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「デンソーが進めるソフトウェア改革とは?」社員講演①(全1記事)

2021.12.27

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モビリティ社会のTier1を目指し、クルマと社会をつなぐ デンソーが推進するCASE時代におけるソフトウェア改革

提供:株式会社デンソー

新たなモビリティ社会の実現に向け、デンソーが進めているソフトウェア改革とはなにか——。株式会社デンソーが主催する「DENSO Tech Links Tokyo #13」で、ソフト改革推進室の矢野氏が、デンソーが目指す姿をどのようにソフトウェア改革で作り込んでいくか紹介します。

セッションのアジェンダ

司会者:では、はじめに矢野より、デンソーが推進するソフトウェア改革の全体像についてお話します。その前に、みなさんに見ていただきたい映像がありますので、そちらをご覧ください。

矢野:あらためてよろしくお願いします、矢野です。どうでしたでしょうか? この動画は、デザイン部と一緒に新しいモビリティ社会、デンソーがイメージする姿を描いてみたものです。身近に将来のモビリティ社会のうれしさを感じてもらえたのではないでしょうか。

最初に私から、デンソーがソフトウェア改革で目指す姿をどう作り込んでいくかについて、少々硬めの話から入ります。だんだん柔らかい楽しい話になってくるので、最後までリラックスして聞いてもらえればと思います。

アジェンダは、自動車産業、業界におけるCASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)の潮流。私たちの環境認識をお話しします。それから2つ目、CASE時代に向けて、デンソーはどういう役割を果たしていくのかということ。それからソフトウェア改革の全体像という順番でお話しします。

自動車業界における潮流

まず取り巻く環境認識として、この4つの象限。左側の車両OEM。いわゆる老舗の車両OEMです。その下にあるのがTier1。私たちと同じ業界のボッシュさんの事例が書いてあります。

右側は新しい流れ、クルマの新潮流。特にテスラのニュースもたくさん流れていますね。急激に企業価値を高めている、そんなトレンドです。それからIT業界。ITジャイアント、世界中のITプレイヤーが、クルマ(業界)にも参入してきている。

特に2つ目の車両OEMとの連携については、例えばITプレイヤーがソフトウェアを企画してサービスを考え、クルマ作りそのものはTier1としてのOEMが行い供給するような、新しいスキームも出てくるのではないかと思っています。

CASEの変化によって、IT業界にとっては特にEV・自動運転など得意な領域を活かして参入しやすくなっているので、データサービスを武器に、さまざまな変化が加速してくると思っています。

もう1つはCASEの「E」であるEVです。これも従来の内燃機関に比べると、部品点数が大幅に少なくなりますし、クルマを作るという意味では、ハードルがだいぶ下がっています。

EV導入促進に向けて、世界各国の方針、インセンティブ、補助金などの支援策が報道されています。日本でも、2022年4月からEVの補助金が倍増するという報道もありました。

そういうことが世界中で起きているという一方で、業界構造、社会基盤が本当にすっかり変わってしまうという非常にインパクトのある影響が出てくると考えています。急激には来ないだろうとは思うものの、見えないところで確実に地殻変動がいろいろ起きている。いつドンと大きな激震が走るかわからないということです。

そのため、そういった時代に向けて、私たちも着実に将来に向けた役割を定義して、しっかり構えていかなければいけない。そんな問題意識を持っています。

(スライドを指して)「モノの提供からサービスへ」ということで、この図の横軸は価値提供者を示しており、自動車業界から始まり、IT業界・サービス業界、公共・インフラと広がっています。また、縦軸で示している価値の源泉がいわゆるハードウェア、リアルなものから、“コト”と呼んでいるソフト・サイバーの世界になってくる。

ということで、これまで私たちが自動車業界で70年間、創業以来培ってきた、個人所有車の価値を届けるというピンクの世界から、水色の世界にグンと広がってくる。

こうした新しい世界はMaaSと表現されるように、クルマの移動がサービスに進化し、さらに新しい価値を生み出すといった環境認識を持ちながら、この後の話を聞いていただければと思います。

CASE時代におけるデンソーの役割

デンソーの大義は、環境と安心を提供し笑顔あふれる社会を創っていくことです。(スライドを指して)この図は、先ほどの動画にもありましたいろいろなシーンのユーザー価値を表現したものです。

