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悩みの連鎖反応と、心の傘(全1記事)

2020.01.20

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「経営は悩みの雨を浴び続けるようなもの」 成長率200%のベンチャー社長の“自分のトリセツ”のススメ

提供:株式会社オンリーストーリー

「いつの時代も誰もが悩みを抱えています。その悩みと向き合う自分なりの方法を知ることが大事なんです」。そう語るのは、企業の経営課題の解決を目指し、さまざまな事業を展開する株式会社オンリーストーリーの代表取締役 平野哲也氏です。創業6年目を迎え、毎期200パーセント成長を続けている同社ですが、その成長の中にはメンバーの行方不明や一番のクライアント社長の自殺による会社の倒産危機などの困難がありました。平野氏が学んだ悩みとの向き合い方とはどのようなものなのでしょうか。(note「悩みの連鎖反応と、心の傘」転載)

助けた側が、助けられる側になってしまう

——今回は「悩み」をテーマとして、お話をおうかがいしたいと思います。メンバーの行方不明や会社の倒産危機など、経営者ならではのようなスケールの大きい悩みを乗り越えられてきたとうかがいました。

平野哲也氏(以下、平野):そういう大きな悩みばかりでなく、他の人から見たら些細なことだと感じられることでもよく悩みます。もともと僕は悩みやすい性質なので。でもそれは「自分の悩み」だけではなく……。

例えば、悩んでいるAさんがいるとします。Aさんのことが大切だから、ケアしようとして、優しい人Bさんも悩む。するとAさんも、Bさんを悩ませてしまっていることで、「自分がいなければ」と存在意義を見失い、さらに悩んでしまう。

こうして悩みが続いていくことを、僕は「悩みの連鎖反応」と呼んでいます。ここでいうBさんが僕のことですね……。

——仕事や学業、友人や恋人などの対人関係など、大切なものだからこそ、悩むことも増えますよね。

平野:そうなんです! だからこそ、この悩みの連鎖反応は、いろいろなシーンで再現されると思っていて。

例えば介護や、風邪を引いている人の看病とかも近いと言えると思います。「介護している側がつぶれてしまったり、風邪がうつってしまったり、それでケアされている側も申し訳なく感じてしまう」という問題は、思っていた以上に根深いものではないでしょうか。

だからまず、悩む人を助けたいなら、大切なことは「自分が相手の悩みで悩みすぎないこと」だと思うんですよ。だって、自分が助けたいと思った人が大切であればあるほど、相手もあなたのことが大切なケースが多いから。何より、自分がつぶれてしまっては、継続的なサポートは難しい。

現代社会という豪雨地帯と、心の傘

平野:「じゃあどうすればいいんですか」と言われたときに、僕にとって効果があったのが、少しエモい表現になりますが「心に傘を持つこと」でした。

——心に傘を持つ。この場合、悩みこそが雨ということですよね?

平野:そうですね。前提として、僕にとって経営するということは、悩みの雨を浴び続けることと近かった。で、この雨の何が厄介かって、悩みそのものを解決しても、また新たな雨が降ってきてしまうことで。

そんなときに、雨を避けようとしてみたり、雨宿りしてみたりもしましたが、それだけでは根本的な解決にならなかったんです。

そんなときに、何より助けになったのが、この傘でした。傘は、周りに雨宿り場所がなくても、いつでも差せる。つまり傘には、再現性があるんですよね。だから僕にとって、心に傘を持てたことが、大きな助けになったんです。

情報あふれる現代社会は、いわば悩みの豪雨地帯。そんな中で、雨が降ったら傘を差すことは知ってるのに、悩みの雨が降ったら心の傘を差すことを、昔の僕は知らなかったんです。

傘でもダメなら、お風呂に入る

——傘を差すことでいつでも雨に濡れず、悩まない環境を自分で作ると。

平野:ただ、ここで厄介なのは、自分が傘を持っていても、時にそれを超える量や角度から雨が降ってきたりすること。だから濡れることを完璧に防ぐことは難しいんです。

じゃあそんなときにどうしたら良いかというと、もちろん、もっと大きくて分厚い傘を少しずつつくることも1つの手ですが、手っ取り早いのは、お風呂に入ればいい。

だって、雨で濡れた後で、お風呂に入ると、さっぱりするから。お風呂には回復効果があります。防止と回復は、別のもの。傘を持つことは「防止」であり、お風呂に入ることは「回復」に近いと考えています。

