023年からはヤンマー建機さまのDX推進グループの一員として、当社のメンバーも常駐しています。

DXは「できる・できない」ではなく「やるか・やらないか」

右田:ヤンマー建機さんに提供させていただいているソリューションをマップでまとめてみました。MotionBoardから始まり、最初のプロダクトは点だったんですが、今はソリューションにつながって、点と点が線になりました。

人のつながりもあって、田中さんからもご紹介いただきましたが、いろいろなベンダーやパートナーさんと一緒になって、今は面としてコミュニティ、人とのつながりを感じながらチームでやらせていただいております。

横尾:こうして見ますと、MotionBoardがスタートだったんですね。

右田:そうですね。

横尾:田中さんのお話にありましたが、UiPathさんやAgileWorksさんも、実はエコーさんが関わっていらっしゃるんですね。

右田:そうですね。当社から人を契約させていただいております。その間に大変だったこととして、「二度見」ならぬ「二度聞き」した言葉をまとめました。

「最初からアジャイルで契約はどうかな?」というお話や、「メーカーさんの誰々を知ってる?」「ご紹介しますよ」と言って人をつないでいただいたり、「社内の推進グループに入ってもらえますか?」といったお話をいただきました。

契約のアジャイルに関しても、当社は組織ができたばかりでした。今までウォーターフォールでやってきた中で、要件定義を進めながらやるのが通常だったと思います。

「小さな体験を積み重ねていく」という、田中さんの当初の思いがありました。「小さな取り組みをスピードを持っていっぱいやっていきたいんだ」「質より量、スピードを持ってやりたい」というお話を聞いて、社内でいろいろ調整をして、そういう契約に持っていきました。

今までベンダー・業者という縦の付き合いがあったと思うんですが、先ほど田中さんからもご紹介があったように、横のつながりに広がっていくことで、巻き込み力やコミュニティ力もあらためて必要だと感じさせていただきました。

今やSIを受けるだけではなくて、お客さまの中に入って一緒にDXをやっていくことが伴走支援の1つのかたちでもあるなと、うちも大変勉強させていただいていますので、とても感謝しております。SI志向からのマインドセットは「できる・できない」ではなくて、「やるか・やらないか」なんじゃないかなと最近は思っております。

SIerの立ち位置の変化について。「SIを請け負うベンダー」という立ち位置ではなくて、お客さまのパートナーとして「DXの場の創造をどう行っていくか」が自分たちの立ち位置だというふうに、変えてこられたんじゃないかなと今は思っております。

横尾:こちらは非常にわかりやすい1枚だと思います。

DXの「負のループ」に陥っていないか?

横尾:右田さん、SIerさまの立ち位置の変化といっても、そんなに簡単なお話ではないと思うんですね。どういう取り組みをこれから考えていかれるんでしょうか?

右田:SIerの進化ということで、この後はマインドセットやコミュニティについて少しお話をさせていただければなと思っております。SIerを取り巻く環境という意味では、今日視聴していただいているSIerのみなさんもおわかりのとおりだと思います。

直近までのインボイス対応や、今は電帳法の対応で、既存のビジネスやSI案件が活況でSIerの業績も順調だと思いますが、これからはどうするか・どうなるか。「DXの案件を含めて十分な対策や人材育成、投資ができていますか?」という問いかけの絵になっております。

DXに対する投資の有無が、今後は成長の分かれ目になってくるんじゃないかなと思っております。ただ、実際に既存のSIをやっているからではなくて、どちらを選択してどう進んでいくかが大切なんじゃないかなと思います。

当社もそうですが、パートナーさんとお話をしていく中で、SE不足の話がよく話題になります。SEがいない、リソースが不足していることを前提で考えた時に、どう戦略を立てるかが大事じゃないかなと思っております。

従来のシステム案件で、エンジニアが足りてない・余力がない中で、DXの人材を育てず、DX案件の獲得が進まないまま従来のシステム案件をこなしていく。こんな負のループに陥っているんじゃないのか? ということをまとめました。

当社は、3年前からDX部門を立ち上げることができたことに感謝するとともに、これも3年前からやっていたからこそ言える話じゃないかなと思っております。

SIerとして一番大切なのは「マインドセット」

右田:2020年12月に社内のDX研修を社内で行ったんですが、こちらはその時の講師の方からの質問で、SIからのマインドセットにつながりました。「御社の今のビジネスモデルで、あと何年生き残れますか? どうでしょうか?」。当時は、当社でも「3年」「5年」などの意見が多かったように記憶しています。

横尾:「1年」と言っている人もいますね(笑)。

右田:はい(笑)。「もう1年しかない」と、危機感を持っているメンバーもいたんじゃないかなと思います。「今はどうか」を自問自答することからスタートすると、「これから何をやればいいのか、何をすべきなのか」が見えてくるんじゃないかと思っております。

