2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
提供:株式会社リクルート
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藤井薫氏(以下、藤井):みなさん、こんにちは。リクルートキャリアの藤井でございます。
本日は貴重な時間をいただきましてありがとうございます。私からはリクルートキャリアが2020年にキャリアトピックスとして発表させていただいた「ふるさと副業」について、企業と個人の新しい関係という文脈でご紹介できればと思っております。よろしくお願いします。
まさに新しい企業と個人の関係といえる「ふるさと副業」ですが、その中で「関係的な報酬」と「長期的なキャリアの展望」を企業にも個人にも拓いていくような、新しい結びつきだと思っています。スライドに書いてあるように、地方企業と都市部の人材が新たな共創の関係を結んでいく兆しです。
「ふるさと副業」の主役は2つ。まずは都市部の人材です。長期スパンでの成長機会を今の企業では得られないことを課題に思っていらっしゃっる方。もしくは、理念に共感できる経営者や志を共にする仲間と働きたい、と思っている都市部の人材が主役の1つです。
主役のもう1つが、地方の企業です。新たな事業の変革や創造を推進するとき、中核的な人材の採用に困っていらっしゃる。そうした地方の企業様が、この「ふるさと副業」を推進するもう1つのプレイヤーです。
都市部の人材と地方の企業。両者が組み合わさって、働き方改革や副業の解禁、さらにはテレワークのような「新しい結びつき」をエンジンにしながら、今までは両者がなかなか結びつかなかった時間や空間、場所を越えていく。さらには従来の雇用形態にありがちな上下の関係ではなくフラットな関係で、報酬についても「関係的な報酬」や「成長機会」というかたちで結びつきあう。そんな新しい関わり方です。結果として両者は、未来に対する事業展望やキャリア展望が拓いているのです。
藤井:ここで背景をご紹介したいと思います。まず個人側の変化です。1つは「余剰時間・余暇時間を自己成長に結びつけたい」という個人の志向です。ご存知のとおり働く時間、就業時間は、この数年の間でどんどん減ってきています。その中で個人は「余った時間を何に使いたいですか?」という質問の中で「自己啓発」であったり「副業」であったり、「成長に向かってこの時間をうまく使いたい」と。そんな声が聞こえてきています。
さらには企業を選ぶ際の「入社するときの決め手」「企業の選択基準」も少しずつ変わってきています。今までであれば「より年収が高い」とか「規模が大きい」という外形的な条件を重視していたのが、現在では「自分のスキルを活用しながら、やりがいを感じてられて、さらには中長期の成長も可能なこと」を入社の決め手にしていると、そんな動きがあうのです。「終身雇用」よりも「終身成長」という言葉も使っていますが、会社寿命の短命化と職業寿命の長命化によって、今の会社をを卒業した後も、世の中で長く輝きたいという方向に個人も期待をしている。そんな志向変化があります。
藤井:今度は企業側です。ご存知のとおり深刻な人材不足であり、採用がなかなかしづらいという企業様が全国にあります。とくに地方企業は、10社に4社が「人材を集めにくかった」とおっしゃっています。
さらには(スライドを指して)下のグラフですが、中小企業において事業変革や創造を担う中核人材がなかなか採れないと。既存事業を維持するだけではなく、新たな事業を創造し変革していきたいが、そういう人材がなかなか集めにくい。多くがそうした課題も持っていらっしゃいます。
そうした中で各企業様、いろんな人材施策をやっていらっしゃいます。中でもテレワークや、兼業・副業を容認するという新しい施策をどんどん打って、多様な人材をいかに引きつける、ということをみなさん仕掛けていらっしゃいます。
個人のほうも、「地方に副業があったら働きたいですか?」と聞くと「月に数日、週に1回ぐらいであれば、ぜひ関わってみたい」という声があります。いよいよ企業と個人が時間や場所を越えて、新しい関係で結びつくような機運が高まってきているのです。
