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事例に学ぶ!現場における人手不足解消、省人化 ~鹿島スマート生産におけるクラウドカメラによる現場の遠隔管理とは~(全1記事)

2020.12.15

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生産性の向上と働き方改革の実現に向けて 「作業の半分は遠隔で」を目指す、鹿島建設のDXへの一手

提供:セーフィー株式会社

少子高齢化が進む日本では、多くの業界・企業にとって人手不足が慢性的な課題となっています。さらに新型コロナウイルス感染症によって、建設や生産など、人が現場に赴いて作業する業態では、現場での感染対策が求められています。オンラインにて開催された「日経XTECH主催 - 働き方イノベーションForum 2020」において、クラウドカメラによる遠隔管理を推進する鹿島建設とセーフィ―株式会社の事例を通して、人手不足解消や省人化における課題解決の糸口を探ります。

店舗や製造業などの「現場」で役立つクラウドカメラサービス

小室秀明氏(以下、小室):みなさま、こんにちは。セーフィーの小室と申します。今回のセッションは「事例に学ぶ! 現場における人手不足解消、省人化~鹿島スマート生産におけるクラウドカメラによる現場の遠隔管理とは~」と題してお届けしたいと思います。

今回は、実際に鹿島建設(以下、鹿島)でデジタル推進を担当している國近さまにもご登壇いただきました。鹿島の「スマート生産」を技術的にサポートさせていただく上で、セーフィ―のクラウドカメラサービスをどのように使っていただいているのかを、パネルディスカッション形式で、ぜひみなさまのお役に立てるようにお届けしていきたいと思っております。

みなさまもご存知のとおり、鹿島さまはゼネコン業界でいらっしゃいますが、本日はゼネコン以外の業界のみなさまにも使っていただけるお話をさせていただけるかと思っております。

キーワードは「現場」です。例えば店舗も現場ですし、製造業のみなさまであれば工場も現場になると思いますし、不動産業態さまであれば、施設やマンションなども現場であると思います。こうした現場をお持ちのみなさまには、今回の事例をぜひご活用いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

では、さっそく始めていきたいと思います。今回は鹿島さまの「鹿島スマート生産ビジョン」の実現を支援している、セーフィーという会社・サービスがどのようなものかということを、私からご紹介させていただきます。

クラウド録画サービスで業界シェアNo.1の「セーフィー」

小室:まずセーフィーは、7年目を迎えているベンチャー企業です。こちらでお示ししているとおり、ソニー系列のファウンダーたちが作った会社で、ソニー系列からの出資はもちろんですが、NTTグループさまや三井不動産さま、セコムさまにご出資をいただいているベンチャー企業です。

会社名もサービス名もセーフィー(Safie)と申しますが、我々セーフィーは「クラウド録画サービス」をやっている会社です。見たいところにカメラを置いていただいて、そのカメラをネットワークにつなげていただくと、カメラの映像がクラウドに上がります。そのクラウドの映像をいつでもどこでもセキュリティ高く見られますよ、というものがセーフィーのサービスになっております。

このクラウド録画サービスという業界では今、シェアNo.1を獲得している会社です。クラウドカメラはすでに日本全国で10万台も使っていただいていて、冒頭で「現場のあるお客さま」に役立つお話をできるかと申し上げましたが、実際に店舗を営んでいるお客さまに数多く使っていただいています。

具体的には飲食・小売・サービス業界などですね。あとはご登壇いただいている鹿島さまをはじめ、建築・土木・公共系などでも、我々のクラウドカメラサービスを使っていただいています。資料に書いているとおりですが、建設・不動産・製造業から小売・飲食まで、いろいろな現場で我々のクラウド録画サービスが利用されております。

建設大手の鹿島とベンチャー企業の出会い

小室:ここまでがセーフィーという会社・サービスの説明で、ここからパネルディスカッション形式で進めていきたいと思っております。ここでパネリストのご紹介をさせていただきます。真ん中にいらっしゃるのが、鹿島の國近さまです。

