2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:サイボウズ株式会社
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蒲原大輔氏(以下、蒲原):みなさん、こんにちは。Cybozu Days 2020オンライン配信をご覧いただき、誠にありがとうございます。このお時間は『今こそ役所の常識を打ち破る時! 自治体・ベンダー双方の革命児が語るボトムアップ改革』というセッションをお送りさせていただきます。
今日は革命児のお2人、八尾市の中谷さんとノベルワークスの満村さんをお招きしております。よろしくお願いいたします。
中谷優希氏(以下、中谷):よろしくお願いします。
満村聡氏(以下、満村):よろしくお願いします。
蒲原:本日モデレーターを務めさせていただきます、蒲原と申します。まずは自己紹介をさせていただきます。ふだんはkintoneを活用した自治体の業務改善支援をミッションとしております。
実は私自身も前職は自治体の職員でございまして、2011年4月に東京の品川区役所に新卒で入庁いたしました。そこから4年間人事課という部署、それから1年半ほど産業振興の部署にいたんですけれども。一貫してエクセルであるとかアクセスといったツールを用いた業務改善を行っておりました。
しかし、そういったツールだけでは業務改善に限界があるなと思っていたところ、偶然サイボウズのkintoneというツールを知るきっかけがありまして、一念発起して転職をしました。こういったキャリアでございます。
しばらくは民間業種向けkintoneの営業マンをやっていたんですが、2018年1月から念願叶いまして公共担当に配属となっております。そんなかたちで自治体の方々と一緒に楽しくお仕事をさせていただいています。
蒲原:今年、自治体に関しては非常にさまざまなkintoneに関するトピックがありました。こちらの2枚の画像はいずれもTwitterからの抜粋なんですけれども、吉村大阪府知事、それから大野埼玉県知事からkintoneを導入しましたよということで、ツイートで発信していただいております。
こちらはきっかけといたしましては、新型コロナが非常に大きかったんですけれども。みなさんも報道等でご覧になっていたかと思いますが、コロナの感染者が拡大しますと保健所の業務が圧迫されてしまうと。大阪府では4月上旬頃、非常に感染者が拡大していた中で、このままでは保健所がパンクしてしまうという状況があったんですけれども。
府の職員の方が自ら、1週間くらいでkintoneのシステムを使って効率化をしたといった事例が出てきております。なかなかこういった自治体のトップから直接kintoneの発信をしていただけるというケースは今までありませんでしたので、これをきっかけに急速に自治体に対してkintoneが広まってきているなぁというところを感じております。
こちらのスライドは、弊社サイボウズから自治体に関するプレスリリースを出した数になっております。昨年2019年は神戸市、市川市、高山市の3つの市役所さんと協定を結んだり、実証実験を行ったりというかたちでプレスリリースを出しております。今年2020年は5つに増えております。内訳としましても、厚生労働省さんのような中央省庁、それから大阪府さんや神奈川県さんのような都道府県のほうにまで広がってきております。
こんなかたちで自治体の規模を問わずkintone、あるいはノーコードツールといったものが着実に公共市場全体に広がってきた。これが2020年だったかなと総括をしています。
蒲原:コロナ禍における動きを一言で総括しますと、ノーコードの価値が自治体に認知されたというのが一番大きかったかなと思います。ほかにもさまざまあるのですが、代表的な事例をご紹介させていただいております。
例えば先ほどご紹介した大阪府さんは、職員がkintoneを内製することによって2週間でシステムの運用を開始しています。次に加古川市さんですね。加古川市さんでは10万円の特別定額給付金のオンライン申請システムを作られたのですが、市長に見せるためのプロトタイプを一晩で職員の方が開発したと。こういったエピソードも出てきております。
本日お越しいただいております八尾市さん、ノベルワークスさんはそれぞれ連携して2週間で給付金システムの開発といったような実績を残していただいております。
以前からノーコードというツール自体は存在していたんですけれども、このコロナの実績を通じて本当に自治体のデジタル化に対して有効な選択肢であると認知していただけたかなと思っております。
一方、お悩みの声というのも日々自治体の方からいただいております。最近はデジタル庁の流れもあって、デジタル化を進めていこうという話はあるんですけれども、そもそもどう進めればいいかわからないであるとか。担当者個人としては思いがあるんだけれども、いかに庁内を巻き込んでいいかがわからない。それから民間事業者とどう連携していいかわからない。こういったお声があります。
