2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
oVice株式会社 代表取締役CEO ジョン・セーヒョン氏×Priv Tech株式会社代表兼株式会社ベクトルCPO 新規事業開発室 室長 中道大輔 氏対談(全1記事)
提供:oVice株式会社
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――まず中道さまが起業されたPriv Tech株式会社について聞かせてください。起業されたのが昨年の春頃だと伺っています。状況としては、在宅ワーク中心だったのでしょうか?
中道大輔氏(以下、中道):そうなんです。起業したのが2020年の3月なので、会社の歴史≒コロナの歴史ですね。
――なるほど。起業当時からリアルで顔を合わせることができなかったわけですね。では起業した当初から、バーチャルオフィスの導入を考えられていたのでしょうか?
中道:いや、最初のほうはこんなサービスがあると知らなくて。まったく考えていなかったですね。バーチャルオフィスの導入を考え始めたのは、起業から約半年後の夏ぐらいでした。それまではGoogle MeetやZoomやSlackを駆使していた感じです。
――IT系の企業は、そういったツールを使っていることが多いですよね。
中道:そうですね。SlackとZoomはテッパンじゃないですかね。
――逆に言えば、そういったツールだけでは補えない何かがあったのでしょうか。「バーチャルオフィスを入れたほうがいいな」と感じた瞬間や悩みについて教えていただけますか?
中道:それで言うと、会社を設立して1〜2ヶ月ぐらいでコアメンバーが5人ぐらい入ってきまして。僕は彼らのことをよく知っていたんですが、すでに働いていたメンバー同士は「初めまして」の状態だったんです。
プロダクトを作りこんでいかなければならないフェーズだったわけですが、お互いをまだ把握しきれていない状況だったんですね。本来であればディスカッションを繰り返すべきですし、それこそホワイトボードの前に集まってコミュニケーションを取りたい。そんな時期だったんです。
ただ、いきなりテレワークを余儀なくされて、「どうやって気軽にコミュニケーションをしていけばいいんだろうか……」みたいなところで悩んでいて。そこでたどり着いたのがバーチャルオフィスだったんです。
――なるほどですね。SlackやZoomでも通話やコミュニケーションはできると思うのですが、感覚的には気軽にコミュニケーションができていなかったと感じていたのでしょうか?
中道:そうですね。私たちの場合は、主にGoogle Meetを使っているのですが、カレンダーで前もって予約しておく必要があるんですね。要するに、「ちょっとこれどう思う?」といった「ねぇねぇの声がけ」ができないんですよ。
Slackもテキストコミュニケーションなので、口頭や対面とは違うと思うんです。やっぱり気軽に話しかけて、テキストだと伝えづらいような抽象的なシステムの絵であったり、何気ないコミュニケーションをどうやってみんなと取ってていくか? が課題でした。
――そういった悩みは、バーチャルオフィスの導入で解消されていきましたか?
中道:今はoViceさんのバーチャルオフィスを使っていますが、コミュニケーションの悩みはだいたい解消してきましたね。
――ジョンさんは、今のお話を聞いていて、狙いどおりといいますか。実際のユーザーさんのお話を聞かれて、どんな感覚がありますか?
ジョン・セーヒョン氏(以下、ジョン):そうですね、使い方としては狙いどおりです。今のツールでは解消できない部分を担保していく狙いがありますので。でも今の話を聞いていて、うちはまだホワイトボードないなぁと思って(笑)。
――(笑)。
ジョン:入れなきゃなと思いました。
――あはは。先ほど中道さまがおっしゃっていた、「ねぇねぇの声がけ」って、既存のツールを使ってお互いが在宅ワークをしていると、なかなかできないですもんね。
ただ、日本でもまだ普及が進んでいなかった時期から、バーチャルオフィスを社内ツールとして利用されていると思うのですが、一歩踏み込めた理由はなにかありましたか?
