2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
Owned Media Recruiting AWARD受賞企業の採用舞台裏/日本マクドナルド株式会社(全1記事)
提供:Indeed Japan 株式会社
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司会者:日本マクドナルドさまは、Owned Media Recruiting AWARD 2020において、独自のシステムで店舗ごとの情報発信を可能にし、ターゲットに沿ったコンテンツを展開していることからAWARDを受賞されました。
そんな日本マクドナルドの宮沢さまからは、今回、「マクドナルドのオウンドメディアリクルーティング」と題しましてお話を頂戴してまいります。
宮沢泰成氏(以下、宮沢):ご紹介いただきありがとうございます。マクドナルドの宮沢です。どうぞよろしくお願いいたします。まず、画面共有させていただきます。
簡単に私の自己紹介からさせていただこうかなと思っております。私は、1994年に日本マクドナルドに入社をいたしまして、以来、ずっとマクドナルドで働いています。
なかでもマクドナルドの場合、新卒で入社すると店舗に配属になります。私は学生時代にマクドナルドのバイトをしていなかったものですから、入社してからハンバーガーの作り方から教わるといったキャリアを歩んでまいりました。
最終的に新宿エリアの店舗で店長をやった後に、マーケティングに移りまして、ここが一番長いキャリアになるんですが、マーケティングではハンバーガーの企画開発や、広告制作、販売戦略といったマーケティング全般を担当させていただきました。
ここに4つ、ハンバーガーの写真をくっつけさせていただいていますが、私が担当したハンバーガーです。テキサスバーガーは非常にご好評いただいたので、ご紹介させていただいています。
そして5年ほど前の2015年に人事に移りまして、今は採用の担当をさせていただいております。マクドナルドの場合は、アルバイトの方をクルーと呼んでいるんですが、クルーの採用担当をやらせていただいています。
今日は私が自分なりに解釈をしております、採用とマーケティングの関わりについて、お話をさせていただこうと思っております。それでは、マクドナルドのクルー採用業務について簡単にご紹介していきます。
ひと言でいうと、店舗と我々HRで役割分担をしながら採用活動を進めています。
店舗では、店舗ごとの要員計画、それから面接などの採用実務を実施していただいております。店舗でやる採用手法としましては、リファラル採用、いわゆる友人紹介が大多数を占めています。よく驚かれるのですが、店舗では「スカウト」と言っていまして、お客さまから採用することも実施しております。
HRとしては、メンバーとしては私を含め2人でやっているんですが、全社の要員計画、それから全社の採用戦略、手法としてはオウンドメディアリクルーティングが、昨今中心になってきているかなと思います。
それでは、最近の応募と採用の動きについてご覧いただこうと思います。
ご覧いただいているのは、2019年から直近までの採用数と応募数をグラフにしたものです。何といっても、昨年はコロナ禍による影響が非常に大きかったところに尽きるかなと思います。
どこの会社さんでも大きな変化を体感されているんじゃないかなと思いますが、当社のケースでは非常にありがたいことに、採用に関してはコロナ禍が追い風になっている状況です。
ご覧いただきますと、2019年はこの採用と応募数はほぼ同じような動きをしておりましたが、昨年の緊急事態宣言以降の4〜5月、それから今年の1月以降ですね。非常に応募数が伸びている状況です。
ちなみにボリューム感で申し上げますと、直近1月の応募数で、月間で約1万8千応募、採用が6千名というボリューム感になっております。こちらは、採用チャネルという視点で確認をしてみますと、コロナ禍で非常に大きな変化が起きていることがわかっております。
こちらが、2015年と2020年の採用チャネルを表したグラフになっております。2015年をご覧いただきますと、友人紹介、スカウトのようなチャネルによる採用で約8割をカバーしていた状況だったんですが、コロナ禍で一気にバランスが変わっています。
現状はオウンドメディアからの採用の比重が非常に大きくなっている状況になっています。先ほど、大八木さん(Indeed Japan代表取締役/ゼネラルマネジャー)からも「採用市場のオンライン化」という話がありましたが、まさしく我々もそれを体感しているところです。
今日はこちらのオウンドメディアリクルーティングにつきまして、私が取り組んでいる中で特に注目していることなどをお話しできればなと思っております。
ここでいきなり、マーケティングプロセスの図をご覧いただいておりますが、左側が通常のマーケティング。右側が、我々がやっている採用マーケティングです。
マクドナルドでは、このパネルの中で4つの要素をポイントとして、マーケティングを進めているんですが、採用マーケティングにおきましても、売り場が職場になるだけで、プロセスに関してはまったく変わらないことは、私は非常に実感しています。
とくに、今日のテーマのオウンドメディアリクルーティングは、パネルの上流の赤い部分が重要になってくるという印象を持っています。マクドナルドは自社採用HPなどのオウンドメディアを通じて、職場の魅力を伝えていく。そして、勤務意向を高めていただいて応募を募っていく。ここまでが、オウンドメディアリクルーティングの役割なんじゃないかなと思っております。
一方で、我々はHRですので、質の高い方に長く働いていただくことが、最終的なゴールになるんじゃないかなと思います。そう考えますと、入社してからのオンボーディングであったり、リテンションも当然のことながら非常に大事です。