実際にそうしたものが、求人件数や求職者側の意向に出ています。私たちがリクルートでやっている副業のサイトや副業のミートアップのイベントでも、地方での副業の件数や地方で副業したい方がどんどん増えています。
藤井:ご存知のとおり、国も関係人口の推進ということで、地方と企業の新しい関係をどんどん加速していることも、大きなエンジンになっていくんだと思います。
ということで「ふるさと副業」を簡単にまとめています。企業側は新たな事業変革・創造を推進する中核人材をなかなか採れない。フルタイムの雇用では難しいときに、新しい兼業や副業という今までのフルタイム雇用とは違った関わり方で協業する、共創するノウハウが、各企業に少しずつ広がってきています。
また個人側も、将来キャリアに結びつくような挑戦機会がなかなか本業の中で得られないという方がいて、さらには経営理念に共感しながら、経営者と上下の関係じゃなくてフラットな水平関係でお互いに貢献しあう機会を渇望している。そうした個人の方が、「年収よりも貢献」という志向のもとにテレワークで結びついている。そんな動きが「ふるさと副業」であります。
藤井:最後に、2〜3事例をお伝えしたいと思います。(スライドを指して)こちらは(岐阜県)大垣市にある桝の製造・販売の会社さんです。桝を使って「今度はBtoBで建材領域に出ていきたい」というチャレンジをするために、副業の募集をされました。
そこに応募されたのは東京にいらっしゃる、ブランドコンサルティングのプランナーをやっていらっしゃる女性です。彼女はBtoBのブランドの経験を持っていらっしゃって、Webサイトのコンセプト固めなどを企業に提供する。それも週に1回Webを介して、企業とコミュニケーションしながら実際にその企業のブランディングをして、サイトまで作られました。
この右の中澤さんは福島出身の方なんですが、地元とは違ったかたちでも将来的には地元に恩返しができるということで、第3のつながりを得られました。会社とは違った関係性ですけど、いつでも”社外パートナー・社外サポーター”として、この桝の会社さんに関わっている。そんな関係があります。
もう1つだけ紹介させてください。こちらは石川県の旅館、ホテル海望さんです。海外からのインバウンド顧客を増やすための、宿泊体験を高める新しいプランを考えるために「ふるさと副業」で兼業の募集をされました。
そこに応募されたのは、なんとカリフォルニアにお住まいの日本人女性。IT大手にいらっしゃるプロジェクトマネージャーの方でした。ご夫婦で石川に1回来られて、宿泊プランをもっとこんなふうにしたらいいということを入念にレポート。ホテル海望さんはインバウンドのプランを加速させたということです。
反対側でこの女性は日本に恩返しをするという機会と、このプランを提供するにあたっていろんなグローバルの人たちと会話をするなどの機会得られました。プロジェクトはすでに終わってますが、今でもホテル海望さんの”社外サポーター”という想いでつながっていると(いうことです)。
彼女が持っていたのはIT企業でのキャリアであって、旅行産業でのキャリアではありませんでした。ですが、この恩返しの副業を介して旅行業界にもつながったことで、キャリアの展望がさらに旅行業界へ広がっていらっしゃる。そんな事例でございます。
いずれにしても、個人と企業が、テレワークを活かして、今までの時間や空間や上下関係の雇用とは違った関係で共創し、さらに、金銭報酬だけでない「関係的な報酬」を介して長期なキャリアを拓く「ふるさと副業」は、これからも大きく広がっていくのではと思っています。
ということで駆け足でしたが、私からの話は以上とさせていただきます。じゃあ、次にバトンタッチします。
宇佐川邦子氏(以下、宇佐川):みなさん、こんにちは。リクルートジョブズの宇佐川と申します。私もちょうど去年から「ふるさと副業」を始めたばかりです。出身が山口で、高校まで山口県にいてさんざん税金使って公立の高校まで出たのに、一度も山口で働いてなかったもんですから。「なにも貢献してないな」って鬱々と思ってたんですが、昨年度「多少、会社立ち上げの手伝いでもしようかな」ということで、今、山口県の会社さんの立ち上げ支援をやってます。