これを解決する手段・方法論として、今の私が感じているマインドセットとコミュニティをご紹介したいなと思います。DXを推進するにあたって、我々SIerとして一番大切なことは「マインドセット」だと思います。その人材がたくさん増えることによって、突き進む力も強くなっていくんじゃないかなと思います。

ただ、マインドセットは個人ではなかなかできない話なので、ここに書いてあるようにチームビルディングや外部のメンターの力を借りて、組織的に行うことが大切だと思っています。最初のマインドセットをして、それから道具をどう考えるかという実践編になった時に、やっとコミュニティのつながりが出てきます。

場作りのお話をさせていただきましたが、みなさんもコロナ禍で「外圧だったらなんとか変革できるんじゃないか」と、感じたんじゃないでしょうか。自社ではなかなか変革できないので、外の力はとても大切なんだなと思いました。

そういう時には、自社を飛び出してコミュニティに参加して、和気あいあいとお客さまと他流試合をしながら、自社のDX活動へつなげていければいいかなと思っています。

当社もそれに乗っかってじゃないですが、「KITAIデータ活用」ということで、データの利活用の自社コミュニティを立ち上げました。「One Kyushu ー DX」という経産省さんが応援してくれている団体があるんですが、その構成員として日々いろいろなお客さまと、DX活動について話し合いやワークショップをしています。

横尾:ここでも「コミュニティ」が1つのキーワードですね。

右田:そうですね。

横尾:ありがとうございます。

「プロ開発」のエコー電子工業との強力タッグ

横尾:田中さんからユーザーのお立場でのお話をいただき、そのあと右田さんからSIパートナーさまとしてのお話を聞かせていただきました。では、残り時間はわずかだと思いますが、ヤンマー建機さまのこれからのDXの取り組みについて。まず田中さまからは、「パートナーに期待すること」をご紹介いただけたらと思います。

田中:今まではコミュニティを中心にやってきました。メンバーが現場目線で、現場の困りごとを自ら解決していって、我々DXはそこを支援するかたちでやっておりました。

いろいろと話をしていくと、個人の小さい業務を改善していくことではなくて、(スライド)左側に書いてありますように、実は組織・部門のもう少し大きめの問題解決が次のステップとして必要になりました。

ヤンマー建機として2024年に掲げているのは、コミュニティと組織・部門を両輪で、DX活動を進める方針です。部門代表を出してもらって、部門の少し大きな問題解決をやっていこうということで、この2つの両輪を回すことが方針になっております。

そして、コミュニティでやっているものを我々は「市民開発」と呼んでおります。それぞれのメンバーが自ら問題解決をしたり、ソリューションを作る。それを支援するために、我々DXは勉強会やワークショップを設定したりしています。

ここで経験豊富なエコー電子さんに期待したのは、社内のワークショップやコミュニティなどの勉強会にどんどん入っていっていただきたいということです。

一方で、部門の少し大きめな開発や部門横断の問題解決で、インテグレーションや市民開発ができない少し大きめのものが発生しています。

なので、我々は「プロ開発」と呼んでいるんですが、エコー電子さんのプロの力で、この2つのポイントで2023年以上にエコー電子さんにはガンガン入っていただきたいと思います。右田さん、よろしくお願いします。

横尾:右田さんのご期待に応え続けることが非常に大事ですね。

「DXへの熱量」が未来を変えていく

横尾:本日は、多数のWARPパートナーさまに本セッションをご覧いただいております。せっかくですので、右田さんからパートナーのみなさまに、最後にメッセージをお届けいただけたらと思います。

右田:DXの成長・進化ということで、新しい取り組みにチャレンジされているパートナーさんもたくさんいらっしゃると思います。私が今、意識しているというか、九州でビジネスをやらせていただくにあたって、こういうキーワードをみなさんにお伝えできればなと思っております。

「誰とやるか」ということで、DXは比較的、企業規模ではできないんじゃないかなと思っております。田中さんやヤンマー建機さんみたいな方の「DXへの熱量」×「その人数」が我々の励みになるというか、「一緒にやりたいな」という思いにさせるんじゃないかなと思っています。

逆に、中小企業が変革に関する熱量を十分たくさん持っていらっしゃるとすると、DXはすぐ実践できるんじゃないかと思っております。「九州地場のローカル」というキーワードや、今日も出てきました「スモールスタートでチャレンジしていく」こともあると思います。

今日は前半から場作りやコミュニティというキーワードで出てきていますが、そういう場作りをぜひしていただいて、各地域のお客さまと一緒に盛り上げていくことが、成長や新たな進化につながるんじゃないかなと思っております。

九州各地でいろいろなパートナーさまがDXに取り組む時に、全国で一緒にやれることはいっぱいあると思いますので、またお声を掛けていただければと思います。

横尾:すてきなメッセージをありがとうございます。それでは、スペシャルセッションはここで終了させていただきます。本日は福岡から、ヤンマー建機の田中さん、そしてエコー電子工業の右田さんに来ていただきました。ありがとうございました。

田中:どうもありがとうございました。

右田:ありがとうございました。

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