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シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社インタビュー(全2記事)

2020.04.22

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テレワーク対応もクラウドVDIならスムーズ 伊藤忠テクノソリューションズが採った、予測不能な時代の「最善の選択」

提供:シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社

働き方の変化や新型コロナウイルスによるさまざまな影響により、多くの企業がテレワークへの対応に追われる中で、いち早くクラウドVDI(クラウド型仮想デスクトップ)導入に取り組んでいた伊藤忠テクノソリューションズ株式会社。柔軟性と機能性を兼ね備えた「Citrix Cloud for Windows Virtual Desktop」への大規模リプレイスの舞台裏について語りました。(本記事の取材は「Microsoft Teams」を使ったオンラインインタビューにて行われました)。

大手IT企業で培った、セキュリティやマーケティング領域の知見

藤井創氏(以下、藤井):まずはシトリックスの広瀬さんから自己紹介をお願いします。

広瀬努氏(以下、広瀬):シトリックスのマーケティング部本部の広瀬です。ディレクターとして、マーケティング本部を率いさせていただいています。基本的にはGo-To-Market(GTM)プランを作ったり、広報宣伝のアクティビティを計画したり実施することが、我々の部のミッションになっています。

また、GTMやエバンジェリスト、あるいはスポークスパーソンとして、こうしてお話しする役割も担っています。私自身はもともとセキュリティの畑がけっこう長くて、パロアルトネットワークスやシマンテックなどに長くいました。バックグラウンドとしては、そうしたところの製品知識、あるいは業界知識はとても長いです。

私は島根県の松江市出身で、城下町ということもあり、和が好きで、無理してこの和室を作りました(笑)。

(一同笑)

今日はよろしくお願いします。

藤井:ありがとうございます。今度は日本マイクロソフトの橋本さん、お願いできますか?

橋本奈美氏(以下、橋本):マイクロソフトのパートナー事業本部でパートナーマーケティングをしております。マイクロソフトの製品の中でもAzureの分野を担当しておりまして、Azureのパートナー様と一緒にGo-To-Marketをするというミッションを持っております。今日ご参加のCTC様やシトリックス様と、いろいろなマーケティング活動に取り組ませていただいております。

バックグラウンドとしては、ずっと外資系ですね。ソフトウェアの営業経験が長いので、その経験を活かして3年前にマイクロソフトに入社して、新たにマーケティングに取り組んでいます。東京出身なので、広瀬さんみたいな地元がある方がうらやましいですね(笑)。

(一同笑)

よろしくお願いします。

技術推進からマーケティングまで一手に担うエキスパート

藤井:ありがとうございます。最後に伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)の田内さん、お願いします。

田内康晴氏(以下、田内):はい、よろしくお願いします。私はエンタープライズ事業部に所属していますが、実際は全社の製品主管組織に所属しています。今日も来ていただいているマイクロソフトさんとシトリックスさん、それ以外で言うと、主にヴイエムウェアさんの製品などを取り扱う部隊のマネージャーをやっています。

最近はシトリックスさん・マイクロソフトさんと、Azure上の仮想デスクトップの技術推進もやらせていただいています。技術推進の組織なんですが、マーケティングのチームはほとんどいないものですから、技術側でマーケティングもやりますし、全社の販売計画も我々が検討します。人材育成や技術推進、メーカーさんとのベンダーリレーションも含めて、一手にやるチームで仕事をしています。

私はCTCに転職してきてから約14年ぐらい経つんですけれども、実は当初はマイクロソフトの主管部に採用されていました。キャリアの半分ぐらいが、マイクロソフトの主管部での経験になります。

ここ5年ぐらいはフロントのチームのほうにもいまして。昨年度から、もう一度製品主管組織に戻ってきて、マネージャーをやっています。

私が以前いた部隊は製造業を中心にした部隊でしたので、製造業のお客様はもちろん、仮想デスクトップのソリューションの主管自体も、この10年ぐらいずっと関わっています。

シトリックスさんとのお付き合いも10年ぐらいになりますから、製品だけを知っているメンバーではなくて、コンサルテーションも含めてやらせていただいている立場です。

今日は子ども部屋から参加させていただいています(笑)。

(一同笑)