では本題です。私たちは「健朗シニア」と銘打っておりますが、シニアの雇用領域に対するキーワードの説明をさせていただければと思います。
今まさに「人生100年時代」といわれていまして、年齢に関わらず生き生きと活躍し続けることは、誰しもが願っていることではないかなと思っています。ただ「年齢に関わらず生き生きと活躍し続ける」ことは、なんとなく時を過ごしてるだけでは難しくて。必要とされていることは(スライドを指して)ここにある3つの要素。「生きがい」と「健康」と「お金」。この3つが満たされると、生き生きと活躍し続けられるといわれています。
いわゆる高齢者フレイル(虚弱)の防止や、認知症防止も共通しているかと思います。この3つを、今まではシニアは自分でがんばるとか、公共が支援をすることが中心だったんですが、最近は企業が積極的に投資をし始めている。自社で既に働ている従業員であったり、新規で採用する60歳以上の方々に、その方々のの健康維持管理のための積極的な投資をすることによって、その方々の能力を維持できるようにして、その結果として企業が成長し続けることを選択している企業が出始めています。
そういった「その職場で働くだけでアンチエイジングな状態となり、健康になれる」。そんな職場が増えている。そこで、そのような環境で働く生き生きと健康で心身ともに朗らかなシニアのことを、我々は「健朗シニア」と名付けまして、今日発表させていただければと思います。
宇佐川:まず背景は3つです。60歳以上の方々に実施した調査なんですが、今「定年70歳」という話が出ていますけれども、実際には「70歳を越えても働きたい」とおっしゃっている方は既に7割を超えています。日本ってすごい国だなと思うんですが、他国に比べると「年齢が上がっても働き続けたい」という意欲のある方がすごく多くいと思います。高齢化社会についてネガティブに話されることも多いんですが、実はすごいチャンスなんじゃないかなと思っています。
2つ目の背景です。人口動態が大きく変わっています。左側は1950年から、右が2040年までの人口動態の変化ですが、日本では大きな変化が3つ起きています。1つ目が2008年から人口が減少し始めたこと。2つ目が、一番下にあります青い部分。14歳未満の人口がたった70年間で半減していること。3つ目が高齢化で、赤い部分です。65歳以上の方々が現在約30パーセントを占め、高齢化率がどんどん上がっている状況です。
そういった状況ですので、右側の労働力人口が大きく変化しています。29歳以下の働き手はこの30年間でなんと4割も減っており、増えているのは60歳以上だけなんです。こういった状況の中で、消費者としてのシニアは主要なマーケットになりつつあり、同時に働き手としても(シニアが市場を)支える側になってくる。そういった状況が今の日本の全体像です。
ところが現状は、非常に残念なことに、企業に「60歳以上の方々を新規で採用しませんか?」とお聞きすると「(採用に)積極的ではない」という回答が7割を占めます。これと同じ調査を2006年にも行っているんですが、最新の調査と2006年の割合がま変わらなかったんです。
(スライドを指して)これは2018年の調査なんですけれども、2016年の調査時と比べて人手不足といわれるようになっていまして。人材採用がひっ迫しているにも関わらず、なかなか60歳以上の新規採用への意欲が上がってこなかった、という事実が存在しています。
「ではなぜシニア雇用に積極的でないのか?」と聞いたら、理由は1位が「健康状態と体力不安」でした。「健康状態と体力に問題がなく、がんばってくれるんだったら採用を考えたい」としている企業が、実は「積極的」「非常に積極的」の約3割の中に存在しています。
この企業群の一部の試みが、今回「健朗シニア」として名付けさせていただいたきっかけでして。あえてシニアの健康増進のために投資をし、シニアに能力を維持し生き生きと働き続けてもらうことによって、企業の生産性をより高めていく・継続性をより強めていくということを、選択肢として選んでいる企業がありました。