そこで本セッションでは官民それぞれの先駆者、お1人ずつお招きしておりますので、デジタル化のポイントを聞いてみようと。こういった趣旨になっております。
蒲原:それではさっそくではございますが、登壇者のお2人からそれぞれ自己紹介をお願いしたいと思います。まず八尾市の中谷さん、よろしくお願いします。
中谷:みなさん、こんにちは。八尾市役所産業政策課ものづくり・あきない支援室の中谷と申します。自己紹介ということですので、私がふだんやっている業務などをお話しさせていただければなと思います。
私の部署は、名前にも「ものづくり」と「あきない」とあるとおり、製造業と商業、サービス業の事業者向けの支援を行っています。私自身はものづくり、製造業の支援を担当させてもらっています。
その中でも八尾市には、中小企業の支援機関の1つであります八尾市立中小企業サポートセンターというところがありまして、そこの運営を担当させてもらっています。
このサポートセンターでは何をやっているかと言いますと、ものづくりや創業関連に対する知識や技術に長けている専門コーディネーターという人材がおりまして、その者たちと一緒に日々企業を訪問しまして、その企業の課題やニーズを洗い出し、それに沿った適切な支援・伴走支援をやっていくという業務を行なっております。
今回、この事業者サポート給付金プロジェクトで私は、システムの構開発・築を担当しました。私自身民間企業からの転職で市役所に入庁していまして、今回のようなシステムの開発・構築というところは今までまったく携わったことがなく、ITリテラシーがすごく低いところからのスタートになりました。
今日ご一緒しているノベルワークスさんとの打ち合わせの中で出てくる言葉で、「プラグインって何ですか?」とか「ユーザー登録とアカウント登録って何が違うんですか?」みたいな言葉を平気でぶつけているような感じの者だったので(笑)。これをご覧になられているみなさんのほうがITリテラシーというところでは高いのかなというところではあるかと思います。
そういう私がこのプロジェクトを経験する中で感じたことであるとか、苦しんだことをお話することで少しでもお役に立てればなぁというところがございますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
蒲原:中谷さんありがとうございます。私から1点補足させていただきますと、サイボウズと八尾市さんは実は連携協定というものを締結しております。
持続可能な地域づくりに関する協定ということで、これは単にサイボウズの製品を市役所で使っていただくという話ではなくて。
今中谷さんからのお話にあったような中小企業の方々の持続可能なビジネスを知っていただくというところに関して、包括的に協力していこうと協定を締結しております。このあとの話にも出てくるのですが、みせるばやおといったような取り組みを一緒にしております。
蒲原:では続きまして、ノベルワークスの満村さん自己紹介をよろしくお願いいたします。
満村:みなさん、こんにちは。株式会社ノベルワークスの満村と申します。
さっそくスライドを見ている方が「なんだこいつ?」「何やってんだ?」と今思われていると思うんですけれども。今日のお話の中で徐々に、なぜこんなスライドで自己紹介をするのかというところが話の中にちょこちょこと出てきますので、そちらを楽しみにしていただきながらご覧いただければと思っております。
簡単に弊社の会社紹介をさせていただきますと、2015年からサイボウズさんのkintoneを取り扱ったSIということで、お客さまのkintoneの導入支援をさせていただいております。2015年から始めまして、昨年くらいからGaroon(ガルーン)も導入支援等をさせていただいておりまして。サイボウズさんの製品を扱う専属の開発ベンダーという、けっこうめずらしい仕事をさせていただいております。
私自身の自己紹介を簡単にさせていただくと、実は今日のお話の中に出てくる「重厚長大」という言葉ですね。重たいシステムを作ってゴリゴリにスクラッチで組んで、すさまじい開発工数をかけてめちゃくちゃ品質のいいものを提供するっていう、今までの日本が得意としていたシステム開発の、いわゆる最先端と言いますか。もっとも重厚長大という名がふさわしい金融のシステム開発を約15年ほどやっていました。
日々何億というシステムの見積もりを作り、設計書を何百枚と書き、何万件の試験を実施して納品するというシステムを導入していたんですけれども。いかにユーザーのみなさんが本当に欲するものを、いち早くいろいろな手段をつかって提供できるかというところを考えた時に、クラウドというキーワードを知ったんですね。
その時にkintoneという存在を知って、「これはこのお仕事をしたほうが絶対人の役に立てる!」と思ってすぐに会社を興すという無謀な決断をして。「kintoneって何?」っていうところからいきなり会社を興したという強者でもあります。
のちほどそのkintoneの今回八尾市さんと一緒に取り組んだプロジェクトの事例等もお話させていただきたいと思いますので、本日はよろしくお願いいたします。
