2024.10.10
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SAPソリューションとの統合がもたらすデータ駆動型人材戦略の実現(全1記事)
提供:SAPジャパン株式会社
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池田佳奈氏:みなさま、こんにちは。本セッションにご参加いただきましてありがとうございます、SAPの池田と申します。本セッションでは「SAPソリューションとの統合がもたらすデータ駆動型人事戦略の実現」と題しまして、SAPの最新テクノロジーが人事領域でどのようにご利用いただけるのか。また、ほかのSAPソリューションと連携活用いただくメリットをお伝えいたします。
現在HR領域においてもテクノロジーの進歩は目覚ましく、2023年現在1,038ものサービスが登場し、その数はわずか5年で5倍以上に増加しています。国内のHRテック市場も昨年785億円の規模に達しており、毎年130パーセント以上の高い成長率を維持しています。
グローバルの市場規模はさらに巨大であり、年間31兆円です。このようにHRテックは豊富な選択肢が存在し、みなさまもなにかしら人事テクノロジーをご利用かと思います。
しかし、これらの投資はその価値を十分に発揮し、企業の成長につながっているのでしょうか。まずは人事を取り巻く環境について考察し、その答えを考えていきたいと思います。
タレントマネジメントの課題としてよく挙げられるのが、人事戦略が経営戦略にひもづいていないという点です。ある調査からも、人事戦略と経営戦略の連動に課題を抱える企業が4割近いことがわかります。
ますます加速する市場の変化や不確実性の高まりにより、企業の経営戦略は短命化しています。経営判断に必要なあらゆる情報の一元管理に加え、ビジネスを推進する従業員自身の人事情報も併せて可視化することで、迅速な意思決定と人事戦略実行のスピード感を担保することができます。
また、これまで社員への手厚いサポートや、事務的な業務を担う側面の大きかった日本の人事部は、グローバルと比べて価値提供部門とみなされていないのが実情です。人事部の役割や組織体制が見直されないままといった企業も、少なくないのではないでしょうか。
人事部門が長く担っていた典型業務を効率化し、経営陣や事業部から期待される価値を発揮するには、HRテックをうまく取り入れ、データを活用した戦略業務へと転換することが不可欠と言えるでしょう。
人事部がこれらの課題を解決し、企業成長に貢献する人事戦略を実施するためには、3つのポイントが重要だと考えています。事業変革を支えるワークフォースの計画と適正配置。
要員計画に基づき、必要なスキルを持つ人材を戦略的に獲得または育成すること。そしてHRテックを活用して人事業務を効率化し、人事が戦略業務に時間を使えるようにすることです。
ここからはこれらの観点について、SAPのソリューションでどのように実現できるかをご紹介いたします。必要な人材を獲得するためには、事業戦略に沿って適切な要員計画を作成し、目指すビジネスモデルにおいて特に重要なポジションやスキルを特定し、現状とのギャップを把握した上で、足りないスキルや人材を外部から獲得・採用するのか、配置転換や育成で充足させるのかを決定していきます。
人事データが経営戦略の一部として、背景や生産性のデータと共に統合管理されることで、事業戦略に沿ったデータドリブンな人事施策の実現が可能となります。インテリジェントエンタープライズとして、人事を含むあらゆるデータが一元管理されるようになると、可視化されるKPIの幅もぐっと広がります。
こちらのダッシュボードでは従業員データの概要を表しています。雇用形態別の従業員数、職務レベルごと、職種ごとの従業員数や離職率など、リアルタイムで可視化できます。クリック1つで分析の切り口を変更することも容易です。
真ん中のチャートは職務レベルごとの従業員数分布を表していますが、分析の切り口を職務レベルから勤務地に切り替えます。そうすると簡単にエリア別の従業員数分布を確認でき、ここからドリルダウンして地域別の現状を知ることができます。
さらに会計データと連携させることで、コストセンター別の人件費が昨対比でどれだけ上がったのか、または下がったのか。総人件費は計画値と比べて乖離がないか、コストセンターごとに使われている営業費は果たして適切なのかを知ることができます。
ドライバーで簡単に期間を絞り込むこともできますので、担当者はビジネスシナリオの変化に伴い、人件費や間接費、採用計画が適切なものになっているかどうかを、必要なタイミングですぐに見直すことができるようになります。
スキルの観点からは、こちらのダッシュボードで特定のスキル……例えばDX人材の育成状況を可視化します。現在社内で約100人のDX人材を育成中であり、平均レベルは5段階中2.1です。推移を見ると2021年から徐々に人数・レベルも上がってきており、計画は順調であることがおわかりいただけます。