中道:やっぱり会社設立から間もないので、ルールもなければシステム基盤もこれからの会社だったことが大きいですね。古いカルチャーに縛られるといったこともないんです。なので、今のコロナの働き方に合わせたカルチャーが自然とできあがった感じで。そこにバーチャルオフィスがフィットした感じです。
――なるほどですね。
――では、実際の使用感についてリアルな感想を伺っていきたいと思います。バーチャルオフィスの導入で、コミュニケーションが具体的に変化したと感じたシーンなどはありましたか?
中道:特に私たちの場合だと、インターンが常に1人〜3人いるんですね。まだOJTみたいなカチッとした仕組みはないので、先輩がインターンに対して1on1でコミュニケーションしているんです。
従来であれば、Google Meetを利用して1on1を行っていたので、クローズドなコミュニケーションになっていたんですね。ただ、バーチャルオフィスを導入してからは、そこで1on1を行うようになりました。
そして、僕がこっそり植木の陰から1on1の様子をのぞいて「ちゃんと先輩っぽく教育してくれてるかな」とか「インターンの子、ちゃんと聞いてるかな」って聞き耳を立てるみたいな(笑)。
ジョン:(笑)。
中道:バーチャルオフィスはオープンな環境なので、誰が聞いているかわからないんですよね。そういった、リアルに近いコミュニケーションになると思っています。
あとは「メガホン」っていう機能があるんです。これは、バーチャルオフィスにいるメンバーに対して「全員集合!」みたいなかたちでアナウンスすることができるんですね。
みんなに対して何かを伝えたい時や、トラブルなどの急ぎの対応が発生した際には、このメガホンを使ってリアルに近いコミュニケーションができます。こういった点でコミュニケーションは変わったなと感じています。
――逆にインターンの方であったり、従業員の方からはどういった感想がありますか?
中道:「コミュニケーションの頻度が上がった」ってみんなが言いますね。頻度が上がると質も上がるんでしょうね。かなり変化を実感しています。
――バーチャルオフィスを導入して、コミュニケーションの量も質もだいぶ変わったんですね。
中道:そうですね。本当にメンバー同士が顔を合わせる機会がない会社なので、どうやってコミュニケーション頻度を高めるかが課題だったんです。oViceが、SlackやGoogle Meetで限界に感じていたところを解消してくれましたね。
――いまメガホンという機能のお話が出ましたが、ジョンさんから見た、バーチャルオフィス特有の機能はなにかありますか?
ジョン:まず、中道さんがおっしゃったとおり、私が個人的にバーチャルオフィスを作った理由の1つが「オフィス内で聞こえてくる声を拾いたかった」ということなんです。まさに植木の陰に隠れて誰かの話を聞くような(笑)。
――「植木から隠れて見る」のは、バーチャルオフィスの正しい使い方なんですね。(笑)。
中道:逆に周りに聞かれたくないようなナーバスな話をする時や、1on1でもクローズドなコミュニケーションをしたい時は、シークレットルームも用意されています。1対1でしか入れないカギをかけられるようなシステムもあるので、多様な使い方ができますよね。
――では、リアルな使用感のお話で「ちょっとここは……」みたいなことはありましたか?
中道:まだ開発中のサービスだと思うので、アジャイルっぽくどんどん機能を足してもらっています。それが前提としてあるので、特に使いづらいと思ったことはないですね。たまにうまく動かない時とかはあるんですけどね(笑)。
――満足度としては、日々すごく充実してお使いになられていると。
中道:あとは、oViceツアー(oViceが開放しているバーチャルオフィス環境)に来ると、「ここバグなんですけど」って気軽に社員さんに声をかけられるんですよ。他にも、この場合はどう対応すればいいですか? というように、直接社員の方々が説明してくれるんです。
――それは新しいですね。一般的なカスタマーサポートは、メールやメッセージを送るかたちで、いつ返信が返って来るかもわからなかった。でも、カスタマーサポートをバーチャルオフィスで行うことで、ユーザーと密にコミュニケーションが取れるんですね。
ジョン:あと、サポートメンバーは常にoViceツアーにいるので、他の方を対応しているのを見ると、「あ、忙しいんだな」と思って待ってくださるようなユーザーさんもいらっしゃいまして(笑)。
一般的なカスタマーサービスだと、たくさん問い合わせが来ていることはわからないので、ユーザーさんに待ってもらえないですからね。状況を可視化するだけで、みんなすごく優しくなってくれますよね。
――バーチャルオフィスでカスタマーサポートを行うのは、すごく新しいですね。中道さまは、実際にそういったサポートを日々体験されていると思いますが、率直にどのような感想がありますか?
