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ブロックチェーンへの課題感と ID・権利・取引を管理する分散合意プラットフォームでの挑戦(全1記事)

2020.10.30

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あらゆるモノが安全につながれば世界は変わる ビットキーの認証認可プラットフォームが目指すシームレスにつながる社会

提供:株式会社ビットキー

ビジネスブロックチェーンExpoは、ブロックチェーン技術を活用した産業課題解決・支援やビジネス創出を目指す国内外の企業を紹介するイベントです。その中で、スマートロックで有名なビットキーのVPoEである山本寛司氏が、ビットキーが目指すミッションについて紹介しました。

テクノロジーの力であらゆるものを安全で便利に気持ちよくつなぐ

山本寛司氏:ビットキーの山本と申します。本日はブロックチェーンの課題感とID権利、取引を管理する分散合意プラットフォームでの挑戦について、みなさまと共有できればと思っています。よろしくお願いいたします。

私はビットキーでVP of Engineering、いわゆるVPoEをやっています。CTOのようなイメージをもってもらえればいいかなと思います。

簡単にですが、私の経歴を紹介させてください。もともとエンジニアの道は歩いておらず、ロースクールを卒業して、縁があって前職はERPのパッケージベンダーに入りました。

ここでソフトウェアと初めて出会って、2018年に創業メンバーとしてビットキーに参画しました。

その後、これから紹介するような鍵のビットキー認証認可プラットフォームや、スマートロックのデバイス、またエンジニアリングの組織や文化、知財などなど、あらゆるものと戦ってきました。現在はVPoEの肩書きで活動しています。

簡単に弊社の紹介もさせてください。(ビットキーは)創業から25ヶ月経ちました。その間、50億円を超える資金調達をしました。その原資をもとに、従業員が現在170人を超える規模感となっています。

弊社のミッションを説明します。弊社は、検索するとすぐに出てくるのはスマートロックなのですが、別にスマートロック屋になりたいわけではなく、「テクノロジーの力であらゆるものを安全で便利で気持ちよくつなげる」ということをミッションとしています。

図に書いてあるとおり、例えば人と人、サービスとサービス、人とモノ、サービスとモノの中で、今まで技術の力が適切に投下されなかったことによって隔たりがあったものを、少しでも安全性を保ったままつなげることによって、新しい価値を提供しようということにチャレンジしています。スマートロックは、扉という今まで壁になっていたものを少しでも安全で便利に利用しましょうというコンセプトになります。

このようなミッションのもと、弊社ではミッションそのものを体現するコアテクノロジーとして、ビットキーのプラットフォームを作っています。こちらが今日の話題の中心になります。

ビットキーのプラットフォームとは何か

ビットキーのプラットフォームとは何かについて簡単に言いますと、認証認可、ID連携、分散システム、暗号化技術などを研究し、それを独自に組み合わせて応用開発したものとなります。世界中のあらゆるもの……あらゆるものはちょっと言い過ぎかもしれませんが、IDと権利のやりとりで取り扱えるものであれば、なんでもつないでいこうというのがコンセプトとなっている、分散合意型のデジタルキープラットフォームです。

実際にビットキーのプラットフォームが取り扱うものは、非常に抽象的なレイヤーで表現しますと、IDとそのIDがもっている権利とほかのIDとの権利のやりとり、これを取引と呼んでいますが、IDと権利と取引、この3つのものを抽象的に取り扱っています。これによって、さまざまな人と人の営みを権利と取引というかたちで表現していこうとしています。

ビットキープラットフォームの全体像について、簡単に紹介します。大きく3つのレイヤーに分かれています。一番上がデータレイヤーですね。データ永続化層です。私どもは専らブロックチェーンが活躍する領域はこのデータレイヤーなのかなと思ってはいますが、弊社としてはセキュアデータストレージとオープンヒストリーデータという概念に分けて整理しています。

真ん中の部分のトランザクションレイヤーと呼んでいる部分が、今ビットキーのプラットフォームの中心機能を提供している部分となっています。ID、権利、取引とその取引をもとにして実行鍵(デジタルキー)を生成します。これがビットキー、まさに社名にもなっていますが、実行鍵を生成するということですね。

一番下のレイヤーがサービスレイヤーとなっています。のちに紹介しますが、このサービスレイヤーにおいて、多くの既存のシステムやサービスを適切に安全、安心、便利につなぐことが弊社の価値創造の源泉となっています。

ブロックチェーンの課題

このビットキーのプラットフォームなのですが、当初IDと権利をやりとりできるということで、ブロックチェーンから着想を得て、創業前からブロックチェーンについて研究していたんですが、少し課題があるなと思って、現状では採用に至っていません。

これはもうみなさまご存知の、いわゆるブロックチェーンのモデル図です。やはりブロックチェーンが強いと考えられているところは、一番上のブロックがチェーンしていくことによって高い改竄耐性を示せること。

あとはこの背景にある、例えばプルーフ・オブ・ワークのようなコンセンサスによって形成される、非中央集権性。この2つが非常に堅牢で高いデジタルトラスト、これまで国家が裏打ちしていたようなトラストをこの2つが作ることによって、仮想通貨を生み出したのかなと思っています。

かたや一方、下の部分。実際にブロックチェーンに刻まれるべきトランザクションの正当性や正しさに関しては、課題感があるのではないかなというのが我々の理解です。実際刻むための取引のデータの真正性をどのように担保するのか、言い換えれば社会的な営みとどれだけ正しさを合わせていくのかが、大きな課題と感じています。

