2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:サイボウズ株式会社
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松川隆氏(以下、松川):みなさんこんにちは。数あるセッションの中で、こちらのセッションを選んでいただきありがとうございます。短い時間ですが、みなさんの学びや気づきになれるように一生懸命がんばってまいりたいと思います。
私は進行を務めます、松川と申します。チームワーク総研で、他の会社さん向けに企業研修や組織風土改革等のプロジェクトのお手伝いをさせていただいております。
別名「サイボウズの炎上おじさん」という名前がありまして(笑)、「サイボウズ 松川 炎上」と検索していただくと、たぶん2021年の私のこちらのセッションが出てくるんじゃないかと思います。
今日はこの炎上の話ではなく、お二人のゲストのお話を聞いていただきたいと思います。パナソニックオートモーティブシステムズ社の多良奈那子さんと五反田屋慧さんです。ではお二人から自己紹介をお願いします。
多良奈那子氏(以下、多良):みなさんこんにちは。パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社人事センター人事戦略部の多良奈那子と申します。大学を卒業して新卒でパナソニックに入って、7年目になります。
大企業なのでいろいろな仕事があって、いろんなチャレンジができるし、会う人会う人がすごくすてきな方ばかりで「パナソニックに入社して本当に幸せだな」と思いながら働いています。
一方で、日々の業務の中で「ちょっとこれ、どうなんだろう」とか「モヤモヤするな」と思うことがあっても、私は社長でも課長でもないし、「変えることはできないんだろうな」と思いながら過ごしていました。でも、インターンに行って「自分がちょっと変わった」と思うので、少しお話しできればと思います。よろしくお願いします。
(会場拍手)
松川:ありがとうございます。五反田屋さん。
五反田屋慧氏(以下、五反田屋):みなさんこんにちは。同じくパナソニックオートモーティブシステムズ株式会社の五反田屋と申します。よろしくお願いいたします。私は多良さんとはちょっと違いまして、横浜からではなくて、長野県の松本工場からまいりました。
7年目の多良さんの1つ後輩の6年目になります。松本工場の人事チーム最年少のいわゆるぺーぺーですが、何か発信してチームを変えていければと思ってインターンに参加させていただきました。その体験をみなさんに共有できればと思いますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
松川:この3人でお送りしていきたいと思います。お二人はパナソニックオートモーティブシステムズ社の人事部門で働いていて、この世代でも中堅という会社もあるかもしれませんが、パナソニックの中では若手のポジションかなと思います。
今、DXやダイバーシティなどで職場の環境を変えなければいけないという風潮があります。それらを推進する立場で、「いろいろと施策を打っているけど響かない」「上が変わらない」「もう諦めたい」という気持ちになっている方が、このセッションを聞いて「これだったら一歩踏み出せそうだな」という気づきになったらいいなと思っています。よろしくお願いします。
お二人は2022年の2月に2週間ほどインターンに参加していただきました。多良さんは初日と最後だけ日本橋オフィスに来て、あとはリモート。五反田屋さんはちょうどコロナの第何波かが来た時で、2週間全部リモートでした。
サイボウズには「情報共有」「100人100通り」「自立」といったことが実現できる制度があり、それを運用していますが、お二人には一人ひとりが実際にどのようなコミュニケーションをして、どんな会議をして、どう意思決定しているかを、2週間でリアルに体験してもらいました。
取締役会や経営会議に生で出ていただいたり、私たち正社員と同じようにアクセス権限を持っていますから、グループウェアのGaroon上での情報の閲覧や書き込み、そしていろんな人たちと接点を持って、Zoomで話を聞いたり、定例会議で発言するといったことを行いました。
最終日にインターンで学んだことや、自社に戻った際に提案することを発表してもらいましたが、今日はその時のダイジェストを再現して、その後でいろいろとお話をうかがっていきたいと思います。
五反田屋:それでは、サイボウズでのインターン後の発表会のダイジェストを3部構成で共有させていただきます。
1つ目が、「なぜ今、サイボウズのインターンへ?」。2つ目は、「サイボウズのここがすごい!」と感じたこと。そして、それを踏まえた上での「自社への提案」の3部構成で発表させていただきます。