さらに部署ごとのDXスキルの育成状況も確認します。スキルレベルが順調なら緑、低ければ赤で表示されるので、進捗状況が一目で把握できます。年齢や職位、社歴といった要素を分析すると、比較的若手で社歴の浅いメンバーが中心であることがわかりますので、今後は管理職や社歴の長いメンバーのDXスキルの習得が課題として挙げられるでしょう。
育成目標の設定については、計画の画面から育成プランを登録していきます。例えばデータの活用の項目の中から、データ・AIの戦略的活用というスキルについて。レベル3を5名、レベル2とレベル1を3人ずつという育成目標を設定すると、右側の赤いバーで現状とのギャップがわかります。計画とその差分に基づき、担当者は具体的な育成または採用の計画を考えることができるようになります。
一人ひとりの従業員情報は人事システムの「SuccessFactors」で管理され、名前や所属といった基本的な属性情報はもちろん、従業員の桑原さんが保有しているスキルや能力、そのレベルが一目でわかります。また社内の職務に必要なスキルを事前に定義しておくことで、職務と保有スキルのマッチング率を可視化できます。
桑原さんはすでに準備ができている職務が複数ありますが、例えば経営企画というポジションでは、職務に求められる能力と期待値をいずれも上回っているようです。しかし、会社で育成を強化しているデジタルコンサルタントというポジションを見てみると、準備状況はまだ63パーセントであり、研修を受けるなどして期待値とのスキルギャップを埋めていく必要がありそうです。
ご覧いただきましたように、マクロの視点で企業全体の要員計画・スキルポートフォリオを可視化すると同時に、従業員ごとの詳細なデータを収集することで全体のワークフォースを理解し、打ち手の検討につなげることができます。
しかし従業員の価値観や属性の多様化は進み、会社から一方的な育成プランを提供しても、従業員のポテンシャルを引き出すことは難しくなっています。SAPではAIを活用して従業員の個性を理解し、一人ひとりの能力を最大化する育成の仕組みを提供しています。
こちらの動画では、従業員のさまざまな個性・スキル・能力を確認できます。AIは30,000件以上のスキルデータベースから従業員の日々の行動を分析し、スキルや能力をレコメンドします。ここではMicrosoft Teams上の従業員の行動をもとに、スキルデータベースの中からこの従業員が持っていると思われるスキルをAIが提案します。
従業員は提案されたスキルから、当てはまるものとそのレベルを選択し、特に興味関心があるものはお気に入りに登録します。登録されたスキルの情報をもとに、会社は従業員ごとにパーソナライズされた成長機会を提供します。
画面の上部には従業員のスキルや能力、学びたいと思っている興味のある項目が表示されています。先ほど登録したAIの関連スキルもこちらに表示されています。
こうした従業員のスキルや興味関心に基づいて、おすすめの社内プロジェクトや募集中の公募求人、おすすめの研修コンテンツ、メンターやメンタリングプログラム、おすすめのキャリアパスなどをAIが提案します。
例えば先ほど登録したAIのスキルで絞り込んでみると、関連するDX推進プロジェクトのメンバーが募集されていることがわかります。プロジェクトに求められるスキルと自分のスキルを比較すると、AIのスキルはまだギャップがあることがわかりますが、この従業員は応募履歴を記載して選考のプロセスに進むことにしました。
このプロジェクトに応募を進める一方で、足りないスキルについては先ほどおすすめされた研修コンテンツの中から該当するものを選択し、自分で学習を深めることができます。
ご覧いただきましたように、従業員はAIを活用してスキル情報を手間なく最新化することができると同時に、興味関心に沿った成長機会の提案を通じて自律的な成長がサポートされます。
今までご紹介したような先進的な取り組みを進めていくには、定型業務の効率化と自動化の推進も必要です。ここからは最新のHRテックを活用して、人事業務をどのように効率化できるかをご紹介します。
SAPでは人事部のみなさまがそのまま使い始められる、人的資本レポートをはじめとした分析レポートを提供しています。また製品に組み込まれた生成AIによる業務の自動化、SAP以外の製品との柔軟な連携により、従業員に最高のエクスペリエンスを提供します。
こちらのテンプレートではISO30414で開示が推奨される11の領域について、各領域ごとに2項目ずつ代表的な数値を掲載しており、前回から数字が改善していれば緑色、悪くなっていれば赤色で表示されます。そのため全社のどこに課題があるのか、俯瞰して把握できます。
自社の人的資本の情報開示は、まずデータの収集が骨の折れる仕事ですが、SAP SuccessFactorsや会計システムのS/4 HANAなどと接続することで最新のデータを取得でき、Excelなどの外部データの取り込みも容易に行っていただけます。