実際に起こった過去の例として、取引所から仮想通貨の不正な流出。ブロックチェーンや仮想通貨自体になにか欠陥があったわけではないですが、取引所という外側の世界で発生したできごとによって、不正な流出が巻き起こってしまった実例があります。

またこれはあまり大きく取り上げられていませんが、ブロックチェーンに不適切な画像や情報が刻み込まれてしまうことによって削除不可能な状態で未来永劫、というとちょっと言い過ぎかもしれませんが、ブロックチェーンが存続し続ける限り残ってしまうという、本当にデジタルタトゥーのような状態が起こり得ると認識しています。

例えばイーサリアム(Ethereum)ですとチューリング完全、計算機で表現できるものはなんでも表現できるという特性がありますので、こういった事態は容易に起こり得るかなと思っています。ですので、我々の学びとしては、トランザクションが社会的な正当性、みなさんの社会的な営みと一体化した正しさを保てることが重要じゃないかと判断しています。

どうすればトランザクションが社会的な正当性を得られるのか

ここからは我々の挑戦の部分ですので、これが必ずしも答えかどうかわかりません。弊社としては、IDの確かさと権利のやりとり、取引と呼んでいますが、取引の確かさこそがこのトランザクションの正当性につながっていくのではないかと考えました。

そこで弊社のビットキー・プラットフォームにおいては、まずは「IDの確かさ」。eKYCを使った本人性の確認。あとはIDをペルソナと呼んでおり、社会的側面に合わせた各IDに対する認証のプロセス。

あとはトランザクションの内容に応じた認証の強度の変更ですね。これは例えば、会社のとある会議室に入るような行為であれば4桁のパスワードで、一方お金を大きく動かすような行為においては2要素認証が必要というように、トランザクションの内容に合わせて変更するということ。

次いで、そのIDを前提にした取引、権利の移転において、双方の合意を形成する。本人性、もしくはIDの確かさが保たれた状態で双方の合意を確かなものとして残していくことによって、トランザクションの正当性が高まるのではないかと考えています。

また、このトランザクションレイヤー自体がそもそも一定程度以上に信頼される機構となるために、このレイヤーに対して非中央集権性や高い改竄耐性を求めました。最終的にブロックチェーンではないのですが、Rippleさんに採用されているようなリップル式と呼ばれる分散合意方式を模して作られています。

全体としては、先ほどお見せした全体像においては、この部分ですね。ちょっとそれっぽい図になっているんですが、P2Pっぽいこのレイヤーのまとまりの中で分散合意を行うことで、非中央集権性や高い改竄耐性を意図しています。すでに稼働して1年以上経っていますが、弊社においても不整合なデータが発生したときに、それを整える行為は容易ではない作りにはなっています。

「暮らす」と「働く」をアップデートする

このようなものを形成して我々は何をやっていきたいかについて、ここから簡単に説明します。意外に思われるかもしれませんが、テックジャイアントのように、IDを肥大化させていくことで自分たちのサービスに囲い込むようなことがやりたいわけではありません。

IDやその権利が安心、安全、便利につながることによって、さまざまな事業者やサービス提供者が、それぞれのマーケットにおいて洗練させている自身のサービスやビジネスの在り方、これをそのまま普通の人の普通の暮らしの中に、適切にかつ今までよりも便利なかたちでつないでいくことで、新しい価値創造をしていきたいと我々は考えています。

これを今、弊社では3つの領域においてコンセプトを打ち出し、進めています。直近で注力しているのは「暮らす」「働く」で、もう一つが「非日常体験」です。まず「暮らす」というテーマにおいては、例えば自分が海外旅行に行っている間にペットシッターが自分の家に入って自分のペットの世話をしてくれるといったことが、弊社のスマートロックを介することによって実現するわけです。

背景にあるのは、ペットシッターのサービスID、我々のスマートロックを操作するためのID、この2つのIDを適切にコネクトすることによって、ペットシッターのほうで合意された内容をビットキーの鍵の開け閉めという所作につなぎます。

これによって、今のペットシッターのお話は一例ですが、クリーニング、宅配、あるいは花屋、掃除の事業者、靴磨き屋といったあらゆる事業を、適切にインテグレートしていくことで、今までの普通の人の暮らしをアップデートすることを進めています。

対して、「働く」ということをテーマにしたつながりも進めています。こちらは、先ほどのサービスというよりは、もちろんサービスもあるのですが、モノとつながることを比較的強く打ち出すことによって、新しい価値を出そうとしています。

例えば各種センサーとつながることによって、今この空間に何人いるのかといったことや、最近だと入退館の際に体表面温度を測るなど、コロナ禍によって生まれた新たな対応もありますよね。そういった対応も行った上で、来訪された方が顔認証によって誰か特定されて、その方が行くべき会議室もわかって、その会議室の鍵が開いて案内が出るといった、今までだとつながりにくかったものを気持ちよくシームレスに一つひとつつないでいくことで、今までの「暮らす」や「働く」といった価値の体験を、より新しいものにアップデートしていこうとするというのが我々の営みです。

そしてこの背景にあるのが、先ほどからお話ししている、IDと権利を安心、安全、便利につなぐために、ID、権利、取引というこの3つの軸でトランザクションの正しさを保とうという営みが背景にあって、こういった事業を進めています。

私からは以上です。本日はご清聴ありがとうございました。

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