蒲原:ありがとうございます。このスライドにはぜんぜん触れない自己紹介ということで(笑)。けっこうツッコミどころが多くてですね。左側の写真を見るとすごくパワー系に見えるんですけれども、右側の体力のパラメータを見ると要リゲインと書いてあって、ツッコミどころが多いんですが(笑)。このへんはまたのちのち出てくるということで、楽しみにしていただければと思います。
満村:よろしくお願いします。
蒲原:ノベルワークスさんに関しても1点補足させていただきますと、サイボウズが例年パートナーさんを表彰するCYBOZU AWARDというものがあるんですが。今年CYBOZU AWARDのSI賞ということで表彰もさせていただいております。
蒲原:ということで、今回のメインテーマでありますパネルディスカッションに入ります。このパネルディスカッションでは3つのトピックを扱っていきたいなと思っております。
1つが自治体と事業者の協業はどう進めていくべきか。次に八尾市がこれから目指すデジタルシフトとは何か。そして役所のデジタル化を支えるうえで組織や風土も非常に大事になってきますので、その組織を変えるためにはどうしたらいいか。こんなアクションについてもお話できればなと思っております。
まず最初のテーマとして、『給付金申請システムを2週間で実現。成功に導いた官民のチームワークとは?』ということで、先ほどのコロナ禍におけるプロジェクトを中心に伺えればと思います。
ここで実際にご視聴いただいているみなさまと共有していきたいなと思うんですけれども。官民の協業で失敗するケースが非常によくあります。
これは私自身も経験してきたことなんですが、例えば自治体の方々というのは一生懸命仕様書を書いて、要件定義をして調達をするんですけれども。いざ納品されてみるとまったく期待と異なるシステムが納品されていたりとか。
逆に民間事業者から見ると、度重なる自治体側の要求に振り回されて赤字プロジェクトが発生してしまうといったことがよくあるんですね。そこでお2人には、どうすれば官民がwin-winな関係を構築して、デジタル化のプロジェクトを成功させられるのかについてお伺いしていきたいと思います。
そのうえで、そもそも八尾市の事業者サポート給付金プロジェクトといったものがどういったものだったのかについてお聞きしたいと思います。
蒲原:まず中谷さんからご紹介お願いできますでしょうか?
中谷:この事業者サポート給付金というのは、今回のコロナの影響を受けた市内の事業者さん、製造業やサービス業の方などを市としても下支えしていかないといけないので、ある一定の条件を設けまして、それに当てはまる事業者さんには一律10万円を支給するという制度になります。
この実施が決定したのが5月上旬で、そこからスタートして進めていく中で、コロナ禍で窓口を設けることによってクラスターが発生して、感染拡大してしまうのではないかという課題がありました。
そこをクリアするために今回はオンラインと郵送という手法を取ることにしまして、一切申請窓口は設けないというかたちにしました。
他市さんとかでもその当時、給付金の事務作業で非常に人手がかかって、給付金の支給自体が遅れるということが話題になっていた時でした。それもクリアしないといけないなぁというところで、kintoneであったり、画像認識やOCRを組み合わせて事務負担を少なくするためシステムを構築していったというところです。
申請の受付開始が6月17日だったので、5月上旬に構想がスタートして、6月17日にリリースしたというかたちになります。
蒲原:なるほど。5月にやることが決まって6月に支給ってかなり早いプロジェクトですよね。
中谷:そうですね。正直無理だなとは思ってましたけど(笑)。そういう話だったのでやるしかないなというところでしたね。
蒲原:満村さんにはどのタイミングでご相談したんですか?
中谷:5月中旬から下旬くらいなので、本当にタイトルにあるとおり、ほぼ2週間前というところですかね(笑)。
蒲原:満村さん的にはどうでした? このタイミングでのご相談というのは。
満村:最初は全部冗談やと思ってました。そんなわけないだろうと。6月17日じゃないよね? みたいな(笑)。
中谷:もともと僕自身もオンラインでやるっていう認識はなくて、この話があった時に、マンパワーを使って人海戦術でゴリゴリやるしかないなぁと思っていた中、同僚と話をしている中で、「オンラインでできるんちゃうん?」っていう話をしている横に満村さんが……
満村:たまたま座ってたんですよね。
中谷:そこで「できますかね?」みたいな話をしたら、「できますよ」って言ってくださったので。
満村:僕すごく聴力高いので、ぜんぜん関係ない話してたのに聞こえちゃったんですよ。思わず「できるんちゃいます?」って言ってしまったっていう。
蒲原:なるほど(笑)。ちなみにたぶんここでご覧いただいている方は、オンライン申請をやるのであれば郵送はいらないんじゃないかと思う方もいらっしゃると思うんですけれども。郵送も並行してやるっていうのはどういった理由なのでしょうか?