それでは女性管理職比率で赤色になっている、ダイバーシティの領域について確認していきたいと思います。こちらの画面ではジェンダー比率や5年間の経年推移、それから年代別の比率、障害者比率、新卒と中途の比率など、人的資本の各項目の詳細情報を確認できます。
例えばジェンダー比率を見てみると、現在女性社員比率は39パーセント。経年のグラフから女性社員の数が徐々に増加していることがわかります。しかし女性管理職の比率が下降傾向にあり、一方で管理職候補の女性比率は上昇しています。このトレンドについて分析のインサイトを得るために、AIを活用して女性管理職比率の傾向を分析してみます。
女性管理職比率の8パーセントを選択し、AIを起動します。すると中途で入社した女性社員および40代の方が多いことがわかります。管理職の候補はどうでしょうか。こちらもAIを起動して確認してみたいと思います。候補人材の分析においては、すでに30代や20代の若手もいますので、ノミネートはされているものの登用に至らず、育成に課題があるのかもしれません。
こうしたテンプレートを活用することで、人的資本情報の可視化を効率的に実行し、AIの洞察を得ながら分析や対策に取り組むことができます。
ChatGPTをはじめとする生成AIも製品に組み込まれており、例えば採用におけるシーンではAIを使って求人票をブラッシュアップできます。
作成中の求人票の職務内容をAIで改良すると、職務のタイトルやすでに記載している内容を参考に、SuccessFactorsがこれまで蓄積したほかの職務定義の情報、生成AIが持っている数億件の外部求人情報から関連する情報を読み合わせ、具体的な職務内容や求める人物像を提案してくれます。AIからの推奨文を利用すると、ワンクリックで具体的な職務内容やスキルが追記された求人票を完成させることができました。
現場のハイアリングマネージャーと採用担当は、ブラッシュアップされた求人票をMicrosoftのWordで共有し、議論の結果、より適切な候補者を採用するため望ましい資格を追加することにしました。今度は生成AIに「必要な資格を追加して」と指示を出します。するとAIが必要な資格を追記してくれます。
さらに求人票の内容に偏った表現が含まれないか確認するよう、こちらもAIに依頼します。すると生成AIが文書全体をチェックし、ジェンダーバイアスととられかねない「チェアマン」という表現を「役員レベル」というニュートラルな記載に更新してくれました。
Wordで最終化したファイルは、ワンクリックでSuccessFactorsの採用管理機能に連携され、社内や外部に公開することができます。こういった外部の知見を活かして職務定義を作成するという機能は採用に限らず、ジョブ型で必要になる職務定義の効率化にも役立てていただけます。
魅力的な求人票により候補者もたくさん集まりましたので、1人と面接を設定することにします。Teamsからチャットボットに面接内容の作成を依頼すると、求人に関連した経験に関する質問、候補者に関する質問など、いくつかの観点から聞くべき内容を提案してくれました。
そして面接が終了すると、Teamsで面接評価を入力するようリマインドしてくれます。面接官はほかのシステムやExcelを立ち上げる必要なく、Teams上でそのまま結果を入力し、その結果はSuccessFactorsに自動的に集約されます。
本日ご紹介したのは、人事領域での生成AI活用シナリオの一部です。今後SAPは各業務領域で、さまざまなAIテクノロジーを組み込んだシナリオを拡充していきます。SAPインテリジェントエンタープライズとして、人事システムが経営管理システムの一部として導入されることで、粒度の揃ったビジネスデータが蓄積され、AIの価値を最大化できるようになります。
SAPが提供する最新のテクノロジーは、検証されたベストプラクティスが業務に沿ってビルトインされるため、ビジネス領域ごとにお客さまが個別にAIを検討し、運用設計を考える必要なくご利用いただけます。
またSAPはビジネスAI戦略の中でResponsible AIを重視しており、お客さまの機密情報を安全に使っていただけるかたちで機能提供を行っております。
そして共通化されたUI、サードパーティとのシームレスな連携により、従業員がストレスなく利用でき、エクスペリエンスの向上につながる点を本日はご理解いただきました。
SAP SuccessFactorsは年に2回の機能追加を通して、こうしたAIのテクノロジーを製品に取り入れております。本セッションのアンケートと講演の資料は、こちらからダウンロードいただけます。ぜひご利用ください。私の講演は以上となります。ご清聴ありがとうございました。
SAPジャパン株式会社
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