宇佐川:それらの企業の取り組みには共通点がありました。その共通点が、この3つの取り組み。これらのおかげで、シニアが安心して働き続けることができる心理的安全性をつくっていました。
1つ目が、会社の仕組みとしてシニアが働きやすい環境をつくること。2つ目は人的サポートで、一緒に働く方々が細やかなフォローを行っていること。そして3つ目は健康チェック・見える化です。
残念なことに、加齢に応じて能力の変化は発生してしまいます。昨今、企業側は60歳以上の場合の雇用において、労災の問題などを懸念したりしておりますが、かなり個人差があります。そこで、この健康チェックをして見える化をして、個々人の体力・能力に合わせてサポートをしていくことが重要になってきています。この3つをうまく組み合わせることで、心理的安全性がつくられています。
具体的な事例でご説明させていただきます。こちらは棚卸しをされている、千葉県のアセットインベントリーさんです。棚卸しは短時間のうちにものすごい数の商品を間違いなくカウントする必要がありますので、実は20・30代の方々が中心の職場でした。
それをあえて「エイジフレンドリーワークプレイス」という名目を掲げられて、働きながら健康になれる仕事・職場づくりを推進しようということで、会社を挙げて(シニアの受け入れに)取り組まれています。
経営者がまずいろんな大学などに行って、ジェノトロジーについて学びました。シニアの身体能力の変化やマネジメントのポイントを学んだうえで、管理職向けのマネジメントツールをつくったり、シニア専任のキャリアカウンセリングを社内で育成したり。それから、安全に働き続けてもらうためのツールの軽量化なども取り組んでおられます。
さらに、やはり能力は変化してしまいますので、その能力の変化を適切に測って適材適所の配置・指示をしようということで、定期的に身体能力を測って、その方の能力変化に応じて仕事を変えるとか、業務量を変化させることなどに取り組まれておられます。
(スライドを指して)こちら71歳の持永さんという方なんですが、この方は棚卸しの仕事の現場では、「初めてはトレーナーさんが必ずついてきてくれるので、いつでもすぐ(疑問点を)聞けて非常に安心して働けるんだ」と、楽しそうに話されていました。
次はドラッグストアのスギ薬局さんですが、ここで働いていらっしゃるこの方は、なんと83歳です。60代どころか70・80代の方々が中心になって活躍されています。
スギ薬局さんの場合は「シニア就活支援マニュアル」というものをつくられて、安全に働くために、例えば「コンテナは3段までしか使っちゃいけませんよ」といったような細やかなマニュアルづくりをされています。ドラッグストアさんなので、プロがたくさんおられますので、健康管理の相談をして食生活のアドバイスを受けたりしています。
(次は)愛媛の訪問介護の会社さんです。こちらの場合「介護の仕事でアンチエイジング」ということを謳われて「えひめKAIGOの匠」というブランド名を(つけています)。65歳以上の介護職の方々にネーミングをつけて、あえて65歳以上の方だけをターゲットに積極採用されています。
とはいえやはり65歳以上で初めて働く方、未経験の方が非常に多いということで、介護の仕事をすることを最初は不安に思われる方が多いようです。一人立ちをするまで、それも一人立ち基準を会社が決めるのではなくて、実際に働く方が「もう私、一人で大丈夫ですよ」とおっしゃるまで、細やかにサポートをし続ける。といったことをされています。
それだけではなくて、身体能力や認知能力を定期的に確認して、その方の健康増進に合わせたアドバイスをしたり。介護のプロがたくさんおられますので、体の使い方、トレーニングの仕方などを専属のプロからアドバイスしたりして、働き手の能力をより上げていくようなサポートをしておられます。
(スライドを指して)こちらの岡田さん、実は77歳なんです。仕事をすると相手先の方から「待ってたよ」といわれて、とてもうれしいとおっしゃっていましたが、77歳で実は週6日働いておられます。働くことで健康管理をしているので、むしろコンスタントに働くほうが調子がいいのよね、とおっしゃっていました。