まず、私たちがサイボウズでインターンをさせていただいた理由についてお話しします。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、我々パナソニックは2022年4月から持株会社制に移行し、「パナソニック株式会社オートモーティブ社」という1つの傘下会社が、「パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社」という新会社になりました。
私たち2人は、新会社で働く従業員の方々にとってすばらしい環境になるように、新たな働き方や風土へと改革をしたいと考えて、サイボウズでインターンをさせていただきました。
その中で、「サイボウズのここがすごい!」と感じたところを、多良さんから共有させていただきたいと思います。多良さん、よろしくお願いします。
多良:ここからは、私たちがサイボウズで2週間を過ごした中で、「ここはすごい!」と思ったところをランキング形式で発表いたします。
第1位は、「情報がオープン!」です。個人個人のやりとりや、各会議の資料、経営幹部の方が参加する会議の議事録も全部オープンになっていました。
五反田屋:オープンにされていることは知っていましたが、青野(慶久)社長の資料が見られたり、従業員一人ひとりの仕事のやりとりも全部グループウェア上で見られるところは非常にびっくりしたポイントです。
多良:パナソニックだと、例えば私は人事にいますが、営業本部が作った資料を見たいと思っても、営業本部に問い合わせて許可が出るか出ないかというところですが、サイボウズではkintoneで検索したら、部門を越えた情報もすぐに取れるところにすごく驚きました。
こちらは1つの例ですが、松川さんが「パナソニックから2週間インターンに来ます」とkintoneの全社掲示に投稿してくださって、これでサイボウズの全社員の方に私たちがインターンをすることを知っていただけました。
五反田屋:サイボウズの全社員がこの投稿を見て、私たちに「パナソニックの話も聞かせてください」といった打ち合わせの依頼も入りました。非常にうれしかったですし、こういうところに非常にオープンな風土を感じました。
多良:第2位は「一人ひとりが自立している」ところです。ここに挙げた例は「働き方宣言」というものですが、サイボウズでは社員一人ひとりが、「自分は何曜日の何時から何時はここで働きます」という情報を書いて、全社員が見られるかたちにしています。
五反田屋:フレックスタイム制を導入する会社は多いと思いますが、実際にフレックスを使えている会社は少なく、どちらかと言うと、我々も含めて定時で働かないといけない会社が多いと思います。
そういう中で、「何時から何時までこのように働きます。この日は副業をします」という情報を一人ひとりが宣言して、自立されているところがすごいと感じました。
多良:一人ひとりが自立している理由をサイボウズの方に質問したところ、「制度」「ツール」「風土」の3つがそろって自立して働くことができるというお話を聞いて、「なるほどな」と思ったのを覚えています。
五反田屋:制度という点では、パナソニックはけっこう豊富なほうだと思います。ただ、それを使う風土やツールが整っていないとなかなか使われないことは、我々もパナソニックで実感していました。制度、ツール、風土の3点セットがそろって、初めて自立した働き方ができると強く感じました。
五反田屋:このまま私から発表させていただきますと、第3位は「意思決定プロセス」です。サイボウズはいろんな先進的な制度改革をされていますが、その意思決定の進め方にも驚きました。
意思決定のキーワードとして、サイボウズでよく出たものが2つあります。1つ目は、「まずはやってみる」。何か新しいことを始める時、「100パーセント仕上げてからやらないといけない」と考えることが多いと思いますが、サイボウズでは「まずは小さく、一歩ずつやってみよう」と、スピード感を持ってやられているのがすごく印象的でした。
2つ目のキーワードは、「助言」です。「助言をもらった?」とか「助言をもらったほうがいいんじゃないの?」といった言葉をよく聞き、他の方に助言をもらいながら進めていくところも非常に印象的でしたね。
こちらは、パナソニックとサイボウズで具体的にどういったプロセスの違いがあるかを描いたスライドです。
他の会社でも同じようなところがあるかもしれませんが、パナソニックでは「何か新しいことを始めたい」「新しい制度を作りたい」と思った時、起案者がどういう内容を、どういうスケジューリングで進めていくかをすごく詰めます。
できあがったものを意思決定者に提案すると、「この人の意見とか聞きましたか?」とか「状況がこういうふうに変わってきているので、もう一回ちょっと見直してください」といった感じで、結局ゼロからやり直すということも多々あります。
サイボウズは、「何でもいいから、まずは1個やってみよう」と、起案者がアプリや会議で議題を挙げて、メンバーの助言をもらってから意思決定者に持っていきます。意思決定者も「メンバーの声も入っているし、いいね。まずは小さくでもやってみましょう」となる。我々の会社と比べてスピード感があり、かつ他者の意見もしっかり入った意思決定プロセスを組んでいると感じました。