ここで表現されているモビリティ社会の領域にも、デンソーは着々と仕掛けていますが、肝心のクルマはどうなるのか。これはまだまだ進化を遂げる。インテリジェント化も進み、CASEのC、Connectedでつながることによって、一気に社会とつながっていく。

そうしたモビリティ社会のネットワークの中では、クルマがセンサー、アクチュエータを備えた一つのノードになっていくと考えることもできます。こんな世界観で、私たちは自動車業界のTier1という立場から、モビリティ社会のTier1というものを目指していきます。

私たちがモビリティ社会のTier1の役割として、クルマで培った確かな技術と品質マインドで安心できる社会基盤を作る。クルマの中を、いかなる時も正しく動くようインテグレートする。

それからクルマとクルマ、お客さまであるOEMとOEMをつなぐ。いつでもつながっている状態。こういった安心感を生みだすのが、コネクション。

それから、誰でもつながる。クルマと社会の中で、いろいろな人たちがボーダーレスでつながっていく。オーケストレーションという階層でつなげ、モビリティ社会のTier1として、確かな技術・品質、基盤で支える。このような考え方が、私たちの将来目指すべき姿であると思っています。

デンソーのソフトウェア改革の流れ

それでは最後のパートで、私たちがそこに向かってどういう改革をしていくかという全体像についてご説明します。

まず、手前味噌な話で恐縮ですが、私たちは70年間メカニカルなクルマのシステムから始まり、エレクトロニクスについても50年の歴史があります。私たちが新入社員だった頃から、エレクトロニクスがどんどんクルマの中に入り込んできた。

それからマイコンが搭載され、そんな時期に私が入社してソフトウェアを開発していましたが、マイコンの組み込みソフトウェアが40年、その間エレクトロニクスの進化を、ソフトウェアが支えてきた。

ソフトウェアもどんどん大規模になり複雑になるので、(スライドを指して)右にある「クルマ×クラウド連携システム」の開発を今盛んにやっておりますし、合わせて進めている人材開発の取り組みの一端を今日ご紹介できればと思います。

動画にもありましたが、世界中のお客さまと苦労を共にして、数々の苦難を乗り越え、いろいろな信頼関係を築き上げてきた。これも私たちの資産だと思っているので、今後さらに磨きをかけ、ネットワークを広げていきたいと考えています。

(スライドを指して)この図はクルマの進化を3つのフェーズで表しています。左側がエレクトロニクスの導入以来、さまざまなドメインでクルマの電子化を支えてきたシングルドメインの世界ですが、今まさに真ん中から右の世界に移ろうとしています。

いわゆる統合系の頭脳ECUや、自動運転のような世界もそうですが、いろいろなドメインを越える、協調制御、クロスドメインコンピューターも導入されてきています。

さらに、図の右の世界になると、クルマと社会をつなぐ、インフラ・公共まで含めたドメインに広がっていくので、ここはクルマの知見に加えてITの知見、OEMとのつながりに加えて、いろいろな業界とのネットワーク。これをしっかり拡張領域で強化していくことが重要だと思っています。

(スライドを指して)そうした強みとチャレンジポイントをしっかり認識しながら、目指すべき姿を描いてみました。お客さまとともに、OEMに加え最終のエンドユーザー、そしてエンドユーザーとしての私たちも含め、どんな価値どんな利便性を得たいのか。

そういったことを正しく深く理解するとともに、エンジニアのプロの集団としてユーザに求められる価値を作り込む必要があるので、さらに腕を磨き、それがデンソーグループ全体のパワーになっていく。そんな世界を目指していきたいと思っています。

実際にはさまざまな社会課題があるので、自社の技術に加え、いろいろなプレイヤーの方々とパートナーシップを発揮して、多面的な問題解決能力を手に入れる。

それぞれの社会課題をしっかり理解しながら、解決に向けて邁進していきたいと思っています。それを実現するのは、デンソー社内のグループの中の事業、組織、技術、人材、風土。こういった5つの改革の方向性をしっかり定義しながら、まさに今、ぐんぐん加速し始めています。

私のパートは以上で終わりにします。ありがとうございました。

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