ほかにも事例があるんですが、時間となりましたのでこれにて説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
柳谷元樹氏(以下、柳谷):リクルートジョブズ タウンワーク編集長の柳谷と申します。私からは3つ目の「アルダイバー」について、説明をさせていただきます。
この「アルダイバー」は、タウンワークというアルバイト・パートを中心とした求人情報におけるのマッチングサービスの中で、2020年に起こるであろうトレンドをキーワード化したものです。
冒頭のフェスタイムリレーションのフレームの中でいくと、ソーシャルの「関係的報酬」の中にあるものになります。
「アルダイバー」とは「多国籍アルバイターが分け隔てなく活躍ができている状態」と定義しております。企業様側からすると、従来、多国籍人材の採用は、単純な人手不足解消目的で行われていたように思います。それが今、将来の会社の戦力として(の雇用が)実行され始めきています。
個人側ですと、改正出入国管理法も含めてですが、在留外国人の数は今も増えており今後も増えると想定しています。実際にアルバイトとして働き始めて、その後、店長・リーダーとして重責を担う方も増えてきています。こういった企業様と個人側、双方(の需要)が増えている状態を「アルダイバー」と呼んでおります。(スライドを指して)こちらが、企業様向けに「多国籍人材を採用する理由」を聞いたデータです。
1番上の灰色部分、約50パーセントとなっている『会社の人手不足解消につながるから』。これが、多国籍人材採用の目的の一般的な認識になると思うのですが、この調査をやってみて思ったのが、その下の赤くなっている「グローバル戦略のため」「社内活性につながるから」「インバウンド対応のため」といった、将来の投資を目的として多国籍人材採用を行っている企業数が想定していたより多いという印象を受けました。
この調査自体は大企業様だけじゃなく、中小企業様もサンプルに数多く含まれております。地方の中小企業でもこういった考えを元に、多国籍人材を採用していることが多いということは、驚きでした。
(スライドを指して)左側が今一般的に起こっていることです。単純な労働力不足解消のために多国籍人材採用を行うと、その中に活躍できる個人がいらっしゃっても十分な実力は発揮されず、お客様にも雇用側の企業にも価値が届かないというのが、左側の状況です。
右側の状況が、最初から多国籍人材を戦力として採用し、その成長にも投資すれば、彼らが生き生きと活躍して、お客様にもその価値が届いて、さらに事業にも貢献するというよいループ。これがうまく回ることが「アルダイバー」という現象です。
柳谷:では、この「アルダイバー」を巻き起こしている事業さんは、どうやっているのかを事例としてご紹介させていただきます。事業における人材の活躍でいうと「採用して、定着していただいて、そして活躍」という一般的なステップがあると思います。
この各フェーズにおいて、狙った多国籍人材に合わせて、細やかなカスタマイズをされているのが、事例の中身です。
1つ目はミキハウスさんです。子供服メーカーさんなんですが、いろいろ手を打っていらっしゃいます。特徴的なのが、(スライドを指して)左側の「定着」の部分にあるように、若手の専門人材を配置されています。
クロスカルチャーコーディネーターと呼ばれており、もともと働いている日本人と配属される多国籍人材との間の、文化のギャップを受ける役割を担う人材を配置しいます。彼らは新しく多国籍人材が現場に配属されると、日本人とのカルチャーギャップを埋めていくということを丁寧に実行しています。
2つめの事例が、物語コーポレーションさんという愛知県の外食チェーンの企業です。こちらは焼き肉などの事業をを運営されているんですが、同社は「この成長のために多様性は不可欠」といった考えの基に、多くの多国籍人材を採用しておられ内定する前にもかなり手厚くフォローされておられます。