突然のテレワークへの各社の対応

藤井:今、お子さんの話もありましたが、コロナウイルスといい、それこそ緊急事態宣言が出て、みなさんの環境は変わりましたか? まずシトリックスの広瀬さんから、どうですか。

広瀬:外資系企業はオフィスで働くことが基本ではなく、ながらく外部で仕事をすることが多かったので。私自身はあまり、ふだんと違う感じはないです。どちらかというと、自宅で静かにやるのがいいですね。

とくに外部向けのセミナー資料や販促資料を作ったりするには自宅が一番集中できるので、今回はむしろ助かっている感じがします。私は今回のコロナウイルスがあっても、やりづらいとかストレスが溜まることはまったくなかったです。

橋本:マイクロソフトもテレワークをすごく推進している企業なので、もともと在宅勤務が100パーセントできる環境は与えられていて、仕事は支障なく進められているのかなと思います。

ただ、会社に行けば同僚がいて、「元気?」ってちょっと話したりしていたのが、わざわざ作らないと機会がなくてですね。朝から夕方まで一日ずっとオンラインミーティングをしていたような日もあったり。

最近は、時間が空いていそうな友達に「元気にしてる?」とか話しかけたり。そんな他愛もない会話をチャットでしたり、Teamsの電話機能を使って電話したりしています。

田内:うちは4月3日から、突然「原則、在宅での勤務に切り替え」という通達が出て(笑)。実はその2ヶ月ぐらい前から「在宅の可能性があるから準備しろ」と出ていました。

また、昨年の夏のテレワークデイのタイミングで、オリンピックの対応に備えて、1ヶ月ぐらいの期間を設けて、週2回ぐらい「各自テレワークしなさい」という通達が出てですね。その際の各メンバーのフィードバックをもとに、1月以降からは、テレワークの推進を行うためにトライアルのかたちでやっていました。

ただ会社全体では、先週の金曜日の段階で、7~8割ぐらいは出社していたんじゃないかなと思います。日本企業は管理業務が非常に多いものですから、管理職ほど会社に来てしまっている。本来は、率先してテレワークをしなければいけないんですけど、率先してやらない人たちがけっこう多くて。

それが今回の件でもうほぼ駆逐というか(笑)。出社するほうが申請が必要になったりしていますから、たぶん非常に困ってる人がたくさんいるんじゃないかなと思っています。

一部のメンバーを除く、私個人とチームは期初にテレワークに変わっています。不要不急な会議や会議体の調整の仕方も含めて、いろいろなルールを決めて準備してきましたから、私自身はぜんぜん問題はないですし、周りのみなさんも「やってみればできるじゃん」と感じていらっしゃると思っています。

仮想デスクトップを取り入れるメリット

藤井:なるほど。日本は今までテレワークをやったことがない企業も多いと思うんですが、今回をきっかけにみなさん「やらなきゃな」と思い始めたところだと思います。導入のときに、VDI(仮想デスクトップ)を取り入れるメリットがあれば教えてください。

広瀬:今回は予期せぬ緊急事態が発生したので、突然大量の人がテレワークや在宅勤務になってしまったと思うんです。大半の企業は、結局VPNによるリモートワーク施設とWeb会議などで、とりあえずリモートアクセスの環境をつくって、在宅勤務を実現されていると思うんですけれども。

ただ、「在宅勤務やるぞ!」と言ったはいいけど、VPNのアクセスができないとか、すごく遅いとか。企業でふだん使っているインターネット回線に、大量の社員がVPNでリモートアクセスすると社内のファイルをダウンロードしてくるだけでもものすごく帯域を消費してしまうんですね。自宅でも家族全員が一斉にそれぞれ動画を見始めたら、家庭の一つのインターネット回線にアクセスが集中して遅くなるのと同じことです。

さらに、VPNではアクセスの経路が、社内のネットワークに入ってから、会社のインターネット回線経由で外部にアクセスするように経路が変更されてしまうから、Web会議のような重たいトラフィックまで一斉に会社のネットワークに集中します。

そうなると「アクセスできない!」って大変なことになってしまって。「在宅勤務やるぞ」と言った翌日には、「VPNだと仕事にならない!」って、また会社に来ちゃうようなことがあるみたいです。

藤井:みんながVPNにつなぐようになって、ネットワークがかなり圧迫されているという話はよく聞きますね。今はZoomなどいろんなものを組み合わせたりもしていますけど、そこもセキュリティの問題が出てきていたり。

