2024.10.10
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デンソーが描く未来の快適車内空間 社員講演①(全1記事)
提供:株式会社デンソー
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八木大地氏:あらためまして、東京支社商品企画オフィスの八木と申します。よろしくお願いいたします。
まず商品企画オフィスというチームがどのような組織か紹介させてください。
昨今、サプライヤーであるデンソーにおいても、エンドユーザーのニーズをしっかり捉えて、それに合わせた商品提案をすることが、非常に求められています。
このような背景から、調査部隊やマーケティング、商品企画といった社外からの経験者を集めて、2018年にプロ集団として立ち上げたチームが商品企画オフィスです。
本日はこのチームの考えている将来のコックピットキャビン像をみなさんにご紹介したいと思います。
最初に、私たちが考えている今後の車内空間について、クルマならではの第4の空間を創造することを考えています。
スターバックスCEOのハワード・シュルツ氏が提唱している「家でもオフィスでもなく、居心地のよい第3の空間を提供します」という話は有名ですが、クルマはまた違った第4の空間になるのではないかと思っています。
特徴としては、やはりクルマなので移動できる点、そして閉じた空間でプライベートな空間のため、プライバシーや機密を守れる点などがあります。、特に今のコロナ禍においては、安全な空間とも言えると思います。また、人が定位置に座っているというところもポイントで、実際に人の認知や判断に合わせて、非常に対応しやすい空間と言えます。
では、この第4の空間でどのように人々が過ごしていくか。コンセプトムービーを通じてご紹介します。
これからムービーを流しますが、1つだけ宣伝させてください。この「inJOY」というサイトに私たちが作ったムービーや車内の快適関連の記事を載せていますので、ぜひご覧いただければと思います。
ムービーにはYouTubeのリンクがそれぞれあり、QRコードからもアクセス可能です。バージョン1とバージョン2があるのですが、今回は時間の都合上、バージョン2をご覧いただきます。
みなさん、いかがでしたか。将来のクルマでの過ごし方が少しイメージできたでしょうか。ちょっとワクワクしませんか。バージョン1もあるのですが、こちらのムービーとともにこのあとのスライドで少し解説したいと思います。
解説をする上で、100年に一度の自動車業界大変革を推し進めるキーワードであるこの「CASE(Connected, Autonomous, Sharing, EV)」に沿ってご紹介します。
「CASE」は自動車業界においてよく使われる言葉ですが、意外に今コネクティッドのクルマがどれぐらい販売されているか、EVがどのくらい市場に出回っているかなどはあまり知られていないと思うので、少し触れたいと思います。
コネクティッドについて、実は2019年度の新車販売台数の30パーセントはもうコネクティッドカーとなっており、10年、15年後先には、ほとんどがコネクティッドカーになっていきます。
自動運転については導入される時期や実現性についていろいろなところで議論されていますが、1・2・3・4・5と5段階あるうちのレベル4の車両については2020年代中盤ごろには出始めると言われています。レベル5になると、2030年かもう少し先なのではないかと想定している調査会社が多いです。
シェアリングについて、ここは販売台数ではなくライドシェアなどのサービスの市場規模を表していますが、2018年にはもう613億ドルの規模になっています。今後は2025年で23兆円規模。ただ、これは当然みなさんも想像しやすいと思いますが、新型コロナウイルスの影響で、今後変わっていく可能性が高いと考えています。
電動化では、約15パーセントの約1,500万台の出荷についてはもうEV。今後もどんどん増えていきます。
コネクティッドの要素が増えていくと、運転支援を行う上でも車外のさまざまな情報についてより詳細なものが簡単に得られるので、例えばV2X(Vehicle to X)の通信でクルマ同士の通信などを、うまく運転シーンに使っていくことも可能になります。あとは、クルマのエージェントが自動運転の状態を管理している間は、ドライバーもハワイの風景を投影してリラックスできるなど、そのようなユースケースがよりリアルに実現できるようになります。
さらにコネクトされることのひとつとして、人の状態を把握するという要素もあります。クルマでは、生体情報をセンシングすることで、脈拍やその人の疲労度合いなどをを検知し、車内外の行動すべてを合わせてエージェントがリコメンドすることが、ユースケースとして出てくると想定しています。
自動運転になると「どのような過ごし方になるか?」という議論が必ずされると思います。私たちも、いろいろと仮説を立てながら調査していますが、車内でリラックスすることが、非常にニーズが高まっていくという調査結果が出ています。ユースケースによっては、短時間に仮眠をとったり、逆に集中して仕事をしたり、これがしかも同時に起こったりすることもあり得ます。運転手は仕事をして、助手席の方は寝るなど、それぞれの乗員ごとに個別に最適化されていくことを想定しています。