——悩みへの対応策は防止と回復の2つがあると。

平野:そうです。それに人によって、傘を持つのが得意な人と、お風呂に入るのが得意な人がいるんです。悩みにくい人は、傘を持っている人。切り替えが早い人は、お風呂に入れる人。自分がどちらが得意でどちらが苦手なのかを理解すると良いかもしれません。

傘とかお風呂って、具体的になんですか

——これまでで、悩みとの向き合い方は分かったのですが、そもそも「傘」と「お風呂」は何を指すのでしょうか。

平野:傘とお風呂を持つため、言い換えれば防止と回復をするために、

・自分自身が助けられる状態か、今の状態確認

・自分がどういったことで悩みやすいかの性質認識

・どの悩みから解決するかの優先順位設計

とかが大切になってきます。

日々、自分自身の感情変化を観察しながら、まずこのあたりを認知し、対策していく必要があります。

——自分の状態・性質・優先順位の認知。そこからそれぞれに対して対策を打つ。

平野:例えば僕の場合、自分の中で「こういうときはこうしよう」という方程式をつくっています。そして、それを自分のEvernoteのフォルダの中に入れたりしているんです。

この中の「うまくいかない時」というフォルダを開くと、

・健康状態が悪い時に、悩みやすい→漢方、ストレッチ、ジム、風呂:【防止】

・朝にSNSのスレッドを見るとひっぱられるから、朝一見ない:【防止】

・過去に辛かった時メモ 過去との対比で現在の物事を点でなく、線で見る:【回復】 ・世の中の、より辛い人の実例記事URL 相対性の中で自分を認知することで、大したことないと思う:【回復】

みたいな自分のトリセツが、延々と書かれているんです。

——人それぞれ、防止と回復の方法は違う。それがわかるのも自分自身だからこそ、まずは自分でそれらを知っていくことが大事なんですね。

平野:例えば僕は、ヨガ教室に2年近く通っていましたが、逆に頭がバキバキに冴えわたってしまい、マイナスな面の方が大きかったんですよね(笑)。

だから、自分なりのトリセツ、再現性のある方程式をつくって防止と回復できるようにすることが、大切なのかもしれません。

それでも悩んでしまう人へ

——ここまでで、悩まないようにするための防止と悩んでしまった時の回復を教えていただきましたが、とはいえ、この2つを使っても悩んでしまうことはありそうですよね……。

平野:それはそうだと思います(笑)じゃあ、どうするか。悩むということ自体の捉え方を変えるんです。悩む人だけが持てる武器がある、と。

僕はそれが『共感』だと考えています。

感情を無にできる人と真逆で、「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」であったり、「共感覚」であったり、いろいろな人がいるけど、その人だけが持っている最大の武器が、共感だと思っているんです。共感できるから気づけるし、共感できるから救える人がたくさんいる。何より、共感できるから、あなたの言葉が相手の心に刺さる。

逆に共感していない人の評論家的な言葉は、どこか表面的で、少しポイントがずれていて、響きにくかったりします。

病気を経験した人は、病気の人の悩みに共感できる。いじめられた人は、いじめの悩みに共感できる。雨に濡れる辛さを知っている人だけが、傘を差し伸べることができる。だから、それは性質だし、才能だ。そう捉えてみるのも良いんじゃないかなーって思うんです。

——感受性が高かったりや共感しやすいからこそ、相手の悩みの辛さが分かる。だから、本気で解決したいと思うし、なにか力になりたいと思う。そんな人だからこそ悩んでいる人の力になれるかもしれないですよね。

平野:ただ一方で、共感という武器があり、相手の悩みがわかるからこそ、時に悩みの連鎖反応が起きてしまうんですよね。傘の話を、悩みの連鎖反応に置き換えると、それは雨に濡れているAさんのもとに、優しいBさんが、傘を持たずに行くようなことなんです。

そうするとお互いに濡れてしまうし、場合によっては風邪を引いてしまう。そしてAさんはBさんに申し訳ないと思ってしまう……。そんな連鎖反応が起きてしまいます。

だから最後に、そんな優しいAさんに、一言だけアドバイスを送りたい。

「傘持っていくの、忘れないようにね」。

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