中道:僕はoViceってプラットフォームになっていると思っています。それぞれが違うビジネスをやっているんだけれども、同じプラットフォーム上でコミュニケーションができる。
なので、「oViceのプラットフォーム≒カルチャーのプラットフォーム」だったりするんですよ。声がけしたりだとか、気軽に話しかけていいですよ、というカルチャーが根付いていると感じています。
カスタマーサポートに行けば気楽に声をかけられますし、oViceさんからも「中道さ〜ん」って声をかけてくれるんですよ。それはすごくいいですよね。冷たいメールなどのコミュニケーションから、一歩進んだコミュニケーションになっているかなと思います。
――バーチャルオフィスは、社内でのコミュニケーションツール以外にも、こんな利用方法があるわけですね。
少し話は離れますが、例えば企業が何か新しいツールを取り入れる時って、社内に浸透させることが難しくて途中で頓挫してしまうケースも多いと思っています。中道さまは、実際oViceというサービスを社内導入された時に、戸惑いなどはありましたか?
中道:僕らはキャリア的にデジタル系の出身者が多いんですね。インターンは学生なので、新しいものに対する慣れは早くて、苦もなく浸透させることができましたね。
――では導入する上で、難しかったと感じた瞬間も特になかったと。
中道:私たちの場合はないですね。ただ、私たちの会社はベクトルという企業のグループ会社になるのですが、グループの社員を合わせると1,000人以上の社員がいるんですね。そういったメンバーが多い企業が新しいツールを導入すると考えると、やっぱりそこは大変だと思いますね。
――中道さまは今後、大きな企業にも当たり前にバーチャルオフィスが導入されていく未来を感じていますか?
中道:すべての企業にバーチャルオフィスが当てはまるかどうかで考えると……たぶんそれはちょっと違うんじゃないですかね。密なコミュニケーションを必要とするような部署やプロジェクト単位に向いていると言いますか。あくまでスモールスタートがテッパンになるかなと思います。結局、日本企業は今オフィスに出社しちゃってますからね。
――そうですね。
ジョン:バーチャルオフィスの導入に関して言えば、スモールスタートで導入されるケースが多いんです。逆に言えば、いきなり全社導入をするとだいたい失敗しますね。社長が「これおもしろいから使ってみよう!」といって導入するケースはだいたい失敗していまして。
成功するパターンとしては、大手企業だとしても、1チームが自分たちで課題を感じてバーチャルオフィスを導入してしまうというもので。上司や規則もありますが、それとは関係なく個人で取り入れて始まる場合が多いです。
そうやって一人が使っていくと、となりの部署の人が遊びに来たり、「なにこれ?」ってどんどん使う人が増えていって。それで最終的に全社導入が決定されると、うまく浸透していくパターンが多いですね。
――バーチャルオフィスを導入していくためには、スモールスタートが重要になるんですね。
中道:そう思いますね。
ジョン:あとは、いきなりトップダウンでバーチャルオフィスを導入すると、社員は監視される気分になるわけです。「みんなが働いてるかどうか、監視するために入れるんだ」って認識になって反発が生まれてしまうと。
逆にボトムアップで導入が進めば、自分たちがコミュニケーションをしたくて入れているので、みんな好意的に参加してくれる。こういった違いがありますよね。
――なるほどですね。あくまでバーチャルオフィスは、監視用という使い方ではなく、コミュニケーション密度を上げるような使い方が正しいわけですね。
――では最後に、バーチャルオフィスを利用するようになったことで、実際に出社しているような感覚に近づけた感覚はありましたか?