これは、電動化のユースケースというよりは、それを支える基盤のような事例になりますが、この図の上のケースだと、急速充電と非接触充電が、自動運転と組み合わせると価値がより高まってきます。例えば、お掃除ロボットのようにヒトやモノを運んだ後で、充電するために自動運転して戻ってくるような例です。
乗員のための考え方としては、乗るちょっと前に空調を整えたり、アレルギー物質やウイルスの除去をするなど、事前に車内の空気を清浄することで安全な空間をつくることも電動化の流れとしてあると考えています。
シェアリングについては、この「MaaS(Mobility as a Service)」というキーワードを含めてお話したかったので、飛ばして説明しました。ここからは、このMaaSの文脈をふまえてシェアリングについてのユースケースをお話しします。
私たちが想定しているMaaSのユースケースは大きく3つです。「ヒトを運ぶ」。そして「モノを運ぶ」、物流などです。あとは「コトを運ぶ」、これはいろいろなサービスと連動することによって体験が膨らんでいくことを示しています。
「ヒトを運ぶ」のユースケースは、市場においてもすでにスタートしていると思います。ライドシェア、例えばUberなどさまざまなサービスがスタートしていますが、今後はコロナの環境も影響して、個々人の空間をいかに担保するか。例えば乗合いでも静かなで最適な温度の空間や空気の安全などが非常に大事なニーズになります。
また、「Whim」などのMaaSのサービスなどでは車両を乗り換えることも想定されます。
この場合のクルマへの乗り換えは、バス停など固定の場所でバスを待つのではなく、自分で予約した乗り換えするクルマを見つけなくてはいけません。まず、迷わないことが大切です。
乗り換えのクルマに対して迷わずたどり着け、乗り込む際には認証した上で、自分自身がアレルギーである物質の除去や空気清浄をしっかり行えているか可視化することによって、安心して乗り込むことができます。
先ほどのムービーでも出てきましたが、オンラインでデリバリーしたものを乗り換えのときに受け取って、その後移動しながら楽しむというケースも出てくると思います。
また「ヒトを運ぶ」においては、先読みをするエージェントの考え方が非常に大事になってきます。
ユースケースにおいては、離れたクルマをまるで同じ空間のようにつないで会話を調停してくれたり、何か突発的な理由で目的地を変えなければいけないときも、「いつまでに・どこに行けば・何が体験できるか」を周辺情報からおすすめし、さらに選択すると予約も同時にすることで、自然とそのレジャーやレストランなどのサービスに簡単に移動して楽しめるというユースケースもあると思います。
「モノを運ぶ」ユースケースについては、ムービーでも同じように描写がありましたが、アイスやフルーツなどをオンデマンドでデリバリーすることです。これも新型コロナの影響でみなさんも依頼することが増えてきていると想像しています。
今後は個別の温度管理ができるボックスで配送することも可能になります。よって、より生鮮食品やアイスなど温度管理が必要なフードや食材などが、いろいろなものがいろいろなところに配送できるようになるので、乗り換え後の移動中にオーダーしたものを楽しむこともできるようになってきます。
最後の「コトを運ぶ」については複数の例をご紹介します。
いろいろなサービスとクルマがつながることによってさまざまな可能性が出てくると思います。フードデリバリー以外にも、例えばエアークローゼットのようなファッションのサブスクリプションサービスがありますが、こういったファッションレンタルによって体験が変わります。
例えば急な目的地変更や行き先変更でTPOに合わせる服が合わないこともありますよね。このようなケースでも、先ほどのサービスと連動できれば、車両に服を届けて着替えることで、変更した行き先にフィットするといったケースも出てくると思います。
これは想像しやすいですよね。ホテルのように過ごせる空間です。食事をしたり、睡眠を取ったり、リラックスして、風景も自分の好きな映像を投影したり、このような空間の提案ができます。
こちらの例では、クルマとサービスのつながりのなかで、例えば広告を出して、それに対して予約をし、そのサービスに向けてクルマに乗り換えていくと、そのサービスの世界感にどっぷり浸かりたいというようなニーズがあるのではないかと考え提案しています。
つまり、高速道路で移動している空間ではなくて、先ほどのムービーで言うと「ホエールウォッチング」に向かって映像を見ながらワクワクドキドキしながら移動していき、気分を高めて到着した上で現実にする体験とつながり、移動体験と実際の体験がトータルで提案できます。
サービス提供側はクルマとつながることで人を呼び込め、モビリティは体験価値を上げられる、このようなサービスとクルマのつながりが非常にニーズとして高まってくるのではないかと考えています。
私からは以上になります。
株式会社デンソー
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