そんなふうに従業員の退職まで見据えた時に、オウンドメディアの入り口でどんな職場を伝えてきたのか、どんなふうに動機付けして応募していただいたのかが、実は重要になってくると思っております。
といいますのも、この動機付けのところで背伸びして職場を良く見せてしまった時に、がっかりして辞めてしまうことにもつながりかねないので、いわゆるリアリティショックの材料にもなりかねない印象があります。
オウンドメディアリクルーティングで何を訴えていくのかは、ひいては長期雇用にもつながっていく、大事な入り口になるんじゃないかなと思っています。
それでは、どんな職場を伝えていくのかという視点で、EVP(Employee Value Proposition)という考え方をご紹介したいと思います。直訳しますと「職場の価値」といったところになると思います。
左のように求職者の方が求めていらっしゃること。それから、我々会社が提供していくことがあるわけですが、これを右のように重なる部分を大きくしていくことで、求職者にとって非常に魅力的な職場になっていくという考え方です。
このEVPの作り方が、非常に肝になってくるので、マクドナルドが取っているプロセスをご紹介しようかなと思います。
EVPの作り方と書いておりますが、職場にはいろいろな価値があるわけですが、それをどう整理して、何を訴えていくのかを検討するのが大事になってくるかなと思います。
左側は基盤となる価値としておりますが、給与、賞与、休暇、キャリアといった価値は数字で表せますし、非常にわかりやすい価値になっています。そして、他の会社さんと横並びで比較できるので、求職者の方にとっても非常に比較しやすい。
こういった価値を、他社さんに負けない水準にしておく視点はもちろん大事だと思いますが、こういった数字の部分だけで勝負していくのは、どうしてもコモディティになってしまうので、あまり得策ではないのかなと思っています。
右側は目に見えない価値で、ブランド、カルチャー、ピープルなど、今でいうとパーパスと言われるような価値です。自社の特長を言語化していくのは、本当に難しい作業にはなっていくんですが、こういったところの価値を打ち出すことができれば、非常に差別化につながるEVPができると思っています。
ここでマクドナルドのEVPをご紹介させていただきます。「フレキシビリティ」「ファミリー&フレンズ」「フューチャー」という、非常に簡単な3つの言葉で表しています。
マクドナルドの職場の価値ということなんですが、おもしろいのがマクドナルドは100ヶ国以上で展開しており、それぞれの国で価値観も違う。でも、世界中で同じEVPを掲げていて、各国で採用活動を行っています。
それぞれのキーワードには具体的な価値があって、この中でも「フレキシビリティ」は、マクドナルドの価値の中でも非常にユニークな部分になってくるかなと思っています。
ここまでの考え方を1枚でまとめますと、このようなかたちになります。「望ましいスタッフィングの作り方」としておりますけども、当社では人材の質と量を整えていくことを、スタッフィングと呼んでおります。
「欲しい人を効率よく集めて選んで採用する」ということになるかなと思います。順番にご説明しますと、まずは「人材要件」をきちんとクリアにすることが必要になってくるかなと思います。
マクドナルドでは、ここに掲げている4つのコンピテンシーが、人材要件として掲げられています。これがいわゆるジョブディスクリプションに相当するのかなと思います。
そして、「職場価値」としておりますが、まずはやはり、今働いていただいている従業員の方に、楽しんで働いていただける職場を提供するのが先決かなと思います。
そして、次の赤くしているところは、マーケティングの領域になってくると思っておりますが、実際に提供した良い職場をコンテンツとしてまとめていく。その中では、言語化したEVPをさらに求職者の気持ちに寄り添いながら、選んで作り込んでいく視点が大事かなと思います。
これをさまざまなメディアに乗せて、お伝えしていくということになるんですが、自社媒体でやる場合がオウンドメディアリクルーティングになるかなと思います。
もちろん有料媒体、例えばテレビ広告、デジタル広告といったメディアを使って、このコンテンツをお伝えしていくこともありますが、これは通常のマーケティングコミュニケーションになるのかなと思います。
このような活動を経てたくさん応募をいただいて、それを最終的にはスクリーニングしていく。マクドナルドの場合は、上に掲げている4つのコンピテンシーがある方を確認するために、応募いただいたすべての方に適性検査と構造化面接を実施しまして、最終的にカルチャーに共感して同質性の高いスタッフィングを目指してやっていくかたちで取り組んでおります。
これがうまく回っていった結果、この「どことなくマクドナルドっぽいよね」みたいな人たちが集まってくることを目指しています。
私はこういった活動に取り組ませていただいて、1つ大事だなと思うのは、この赤くしている部分に関して、マーケティングの領域が確実にございますので、マーケティングの知見があったほうがいいんだろうなと思っています。
もしくは、自社のマーケティングチームに、ここだけを切り出してジョインしてもらって一緒にやるところであってもいいのかもしれないですが、いずれにしても専門家の視点で、こういった部分はクリアしていくやり方がいいんじゃないかなと思っています。
ということで、私がこれまでやってきた中で、ポイントになりそうなところを、いろいろお話をさせていただきました。今日は私の話は以上になります。ありがとうございました。
司会者:宮沢さま、ありがとうございました。
Indeed Japan 株式会社
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