國近京輔氏(以下、國近):鹿島の國近と申します、今日はよろしくお願いいたします。

小室:よろしくお願いします。画面の逆側は、セーフィー社長の佐渡島でございます。

佐渡島隆平氏(以下、佐渡島):セーフィーの佐渡島です、みなさんよろしくお願いします。

小室:私はモデレーターを務めさせていただきます、セーフィーの小室と申します。今回はこの3名でお送りしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

國近:よろしくお願いします。

佐渡島:よろしくお願いします。

小室:ではさっそく入っていきましょう。まず鹿島さまと、ぽっと出のベンチャーのセーフィーが、どういうふうに出会ったかというところになります。鹿島さまは、建築・土木現場を数多く管理されておりまして、「建設現場の見える化をしたい」というニーズの中で、我々がカメラおよびクラウドサービスをご提供差し上げたというところが、鹿島さまの出会いの始まりでした。

スライドの真ん中に3枚の写真が並んでおりますが、我々のクラウドカメラサービスを鹿島さまの現場に導入いただいて、現場での不具合等をフィードバックいただいて、それをまたプロダクトにアップデートして活かしていくというところで、共に現場で使えるカメラを作り上げていきました。鹿島さまとセーフィーの出会いの結果、「Safie Go」という建設現場の見える化にぴったりのプロダクトもでき上がっています。

働き手の高齢化が進行する建設業界

小室:今回、パネルディスカッションのトークテーマを2つご用意しておりますが、さっそく1つ目になります。題して「全国各地に多数の現場を抱える建設業界の事例に学ぶ」というテーマです。

数多くの現場を抱えておりますと、現場に人を派遣しなきゃいけないという問題であったり、コロナ禍で移動が制限されている中で、どのように省人化・生産性向上に取り組んでいくのかというテーマになるかと思います。

では國近さま、「建設業界がどのような課題を抱えているのか」というあたりから、お話しいただいてもよろしいでしょうか。

國近:はい。こちらのグラフは、建設就業者数の推移を表しております。これは2016年時点なんですけれども、上の赤いグラフが建設現場で働く55歳以上の方の割合で、全産業から見ても33.9パーセントと、かなり高齢化が進んでいる状況です。

あと黒い下のラインが建設業の29歳以下の方の推移ということで、11.4パーセント。全産業が16.4(パーセント)なのでここも低いということで、高齢化が進みつつ若年層がなかなか入ってこないという問題を抱えています。

小室:なるほど。全業界の平均に比べて、建設業界は高齢化の問題がより深刻である、という理解でよろしいんですかね。

國近:そうですね。昔から我々の業界は「3K」と言われていて、いろいろな働く場がある中で、建設業という選択肢を選ばない若者が増えてきていることは、現実問題としてあるのかなと。かつ高齢化が日本の社会問題になっていますけれども、優れた技術を持つ職人さんは重用され長く働くことになるので、高齢化が進んでいるのかな、というところでございます。

小室:なるほど。

こうした建設業界で、どのような省人化・生産性向上の取り組みが行われているのかということは、みなさまの業界でも数年後に起きることになると思いますので、そういった観点で聞いていただけるとよろしいのかなと思っております。

省人化・生産性向上のための3つのテーマ

小室:まさに今、國近さまにもご説明いただきましたが、国からも同じようなメッセージは出ておりまして。例えば定量的な数字でいくと、5年後の2025年には建設業界で35万人も人手が不足するという。私はこの数値を二ュースで見てびっくりしたんです。業界自体が成り立つのか、大丈夫なのかと心配をしてしまうような。

國近:そういった意味では、高齢の方でも働けるような場を作るとか、生産性を上げる仕組みを作るとか、今回のようなICTの活用は必然的に並行してやっていかないと、やはりこの問題を越えることができないということが1つあると思います。

小室:そういった中で、鹿島さまがどのようなビジョンを掲げて、省人化・生産性向上の取り組みをされているのかというところを、ご説明いただけますでしょうか。

國近:こちらは弊社の取り組みの1つとして、2018年の11月に打ち出した「鹿島スマート生産ビジョン」のコンセプト図です。3つのコアコンセプトを定めております。建物を建てる行為では、肝心なところは人による作業が必須であり、また、管理においては三現主義が鉄則ですが、人にとって厳しい環境下での作業や繰り返し作業などはできるだけロボットに任せて、人とロボットが手を握りながら進みましょう、と。それが「作業の半分はロボット」です。