広瀬:田内さんのように、テレワークの実証実験をやられていれば「こういう問題が起こり得るんだろうな」と想定ができると思うんですけど。突発的にやると、どうしてもシステム的にうまくいかないケースが多くある気がします。

橋本:VDI自体は以前からあるソリューションなんですけれども、さらにクラウドで提供できるようになっているところがメリットです。

我々はAzureというクラウドサービスで、ネットワークやサーバやストレージの部分を提供させていただいているので、お客様が使う分だけ費用が発生するような従量課金で運用できます。

それとWVD(Windows Virtual Desktop)のメリットとして、お客様に一番好評なのはWindows 10のマルチセッションです。1台の仮想マシンに複数ユーザーを収容することでリソースの無駄をなくして、結果的にコストを抑えられるので、この機能を使いたいというお客様の声が一番多いですね。

あとは、Office 365の最適化。WVDはクライアントのOSだけでなく、サーバOSにも対応しているので、そういった部分でもメリットを享受できるところがWVDのベネフィットになっています。

大規模リプレイスにおける2つの選択肢

藤井:Windowsを使っている会社も多いと思うんですけど、どうしても家と会社の環境はぜんぜん違うので大変だという話をよく聞きます。その辺りがどうだったのかと、そもそもCTCさんでWVDを取り入れた理由を聞かせてもらえますか?

田内:弊社は約10年ほど、マイクロソフトさんのリモートデスクトップサービスを利用していました。オンプレミスの環境でサーバOSに接続するような環境です。一昔前で言うとシンクライアントの環境を導入して利用していたユーザーです。

昨年の頭に、2020年1月にWindows Server 2008 R2のサポート切れがあることを認識していました。うちの会社のシステムも2008の環境でしたから、リプレイスが必要だったわけですよね。

リプレイス先を検討するうえで、大きく2つの選択肢があります。サーバベースの環境を、オンプレミスでリプレイスするという話。あと、実はもともとPCにリプレイスするという話があったんですね。

RDS(リモートデスクトップサービス)へのリプレイスは、例えば運用の手間ですとか、オンプレミスを導入するとリソース面の課題もあったので。ほとんどの情シスのメンバーの意見では、「もう1回PCに戻そうか」という流れがかなり強かったんですね。

情シスから「PCの推進を進めるんだけど、セキュリティ関連のプロダクトの選定をどうしたらいい?」というご相談も、私たちのチームにいただいていました。

ただ、PCの環境に持ってくることになると、やっぱりセキュリティの対策や、改めて端末の提供を全部やる必要がある。そうすると、「コスト面とスケジュールがかなり厳しい」と情シスが気づいて、じゃあどうしようかと(笑)。それが6月か7月くらいでした。

前年度に、Citrix Cloudの動作検証ですとか、当時はまだWVDはなかったんですけれども、Azure上でのデスクトップ展開の動作検証を情シスがやっていたものですから。

システムの柔軟性と機能性を重視した、最善の選択

田内:ちょうどそのころ、「マイクロソフトさんが、もうちょっとでWindows Virtual Desktopを日本でリリースするかもよ」という情報が流れていました。情シスとしては、システムの弾力性を求めていたので、Windows Virtual Desktopの採用を検討し始めたという背景がありました。

そのあとは動作検証を行なって、「リソースが簡単に拡張できないね」といった旧システムでの課題がいろいろあったんですけれども、年1回の予算で1年後の状況を予測してリソースを買うようなことは、ちょっと難しくなってきていました。

やっぱり、ユーザビリティの面から柔軟性と機能性はけっこう求められていたんです。実は前のシステムはリソースはふんだんにあったんですけれども、従業員の増加や、コンテンツ自体が徐々に重くなっていたという問題もありまして。

そういったところから、うちの会社はリソースの予測がつかない状況まできていたんですね。会社の買収や統合もしていましたし。

「一番柔軟性があって、エクスペリエンスがある仕組みは何だろう」と考えた結果、シトリックスさんとマイクロソフトさんの仕組みを両方使ってやっていく話になり、最終的に12月に決定して導入しました。

広瀬:今回、コロナウイルス対策として急に在宅勤務をやらなきゃいけないというのも、わりとスムーズに対応できたんですか?