(スライドを指して)右下の方の場合、もともと日本でアルバイト経験が6年おありになりますが、社員を目指して就職活動をしているときにまだ語学やビジネスマナーに不安があると感じられておられました。そんななか、物語さんに応募されたとき、手厚い研修を受けたことで「ここならやれる」と自信を持って入社され、現在活躍されている事例でございます。
3つめの事例。こちらはリッチモンドホテルプレミア浅草内のプレミアラウンジの取組です。こちらの事例では珍しく、採用対象をワーキングホリデーで日本にいらっしゃっている多国籍人材、しぼっていらっしゃいます。
つまり「1年間で本国に戻る人を採用する」ことになるのですが、これを回すために何をやっているかというと、ホテル内での業務のオペレーションを非常に細かく単純化して、より早く業務を覚え活躍しやすい業務フローを組んでいるという状況です。
そしてホテルで働いた方々がが本国に戻った後も、周囲にホテルについて話してくれることで、今度は彼らの日本旅行時に、宿泊先として一つの選択肢になるかもしれない」というところまで考えられています。
他にもローソンさんだったり、ねぎし(フードサービス)さんは、以前から多国籍人材の活躍に取り組まれていたので、現在では必要なポイントに絞って多国籍人材が活躍できる取り組みを実施されておられます。
まとめでございますが、企業が多国籍人材を戦力として担ってもらえるように事業を展開すれば、その個人が輝いて活躍されるという事例が数多く生まれてきている、というお話でございます。ありがとうございました。
平田朗子氏(以下、平田):みなさん、こんにちは。リクルートスタッフィングの平田と申します。よろしくお願いします。
派遣領域においてのトレンド「出勤オフ派遣」について発表させていただきます。この「出勤オフ派遣」なんですが、先ほど冒頭のフェスタイムリレーションでいうと、安心・喜びに確実につながり、成長や展望にもつながる余地がある。そんなものになっております。
では「出勤オフ派遣」とは(どういったものでしょうか)。育児や介護、また傷病などを抱えて働く方が最近増えております。そういった制約を抱えて働く方であったり、副業と両立したいという派遣スタッフの方が、在宅ワークと派遣先での勤務を組み合わせて活躍している。そんな働き方が「出勤オフ派遣」なんです。
この「出勤オフ派遣」、実は企業側がITインフラを整備し、ルールを3つ決めるだけで実現できるんです。今まさに行われつつある、新型コロナウイルス感染対策目的でのテレワークという意味でも、BCP(事業継続計画)対応としても、事業を継続していくために注目すべき最優先事項になっております。
どんなものかというと、例えば(スライドを指して)このイラストのように週3日オフィスで働き、週2日在宅で働く。このような働き方のことを「出勤オフ派遣」と呼んでおります。
なぜ今「出勤オフ派遣」なのか。まず最初に、実は派遣スタッフに対するテレワークの導入は非常に遅れております。
(スライドを指して)こちらは弊社の2年前のデータになるんですが、テレワークを従業員に導入している企業は35パーセント。しかし、派遣スタッフにはたったの1パーセントしか導入されていないんですね。2年前は、そのような状況でした。
平田:ではテレワークについて、派遣スタッフの方々はどう思っているのかということなんですが「週1~2回のテレワークでモチベーションが向上する」、また「通勤時間が長くなっても、テレワークができるならいい」。このように捉えていらっしゃるんですね。
実際に新型コロナウイルスの感染対策目的のテレワークがこの1ヶ月で非常に急増しているんですが、以前からそのような声がありまして。介護や育児や副業などの理由で、スタッフの方からテレワークをしたいという声が数多く寄せられておりました。
そういった声を受けて、実はコロナ以前から企業様からも問い合わせが急増しておりました。そしてその中に共通するポイントがございました。それがさきほど申し上げた、派遣先での勤務と自宅での在宅ワーク。この2つを組み合わせた働き方でした。
具体的に事例を3つご紹介します。まず1つ目。介護理由による出勤オフ派遣です。派遣先企業の石井様は(スライドを指して)左側になるんですが「ITインフラの整備を進めてきたので、在宅でも会社と変わらず仕事ができる」とおっしゃっています。