続いて、「すべてのプロセスをデジタルに」ですが、やはり今、BIM(注:Building Information Modeling。バーチャル上で建物の構築を行うことで、設計や施工の合理化を図るシステム)を中心に、現場の生産プロセスとも連携しながら建物に関わるあらゆる情報をデジタル化して統合したうえで、それをお客さまにご提供することで建物の資産価値をさらに高めていくことを弊社では取り組んでいます。

最後が「管理の半分は遠隔で」で、今回セーフィーさんのカメラを使って実現しようとしているところです。

建設業界の「三現主義」と働きやすさを両立させる

小室:ありがとうございます。では、まさに我々がお手伝いをさせていただいている「管理の半分は遠隔で」について、少し突っ込んでお話しいただいてもよろしいですか。まず、この「三現主義」というのはなんでしょうか?

國近:「現場」「現物」「現実」のことで、「現場に行かないと真のものはわからないので、ちゃんと現物を確認しましょう」という言葉になります。

「三現主義」は今後も必須ですが、人手不足の環境下でどうやってそれを守るかを考えた時に、やはり遠隔でやれるところは遠隔で進める。その中でポイントを絞って、きちっと現地に行って確認する。

現場管理を、遠隔と現地とで住み分けながら進めるという新しいやり方において、カメラやセンサーを組み合わせ、ICTをフル活用して現場を管理することが必要になってきている状況です。

小室:なるほど、ありがとうございます。

2024年度の頭までに「管理の半分は遠隔で」を目指す

佐渡島:ちなみに、鹿島さんの「管理の半分は遠隔で」というキーワードは、だいたい何年後ぐらいに管理の半分を遠隔でしようというビジョンなんでしょうか。

國近:2024年度の頭ぐらいを目指しています。今はまだ発展途上、開発途上のところもあるんですけれども、すでに現場に定着している部分もたくさんありますので。その中で、徐々に2025年になる前に実現に近づけていくというところですね。

佐渡島:なるほど。

小室:まさに、現場がこうなっているというお写真を今日、特別にお持ちいただきましたので、このあたりをぜひ。

國近:先ほどのビジョンを打ち出したことで、社内的にもそれに向けて横断的に開発をしたり、現場で適用したり。そして、それをどんどん広めようという活動が活性化してきました。やはり現場で働く、現場の事務所で働くというところを、魅力的にしていきたい、カッコよくしていきたいところがありまして(笑)。

その中で最初にやったのが、セーフィーさんのカメラをどう見せるかというところです。今画面に、マルチ画面になっている大型モニターがございますけれども、一番左側の写真ですね。

小室:これですね。

國近:これが「スマート工事事務所」の一例ですが、工事の事務所の中から、現場の様子が常にウォッチでき、さらにその手前でいろいろな打ち合わせをすることができます。

映像を見ながらの打ち合わせは従来からやっているんですけれども、映像以外様々な現場管理システムの画面が表示されるので、日常管理の内容も見ながら打ち合わせをしたりと、この取り組みの中で、新しい現場運営のスタイルが生まれてきたのかなと。

今、けっこういい感じで広がりつつありまして(笑)。これをオープンにすることによって「うちの現場も」「うちの現場も」ということで定着して、大中小ありますけれども、どこの現場に行っても、こういうかたちで現場のコミュニケーションを活性化しながら、見える化を進めています。

小室:なるほど。

遠隔管理を取り入れた工事事務所の変化

國近:これは、遠隔管理の1つとしてだいぶ定着したかなとは思っています。セーフィーさんのカメラで映しているということですね。

小室:この映像部分が我々のカメラで撮っている映像ということですよね。この映像は本社ですか?

