2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:LINE株式会社
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吉野一也氏(以下、吉野):このパネルディスカッションではヤフー株式会社の廣瀬さんと、弊社LINE株式会社の片野をパネリストに迎えています。
今、リモート環境で働くということが当たり前の状況になってきました。Withコロナ時代と呼ばれていますが、そんな環境でどういう準備をしてきてどんな対応をしてきたのかというところを「Withコロナ時代の新しい働き方を実現するCorporate IT戦略」と題しましてディスカッションをさせていただきたいと思います。MCは私、LINEでIT戦略を担当しています、吉野と申します。
社員数1万人前後のメガベンチャーならではの苦労とか、Corporate ITの仕事の楽しさとか苦労などを聞いていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
片野秀人氏(以下、片野):お願いします。
廣瀬正則氏(以下、廣瀬):よろしくお願いします。
吉野:では本セッションを進めていくメンバーの自己紹介から入りたいと思います。まず私から。LINEの社内システムの全般の導入・運営を行っているEnterprise ITセンターの中で、全社に渡って利用されるシステムの導入を行っているIT戦略室チームの室長をしています。よろしくお願いします。
片野:LINEの社内ITの部門の責任者をやっている片野と言います。役職的には執行役員ですね。サービス開発のところでGrowth領域の開発の子会社の役員も併せてやっています。よろしくお願いします。
廣瀬:ヤフー株式会社の情報システム本部 本部長の廣瀬と申します。私もほぼ吉野さんと同じで社内の全般のIT部分を担当しておりまして、全社へ提供するシステムを提供していく仕事を担当しています。本日はお招きいただいてありがとうございます。
吉野:ありがとうございます。今回こういう感じでパネルディスカッションとなりましたけれども、2人の関係とかお話いただけますか? 以前から知っているのか、いつ頃から知っているのかとかの辺りをちょっとお聞きしたいのですが。
片野:もともとWeb系のIT関係の情報共有会みたいなのがあって、そこで廣瀬さんともお会いしていましたので、たぶん2、3年前ですかね。そこから何回かお会いしていて、情報交換していましたね。面識はあって何回か飲みにも行っている感じです。
廣瀬:私も片野さんとお会いして、同じ業界でもあるし近しいサービスをやっている領域でもありますし、お聞きしたいことをを個別にお聞きしたりとか。プライベートでは飲んでる席でちょっとお話したりというのがあった感じです。
吉野:ありがとうございます。実は私も廣瀬さんのことは存じ上げていまして、この業界といいますか、横のつながりはけっこう広いなと思っています。そういう業界の方々の飲みみたいなところでは一緒に参加させてもらっていました。
本日のアジェンダは、まず両者に部署の紹介をお願いできればと思っています。その中で部署のミッション等があると思いますので、そちらも交えてお話していただければなと思っています。ではまずLINEの片野さんからお願いします。
片野:はい。私たちの社内ITの部門に関しては「働きやすさNo.1の環境を提供し続ける」ということをミッションに置いています。
LINEでは全社で「No.1のサービスを提供する」「そのためにチャレンジし続ける」ことをミッションとしてやっています。これを支える社内ITの部門としても、私たち社内部門から見るとユーザーは社員になるのですが、社内向けのサービスのところでNo.1を目指していくことをミッションとして置いています。
次は組織の概要ですね。まずEnterprise ITセンターという組織に関しては、大きく分けると東京と福岡の2つがあります。福岡のIT支援室に関しては組織全体が少しコンパクトになっているので、すべての機能をもっている組織になります。オフィスのネットワークから情報セキュリティ、ヘルプデスク、あとは業務システムの開発・運営みたいなところをすべて担当しているかたちです。
残りの部門が東京側になるのですが、Corporate IT室がバックオフィスを中心に人事であるとか、総務、法務といった組織の業務のサポート、そのために必要なサービスの導入であるとか、そういうところを担当しています。
もう1個がIT戦略室で、先ほど吉野が言っていたように全社横断のSaaSのサービスであるとか、あとは事業部向けのサービス提供であるとか、そういった業務システム全般の横断的な部門向けのものを提供しているかたちになります。あともう1つ組織として切り分けているのが、Enterprise開発チームですね。
ここに関してはどの領域という区切りがなくて、開発のエンジニアがここにすべて所属しているかたちです。エンジニアは組織としては一応中でチームを分けて、エンジニアがこの中で集まっている組織構成になっています。全体で東京が40名ぐらい、福岡が25名ぐらいで全体で65名ぐらいが組織の構成になります。