こういった(派遣先勤務と)在宅勤務との組み合わせが、離職防止につながるということで、企業にとってもメリットがあるというお話をいただいています。また、スタッフの広田様。この方は「オフィスでは出社するだけでいろんな情報が入ってきて発見がある」と。また「在宅では効率よく、生産性が高い仕事ができる」と。どちらもあることが、非常に有効だというお話をいただいております。
さらに、「親の介護で退職を考えたが、この働き方のおかげで仕事が続けられている」というお話もいただいております。
次にがん治療との両立の事例です。派遣先の千田様は「在宅勤務で退職をせずお仕事をして(続けて)いただけてありがたい」と。さらに「在宅時に業務を可視化して仕事をしてくださったことで、部署の業務掌握が進んで会社としても非常に進化があった」とおっしゃっています。
(スライドを指して)こちらはスタッフの山本様ですが「出勤時には上司や同僚と一緒に働くことで、自分が必要とされていると実感でき、非常に意欲が高く働くことができた。さらに(自身の)がん治療の3ヶ月間は、在宅勤務を組み合わせることで体力を消耗せず8割の業務がカバーできた」というお話をいただいております。
最後に副業との両立です。派遣先の小島様。「在宅勤務を可能にしたことで、採用が難しい、スキルの高い人材が確保できた。また、これを機にチャットツールなど、会社の中の働き方が進んだ」というお話をいただきました。
また、週1日在宅勤務、週2日オフィス勤務のスタッフの村上様。「オフィスでは同僚とのちょっとした会話で心身共につながりが感じられて、ゆとりを持って働けた」と。さらに「在宅で通勤時間を削減できて副業に力を注げたことで、非常に充実している」というお話をいただきました。
平田:ではこの「出勤オフ派遣」、どうしたら実現できるかですが、まずはITインフラの整備が必要です。個人用のノートPCやスマートフォン、セキュリティ管理されたネットワーク。こういったものが必要なのですが、これらを整備している企業が、昨今急増しております。
そうすると、あとはルールを3つ決めるだけ、なんです。まず1つ目が、資料作成やデータ入力など、「1人でできる仕事の切り出し」。仕事の中で何割か、みなさんもありますよね。こういったものを切り出します。
2つ目が、いつ在宅にするか、残業の上限を決めるのか、などの「就業条件の決定」です。
そして3つ目が、当日の連絡方法や報連相はどうするのかなどの「連絡方法の決定」です。この3つを決めるだけで、実現できるんです。
ではこの「出勤オフ派遣」は企業にどのようなメリットがあるでしょうか。
出勤時には対面でのマネジメントでビジョン共有ができ、一体感が得られたり、顔を見て従業員の体調やコンディションを把握することで、労務管理がしやすくなる、というメリットがあります。
一方、在宅時には在宅マネジメントの導入で、業務の切り分けと役割分担の見直しが進みます。例えば「必要な会議の精査」ができたり、「端的に伝える業務指示」ができるようなスキルが会社全体で上がります。つまり会社全体の生産性が上がるんですね。更に、こういったことが急速に進む中で、働き手の確保とBCP対応が可能になります。
ということで、派遣領域における2020年のトレンド「出勤オフ派遣」。
今後急速にこういった働き方が増え、企業での働き方が変化していくと思います。派遣スタッフの働き方もこういった「出勤オフ派遣」が当たり前になっていきます。
企業側がITインフラを整備して、ルールを3つ決めるだけで「出勤オフ派遣」が実現します。ぜひこのような働き方、多様な働き方をみなさんと共に広めていければと思います。よろしくお願いします。以上になります。
中村天江氏:多様なつながりを尊重し、関係性の質を重視するマルチリレーション社会に向けて、我々リクルートグループとしても、多様な方々の関係性をより長い時間軸で豊かにする取り組みをしていきたいと考えております。引き続きどうぞ、よろしくお願いいたします。
株式会社リクルート
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