國近:いえいえ、これは工事事務所ですね。

小室:あっ、これが工事事務所なんですね! 「工事現場」と聞くと、プレハブでパイプ椅子で、折り畳みの会議机で……というイメージをしてしまうんですけれども、今の現場はこんなふうになっているんですね。

國近:そうです。私も現場の管理をやっていましたけれども、20年前はいわゆるプレハブのハウスがあって、決められたタイルカーペットで、グレーの机があって……という世界だったのが、やはりモニターを置くと周りの環境も変わってきますよね。これを見るためにちょっと「プロジェクト感」を出したりとか(笑)。

小室:なるほど(笑)。

國近:そうするとカーペットもちょっといいカーペットに。

小室:高級感がありますものね。

國近:そうですね。無駄に時間をかけずにパッと集まって、映像を見ながらスタンディングで打ち合わせするスタイルも増えているので、工事事務所の中も本当にきれいになりました。逆にそこに投資して、所員が働きやすい環境を作る所長さんも増えていると肌で感じております。

遠隔で業務ができるようになったメリット

小室:そうなんですね。さらにご理解いただきやすいように、実は動画もお持ちいただいておりまして、これは何をされているところですか?

國近:これはスマート生産のパイロット現場の映像なんです。工事事務所からタッチパネルで現場の様子を見ているんですが、現場の管理はただ映像を見るだけではなくて、工程管理や日々の調整会議を行っています。いろいろな業者さんがいるので、現場の所員が集まって、そこの調整をこのように管理しています。

これは配置図を見ているところなんですけれども、マルチモニターにすることで、映像や配置計画、工程、今日の天気などを見ながらというかたちでやり取りができる。

小室:あぁー。

國近:本来は現地でやっていたのが、ここでもできるということになって。先ほどの「管理の半分は遠隔で」というところを、まさに実現している画かなと思います。

小室:なるほど。これはもう管理という概念を越えて、遠隔で業務をやっているという印象を受けるんですが。

國近:そうですね。「管理」と言うとなんだか一方通行のような感じがありますけど、「業務」になってくるのかなという期待感はありますよね。

小室:ありがとうございます。まさにこういったシステムを入れていただきながら、実際にこういった効果を出されているというお話が。

國近:はい。いろいろと良い面がありまして、現場の仕事というのはただ建物を作るだけではなくて、そこで働く人が安全に仕事ができて、特に工程をきちっと守ってお客さまにご提供するという義務があります。そのため、日常的な進捗管理がちゃんとスムーズに動くための資機材管理が、セットになっているんですけれども。

これは今までは人間が見て「ここがダメ」「あれがダメ」とやっていたのが、セーフィーさんではいろいろなところにカメラを設置できるので、スマホでもパソコンでもどこでも見ることができます。常に映像を見ながら「今ここはこうなっているよね」と確認できることは、明らかにメリットがあると考えております。

情報と映像の共有でコミュニケーションも円滑化

小室:鹿島さまの330の現場に、我々のクラウドカメラを1,000台近く導入いただいているということで。

國近:そうですね。おもしろいのが、当時は佐渡島さんと一緒に現場に行きながら(笑)。

佐渡島:(笑)。

國近:苦労しながら、「防水仕様にする」「もっと小型にしてくれ」とか、いろいろ話をしていたんですけれども。やはり導入した現場の所長さんや所員さんが「スマホで見られるんだよね」「これ、すごく便利です」という口コミで、けっこう広がったんですね。その中で支店や本社、我々のような管理部門の人間も、こういう良いものを水平展開しようという話になって一気に広まりまして、この数字になっているのかなと思います。

小室:なるほど、ありがとうございます。

佐渡島:僕らが鹿島さんの現場に行ってすごく印象的だなと思ったのは、みなさんがタブレットを持っていて、タブレットを操作しながら図面を見たりして、映像も同じタブレットの中で見て、それをさっきみたいに全画面で共有して作業を確認しながら、作業を進めていく。みんな、なんかカッコいいなという。僕はいろいろな建設現場に行くんですけど、鹿島さんの現場は、現場の人たちがヒーローになるというか、カッコいいなという印象を持っています。

國近:そうですね。本当に現場の所員だけではなく職長さんや職人さんまで情報も映像も共有できていることもあるので、コミュニケーションがかなり良くなってきている気もするんですよね。そうすると自ずと魅力的な現場になるというか。実際、ものを作ることはすごく楽しい行為じゃないですか。