田内:そうです。システムとしてはなんの影響もないですし、昨年の夏に全従業員でテレワークのテストをやっていますので、どのくらいネットワークが必要なのかも、ある程度計算ができているんですよね。

さらにWVDがリリースしてからも、12月度に300ユーザーくらいでテストをしています。そのときも外からの接続も含めてテストして、どのくらい負荷がかかるかとか。今思えばですけれども、この状況にうまく対応できていたなと(笑)。

橋本:本当ですねぇ。

東日本大震災での経験と経営層の意思決定

田内:でも、BCP(事業継続計画)の対応の予見はしていたんですよね。東日本大震災でいろいろな影響を受けたときに、シンクラ環境の段階で在宅勤務ができたところもあって。実は全従業員が地方に散ってしまったこともあったんです。例えば、災害支援などで実家に帰ってしまっているんだけど一部業務はできるからどうしようか、とか。

当時はまだルールがあまり明確ではなかったんですが、そこから徐々に揃えて、システムに接続するツール類もある程度の整備が終わって、情シスとしてはようやく完成形になりつつあるのかなと。5年くらい前に考えていたものがようやく実現できつつあるという意味では、非常にうまく対応できたんじゃないかなと思いますね。

広瀬:御社もこれまでにいろんな紆余曲折や課題があったと思うんですけれども。一方で、うまく接続できないケースとして、そもそもリモートワークを進めようとしても、「これが今回うまくいかなかったから、もうリモートワークがダメなんだ」というような会社さんもいる気もするんです。

一方で、「今回はこれを1つのテストケースとして実験できたんだから、もっと推進していこうよ」という、経営者や上のリーダーの方の支援は重要かなと思うんですけど、それはどうだったんでしょう?

田内:うちはちょうどCIO(Chief Information officer)が変わったタイミングで、そのCIOの方も、お客様を担当していたフロント部門から異動してきたものですから、BCPをかなり強く意識されていたんじゃないかなと。もともとPCでという話もありましたが、コストと利便性の点で、PC導入にも課題があることはその時点でわかっていました。

CIOが決定を下すにあたって重視したのは、やっぱりエンドユーザー側の使いやすさですかね。我々は従業員としては、みんな仮想デスクトップの環境に慣れていますし。より使いやすくなるほうが社内にとっても、情シス側でも運用が回らなくなるようなことがないという判断をされたんじゃないかなと思っています。

従業員のエクスペリエンス向上が生産性につながる

田内:我々もお客さんに対してBCPの対応として、さまざまなシステムをご提案していますが、やっぱり「従業員のエクスペリエンスの向上が最重要だ」と言われていたんですよ。要は、従業員エクスペリエンスを上げることが、実際の経営に与えるインパクトが一番大きいと考えられていたと思います。

今までの情シスだと、こなれた機能を使う流れだったんですけれど、「操作性を意識しろ」とか、新しい機能をどんどん使って良ければ採用しようという方向性に突然切り替わっていったので、やっぱり上の決断はすごく大きかったんだなと。

従業員のエクスペリエンスを考えて、パソコンを支給すればその場で業務継続できるんじゃないかという観点もあって、それぞれいいところはあったんだけど、今回はちょうど、コロナの前にPCのCPU不足の問題あって、実はうちとして端末自体もそんなに簡単にかき集められないという状況もありました。

広瀬:それはコロナとは関係なく?

田内:コロナとは関係なく、インテルチップがグローバルの環境で全部足りない状況で、ちょっと各メーカーともにPC生産ができない状況があったと聞いているんですよ。

それをPCの案で実行しようとすると、やっぱりPCをかき集めなきゃいけないし、時間もかかる判断をして、結果的にこのタイミングでクラウドに移行してしまおうという判断になったんだと思うんですよね。

経営層の感覚から言うと、今の選択は、スケジュールが伸びて効果が薄れないように、そのときに一番よい選択を選ぼうとした結果だと思うんです。従業員エクスペリエンスは上がるし、経営側が求めるスピードに対応できたのが、シトリックスとマイクロソフトの組み合わせだったと思っていますね。

橋本:働く環境が快適になれば、生産性も向上するということですね。

田内:そうです。そこを相当意識したと思うんですよね。

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