多良:これによって、納得感もすごく変わると思います。パナソニックだとメンバーの人は最後に知ることになって、通達が出て「あ、こういうことをやるんだ」とか「あんまり納得いかないけども、通達が出ているし、やるしかないな」ということになったりします。
サイボウズだと、起案者の計画の段階からkintoneで知ることができます。また、コメント欄に「私はこう思います」と意見を書いたり、どういう反対意見が出て、こう決まったという経緯も全部kintone上に残り、誰でも見ることができるので、サイボウズのやり方だとメンバーの納得感もすごく高いと思いました。
五反田屋:やはり腹落ち度はすごく大事だなと感じました。
五反田屋:これらの「すごい!」と感じたところを踏まえた、自社への提案も共有させていただきます。
2つありまして、1つ目は完全にサイボウズでやられていることの丸パクリになりますが、分報スペース作り。いわゆる個人個人がつぶやくスペースの作成です。
感想でも、今思うことでも、仕事のことでも、何でもいいので日々考えていることをつぶやけるスペースをパナソニックのグループウェア上に作りました。
作ってみると、レイヤーを問わずいろんな方がつぶやくようになって、まさにオープンに声があふれる職場になっているなと実感しています。
多良:もう1つが「実況スレ」の立ち上げです。
サイボウズでは、会議の度に「実況スレ」というスレッドを立ち上げて、参加者が自由に自分の意見や、「今のちょっとよくわからなかったんですけど教えてもらえますか」といった質問をできるようにしています。
これによって、いろんな人の声をオープンに上げられると感じたので、パナソニックでも会議をやる時は「実況スレ」というスペースを設けて、誰もが好きに意見を書けるようにしました。
五反田屋:以上が、私たちのサイボウズでのインターン発表会の内容になります。ありがとうございました。
(会場拍手)
松川:これがお二人が僕らの前で発表してくれた内容です。つまり、サイボウズには一人ひとりがいろんなことをTwitterみたいに発信する分報というものがありますが、お二人はその「分報」と「実況スレッド」を自社に持ち帰って実践された。
このインターン発表会の時も実況スレッドは立っていたんですね。2人がしゃべっているのを見て、実況スレッドで僕らがざわざわするわけです。「第1位」と言ったら「1位から発表するんだ」みたいな。「新しいな」みたいなことを書いたりとか。
その後の質疑応答で最初に挙がった声も、「1位が『情報がオープン』って何やねん」ということだったんですよね(笑)。「情報がオープンと知っていたから(インターンに)来たんじゃないんですか?」という声が出たんですが、五反田屋さん、どうですか?
五反田屋:会議資料がオープンになっていることはもちろん来る前から知っていましたが、まさか個人個人の仕事のやりとりが全部みなさんに見えるかたちになっているとは思っていなくて。
一人ひとりの分報のつぶやきまでサイボウズの全従業員が見られるところも含めて、「そんなのも全部オープンなんですか?」という驚きがあったので、私としてはこれが第1位でした。
松川:多良さんはどうですか?
多良:私も「情報がオープン」ということは知っていて、資料とかが見られるというのは知っていたんですけど、行く前までは「それってすごく便利だろうな」「効率的だろうな」と思っていたんですよね。
例えばパナソニックだったら、資料を探すのに自分のOutlookのメールの添付をまず探して、そこでなかったらTeamsの検索欄を使い、なかったらパナソニックのホームページを探してとか、けっこう情報にアクセスするのが大変です。
「たぶん情報がオープンで、アクセスも簡単で効率的だろうな」と思っていたんですけど、実際にインターンしてみると、それだけではなく「情報をオープンにすると人の顔が見えてくるんだ」というところが私にとって一番の衝撃でした。
松川:「人の顔が見える」というのは、どんな感じですか?
多良:「これがうまくいかなかったので泣きそうです」とか、そういうことも赤裸々につぶやいていらっしゃる方がいて、それに対していろいろな優しい応援のコメントがいっぱい入っていたり。
インターンはほぼリモートだったので、実際にお会いした回数はほとんどないんですけど、パナソニックで長く一緒に働いている人よりも、この人は「こういうことが趣味なんだな」とか「こういうふうに思っているんだな」というのがすごくわかって。そういった「顔が見える」人が多かったんです。
松川:なるほど。ありがとうございます。業務に必要な情報以外に、感情の情報とか状況の情報までがグループウェア上にあるので、「人が見える」と表現してくれたんですね。
僕らサイボウズの社員だと、そういうことを言語化して伝えることがあまりないのですごく新鮮です。「確かに僕らはリモートでも人が見えているかもしれないな」と、あらためて2人の感想を聞いて思いました。
サイボウズ株式会社
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