小室:そうですね。

國近:そういったものに興味を持つ人もたぶん増えてくるんだろうなと。現場で働く女性の方も増えていますし、非常に多様性が生まれているんじゃないかなと思います。

「建設現場の声」を結集して開発したプロダクト

小室:ありがとうございます。まさに今「現場」というキーワードがございましたが、パネルディスカッションのテーマ2に移りたいと思います。現場の課題解決こそが事業促進の鍵となる。そのヒントを、國近さまにいただいたかなと思っています。

まさにDX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉がすごく流行っていますけれども、「これから目指すべきデジタル推進とは」と題して、次のセッションに移らせていただきたいと思っております。佐渡島のほうからよろしいですか。

佐渡島:そうですね、ありがとうございます。國近さんと私たちは、本当に5年来のお付き合いというか、私たちが創業して6年なので、本当に創業してすぐのタイミングで國近さんや鹿島のみなさんが「こういうカメラが欲しいんだ」と強く訴えてくださって、遠隔でLTEを使ったカメラがスタートしたんですね。

さっきも國近さんがおっしゃったんですけど、やはりそこから「小型化したい」「どこでも置きたい」というふうに、より作業に近くなっていく。管理ではなく作業に近くなっていくとなると、作業の人たちにカメラを身に着けてもらうとか、行けない場所に1回カメラを置いて見ておくといったニーズがものすごく増えてきているな、ということを我々も肌身で感じています。

まさに建設の現場のみなさんの声を結集して、この「Safie Pocket2」を開発しました。実は「1」があって、1から2に、我々も半年ぐらいで次の企画を作ったんですけれども、この「Safie Pocket2」は、もちろん「どこでも置ける」ところと、LTEを搭載しているのでSIMで置ける。さらにウェアラブルに装着してカッコよく作業ができる。それを遠隔のみなさんと一緒に話して、作業の効率を上げていくところをコンセプトに作ったプロダクトです。

若手社員でも簡単に遠隔業務を推進できる

小室:実際に映像を見てみましょうか。

佐渡島:いろいろな業界の方に見ていただきたいということで、ゼネコンさんだけではなくて、ホームビルダーにもたくさん使っていただいています。

國近:建築でもやっぱり裏手と言うか、バックヤードなどは固定カメラではなかなか映らないものが多いので、ウェアラブルと併用していかないと確認ができない部分がありますよね。

佐渡島:住宅の現場も、入ってすぐの若手の人たちが膨大なチェックをしていかないといけない。でも、ゼネコンさんの現場のように、1個の現場をすごく大きくやっているというよりは、みなさんは自分の土地に家を建てられるので、管理するための移動距離がものすごく膨大です。でも、新人教育もやっていかないといけない。

本部のベテランの人は高齢化も進んできているので、その人たちを全部移動させてしまうと、やはりコストと労力が割に合わないということで、こういった若手の方も簡単に遠隔業務を推進できることが、我々のプロダクトのポイントです。

今はやはりコロナによって、不要不急の外出や密を防ぐといった、いろいろな制約がある中で、現場の人たちがいち早くリモートワークができるようにと、ちょうど7月に発表させていただいて、今は非常に伸びているところです。

DXによって現場の「不」を解消していく

小室:今まさに見ていただいたウェアラブルカメラだけじゃなく、すべてを見える化するというのがこのキースライドだと思うんですけれども。

佐渡島:そうですね。やはり私たちは、現場の「不」を徹底的に見極めて、そこをデジタライゼーションしていくことが重要だと思っています。その中でDXは言うは易しなんですけれども、「見える」ことがDXのすべての始まりだと思っています。だから、この「見える」ことをデータにしていくことが、将来的には建機の自動運転化などの礎になると、セーフィーでは考えています。

私たちは現場のDXに対して、「Safie Entrance」で、顔認証で現場の入退管理をしていく。「Safie Pocket」では作業の管理をしていくなど、それぞれプロダクトを提供しています。

直近では「ドボレコ」と言って、建機で人が轢かれて事故になってしまわないように、カメラ+AIで安全管理を見ていくとか、クレーンにカメラを付けて作業効率を見ていくなど、さらなる現場のDXに向けたプロダクト開発を進めています。全現場をデータ化していくためには、やはり「見える」ということが大事なので、そこに注力しています。