中道:それで言うと最近、就活生向けのミートアップイベントもoViceで実施しているんですけど、そこでの体験はリアルさを補えている感覚がありました。
――具体的に教えていただけますか?
中道:私たちは、ミートアップにもバーチャルオフィスを利用しているんですね。なので、私たちが一方的にしゃべるだけではなくて、最後にラウンドテーブルのように、学生たちと相互にコミュニケーションを取ることができるんです。
イベントを締めた後も、個別のテーブルに分かれて好きに話したりですね。そういったリアルなイベントのような体験を、oVice上でできてしまう。「まだ時間があるから、こっちのテーブルで話そうよ」みたいな流れですね。
――学生に対して、実際のイベントに参加しているような感覚を与えられるわけですよね。社内のコミュニケーションツール以外にも、外部とのイベントにも使えると。
中道:そうですね。外部に対してもバーチャルオフィスを利用することがありますね。
――ミートアップ等のイベントの他に、バーチャルオフィスのオススメの使い方はありますか?
中道:社内のリモート飲みなどでは、よくバーチャルオフィスを利用していますね。
――やっぱりZoomの場合だと、大勢の社員が参加していても、1人がずっと話してしまう。そんなこともよく起こってしまいますもんね。バーチャルオフィスでのリモート飲みは、そういった問題点が緩和されるのでしょうか?
中道:そうですね。ジョンさんはリモート飲みなどで工夫をされてますか?
ジョン:僕は人数が4〜5人であれば、ぶっちゃけZoomがいいかもしれないと思っています。映像がサクサク動くので。ただ、人数が10人以上になってきて、参加者の中でグループが分かれるようになってくるとoViceが楽しくてですね。グループの席替えとかができるので。そういう違いがあると思います。
中道:oViceだと、バーチャル空間の中で自分が移動できますもんね。
ジョン:5人だったら逃げる場所がないけど、10人だったらいろんなグループに派生して、そっちの会話に行くという選択もできるんですよね。
――どんどんグループが枝分かれして、より深い話ができるわけですね。確かにそれはすごくおもしろいですね。
――「社内のコミュニケーションをいかに活性化するか?」がメインのツールだと思っていたので、それ以外にもかなり使い道があるんだと理解できました。
中道:バーチャルオフィスはコミュニケーション領域だけではなく、セールステック、イベントテックなど、さまざまな領域を浸食していく可能性を持っているかなと思います。
ジョン:利用方法に対して、私たちが狙っているのが「スペース」です。oViceはコミュニケーションツールであるものの、私たちは「空間」と言っているんですね。空間で何をするのかは自由。リアルの世界でもなんでもできるじゃないですか。
ワンルームを借りてパーティーもできるし、そこに住むこともできるし、オフィスにもできる。使用用途を固定するのではなくて、ユーザーさんに自由に空間を使ってほしいと思っています。なので、そういった拡張性をもたらすために、自由度の高いツールにしようと思っています。
――では、最後になりますが、バーチャルオフィスサービスのoViceを日々使っているユーザーからの意見として、今後バーチャルオフィスは浸透していくのか。そんな未来について伺えますでしょうか?
中道:世の中の動き的に、出社とテレワークは半々ぐらいになっていますよね。なので、コロナが落ち着いても、テレワークの良さを知った人たちは出社しない働き方を続けると思います。会社もそれを認めないといけない。そうなった時に、バーチャルオフィスというツールは必要になるだろうなと考えています。
今回のコロナをきっかけに、コミュニケーションプラットフォームとして、oViceさんは立ち上がりつつあるかなと思っています。これを社内のコミュニケーションだけに閉じるのか、社外との関わり合いや、セールスなどにも使えるようにしていくのか。いろんな使い方ができると思うので、楽しみだなと思っています。
――なるほど。中道様、ジョン様ありがとうございました。
oVice株式会社
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