中谷:やっぱり行政としまして、申請者に対して選択肢を多く設ける必要があるのかなと。もちろんオンラインに対応できる人とそうでない人もいるというところもありますので、そこは入り口を2つ設けるというのは必然というか、必要だなという判断でオンラインと郵送というかたちになりました。
蒲原:確かにターゲットである零細事業者の方々って、けっこうご高齢の方も多かったりするからっていうことですかね?
中谷:そうですね。まだFAXで受発注やっていたりするところもあったりするので、そういうところで郵送は必要かなというところですね。
蒲原:郵送で受け付けるとなると、当然紙の申請書がたくさん来るわけで役所の職員がすごく大変かなと思うんですが、そこを工夫されたということですね。
中谷:そうですね。
蒲原:その工夫のあたりを次のスライドでお話いただいてもよろしいでしょうか?
中谷:オンライン申請の場合はノベルワークスさんのChobiitというサービスを使って、申請をしていただくのですが、まず申請の段階で、この給付金制度ではいろいろ添付書類を求めるところがありますので、添付誤りを防ぐというところで画像認識、AIをそこに入れ込みました。
例えば登記簿の写しを添付しなければいけないところに免許証の写しが添付されていたら、画面で「間違ってますよ」とアラートが出ます。それで申請者も間違いに気づいて修正して、適正なかたちで申請するというかたちをオンラインでは組ませていただきました。
郵送の場合はもちろん紙で届きます。それをデータ化する課題を解決するために、OCRを使って自動で申請内容をデータ化してkintoneに入れていくというところで、事務作業の軽減を実現したというところですね。
蒲原:なるほど。まずはオンライン申請のほうからお伺いしていこうと思うんですが、Chobiit for kintoneはノベルワークスさんのプラグインだと思うのですが、これについて満村さんからご紹介いただいてよろしいでしょうか?
満村:簡単なご紹介にはなるんですけれども、こちらの絵をご覧いただくとわかるとおり、kintoneの間に入って、今回ですと法人の企業さんであったり、個人事業主さん、こういった方がkintoneにダイレクトにデータを入れることができるkintoneの外部連携サービスというものになります。
今回は八尾市さんで事業者さんの情報であったり、法人の企業さんの情報、こういったものをChobiitを介してkintoneに登録いただいて、そのあとに流れでオンライン申請というかたちで補助金の申請の登録もしていただけるというかたちです。kintoneのライセンスを持たない方もkintoneに直接データの登録、編集等ができるサービスです。
蒲原:ありがとうございます。ちなみにこのAIを一緒に使うというのは、これまで自治体案件で聞いたことがなかったのですが、2週間という短期間でこれが実際にできるものなんですか?
満村:できます!
中谷:あはは(笑)。
満村:オールパブリッククラウドで攻めるという。
蒲原:なるほどですね。次に郵送申請のほうなんですけれども、これもOCRとの連携といったところで、やっている内容としては手書きの紙で来たものを変換してっていうところになると思うんですが、実際に使われてみて手で転記していくというのと比べて効果としてはいかがですか?
中谷:手入力だともちろん間違いも発生すると思うんですけど、今回使わせてもらったOCRのサービスというのは非常に手書き文字の認識度が高かったので、実際読み込む段階でのエラーというのはそんなになかったですね。審査の段階での工程というのはすごく削減できたのかなというところです。
蒲原:ありがとうございます。先ほどおっしゃっていたようにいろんな市民の方がいらっしゃるので、当然多様なインターフェースを用意していて、どちらのルートに来ても効率化しているというような工夫をされているという感じですかね。
中谷:そうですね。
蒲原:ありがとうございます。実際にこのシステムを導入してみた成果といったところではどんな感じでしょうか?
中谷:一番は申請者の方にどれだけ早く給付金を支給できるかというところだと思うんですけど、結果的に、申請内容に問題がなければ受付から2週間以内には支払いを完了することができました。6月17日から申請受付を開始したんですけど、一番早い方では6月17日水曜日のその翌週の金曜日にはもう振り込まれていると。
蒲原:めちゃくちゃ早いですね。
中谷:そうですね。そういうかたちで達成できたというのと、あとはこれを担当する職員、アルバイトの方の残業時間はほぼゼロ。日中で業務が終わるというようなかたちができたので、非常に成果があったというかたちですね。
蒲原:事業者の方からもすばやくお届けできて喜ばれて、職員のほうもちゃんと働き方を維持しながらという感じですよね。そうすると、プロジェクト全体の総括というか振り返りとしては、成功と言えるのではないかと思います。
サイボウズ株式会社
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