我々はクラウドサービスなので、APIを使ってというところで、鹿島さんと新しい取り組みがスタートし始めていますので、國近さんからもご紹介いただければと思います。

國近:見える化の1つのソフトとして、こちらが弊社が共同開発した「3D K-Field®︎」というソフトの映像です。我々はBIMを扱いますので、BIMの三次元モデル上に、人や資機材に取り付けたビーコンを使って、その位置や動きの履歴を表示したり、システム画面内にカメラの映像を表示するなど、遠隔からの現場管理の取り組みを行っております。

これは実際の工事の現場の中で、資機材がどこにあるのか、人がどこにいるのかということをすぐに探せるソフトになっています。視覚的にも立体なので非常にわかりやすく、右側の映像がセーフィーさんのカメラともリンクしていまして、セーフィーさんのカメラがここに付いている、それが映像のここ、ということも紐づいてわかるようになっています。

だから、立体的な3階の映像を見たい時にセーフィーさんのカメラをポチッと押すと、この画像が開くところまで来ているということですね。

小室:まさにデジタルとリアルが融合していくような。

現場の見える化の行きつく先は「探さない」

國近:そうですね。これが5年前だと、やっぱり人がどこにいるのか、ものがどこにあるのか、まず探す時間がかかることと、現地まで移動する時間を足していくと2~3割、1日中そういう時間に捕らわれている可能性がありました。

ですので、見える化の最終盤は「探さない」に来るのかなと思っています。いつでもどこに誰がいるのかがわかる世界があった上で、きちっと現場を管理する。まずは基盤ができたので、これからまさにそれを活用するフェーズに行くのかなと思っています。

小室:ただの見える化の先の、見えているものをデータ化していくことで、その映像をさらに活用していくという。

國近:そうですね。これはいろいろな組み合わせがあると思うんですね。センサー系やカメラ系、外だとGPSなどもあると思うんですけれども。やっぱりカメラ系はかなりたくさんの数を付けなくちゃいけなかったり、そこを補完するのがウェアラブルかなと思っています。

佐渡島社長がおっしゃったように、ウェアラブルカメラをそれぞれが着けて歩けば、自動的にそのエリアの映像ができて、「撮影する」ではなくて、自動的にそれが貯まっていく。

小室:Google ストリートビューみたいな世界ですね。

國近:そういうものがそろそろできるんじゃないかな、と思っているので(笑)。そういう基盤をセーフィーさんで整えたというところはあるのかなと。

あらゆる現場の「見える化」がソリューションにつながる

小室:ありがとうございます。ではそろそろまとめに入りたいと思いますが、よろしいですか。

佐渡島:ただのカメラのように見えますけれども、あらゆる産業のあらゆる現場をデジタルトランスフォーメーションしていくためには、やはり見える化が非常に大事になっています。

このコロナの現場で今、建設だけではなくインフラを持っていらっしゃる方々。大手の方々も、人が全部やっていたインフラの点検を、より遠隔で行ったり。警備も、現金輸送は今まで必ず2人で行かないといけないという警備形態だったんですが、2人で行くことがそもそも密だし、不要不急の外出を控える中で、現金は輸送しないといけない、警備はきっちりしないといけない。

そういった時にカメラが1人で、遠隔で(人が)1人ということで、この「2人」というところを実現しながらも、しっかり安全な業務を進めていく。今までの映像活用は、チェーン店のオペレーション改善のようなところから、自動車産業であれば、今まで外装は遠隔でチェックできたんだけれども、やはり車が高度化しているので、内装チェックにこうしたカメラを活用したりですね。

ゼネコンさんの遠隔臨場(注:建設現場の監督・確認作業効率を改善するために、ウェアラブルカメラを取り入れた働き方改革)だけでなく、全業態に今、我々の映像サービス・ソリューションが本当に広がってきていることが、ポイントになっていると思います。

小室:ありがとうございます。30分間お付き合いいただきましたが、今回はクラウドサービスを使って遠隔業務を変えていくうえで、まさに今回のテーマである「現場の働き方」にイノベーションを起こすツールとして、ぜひ鹿島さまの事例も参考にしていただきながら、Safieをご検討いただけますと幸いです。

以上でセッション終了となります、どうもありがとうございました。

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