吉野:ありがとうございます。では続きましてヤフーさんのご紹介を廣瀬さんお願いします。
廣瀬:はい。ヤフーの情報システム本部のミッションですが、スライドでは英語なのでちょっとわかりづらい部分がありますが、基本的には「ワークでワクワク」という、若干もじった感じになっています。ITを使ってワークをワクワクさせるような仕組みを提供していくことをミッションにしています。
弊社のビジョンのところに書いてあるUPDATEというのは、御社でいうNo.1みたいな感じですが、このビジョンは「UPDATE〇〇」で、UPDATE Corp ITを目指して設定しています。
なので、ミッションをメインとして漠然としたものにはなっていますが、いろんなものでITを仕事に活かして、ワクワクできるような環境を提供していこうみたいなところを目指しています。これを作った2年前からなかなか変えられてないところがあるんですが(笑)。今まさにこのコロナ禍で具現化できるんじゃないかなとは思っています。
組織は10月から一部の開発部隊が、10月以前からは少し移動したかたちになっているんですが、今現状の組織ではシステム統括本部が上にいまして、その下に情報システム本部があります。
その下に部が4つあります。インフラ領域を見ているITインフラ部、それから吉野さんと同じで戦略的なところとか、ガバナンスなどの管理や整備を推進する部、あとはサービスのインフォメーション基盤を整備する部、そしてサービスオペレーション基盤を担当する部があります。
どちらかというとプラットフォームのみ提供というよりの開発でもあり運用でもあり、サービス提供でもありみたいな構成になっており、この4つの部で部中には開発エンジニアやインフラエンジニアもいたり、それから企画・設計をやっているチームもいたり、いわゆるビジネスサポートのチームもいて、領域も広くやっています。
組織の枠をあまり意識しない体制で、領域を分けずに横断的にやっているようなイメージになります。
吉野:ありがとうございます。ヤフーさんの組織はシステム統括本部があって、そこの下に情報システム本部があるんですね。そこの統括本部と本部はどんな役割な感じなんですか?
廣瀬:ヤフーの場合、実はこの上にさらに、テクノロジー、コーポレート、メディア、コマースという4つのカンパニーグループの組織があります。さらにそのテクノロジーの中でシステム統括本部の他にはデータ統括本部とサイエンス統括本部があり、その中で、いわゆるサービスプラットフォーム含めて開発者が利用する仕組みはすべてシステム統括本部の下に集まっているようなイメージです。
私たちの情報システム本部以外にはあと6本部あります。そこでクラウドプラットフォームやサイトオペレーションという、いわゆるデータセンターのインフラ関連を担当している組織や、サービスプラットフォーム、あとはセキュリティ関連のプラットフォームを担当する組織など、基本的には開発者が触るものはすべてこのシステム統括本部に集まっています。
規模的に人数が多いので、さらにその下に本部格それぞれの領域に分かれており、私たちはどちらかというとサービスに直結というよりは間接的に関わるような、社内全体を見渡すようなシステム開発、インフラ全般を担当しているイメージにはなりますね。
吉野:なるほど。弊社の場合だとどこの部署にあたるんでしょうね。インフラとか情報セキュリティとか、サービスの開発は別の組織だったりするのですが、そこがけっこうヤフーさんとは違うところだなという感じですね。ありがとうございます。
吉野:ではここからセッションの本題に入っていきます。お二人に質問をいくつかさせていただいて、ディスカッションをさせていただきたいなと思っています。2社とも大きな企業ですから社内ITの整備とかそういったところも大変なんじゃないかなと思います。文化とか拠点とか人数とかもけっこう違うところがあると思いますので、そんな両社の違いみたいなところもお聞きできたらなと思っています。
では、第1問です。サポートされている組織ですね。システムを導入している組織の規模感はどのくらいなんでしょうか? 両社ともグループの子会社とかも含めて考えるとかなり大きいというのは想定できるのですが、片野さんどうでしょう?
片野:冒頭にも話がありましたが、ちょうど今LINE全体、グループ全体でいうと8,500名超ですかね。なので、ほぼ1万人規模。あとは国内と国外というところでいうと、ちょうど半分ぐらいなので、国内が半分の5千弱くらいですかね。
オンラインでは1万人規模に対してサポートしていますし、あとはローカルでのヘルプデスクとか物理的に直接見てる範囲でいうと半分の5千ぐらいがサポートの対象範囲ですかね。
吉野:その中には業務委託の社員とか、派遣社員さんとかも入ってるということですよね。
片野:そこまで入れるともう2割、3割増えて、1万人よりもだいぶ上回る感じですね。
吉野:ありがとうございます。廣瀬さんいかがですか?
廣瀬:ほぼ片野さんと同じようになるのですが、弊社の場合は海外事業所が基本的にはないので、国内だけで7、8千人のプロパーがいます。あとは業務委託、派遣社員さんとかも含めて考えると1万+αの規模感にはなっているイメージです。
このコロナ禍であまり拠点が使われなくなってきている現状ではありますが、南は沖縄から北は北海道まで事務所が十数拠点あるようなイメージなので、全国規模に渡って展開しているため、サポートやネットワーク、各種インフラを含めて提供しているような感じです。
サポートの部分は分散しているが故にちょっと悩ましいところがあって、大きな拠点にサポートを提供しているので、東(東京)、名(名古屋)、阪(大阪)、福岡になっていますが、その他の拠点はどちらかの範囲で対応している状態にはなっている感じですね。
片野:沖縄もあるんですね。
廣瀬:沖縄も一応あるんですよ(笑)。
吉野:違いというと、LINEはけっこうグループでグローバルというかアジアを中心に拠点があり、ヤフーさんの場合は日本の中でけっこう大きい組織をもっている感じですね。ありがとうございます。
吉野:では続きまして次の質問ですが、両社のCorporate ITの視点で特徴的なところはなんでしょう? 先ほど拠点とかの違いとかもけっこう見えてきたと思うのですが、ITの視点でいうと特徴的なところはどんな感じですかね? じゃあ次は廣瀬さんからお願いします。
廣瀬:はい。ヤフー自体が外から見えている印象と変わるかもしれませんが、昔ながらのやり方で内製を繰り返してきて、今まではヤフーの中では内製の仕組みを当たり前に使ってきていたんです。
だけど、昨今SaaSの仕組みとか各社でも使われているところもありますし、中で作るよりも使っていったほうが早い部分も出てきたりしているところがあります。Corporate ITの開発の中でもやっぱり作る部分と使う部分と、その中でmake&useとよく言っているのですが、makeとuseをちゃんと分けて、開発して自社の中でオリジナリティを享受する部分はCorporate ITとしてちゃんと作っていきましょうみたいなところ。
あと、きちんと使っていって利便性を上げるところなど、あまりこの分野で差別化を作る部分ではないとか、そういうところは、ちゃんとよりよく使える状態にしていくことを目指しています。
双方をよりよく利用して、自社として変えられる部分は開発で変化を生み出し、汎用的に利用を促す部分はきちんと使えるようにしていくことを念頭に置いています。
まだ志半ばの部分が多いのですが、どちらかというと一般的には「ベンダーに発注して作ってもらう文化」がCorporate ITは多かったのかもしれませんが、ヤフーの中では作る部分とちゃんと使っていく部分を整理して、目的を決めて使いわけているという特徴はちょっとあるかなと思っていますね。
吉野:そうですよね。ヤフーさんというとチャットとかストレージとか自前でもっているイメージがありますよね。
廣瀬:そうですね(笑)。
吉野:そこもけっこうクラウドとかに変えていきつつあるんですか?
廣瀬:そうですね。チャットはまさに内製のツールがあったんですが、それも今はクラウドの昨今流行りの……製品名は言いませんが(笑)。
(一同笑)
廣瀬:そういう市場で受け入れられてるものを使っていくことに変わってきて、その部分に力を入れていくというよりは、一般的に使われているとか他社でうまく利用できているような、中だけでは作り上げられない部分は有効利用していこうという感じにはなっていますね。
吉野:ありがとうございます。では片野さん、よろしくお願いします。
片野:海外の拠点が半分あるのでいろんな国籍の人がいて、ニーズもさまざまみたいなところが、特徴としては一番大きいのかなと思いますね。
LINEの特徴として、LINEの本社は東京、日本なのですが、ヘッドクォーターとして全部海外の子会社まで含めてトップダウンでこうしなさいと出しているかというと、そうじゃないところがあります。よくも悪くも自由みたいなところがあるので、国ごとにいろんなニーズが出てきますし、要望を取り込むのはやっぱりわりと難しくて、ここは特徴の1つなのかなと思いますね。
廣瀬:片野さん的に難しい国みたいな独特な国とかあったりするんですか?(笑)。
(一同笑)
廣瀬:難しいというかオリジナリティがあるような国とか。
片野:どうなんですかね。国じゃないですが、例えばもともとうちの拠点でいうと台湾とかタイはわりと大きいので、開発の拠点も開発のエンジニアもけっこう多くいます。開発のエンジニアが多いと自分たちで用意したり作ったりというのが出てくるので、気付いたら自分たち独自のやり方で進んでいて、全体でどうやってガバナンスを効かせるんだっけと考えたりとかが出てきます。
自分たちでやってくれるのはありがたいのですが、あとでどう合わせるかが出てくるのでそういうのがちょっとありますかね。自由にしたいんですけれどね(笑)。
吉野:そうですよね。
片野:バランスが難しいなという(笑)。
吉野:確かに。
片野:そういうところはあります。
吉野:私から見たら特徴的なところというと、自社の話ですが、チャットをしていると翻訳ボットを使うことでそのチャットが必ず英語と韓国語に翻訳されていて、お互いその国の人たちは自国の言葉でコミュニケーションをしていればチャットが成り立っちゃうみたいなのはちょっとおもしろいところだなと思っていますね。
廣瀬:すごいですよね。4ヶ国語ぐらいに翻訳されていますよね。
吉野:そうですね。
片野:そうですね。通訳・翻訳はうちだと必須になっているので、そういうのだとサポートもそうですね。日本語だけではなくてもちろん英語は必要になりますし、いくつかのローカライズされた言語でサポートが必要なのでそういう意味でもヘッドクォーターからすべての情報を管理して一元的に出してというのは難しいのかなと。そこはうまく分散しているかたちですね。
吉野:ありがとうございます。
LINE株式会社
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